2014年03月09日

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は「しもやけ」だけのチャチな漢方薬ではありません

2008年8月7日のボクチン(4歳)
2008年8月7日のボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

2014年03月06日 健康補助食品の乾燥ミミズ(田七人参含む)を服用して熱証から強烈な寒証に転じた人からのお問い合わせの続き

【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 年 代 】:50〜59歳の女性
【 お問い合せ内容 】:
 
 〜健康補助食品乾燥ミミズ(田七人参を含む)の冷えで相談させていただきました。〜

 先生、昨日から漢方を取り入れました。

 漢方薬局では乾燥ミミズよりも田七人参の方に「冷やす」と飛びついた感じでしたので、
 繰り返し乾燥ミミズと伝えながら当帰四逆加呉茱萸生姜湯のメモを見せ相談しました。

 まだ薄く白い感じの残る(白さは減)舌を見て、裏はきれいだね。
 脇腹からみずおちの辺りをさわり、突っ張って硬い、肩も張っているね。

「当帰〜それはしもやけの薬だから・・・

 1日2〜3回  食前に五苓散・小柴胡湯
 1日2回    朝起きた時と寝る前に桂枝茯苓丸・安中散を飲みましょう。

体の中が詰って流れていないから冷えているので水はけのお手伝いが必要、香辛料を摂る代わりに安中散を入れましょう。」

 とエキス顆粒で8日分頂いて帰りました。(短いサイクルで伺うから4、5日分希望と伝えましたが)

 1日服用しただけでは変化は無いものかもしれませんが、今日も手も足も冷たいです。

 足はまるで湿布を貼っているような、メンソレータムを塗っているようなスースーした感じです。(ホッカイロを入れてます)

 先生、ブログ内を読んでいましたら、
桂枝茯苓丸は攻撃剤の部類に属す(かなり作用が強い)方剤で桂枝は桂皮=肉桂を使っており・・・これが問題である・・・(略してすみません)

 とのことですが、問題の桂皮は五苓散にも安中散にも入っているようで単純に4剤の内3剤に重なっていて、摂り過ぎは考えなくていいのでしょうか。
 勉強させていただきたいので教えてくださいますか。

 そもそもこうしてミミズで起こった冷えは服用をやめれば戻るものと考えていても間違いはありませんか。(冷えて一週間、安心したいです)

 先生のアドバイスの末梢血管を温める方剤、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を試したいという思いが今も残っているので、要らぬ心配をしてしまいます。

 どうぞよろしくお願いします。

2008年8月7日のボクチン(4歳)
2008年8月7日のボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:

 田七人参は寒熱いずれも問題はないもので、絶対的に問題になるのは冷やす作用の強い乾燥ミミズです。

 桂枝については、日本で使用されるのは、すべて桂皮=肉桂が使用されています。

 貴女の場合は乾燥ミミズによって腎陽(体内の熱エネルギーを生産する大元みたいなものです)まで損傷されている可能性が高いので、むしろ好都合です。

 但し、それが使われているからと言って、そこまで末梢血管まで冷やされている場合に、桂枝茯苓丸を使用するのはまったく的外れです!
 肉桂以外は、桂枝茯苓丸中の桃仁も芍薬も牡丹皮も茯苓もまったく温める作用がないからです。

(瘀血の存在によって血行をブロックされているために下半身だけが冷えている場合は、桂枝茯苓丸が適応する場合も多いのですが、貴女の場合はまったく事情が異なります。)

 乾燥ミミズで冷やされたのですから、肉桂が使用されている日本の当帰四逆加呉茱萸生姜湯の方がはるかに無難で、状況によっては真武湯などの附子剤を一時的に併用してもよいかもしれないくらいです。

 実際に舌の状態を観察しないと、決して断定的には言えないのですが(写真を見てもまったくあてにならない。実物を見る必要があるのです。)

 少なくとも、購入された四種類の漢方薬は的外れで、安中散だけは同じ的外れでも、胃を温めるので、わずかに有効かもしれません。

 いずれにせよ、すべて的外れであることは間違いないのですが、当帰四逆加呉茱萸生姜湯であれば、当たらずといえども遠からずですが、胃まで強く冷やされている場合は、人参湯も必要なケースもありまずが、確実なところまではメールだけでは分析不可能です。

 いずれにせよ、乾燥ミミズで冷やし過ぎてしまったという原因がはっきりした問題なのですから、その四種類の漢方薬はあり得ないでしょう!と言いたくなります。

 明らかに儲け優先の漢方薬局のようですので、他のところに変えた方が無難かもしれません。

 貴女もはっきりと乾燥ミミズが原因で冷やし過ぎたと申告しているのに、その認識ができないような漢方薬局は失格ですし、ましてや

> 「当帰〜それはしもやけの薬だから・・・

という低次元な知識しかないようでしたら、なおさらに失格です。

 当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、各種膠原病に合併するレイノー現象を緩和するのに大活躍する方剤ですが、ちょうど貴女もそれに類似したレイノー現象かと思われるくらいの症状を呈しているのですから、まず第一選択肢はこの当帰四逆加呉茱萸生姜湯と考えるのが漢方専門家の共通認識であるはずのものです。

> そもそもこうしてミミズで起こった冷えは服用をやめれば戻るもの

 とのご質問ですが、通常なら中止して数日経てば放置していても元に戻るはずですが、貴女の場合は特別過敏なところがある体質のようで、レイノー現象様の症状が異常に長く続いているようですので、当帰四逆加呉茱萸生姜湯などの適切な漢方薬を使って早く改善させるべきだと思います。

  世の中、そんないい加減な漢方薬局ばかりではないはずですので、他の漢方薬局に変えるべきだと思います。

 取り急ぎ、お返事まで。

2008年8月10日のボクチン(4歳)
2008年8月10日のボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 00:51| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする