2008年11月12日のボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ
おたより:東海地方の内科医師
村田さんのWeb site上にある 2014年11月10日の記事(新刊の近藤 誠著「がんより怖いがん治療」が手元に届いたが・・・) を興味深く拝読させていただきました。
わたしは、以前お伝えしたかもしれませんが、漢方薬を用いた診療を掲げて開業する前(9年まえ)まで、総合病院の血液内科において血液のガン(白血病とか悪性リンパ腫)の患者さんを診療していました。
当然、今や当たり前に行われている造血幹細胞移植に関わったこともあります。
実際に、白血病でも悪性リンパ腫でも、抗がん剤治療を用いた治療を行っていて感じたことですが、まず、治療を開始して極めて早期に(白血病ですと、1クールあるいは1ヶ月、悪性リンパ腫ですと体表のリンパ節腫大で治療効果がおおよそ評価できる場合に2,3週)で完全寛解といって悪性細胞が検出されない状態になったケース(専門的には寛解導入に成功した、と呼びます)ですと、いずれの血液ガンでも、2年以上再発せず治癒とみなされるケースがほとんどで、2年以内に再発された患者さんは例外的でした。
現在でもそうだと思いますが、寛解に導入し得た患者さんは、速やかに、残存していると想定されるガン細胞を根絶することを目的して、抗がん剤治療を継続します。白血病の場合、当時は、この寛解導入以降に行う寛解導入後治療が結構きついもので、最初の治療 よりも副作用が厳しかったと記憶しています。
個人的には、早期に寛解に導入し得たケースの場合、残存ガン細胞が少ないために、寛解導入後治療によって根絶されたか、あるいは極めて少ないレベルまで減少させることができて(僅かな残存ガン細胞はキラー細胞を始めとする免疫系の細胞群よって処理される)、再発しなかったのではと考えています。
いっぽう、全く同じ抗がん剤治療を行っても、寛解導入治療を数クール行ってなんとか寛解に導入し得たケースもありました。このような場合、寛解導入後治療を行っている最中とか、治療が完了して2年まで辿りつかない内に再発されるケースが多かったようです。
なかには、寛解導入治療にもビクともしないで治療に難渋したケースも決して少なくはありませんでした。
このような経験から、白血病として発症した時点で、同じ患者さんの白血病細胞なかに、抗がん剤が効く細胞集団と、効きにくい細胞集団、そして、効かない(耐性)細胞集団が混在していて、患者さんによってそれぞれのガン細胞集団の比率が異なるのではないか、と考えていました。現在、さまざまなガンに於いて、染色体分析、分子生物学的手法などで、ガン細胞が多様な細胞集団から構成されていることが明らかとなっていますが、私が感じたことは、治療への反応性という視点で捉えることができると愚考しています。
開業して、血液のガンの患者さんを診る機会はほとんどありませんが、固形癌で抗がん剤治療とか分子標的治療を受けている患者さんが、「副作用を軽減して欲しい」とか、あるいは、「一旦は予定の抗がん剤治療終了したので、再発したくないが、漢方薬でなんとかならないか」とおっしゃって受診するかたが最近多いです。
このような患者さんに、村田流の漢方薬を参考としてお薬を処方すると、結構びっくりするような良好に経過なさるケースを経験させていただいています。先日も60台の女性で肺腺癌と診断されイレッサを投与されていたかたがおっしゃっていました。
「漢方薬を飲むようになってイレッサによる食欲減少が改善されて、一時は中断していたものが継続できるようになりました。そのおかげか、先日のレントゲンを見て先生が幾度も首を傾げておられて、こうおっしゃいました。
『私の知っている患者さんでレントゲン撮影でガンが消えたかたはいないんですよね。小さくなるかたはいましたが。とにかくこのままイレッサを飲んでおいてくださいね』」
他にも、手術困難な腎臓癌、肝臓転移がある大腸ガンとか、のケースを経験しています。これらもケースは漢方薬を内服しながら抗がん剤治療を継続している患者さん達です。
もちろん、近藤先生の著作の影響を受けてか、一切抗がん剤治療を受けておられないかたが、「漢方薬で何とかなりませんか」とおっしゃって受診されることもあります。「自信はありませんが、出来ることを考えましょう」とお伝えして、脳に「頑張れ」と活を入れています。
いづれにしても、かなり長くなりましたが、ブログ上で村田さんが指摘なさっておられたことにかなり同感出来ますし、ガンの患者さんが漢方パワーの益に預かれるように脳にムチを入れてゆきたいと思っています。
話は大きく変わりますが、先日、家内とともに黒部アルペン ルートに行きましたが、圧倒的な大自然によって脳がリフレッシュされました。
最近、自然の偉大さを痛感します。やはり年齢のなせる業でしょうか。村田さんはネコちゃんに癒してもらってください。
それではまた。
2009年11月12日のボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:
ご専門の血液癌については、さすがの近藤誠氏も、抗がん剤の有効性は睾丸腫瘍とともに、過去の書籍ではしっかり認めておられたと思います。
問題は、固形癌に対して『がんより怖いがん治療』という指摘がメインテーマとなっているようです。
しかしながら、近藤氏の指摘とは裏腹に、先生が経験されている肺腺癌の患者さんが、イレッサに漢方薬を併用されて、病巣が消失した事例のように、当方でもステージ4の肺腺癌で、全身各所の転移巣が、やはり同様にイレッサと当方の漢方薬類の併用で、骨転移もふくめて、すべて消失している実例が、現在進行形で現実にあります。
このようなことからも、やはり近藤氏の指摘は、全面的にまでは支持することはできないわけですが、逆に先日も書きました通り、漢方薬によって抗癌剤の副作用をほとんど軽減でき、驚くほど体調が良くなり、すこぶる良好な状態を維持できているというのに、検査上では、癌の病巣が小さくなるどころか、ますます増大しつつあるケース。
体調の良好なのとは裏腹に、病巣が増大するというケースですが、これなどは抗癌剤が、逆効果になっているとしか思えません。
また、最近も結果的に不適切な抗癌剤によって、突然、腫瘍マーカーが異常に高騰すると同時に、新たに脳転移が出現したケースにも遭遇しています。
その点では、やはり近藤誠氏の『がんより怖いがん治療』を、全面的に否定することも困難である、とも思っています。
それぞれの患者さんごとに、大きな違いがあるので、一概に論じることはできないことだけは確かのようで、これにはご同意頂けるものと存じます。
今回も貴重な内容で、ブログにご協力頂き、心から感謝申し上げます。
追伸
また、都会の病院勤務で、癌治療後の予後調査部門を担当している人の興味深いお話しでは、予後不良と思われていた人の中には、5〜6年後の電話による追跡調査で判明したことは、「免疫療法」によってほぼ根治して御健在だったという驚くべき報告も、稀ながらあったそうです。
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2010年11月12日のボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
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ラベル:近藤誠