昨年来、急に安中散が頻繁に、お馴染みさんや常連さんに奨めてフィットすることの多い方剤だが、一昨年まで、我が漢方薬局に関する限り、ほとんど20年以上、否30年以上40年近いかもしれないが、ほんとうにフィットしそうな人が皆無に近かった。
その間、消化器症状を訴える人は、少なくなかったものの、その殆どが肝臓癌や膵臓がんや転移のある胃癌の人達など、比較的重篤な疾患ばかりで、安中散レベルの方剤は無縁な人達ばかりだったが、昨今は、コロナ禍以来、お馴染みさんや常連さんでさえ、胃痛や逆流性食道炎などの相談者が増えて、安中散を奨めてフィットすることが目立って多いという訳である。
また、長年、胃の痞えなどの胃症状には、大柴胡湯証を呈する人が頻繁だったが、コロナ禍が始まって以降は、柴胡桂枝湯を必要とする人が目立って増えている。
意外にも半夏瀉心湯が必要な人は稀だが、フィットする人には、必ず乾燥生姜である日局「生姜」が配合された、正しい半夏瀉心湯エキス製剤のみを用意している。(日本の乾姜は蒸されて黒ずんだ飴色に改悪されているので、正しい乾燥生姜とは似て非なるもの)
ともあれ、歴史的な激変の時代、プーチンの狂乱も重なって、文字通り「胃が痛くな」るような不安な時代。今後も益々、柴胡桂枝湯や安中散の需要が増えるばかりかもしれない。
もちろん、これ以外にも、香蘇散や半夏厚朴湯、四逆散、開気丸、柴胡加竜骨牡蠣湯、帰脾湯、加味帰脾湯、加味逍遙散や逍遥散など、精神面に関連する方剤を勧める機会が増えるばかりである。
パンデミックが続く中、第三次世界大戦や核戦争の不安が延々と続きそうだが、プーチンのような狂気の沙汰には、自滅を待つ以外になす術もないので、「なるようにしかならない」という諦めも必要かもしれない。
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2011年04月02日の茶トラのボクチン(6歳半) posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:安中散