2014年08月22日

エキス剤よりも煎じ薬の方がよく効く、という常識の非常識

2011年8月22日のボクチン(7歳)
2011年8月22日のボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 昨日のブログでも書いたように、エキス製剤でも葛根湯の即効性は、僅か規定の1回分の服用で、冷房病による肩こりが雲散霧消している。
 煩わしい煎じ薬の必要性を認めない。

 数十年前の経験で、看護婦さんの手掌角皮症に煎じ薬の温経湯加薏苡仁で、明らかな効果が出るのに半月以上かかってしまたことを、拙著『求道と創造の漢方』に記載している。
 ところが、最近遭遇した例では、男性の手掌角皮症には、エキス製剤の温経湯のみで、10日以内に歴然とした効果が出たことは、数ヶ月前のこのブログでも報告している。

 このような例は、枚挙に暇が無く、当時使用していた煎じ薬の茵蔯蒿湯の即効レベルは、昨今汎用する茵蔯蒿湯エキス製剤の即効レベルと、まったく遜色ないものである。
 猪苓湯しかり、柴胡加竜骨牡蠣湯のごときは、煎じ薬よりもエキス製剤の方が、効果が早いのではないか?とさえ思うほどである。
 これには、配合薬中の牡蠣や竜骨の問題が大きいように思われる。

 ところで、しばしばネット上などの宣伝文句によれば、煎じ薬はオーダーメイドの配合が可能であるが、エキス剤ではそれが出来ない、とされるがとんでもない!

 オーダーメードのピントが最初から外れていたり、フィットせずに、むしろ不快反応が出た場合には、調合された残りの煎じ薬がまったく無駄になる。
 
 ところがエキス剤では、基本方剤であるから、他の機会に使用することも可能であり、煎じ薬のような急速な品質劣化の恐れがほとんどない
 数処方を組み合わせたり、単味の生薬製剤や中草薬エキスを併用している場合では、臨機応変に、しかも即座に配合の変更が出来るので、煎じ薬のような無駄が出にくいし、出てもほんの一部に限られる。その無駄も、またの機会に使用可能である。


 煎じ薬で、オーダーメードと称して配合された方剤。
 名老中医が、早くから警告しているような、基本方剤を考慮せずに組まれた方剤というのは、中医学の伝統を破壊する危険性がある。
 即ち、サーズが騒がれた頃、名老中医は基本に則り、基本方剤を設定した上での加減で投与して、高確率の治癒率を誇ったが、中堅の中医師達が、基本方剤を設定することなく組み立てた方剤では、ほとんど効果が出なかったという、有名な話が残っている。

 エキス製剤では、必然的に基本方剤を重視せざるを得ないことが却って、中医学の基本を守ることが可能であり、臨機応変の配合変化も瞬時に行うことが出来るし、昨今の競争の激しい自費の漢方製剤こそ、品質不良で効果が弱ければ、淘汰される恐れがあるだけに、競争原理のお陰で、各方剤毎に、必ずどこかで優良品が製剤されている。
 それらをしっかり選択して使用すれば、煎じ薬よりも却って優れた効果を発揮する。

 煎じ薬の場合、仕入れた原料の品質問題には、ベテランでなければ、劣悪品を掴まされ、ますます効果が出にくいものとなる危険性がある。
 
 実際に過去、ヒゲジジイ自身が、しばしばメーカーの言いなりの生薬を仕入れて、品質が良くないものを掴まされ、痛い思いをしたケースもしばしばである。

 安価だからと、ボロボロの半夏を掴まされたり、朝鮮人参が、見本のものとまったく異なる劣悪品が送られてきたり、黄芩などは水に漬け過ぎて緑色に変色したものを掴まされたり、糸くずのような柴胡が送られてきたり、それもすべて大阪の会社ばかりだったので、なおさら大阪は好きになれない。

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2010年8月22日のボクチン(6歳)
2010年8月22日のボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年8月22日のボクチン(7歳)
2011年8月22日のボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ



posted by ヒゲジジイ at 00:01| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする