2008年08月23日

重症化したアトピーの漢方相談者が増え続ける

 一昨日も四十代の女性が新たに来られた。基本方剤を直ぐに見つけることが出来たが、しばらくは炎症を抑えるのに苦労することだろう。
 ここ数ヶ月のアトピーの新人さんのほとんどが、今年の春先から顕著に悪化し、病院治療や一般漢方治療では止めはがつかなくなってやって来られたケースが多い。

 初回のしばらくは痒い痒いと、痒い以外の表現は無いのかいな〜〜というほど表現力の乏しい訴えしかできない人たちも、やや遠方でも無理して10日毎に足を運ぶにつれ、適切な微調整の配合を飲んでもらうことで次第に波打ちながら好転に向かうものの、しばらくは一喜一憂の日々が続く。
 途中で足らなかった方剤を発見して、自信をもって追加しても逆効果だったとのメールが直ぐに舞い込んでみたり・・・、仕方がないから新たな追加処方は一時中止してもらい様子をみる。

 ところが、一週間後の再来時に、しっかり状況を把握してみると、やはりどう考えても新たな追加方剤は合っているとしか思えないので、それを再度、ためしてもらうと今度は著効はないまでも、逆効果とは感じないで済んだ。
 でも、まだ痒い痒いの訴えがしばらく続いていたが、数日するとようやく少し良いみたいだ、とのメールが入る。

 こんな調子で、合わないと主張されていた方剤でも、タイミングを計って出直すと、やっぱり合っていたということもシバシバであるから、油断がならない。
 痒みが頭に来て、超過敏になっている急性炎症の繰り返しの状況では、上手にコントロールしてあげないと、一喜一憂の繰り返しがしばらく続くことになり兼ねない。

 実際にその繰り返しから、ようやく病状も落ち着き始めた頃になると既に半年以上も服用した気分になっている人が多いのに驚く。
 先日も、ようやく病状が落ち着いて来た人に「まだ二ヶ月も経ってなかったんですね〜〜〜っ」と言われてお互いに苦笑したものである。

 7〜10日のペースで微調整を繰り返し、途中のメールでも直ぐに微調整を行うので・・・といっても殆どのケースでは、初回に出した方剤が、やはり重要な基本方剤となっているケースがとても多い。
 一時、逆効果に見えた方剤でも、病状がやや安定した時点では、必須の方剤として再登場するケースがとても多い。

 たとえば腎虚に対する方剤は、初回から必要なこともあれば、初期に使用すると時期尚早で、使用を半年延期せざるを得ないこともある。
 痒み止めとしても人気が高い辛涼解表の方剤でも、初期には逆効果に感じていた人が、一年経つ頃には大活躍するようになったケースも珍しくない。

 最近の新しい人の中には、初期の頃に追加した黄連解毒湯が、僅か1回の併用で却って真っ赤に腫れて痒みが増大したとて直ぐに中止していたのだが、一月半の後には必須の方剤となっているケースもある。

 だからアトピーに対する方剤の運用というのは、早く基本方剤を見つけてそれらを土台に、何を併用するべきかの法則性を見つけてあげなければならない。
 望まれるほどには速効が出るとは限らないので、痒い痒いという、効く効かないの超短期的な訴えに耳を傾け過ぎ、いつまでもぐるぐる回りして単なる対症療法の探索に追われていると、結局は埒が明かなくなるケースが出て来ないとも限らない。
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posted by ヒゲジジイ at 01:34| 山口 ☔| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする