2019年03月02日

高齢者の急な腎機能低下の問題

2011年03月02日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年03月02日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 先日、88歳になる男性が、2年ぶりにやって来られた。

 2年前まで、アルコールが原因で発した肝硬変で7年間、多種類の漢方薬で基本的に検査数値がしっかり改善して諸検査がまったく正常となっていた。

 クレアチニンはやや高いながらも、1.2前後で常に安定していたのだが、少し気になるところではあった。

 2年間ご無沙汰となっていたのは、肝硬変がほぼ完璧に寛解したのと、そのころ、心筋梗塞を疑われる症状から、西洋医学治療に専念されることになり、現在も数種類の医薬品が投与されている。

 突然、久しぶりにやって来られたのは、今年になって、いままで正常になっていた肝機能が急に、GOTとGPTいずれも正常値の上限の2倍近くに上昇したのだという。

 おまけに、少し前まで1.2前後で安定していたはずが、クレアチニンの方も1.57に上昇したのだという。
 症状としても夜間多尿がやや顕著である。
 
 急に肝機能も腎機能にも異常が出たのは、何が原因だろうか?と主治医に問うと、「原因はわからない」といわれたというが、投与されている循環器系の医薬品が多少とも影響している可能性が高いはずだが、心臓のためにはやめるわけにはゆかないのだろう。

(但し、急な多臓器不全を生じるようなことがあれば、多臓器不全の直接原因は急激な腎機能低下によるものなので、使用中の医薬品をすべて中止するのが、命を救うほとんど唯一の手段だということが臨床的に証明されていると、NHKのBS1で繰り返し放送されている。)

 また、主治医からは、腎臓に効く薬はないと言われ、そのことが恐ろしくなって、2年ぶりに漢方薬を再開したいと思ってやって来られたのだという。

 「あのまま漢方薬をやめないで続けておけばよかった」と後悔されているが、まだ今なら十分間に合う可能性があるので、最低限でもこれ以上の悪化を食い止めれば大丈夫だからと慰めたことだった。

 そこで、まずは当時も使用していた牛黄含有製剤と茵蔯蒿湯の2種類のみではじめて、それほど遠くでもないので、10日毎に通ってもらうこととした。

 ところが2年前まで多種類だったのに、こんなに少なくてよいのかと怪訝がられるので、久しぶりの漢方薬だから、おいおい様子を見ながら、絶対に必要と思われるものから、順次本当に必要と判明した時点で徐々に増やしていくのだから、急がば回れですよと、説得したのだった。

 2年ぶりのブランクと、心臓の持病との兼ね合い、それ以上にかなりなご高齢(といっても頭脳は極めて明晰)のことも考えて、慎重にするに越したことはないだろう。

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2011年03月02日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年03月02日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母