2004年ボクチンが生まれた0歳 posted by
(C)ボクチンの母【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 年 代 】:40〜49歳の女性
【 地 域 】:関東地方
【 お問い合せ内容 】:はじめまして。漢方について調べる中で先生のブログに出会いました。見識高い漢方と病理のお話には参考にさせて頂けることが多く、感謝しております。
今回、私のケースに先生のご意見を伺えればとメールを送らせて頂きました。お忙しいとは存じますが、お手すきの時にでもご返信頂けたなら、大変幸いに思っております。
現在17歳の娘(高3)へ3ヶ月ぐらい前より東京の某漢方薬局で処方頂いております。娘は身長163 cm体重50kg程度。ヒョロっとして薄い体型という感じがしますが、生まれつき色黒でスポーツも好み、病弱そうという外見ではありません。
一番悩んでいる症状は、頭痛です。小学校の高学年の頃より時々頭痛を訴えるようになり、年齢が上がるにつれ回数が多くなってきました。少し疲れた時や、天気にも影響されるようで曇りや雨の日は特に頻繁に発症し、ひどい時は毎日のように訴えるようになりました。以前は鎮静剤のイブを飲んで治まっていましたが、効かなくなってきたと最近はロキソニンを使用するようになりました。一年ほど前、総合病院でも診察してもらいました。CTを撮られ異常なし、デパケンRというてんかん治療薬を処方されましたが効き目はあまりなく、薬の説明が少なかったことにも不審が残り、飲むのを止めました。
他にも、幼い頃より疲れやすく、よく目の下にクマが見受けられました。学校やイベントは普通に過ごしますが、日中に家で時間があるとすぐ横になり長い昼寝をする傾向があります。部活の朝練にも参加しますし、毎日の起床で起き上がれずに困るということはありませんが、帰宅後や休みの日は疲労が抜けず、いつまでもだらだら過ごすという感じで、元気みなぎるという様子を見た記憶が久しくありません。12歳過ぎたころに初潮をむかえました。時折生理痛を訴えていましたが、最近やや重くなってきている感があります。中学校の頃は平熱が36度を下回っており(今はもう少し上がっている?)血圧は今でもかなり低めのようですが、貧血を指摘されたことはありません。2年前の春から花粉症を発症し、春先には薬を常用します。お通じは良すぎるぐらい、少し汗をかきにくいように思われ、食欲は普段は人並みより上で肉類を好み、性格はやや神経質で内向的な方かと思います…
上記のような相談を現在お世話になっている漢方薬局でもお伝えし、脈診、舌診、おなかの触診を受けて処方頂いたのは、生薬での「葛根湯加川芎辛夷」「茯苓」「蒼朮」という調合でした。早速煎じて朝夕と飲ませ、当初には即効で明らかな変化がありました。特に顕著だったのが、朝方トイレに起きるようになったことと、目覚まし時計に渋々起されるのではなく、自ら目が覚めるようになったことです。頭痛も徐々に軽減されているようで本当に嬉しく思いました。ただ、生薬は1日分が千円以上かかり、このまま継続して飲ませることはどうしても経済面で困難でした。高3の娘はこの春より受験のための塾に通っており、そちらを捻出するだけでもやっとな状況です。6週間ほど煎じ薬を投与し、その後は金銭的負担の軽い顆粒薬への変更をお願いしました。そして処方頂いたのがクラシエの「葛根湯加川芎辛夷」と「ヨクイニン」です。一日に朝晩2包ずつ飲むよう指導頂き、今も継続して飲ませております。
実は漢方を飲み始めた頃より、娘はこれまでで最も忙しい時期を迎えていました。塾へ通い始めると同時に、GW明けに行われる体育祭の準備が始まりました。学校と部活だけでも疲れていた娘ですが、本人の気合と親のサポートでなんとか頑張っていました。しかし体育祭直前、1日丸々休息できる日があると、それを機に溜まった疲れが溢れ出るかのごとく、どっと調子が崩れました。嫌な微熱が長々続き、血液検査ではやや腎機能の低下が現れました(その後再検査で正常値を確認)。
煎じ薬から顆粒薬に変えたのが、丁度この体調を崩す少し前だったのです。その時は日常とは逸した生活だったので、漢方の効力を量ることは出来ないと考えていました。ただお薬がいつも以上の回復をもたらしてくれるのではと、どこかで期待もしていたのですが、それから1ヶ月以上経過した今、どうもあまりパッとしない状況のままなのです。頭痛も再び間をさほど空けずに発症しているようで、漢方を飲む前の状態に後退したかにも見えます。平常時に薬を変えていれば、もっと分かりやすい違いを感じることが出来たかもしれませんが、今回はそのような事情もあり、今になって、もしかしたら顆粒薬ではあまり効力を感じられないのでは?と考えるようになってきました。煎じ薬より負担が軽くなったとは言え、充分に高価なお薬です(特にこちらの薬局は地の利のよい場所にあるためか、ややお薬の値段が他店に比べ高いと、ネットなどで調べるうちに感じるようになりました。)もし顆粒薬の投与ではゆっくりにしか効力が出ないなら、時間もなかなかとれない今、経済的な無理までして家庭全体が疲れてしまうより、ひと段落着いたところで仕切りなおし、腰を据えて治療していった方が良いのでは?という考えもよぎるようになり、また一方では、せっかく3ヶ月も飲み続けたのに、という気持ちもあり、揺れ動いております。
先生にお伺いしたいのは、一つは、煎じ薬と顆粒薬の違いです。娘の場合、顆粒薬に変えたことは大きかったのでしょうか?また、顆粒薬に変更することにより「茯苓」「蒼朮」の役割が「ヨクイニン」に代用されました。このことが違いを生んでいるとは考えられないでしょうか?それから、これは素人の浅知識で恐れ多いのですが、漢方の効能を調べていると、他にも娘の症状に当てはまりそうな漢方薬があるようにも感じています。顆粒薬でも、もう少し効果の感じやすいお薬を他に考えられないでしょうか?
ついつい、このように長い文面となってしまい、本当に申し訳ありません。どうか先生のご見解を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。
2004年ボクチンが生まれた0歳 posted by
(C)ボクチンの母お返事メール:> 先生にお伺いしたいのは、一つは、煎じ薬と顆粒薬の違いです。娘の場合、顆粒薬に変えたことは大きかったのでしょうか?また、顆粒薬に変更することにより「茯苓」「蒼朮」の役割が「ヨクイニン」に代用されました。このことが違いを生んでいるとは考えられないでしょうか?
という問題はとても大きいと思います。
たしかに配合内容から考えても価格はあまりにも高価すぎ、その半分の価格でもそれでも高すぎるくらいです。
といっても、
知識と技術の伝授量や相談料も含むと言えば、明らかな効果が得られていることを考えれば、決して暴利とはいえないかもしれません。 肝腎の「茯苓」「蒼朮」の役割が「ヨクイニン」に代用できることはなく、天気に左右されるという体質に関連する湿邪の除去にはやはり茯苓や蒼朮・白朮などが適しています。
また煎じ薬だからとか、エキス剤だからとかいう以前に、最初にしっかり効果があった漢方薬を他の剤形(エキス剤など)に変えたり、エキス剤同士でも、同じ処方名だからといって他社製に切り替えると途端に効果がなくなる場合だって珍しくないのが天然生薬を原料にしている漢方薬の微妙さがあります。
たとえば最近当方であった事例では、関東から来られているアトピーの人に、それほど重症ではないので幸いに猪苓湯・六味丸・茵陳蒿湯各エキス製剤で一定の効果が出たのでそのまま様子をみてもらっていたところ、ついつい調子がよいのに食事などの不摂生が祟ってしまったのを申告しないまま「効き目が弱くなってきた」と申告されるので、同じ猪苓湯エキス製剤でもエキス濃度が2倍の他社製に切り替えてもらったところ思いがけずに一気に悪化して来たので、これは怪しいと最初のメーカーの猪苓湯に戻したら、しだいに状態がよくなりつつあり、明らかに最初の配合のままの方がよかったという現実があります。
このようによく
効いている漢方薬を同じ名前のものだからと他の製剤に切り替えると効力が次第に減って、元の木阿弥になることも珍しくはないのです。 それゆえ、こちらからアドバイスできるとしたら、大事な時期でもあるようですので、少々高額に感じられても薬局さんの指示通りの配合を素直に受け入れて、すべてを指示通りに従ってみるべきかと思います。
少し節約したために病状が元に戻ってしまっては却って高いものにつくことが往々にしてあるものです。
それでも敢えてエキス剤で考えられるとしたら、たとえばの話ですが、
葛根湯加川芎辛夷に半夏白朮天麻湯を併用するとか、あるいは葛根湯加川芎辛夷に苓桂朮甘湯を併用するとかの方法でフィットすれば、少なくとも1日分500円以下、300〜400円前後で済む可能性はありますが、いずれにせよせっかく効いていた配合を切り替えるのは結果的にはまずかったと思います。
言うまでもないことですが、
漢方の世界は値段よりもピントの問題こそが重要で、価格がいくら安くてもピントが合わなければまったく効果が出ませんので、一ヶ月分3万円のことでしたら、他の部分で節約を心がけて捻出されてもよいのではないかと思います。
2004年ボクチンが生まれた0歳 posted by
(C)ボクチンの母折り返し頂いたメール:早々の詳しいアドバイス、本当にありがとうございました。
第三者的な立場での、専門の方のご意見は、とても素直に受け止めることができます。
「漢方というのは、値段で効き目が決まるのではなく、その人その人にピントが合うか合わないか。」
といった表現は、すごく分かりやすいものでした。
しかし、そのピントの合った薬に出会えることが、そう簡単なものではないのですね。
自分の体や病理に合う薬を見つけるまでに苦労されている方のことを思えば、娘は幸運なのだということも分かりました。 おかげ様で、今までもんもんとしていた思いをスッキリさせることが出来ました。
親としてできる努力をしたいと思います。
先生の漢方治療に対する姿勢は 一貫しており、ブログを読ませて頂いていて清清しいです。
これからも時折覗かせて頂いて、新しい話題を楽しみにしております。
失礼致します。
DSC_0883 posted by
(C)ボクチンの母
posted by ヒゲジジイ at 20:02| 山口 ☀|
中医漢方薬学
|