連日電話のお邪魔虫は相変わらず減らないが、同時に並行して真剣・真面目な御相談者が9月に入って毎日続いている。だからスタッフの少ないジジババ薬局なのでバテバテの毎日。
少しの空き時間があって疲れを癒しに奥へ入ると、タマタマ二度目のご高齢者がやって来る。
「有名?な漢方薬局と聞いていたから、よっぽど人が並んでいるかと思ったら、いつ来ても誰もいやしないっ」
と言われて、複雑な心境(苦笑。
素直な人達なら例外なく、待たずに済んでさいわいな時間に遭遇したと喜ばれるのが通常だが・・・。月に何回かある土曜日や月曜日の延長戦の混雑を知らない人こそ幸いなれ。
貴女のような人達をお断りし続けているお陰で、休憩できる空き時間が取れるのだが、その貴重な時間帯に貴女がタマタマ来られただけですよ。それにしても人が並ぶほどに混むのは月曜日か土曜日にあるかないかくらいで・・・、と嫌味や弁明をお返しするのが関の山(ますます苦笑。
ご相談者の選別を誤った実例はこれくらいにして本題に入ると、日本古方派時代には最も販売量の多かったのが加味逍遥散(「和漢薬」誌299号には、当時、加味逍遥散合桂枝茯苓丸の拙論が掲載されているほど)だったと思うが、テレビで医療用漢方が派手に宣伝される時代に入って以降は、かなり尻つぼみに的に販売量も減っていた。
女性の不定愁訴症候群に最も使用する機会が多いが、それ以外にも様々な領域に適応することが多く、逍遥散などは中医学世界では乳癌の肝鬱タイプの基本方剤とされているほどである。
更年期障害や自律神経失調症のみならず、一見捉えどころの無い諸症状に適応者が多いので、いつまでも適切な方剤が見つからずに苦労を重ねていたケースでも、既に加味逍遥散は病院などで試して無効だったといわれる人にも、実際には適切な製剤に切り替えると有効性を発揮したケースが昨今顕著である。
今年は例年に無く、古方派時代に舞い戻ったかのような販売量に増えている。かなり特徴的なことには、すでに本方を病院漢方で服用経験者が多いことである。
白朮であるべき配合薬が蒼朮で代用された信じ難き製剤が医療用漢方で採用され、市場を席巻することの問題点を常々指摘しているところであるが、このために効果が激減しているとしたら由々しき問題であろう。
それら白朮を蒼朮で代用した医療用の加味逍遥散の服用経験者で効果がなかった人達でも、適応証を認めれば、正しく白朮が配合された加味逍遥散製剤を販売し、同時に弁証論治に基く適切な併用方剤を加えることによっていずれも一定の効果を発揮している。
併用方剤の効果も多いのではないかという面も完全には否定出来ないにしても、このようなことがあまりに度重なると、やっぱり白朮を蒼朮で代用してはならないこと考えざるを得ないのである。
古方派時代以来の加味逍遥散の消費量は半端ではなくなりそうだが、やはり正しい配合がなされた自信の持てる製剤を長年過剰なまでに神経質に選別して来た実績は馬鹿にならないと自画自賛しているところである(笑。
2008年09月21日
今年は加味逍遥散製剤が飛ぶように出て行く
posted by ヒゲジジイ at 01:08| 山口 ☀| 補中益気湯や六君子湯中の白朮を蒼朮で代用する錯誤問題
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