2013年12月25日

いまだに虚実の概念を「体力」のみで分類する日本漢方の危うさ

2008年1月19日のボクチン3歳
2008年1月19日のボクチン3歳 posted by (C)ボクチンの母

 一般用漢方製剤承認基準に増補収載された294処方の解説書なるもの『新 一般用漢方処方の手引き』が出版されたという。

 いまだに托裏消毒飲(たくりしょうどくいん)が収載されないお粗末さについては今さら言わないとしても、相変わらず由々しき問題は虚実の概念である。

 各処方について、虚実の概念を体力のみで分類し、それを5段階表示で適応度をポイント化して示唆している。

 T.体力虚弱 U.やや虚弱 V.体力中等度 W.比較的体力がある X.体力が充実

 いったい全体、体力とは何ぞやっ???

 漢方専門薬局経営40年のヒゲジジイは頭が悪過ぎるのか、さっぱり理解できない。

 一見して華奢でひ弱そうな女性たちで、いわゆる体力虚弱な人達に、大柴胡湯適応者が五万と存在するので、過去40年間に極めて多数のひ弱な女性達に著効を得ている。

 この書籍はまだ入手していないので、いまから何とも言えないが、まさかTの体力虚弱な人には不適となっているとしたら、ますますおかしいことになる。

 そもそも、虚実の概念を意味不明な「体力」のみで表現しようというのが土台無理な話である。

 この書籍の著者にこそ、ここで表現される「体力」の意味を、具体的詳細に納得いくように説明願いたいものである。

 虚弱で食欲もなく胃がつっかえてばかりいた女性達が、大柴胡湯で胃がスッキリとして元気になり、体力を回復した人が多い現実がある。

 はたしてこの書籍では大柴胡湯の適応は上記の5分類のうちのT.体力虚弱にも分類がなされているのかどうか?

 とはいえ、いずれにせよ何度も繰り返すが、虚実の概念を意味不明な「体力」のみで表現しようというのが土台無理な話なのである。

 日本の漢方は、いよいよ救いようがないほど堕落してしまったのかと危ぶまれる。

参考文献:
 @ 専門用語が未熟な日本漢方
 A 虚証と実証につて

 


2008年1月19日のボクチン3歳
2008年1月19日のボクチン3歳 posted by (C)ボクチンの母 

 
posted by ヒゲジジイ at 20:51| 山口 ☁| 日本漢方の情けない現状と限界 | 更新情報をチェックする