年齢: 30歳〜39歳
簡単なご住所 : 関西地方
具体的な御職業: 薬剤師
お問い合わせ内容 : 村田先生
お忙しいところ恐れ入ります。質問がありますので、お願いします。
私は、漢方薬局に勤めている??歳の薬剤師です。職場の方から先生のHPを教えていただき、とてもおもしろく、唸りながら、読ませていただいております。
私は10年前に漢方を始めたものの楽しさを見出すことができずに挫折して西式健康法や代替医療などを探求するものの、自分の芯がないため、結局中途半端な知識で、かえって混乱するというひどい状態に陥りました。
2年半前に中国人中医師とご縁をいただき、その偏りのない学識の深さ、人間的にも懐の深い魅力的なところ、患者さんに対する真摯な態度からとても学ぶことが大きく、自分は全く話にならない存在だと痛感いたしました。
反面、周りの方のその先生に対する執着や嫉妬うずまく状態に、自分の胃腸が悪くなり、身をもってストレスの恐ろしさを思いました。
夫の転勤により、また新しい漢方薬局で働き始めましたが、書物や周りのことから謙虚に学び取っていかれる方もごくたまにおられますが、良い師に恵まれるということが、私のような凡夫にとっては、どれほど重要なことかも思い知りました。
村田先生のHPのおかげで、助かっています。
質問は、山本巌先生の漢方医学についての村田先生のご見解を教えていただきたい、ということです。私にとっては、漢方はまさに、日暮れて道遠しで、それでも諦めきれず爪の先でぶら下がっているのですが、山本先生の書物がとてもわかりやすくて好きなのです。
山本先生のお弟子さんである先生方は、これぞ新しい医学で、中医の理論は素晴らしい部分と妄想の部分があり、妄想のところは切り捨てねばならないとされていますが、私もまだ全然わかっていませんが、中医理論の奥深さを知った上のことか、日本人に理解しがたいからそうなるのか、本当のところがわかりません。
確かに解剖学や病理、病態に関して想像の部分はあるにしても、そんな安直ではないような気がするのです。山本先生は、慢性疾患や難病に駆お血剤をとても上手に使われたとのことですが、痰、気滞、食積などはどうなるのでしょう?と単純に思うのです。
といいますのは、亡くなられた断食の甲田光雄医師に夢中になった時があり、色々と物議をかもされてはいますが、生菜食で難病を克服されている方々の体験を聞くことができたからで、漢方薬の使い方も、いかに身体にダメージを与えずに要らないものを出した上で、本来の健全な身体の働きを取り戻せるかが大切なのではと愚考するのです。
結局は、村田先生のように、西洋医学の優れた点も取り入れつつ、古典や書物から原文で自分で読み取る力をつけるべく、地道に努力するしかないと観念しています。
中国人の先生から、10年読まなければ読んだことにならない、とか、とくに中薬学の本は、ボロボロになるまで読み込むとか、教えていただいて、基本や古典を大切にした上で新しく改良してゆくという学問に対する姿勢をみることができました。この年になって知るのも悲しいですが、それでも、知ることができて、有難かったと思っています。
ごちゃごちゃとまとまりがなく、申し訳ありません。お忙しいことと存じますが、山本漢方医学に対してのご見解を、お聴きかせ願いたいと思いましたが、愚問でしたら、捨て置き下さい。お願い申し上げます。益々のご活躍をお祈り申し上げます。
お返事メール:山本巌先生の後世に残した学識は、補中益気湯が幼児のアトピー性皮膚炎に有効なケースが多いことを最初に発表された先生として強く記憶に残っています。臨床家としてもウチダ和漢薬さんなどを通じて、とても評判がよかったことを伝え聞いていました。日本人向けの漢方薬を様々に工夫考案された先生として高く評価すべきだと信じます。
翻って中医学については、基本理念はあくまで陰陽五行学説であり、五臓六腑を中心にした蔵象学説を重要視すべきであり、構造主義科学理論としての認識が必要だと考えています。⇒ 構造主義科学としての中医漢方薬学
ですから、中医学理論は妄想があろうとなかろうとっ!・・・中医学そのものは優れた構造主義科学理論としての認識をもちつつ、あとは臨床実践の中から自身で肉付けしていくべき問題だと思います。
中医学の基礎理論を構造主義科学理論として学ぶには、陳潮祖先生の「中医病機治法学」こそ、最高の書籍だと思っています。
但し、このような書籍類はあくまで教科書なのですから、あとは学習者の応用力、応用実践力は、みずから思考して複雑な病態を分析する能力を身に付けなければなりません。
多くの症例を経験しながらでなければ、現実に存在する複雑な病態に対応した適切な方剤を考案することはなかなか難しいものだと思っています。
ですから、愚鈍な小生ごときはまだまだ毎日が右顧左眄の日々で、ようやく一人が解決しかかったと思ったら、また今日も新たな難問をかかえた新しい御相談者に悩まされる日々が続く、その繰り返しで一生を終わらなければならない、蟻地獄のような日々を送っています(苦笑。
なんだかぜんぜんまともなお返事になってませんが、若い頃はまずは専門書籍の乱読と臨床実践の繰り返しで泥沼にはまらなければ、なかなか方向は見えて来にくいものかもしれません。
少なくとも断定できることは、中医学は立派な「構造主義科学理論」であり、ある部分では西洋医学よりもはるかに科学的であるということも忘れてはならないと思っています。⇒ 中医学と西洋医学━中西医結合への道
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