2010年8月3日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
大柴胡湯証というのは、大柴胡湯が適応する一連の症候が認められる、という意味である。
体型的に痩身であれ、やや肥満体であれ、大柴胡湯証を呈する男女はとても多いが、そのような体質がベースにあって、抑鬱症状とともに、全身倦怠感を伴い、人生に対する、やや絶望的な悲哀感を伴っている人達の問題。
大柴胡湯証をベースに持つ人達は、とても素直な性格で善良な人達が多いだけに、適切な方剤を組み合わせれば、比較的速やかに改善できることが多い。
少し治りが悪い人であっても、半年〜1年もすれば、かなり好転する。早い人では1ヶ月以内に急転回して改善に向かう人も多い。
ところが、大柴胡湯だけでは、消化器関連の諸症状は急速に好転しても、肝腎な抑鬱症状と倦怠感など、大柴胡湯だけでは、効果が不十分であることことがとても多い。
エキス剤では、多くの場合、四逆散や麝香製剤の併用で、比較的速やかに好転することが多く、重症でない限りは、麝香製剤は不要なことも多い。
大柴胡湯と四逆散は、ほとんど共通成分が含まれており、大柴胡湯には甘草が含まれないだけで、それ以外の柴胡・芍薬・枳実が含まれているのだから、四逆散を併用しなくとも、大柴胡湯だけでも、抑鬱症状に一定の効果があってもよさそうなものであるが、そうは行かない現実がある。
このことから、明らかに断言できることは、大柴胡湯として煎じたエキスと、四逆散として煎じたものでは、いくら共通成分が多いからといっても、甘草の有無一つで、方剤そのものの効能に大きな差が出ている証拠である。
ところで、このようなケースでも、敢えて四逆散を使わずに、大柴胡湯+香蘇散を主体にした配合でも、比較的順調に回復したケースもあるだけに、四逆散よりも安価な香蘇散を加えることで、薬味としては四逆散も含まれることになるので、配合上は寒熱の比率が微妙に異なるとはいえ、いずれがより効果的なものであるか、今後、比較実験をしてみる価値があるかもしれない。
さらには、大柴胡湯+四逆散+香蘇散と3点セットにすれば、やや高価な麝香製剤まで使用せずに済むケースが増える可能性も十分に考えられる。
但し、甘草が二重になるだけに、高血圧傾向がある人や、浮腫みやすい人には注意が必要となる。
いずれにせよ、大柴胡湯証が体質的なベースとなっている人達は、想像以上に性格的に温厚で、比較的素直な人達が多いので、漢方相談者としては、とても付き合いやすく、適切な漢方薬類の併用によって、様々な病状も順次改善しやすい傾向が強いように思われる。
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2010年8月3日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:大柴胡湯