2013年04月02日

昨今の花粉症および帯状疱疹後神経痛について

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IMGP0553 posted by (C)ボクチンの母

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年齢 : 30歳〜39歳の男性
簡単なご住所 : 四国地方
具体的な御職業 : 鍼灸師
おたより : 村田恭介先生 御侍史 御世話になっています。

 以前、先生の漢方処方茵蔯五苓散で帯状疱疹後の神経痛の家族(母親)が助かりました四国地方の鍼灸師です。
 その後、春先になり母親が例年の皮膚炎が出ておりましたが先生の漢方処方を習って茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)の服用で、症状がいくぶん緩和されてきました。

 私の方も、毎年の花粉症での眼の痒みが出ておりましたが茵蔯蒿湯の服用で治まってきました。
 ただし白い鼻水くしゃみの連発・咽喉痛が続いたので、試行錯誤して茵蔯蒿湯+葛根湯加川芎辛夷+銀翹散の同時服用で、ようやく治まりました。

 先生の御陰にて、家族ともども助かっております。有難うございました。

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IMGP0437_1 posted by (C)ボクチンの母

 わざわざご丁寧なご挨拶、ありがとうございます。
 こちらでは昨今の花粉症はPM2.5や黄砂も重なってトリプルパンチのせいか、漢方薬類も数種類を要することが多いようです。

 目に周囲の痒みは、舌の奥に黄膩苔が認められる限りはほとんどの例で茵蔯蒿湯がとても有効で、同時に鼻炎症状にも明らかに有効な人もいるのですが、鼻炎は鼻炎で、藿香正気散や辛夷清肺湯、あるいは天津感冒片など肺脾の証候に応じた適切な方剤を併用する必要とするケースが目立ちます。

 但し、稀に小青竜湯証と思われる場合でも、世間の医師や薬剤師が乱用される片棒を担ぐのは沽券に関わるので(苦笑、小青竜湯や麻黄附子細辛湯などは世間の乱用を戒める意味でも絶対使用せず、藿香正気散や他の方剤で対処しています。

 ともあれ、さらに多くの場合、中草薬で日本では健康食品扱いされる板藍茶(板藍根)の併用はとても意義あることのようです。
 但し、市販されるものでも美味しいばかりで濃度の薄い製品ではあまり使い物にならず、必ず濃度の高い優良な製品を選ぶ必要があるようです。

 帯状疱疹後神経痛に関しましては、以前はしばしば明らかな寒証の人たちが多く、桂枝加朮附湯がよくフィットしていた時代もあるのですが、ここ数年は五苓散+板藍茶でその9割以上の打率でフィットしています。患部がわずかに熱感を帯びている場合は、茵蔯五苓散のフィット率は高いと思います。

 但し、明らかな寒証の場合は桂枝加朮附湯などの附子剤が必要な場合が稀にはあるようですが、胸部や背部の帯状疱疹後神経痛には往々にして清熱化痰の小陥胸湯+板藍根というケースも珍しくはないようです。
いずれにせよ、寒熱虚実の弁証はかなり正確に行うべきで、昨今の漢方をちょっと齧り医師たちのように、何でもかんでも疼痛に対して附子剤や烏頭などを安易に使用する愚は犯すべきではないと思います。

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