2012年05月31日

骨髄移植に間に合った急性骨髄性白血病の患者さん

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KSC_5004 posted by (C)ヒゲジジイ

 当時、急性白血病の患者さんが骨髄移植しか治る方法がないとのことで、順番待ちする間が、赤血球、白血球、血小板などが極端に減少し、順番が来るまでに感染症を起こす確率が高いので、何とか骨髄移植の順番が来るまで漢方薬類でサポートして欲しいという依頼であった。

 四十歳前の、一見屈強そうな男性であったが顔面は蒼白、あらゆる血液成分が枯渇している様子が見て取れる。
 できるだけご期待に添えるべく、牛黄製剤を主体に感染症予防に天津感冒片を中心として扶正祛邪の方剤類とともに板藍茶などいわゆる中草類を何種類か併用してもらった記憶がある。

 こちらもヒヤヒヤの毎日であったが、幸いに移植の順番が来るまでの期間、まったく感染症を起こすことなく、むしろ体力を回復させて移植に向かわれた。

 以前にもブログにも書いたかもしれないが、その後、何年たっても音信は不通である。
 その後、完治されたのかどうか、骨髄移植まで身体が持たない恐怖にお互いに緊張した日々を乗り越えて実現したはずの骨髄移植。

 今になってまた上記のことを思い出したのが、病気の程度と内容は大いに異なるものの、病名だけはよく似ている慢性リンパ性白血病の元気な女性が遠方から、地元の医師に紹介されてやって来られたからである。

 セカンドオピニオンならぬサードオピニオンで当方を紹介されたらしい。

 慢性リンパ性白血病は急性骨髄性白血病とは異なり、経過が長く時間的にも余裕があるので、中医漢方薬学によるサポートがとても向いているように思われる。

 といっても慢性リンパ性白血病でも重症に近かった人では、来られた当初にはかなり強い易感染症状況にあり、容易に発熱して果物による細菌感染や角膜ヘルペスに見舞われる初期の一年間はめまぐるしく漢方薬の出入りも頻繁で大変であった。
 西洋医学の主治医は血液検査の管理と、急な感染症に備えたバックアップ体制、それに白血球が5万前後に増えそうなときに、1〜2年に1〜2度、エンドキサンの内服を数日からせいぜい1週間。
 エンドキサンを内服すると確かに2万代に落ちるが、急激に体力を失い正常な白血球も激減させているので、セカンドオピニオンの医師に言わせれば、私なら10万超えてもエンドキサンは使わないと言われたという。

 それもいつしか様々な漢方薬類を続けるうちにほぼ完全に近い寛解状態が5年以上続いている。
 西洋医学治療の介入は上記の通り一時的なエンドキサンの使用以外はほとんどないまま、ここ5年以上はエンドキサンの使用も皆無。
 既に最初のご縁からは15年以上経つ現在では白血球数も、いつのまにか2万前後で一万代が増えつつある状態で安定している。年を重ねる毎に、次第に白血球数は僅かずつ減って一万代になることが多い昨今である。
 検査数値以上に顕著な違いは、同年代の健常者よりも遥かに体力、気力も充実され、滅多なことで風邪も引かないし、その他の感染症に見舞われることもいまだに皆無が続いている。

 同じ血液癌でも悪性リンパ腫の相談は多いが、慢性リンパ性白血病は日本人ではそれほど多い疾患ではない。
 愚息が医学生〜研修医の期間、血液腫瘍内科を専門としていたので、それに対抗して西洋医学知識を多少とも身につけたのはいかにも役に立つようだが、実際には中医漢方薬学上の弁証論治には多少のヒント程度にしかならない。
 
 やはり中医学理論のみならず、中薬学、中草薬学知識こそ必須というのは言うまでもないことだった。

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KSC_5019 posted by (C)ヒゲジジイ

 
posted by ヒゲジジイ at 17:21| 山口 ☀| 急性骨髄性白血病など血液の悪性疾患(血液癌) | 更新情報をチェックする

2012年05月30日

ウチダの生薬製剤二号方と丹心方に雲南貴精や雲南片玉金はヒゲジジイが立案して誕生したので

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_IGP0120 posted by (C)ボクチンの母

 ウチダの生薬製剤二号方も丹心方も名前が異なっても成分内容はまったく同じもの。
 中医学的効能としては行気・活血・袪瘀の作用を発揮する優れた製剤です。

 ヒゲジジイが立案して原料生薬も一々指定して、日本人にもっともフィットしやすい配合にした自信作ですよ。
 村田漢方堂薬局でも第2類医薬品として大活躍している、というほどでもないけど、昔からの常連さんでいわゆる「昔のお嬢さん」たちが長期にわたって愛用されている。

 この生薬製剤二号方のみならず、健康食品扱いの雲南貴精(霊芝・田七人参・枳殻)や雲南片玉金(田七人参、鬱金)のいずれかも一緒に愛用されている人が多い。
 90歳前後の人達も多く元気で長生きされて、第一線で伝統芸能の先生をされている人もおられる。

 いまさらこんなタイトルとカテゴリの宣伝をするのもなんだが、やっぱり自分が立案したり発明した漢方系医薬品や健康食品というものは、やや年老いた今になっても思いで深く・・・当時は無い頭を振り絞って考え抜いて考案した自信作たちばかりだったから、たまには宣伝して日本国中でまだまだたくさん利用して欲しいと思うから。

 といってもウチダの生薬製剤二号方などは中医学系の方剤だけに適不適があるので、必ず専門家に相談して、正確な弁証論治にもとづいて、バランスの取れた他薬と併用されるべきもので、本来は単独で使用するべきものではありません。

 絶対に単独で使用してはならないという訳ではないけど、単独で使用するのは弁証論治の上からも何ともバランスが悪く、長期連用するにはやはり適切な他方剤とともにバランスの取れた配合を行うほうが望ましいということです。

 だからウチダの生薬製剤二号方において次のように使用上の注意を喚起しているのです。
 生薬製剤二号方における中医学的な使用上の注意を述べます。

 肝腎陰虚の人や火盛の体質などでは慎重に用いるべきで、弁証論治の基本原則を怠り、売らんかな主義で販売することばかりに熱中して安易に投与すると、本方の温燥の性質により、ますます傷陰して肝陽偏亢を助長したり、あるいは肝陽化火を誘発し、実熱証では熱毒を助長してしまうので、適切な弁証分析に基づいて滋陰剤や清熱解毒剤などを併用して、必ず配合のバランスを取る必要ががあります。

 また、気滞血瘀証に間違いなく、しかも明らかな陰虚や実熱が認められないようでも、本方を服用すると熱感などを生じて不快な場合は、五臓六腑のどこかに陰陽バランスが極めてデリケートな部分がある証拠です。温燥の本方では傷陰の影響が出たり、あるいは化火してしまうタイプですので、適切な滋陰剤や清熱剤を加えるべきです。あるいは血府逐瘀湯に変方してみるのも、一つの方法です。

 明らかな気血不足の人には、補気剤や補血剤、あるいは気血双補剤を併用します。このような正虚に対する配慮が欠けた使い方をすると、たとえ即効があったにせよ、次第に正気を支えられなくなり、いずれは治療効果も失って、生薬製剤二号方の本来の役割を十分に果たせなくなります。

 脾胃に問題があり、単方の投与で胃腸にさわるような体質の人でも適切な方剤と併用すれば、胃腸を丈夫にしながら本方の効能を十分に発揮させることも可能です。
           ━「生薬製剤二号方」より引用
 このへんをしっかり学んで使って欲しいと思いますね。

 漢方薬だから間違って使っても合成医薬品のような激しい副作用は出ないものの、医師達が小青竜湯を乱用してしばしば苦情が寄せられるような不都合が、多少とも生じないとも限らないので、素人療法は行うべきではありません。
 
 必ず漢方薬局の薬剤師に相談して適切に使用してもらえば、行気・活血・袪瘀の効能を発揮し、瘀血を除去しながら血流を良くする素晴らしい効果を発揮するはずです。

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_IGP0121 posted by (C)ボクチンの母



posted by ヒゲジジイ at 01:35| 山口 | ウチダの生薬製剤二号方と丹心方 | 更新情報をチェックする

2012年05月27日

腹水や胸水にも有効なことがある補気建中湯にはなぜ保水力の強い人参が配合されているのだろうか?

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IMGP3367 posted by (C)ボクチンの母

 ヒゲジジイのたっての要望により飲みやすい補気建中湯エキス製剤をコタロー(小太郎漢方製薬)さんが実現してくれ、発売されて既に数年近くが経った。

 そこでしばしば質問を受けるのが上記のような朝鮮人参の配合意義である。専門的な中医学用語を使わずにイメージ的にできるだけわかりやすい説明をこころみてみた。
 以下がその説明(苦笑。

 朝鮮人参単独で服用すると、体質によっては浮腫を生じる人が意外に多い。人参には体内に水分を保持させる作用があるからにほかならない。
 日本漢方でいう水毒体質者にその傾向が強いように思われる。

 このような「水毒」体質であっても、茯苓や白朮あるいは蒼朮・沢瀉など、弁証論治にもとずいた適切な配合を加えれば、人参の衰え切った内臓機能を賦活する作用という利点を発揮させて、単独で使用するときのような弊害は出にくい。

 とりわけ補気建中湯という各種の悪性腫瘍末期の腹水を軽減する可能性を持つ方剤の適応時期は、内臓の機能低下の極限に近いことからくる腹水であるから、朝鮮人参の内臓賦活作用が必須という状況である。

 茯苓や白朮あるいは蒼朮・沢瀉などの配合のお陰で、朝鮮人参の水分保持作用は大事な細胞内の水分保持のためだけに働き、溜まっては困る腹水の成分の一部は本来あるべき細胞内に再吸収させ、廃液部分は体外へ排出する作用を発揮する。

 人参 白朮 茯苓 陳皮 蒼朮 黄芩 厚朴 沢瀉 麦門冬

 という配合内容の補気建中湯。

 この処方に様々なキノコ類を併用してもらって、過去、たとえ一時的にでもずいぶんの窮地から脱してもらえたことが多い。

 しかしながら、昨今ではこのような重大な疾患でなくとも、浮腫傾向のある胃弱者の体質改善に使って喜ばれることが増えている。

関連ブログ:2010年03月05日 悪性リンパ腫の全身転移から腹水のみならず胸水まで溜まって

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IMGP3354 posted by (C)ボクチンの母



2012年05月25日

エキス剤による小青竜湯合麻黄附子細辛湯は薬剤師が医師にこっそりと注意してあげるべきやや危険な配合ですよ

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FSC_8830 posted by (C)ボクチンの母

 たかだか鼻水やくしゃみの治療薬として、効力を増強されるおつもりか、医療用エキス製剤を用いて小青竜湯と麻黄附子細辛湯を併用する配合が行われている。
 本ブログでも
2012年02月18日 タミフルと共に医師から処方された禁忌に近い危険な配合、小青竜湯合麻黄附子細辛湯で書いたばかりであるが、徐々に医師の漢方で流行となりそうな気配があるので、処方箋を受け付けている薬剤師は、医師に強く注意を喚起すべきである。
 
 どうしてもそれをやりたいなら、小青竜湯加附子末で済ますべきことは漢方界の常識であるはず。

 もしもそれらを医療用漢方薬の各エキス剤で投与すれば、麻黄と細辛が二重となり、麻黄7g、細辛6gとなって、若者ならいざしらず、高齢者や心臓疾患を持病に持つ人達にとってやや危険性なしとしない。



 細辛は麻黄以上にやや毒性があることを知る医師や薬剤師がどれだけいるのか不安な日本の堕落した漢方界の現実がある。
 
 この問題は別のブログでも小青竜湯合麻黄附子細辛湯をエキス剤で投与する危険!と題して書いている。

なお、参考文献としては:漢方薬の安全性の問題についてなどがある。

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IMGP0606 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 00:46| 山口 | 小青竜湯の誤投与や乱用による不快反応や副作用 | 更新情報をチェックする

2012年05月24日

前立腺癌ホルモン療法のサポートに飲んでもらった六味丸系列の方剤で驚異的な体力増強効果を発揮

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_IGP9244 posted by (C)ヒゲジジイ

 常連さんのご主人(80歳近い)が初期の前立腺癌ということで、西洋医学治療のホルモン療法を行うにあたって、漢方薬でサポートを行うこととなった。

 弁証論治に基いて腎陰陽両虚に対処できる六味丸系列の方剤を主体にやや高級な中草薬系のものを数種類併用してもらったところ、驚異的な体力増強効果を発揮し、見違えるように元気になって活発に動けるようになったと驚かれている。

 前立腺癌の方は、腫瘍マーカーも数ヶ月も経たないうちに急速に改善して正常値内に落ち着いたが、これはホルモン療法を行っているので当然の帰結としても、やや高齢になって日々身体が重くて何をするのも億劫だったのが、六味丸系列の方剤を主体にした中草薬系の数種類の併用が、思いがけないところに効果があったと心から喜ばれている。

 配合内容から言っても、間違いなく腎陰陽両虚に対処できる六味丸系列の某製剤が劇的な効果を発揮したことは明らか。

 ここで方剤名を明かさないのは、同じの飲んだが効かなかったぞっ!と苦情メールを受けたくないからである。
 体質によってフィットする漢方薬は異なることを繰り返し説明しても、巷には短絡的な思考回路の持ち主達が多い昨今、突然見ず知らずの人から苦情メールを受けることが多い。

 六味丸系列の方剤類の中の一つということだけで、特定の製剤名を挙げなくとも同業者にはニュアンスだけは十分に分かるはずである。

 ところでこの男性、元気になりたいと精力剤がわりに高額なスッポンの健康食品を今の今まで前立腺癌が見つかった後も熱心に摂っていたそうだが、一向に元気になる兆しもなかったという。

 もしかしてスッポンの健康食品が前立腺癌の誘引になったのだろうかと心配になって来たという。

 まったくその可能性がないとは言えないかもしれないのでスッポンを即刻中止してもらい、六味丸系列の方剤を主体に全面的に漢方薬類に切り替えてもらった結果が上記の通りであった。

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_IGP9073 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 15:47| 山口 | 膀胱癌・前立腺癌・ステージ4 | 更新情報をチェックする

2012年05月23日

毎日まいにち延々と繰り返している漢方相談の内容は寒熱の弁証分析ばかりっ!

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FSC_8836 posted by (C)ボクチンの母

 ここ何十年も漢方相談に来られた皆さんに延々と繰り返し質問、というよりもまるで詰問するかのような細かなところをを繰り返し手を変え品を変え質問しているのは、寒熱の問題ばかり。

 五臓六腑それぞれの寒熱弁証こそが重要課題で、それさえ判明すれば、虚実の判定はそれほど困難ではない。
 
 あらゆる疾患に対する適切な方剤を選択するには寒熱の問題はおざなりにできない。

 実熱と虚熱の分析、あるいは虚寒か実寒かの分析。こられの寒熱の分析さえ判明すれば、現時点の病機はおおよそ解明できるので適切な方剤が自ずから選択できる。

 当然、四季折々に寒熱の状況も流動性があるので、固定的に考えてはならないので、常に現時点での寒熱の状況を折々に確認しつつ、病状変化に応じて臨機応変に微調整を行う必要がある。

 これまで調子がよかった人でも、効果が衰え始めた場合は、往々にして寒熱の状況に変化が生じている場合があり、とりわけ疼痛疾患や皮膚疾患ではその傾向が強いように思われる。

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IMGP5280 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 21:35| 山口 | 近況報告 | 更新情報をチェックする

2012年05月22日

五臓六腑の寒熱虚実は季節に応じて流動するので治療方剤が固定できるとは限らないというのは常識中の常識

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_IGP8462 posted by (C)ヒゲジジイ

 昨年末から例年になく真武湯を必要とする人が頻繁に目立つが、昨年来、日々の温度差が激しかったために五臓六腑の寒熱虚実の流動性が顕著になっているのかもしれない。

 なかでもアトピー性皮膚炎の人達はもともと寒熱虚実の流動性が激しい傾向にあるとはいえ昨今では附子瀉心湯に倣って黄連解毒湯に真武湯という真逆の配合が必要になりそうな人も出て来る始末だが、線維筋痛症でも同様の現象が見られる。

 たとえば真武湯を主体にした温腎袪寒・疏風活血法で速効が出ていた線維筋痛症の人も、一転して熱証に転化して真武湯を廃止して急遽、清熱舒筋・疏風活血法に切り替える始末。

 寒熱が一気に逆転しているが、この人の病歴を遡って問いただしてみると、もともと季節ごとに寒熱が一気に逆転する傾向が強い体質のようであった。

 線維筋痛症でもすでに一年半以上通われる人の場合は、現時点では真武湯を主体にした温腎袪寒・疏風活血法が中心ではあるが、状況に応じて五臓六腑の寒熱虚実に流動性があるので同様に油断できない。
 
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_IGP8548 posted by (C)ヒゲジジイ

 
posted by ヒゲジジイ at 00:25| 山口 ☁| 線維筋痛症 | 更新情報をチェックする

2012年05月20日

逆境でもひたむきに頑張る人達・・・たとえば線維筋痛症と慢性疲労症候群および慢性腎不全に鬱病や高血圧などが合併し・・・

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IMGP5873 posted by (C)ボクチンの母

 進行癌や転移癌、昨今は中年前後の人達に各種の肺癌や大腸癌、若い人達では胃癌の中でも印環細胞癌や子宮頸癌などが目立つ。

 といっても当方の漢方相談で最も多い各種悪性腫瘍や癌の人達ばかりでなく、多種類の疾患が合併している人達のひたむきな頑張りを思い出して、頭が下がる思いである。

 心臓疾患や肝炎に食道関連の様々な障害が合併して、数えたら9つくらいの疾患が合併している人もいれば、線維筋痛症に慢性疲労症候群や慢性腎不全に鬱病・高血圧など合併する疾患が多く、日々疼痛に悩まされるばかりでなく、職場でも心無いイジメが長年続いて、それにも耐え抜いている人。

 そう、同じ疾患でも様々な病気が合併して線維筋痛症による持続する疼痛に悩まされながら、慢性疲労症候群が合併して疲労困憊する日々。職場では日本的陰湿なイジメ。

 敗戦後の負け犬根性から弱いものイジメが常習化したこの腐り切った日本社会に、それでも不屈の精神で闘病しながら、ぎりぎりのところで踏ん張って家にこもることなく通勤し仕事を続けている。

 やはり来られた初期には線維筋痛症による疼痛が全身強烈であったが一定の効果があったものの、まだまだ十分とは言えない。
 一年半以上通われてその間には波打ちながらも、多少は明るい兆しが見えかけている。

 虚寒証でも腎陽虚衰が内在するときには腎不全とも相俟って真武湯こそ主薬であるべきか・・・

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IMGP5853 posted by (C)ボクチンの母


posted by ヒゲジジイ at 20:55| 山口 ☁| 線維筋痛症 | 更新情報をチェックする

2012年05月19日

心筋梗塞の恐怖

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KSC_4276 posted by (C)ヒゲジジイ

 慌しい土曜日の忙しい最中。

 五十歳前後の常連さんが青い顔をしてやって来られた。
 ここ一週間の間に友人達が2名も心筋梗塞で倒れ、入院して治療中だという。

 そのお一人は彼女の同年代に近い人で、二人で旅行中の明け方、急に胸を苦しがるので直ぐに救急車を呼んでもらい、自身の頓服用に所持していた牛黄製剤を彼女に何とか飲ませておいたお陰か、命に別状なく現在入院治療中であるとという。
 
 もう一人の友人も、常々めまいを訴えていたので、頓服用に牛黄製剤を提供していたというが、この人も同じ心筋梗塞発作を起こして、現在入院中であるという。

 三度目の正直で、自分もその危険性を感じるのでと、牛黄製剤のみならず、生薬製剤二号方や雲南田七などを補充して帰られた。

 そんな話しを聞きいた後も、次から次へと遠方から来られる人達の漢方相談を続けるうち、不摂生家のヒゲジジイも不安になって本日二度目の牛黄製剤を昼前に飲まないと安心できなかった。

 ようやく延長戦も終わって遅い朝御飯を摂って、今こうしてブログを更新している。

 お二人とも命に別状なくて幸いだが、当方の常連さんで牛黄製剤を日々連用している人では、これまで心筋梗塞に見舞われた人は皆無である。

 だからヒゲジジイも大丈夫なはず、とどこか心の底では少し高を括っているのだった(苦笑。

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KSC_4327 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 14:35| 山口 ☁| 心筋梗塞および狭心症 | 更新情報をチェックする

2012年05月17日

医師による保険漢方の誤投与はこうして繰り返される

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IMGP5110 posted by (C)ボクチンの母

おたより:東海地方で漢方専門薬局経営の美人薬剤師

★病院漢方のテイタラク

 ご無沙汰いたしております。
 寒暖の差が激しく、毎日自律神経が揺さぶられますね・・・。
 風邪をこじらせる方、胃腸風邪っぽい症状、めまい、動悸、息切れ等の方がこちらは非常に多いこの頃です。

 今今帰られた方の話があまりにひどかったもので、思わずメ〜ルをしてしまいました。

 この方、陰虚内熱があって、脈拍が130ほどあります。
 親の介護で睡眠不足に陥っており、心悸と不眠が続いていたのを、友人に話したそうです。
 すると、その友人は、”柴胡桂枝乾姜湯”で、動悸をはじめとする自律神経諸症状が治まったからと言うので、某大病院の診察ついでに、それを出して欲しいと訴えたそうです。

 すると、その大病院の医師は、”うちには、柴胡桂枝乾姜湯はないが、それに最も近いもので、柴胡桂枝湯があるから、それを出してあげるわ”と、ろくろく症状も聞かずに処方されたそうです。

 それに近いって???こういったレベルで処方される日本漢方・・・許されるのでしょうか?
 まったくもって、憤慨です。

 この方、幸い柴胡桂枝乾姜湯を出されずにすんで良かったですが、当然、柴胡桂枝湯でも具合が悪くなりまして、こちらへやってこられたのですが・・・。

 へたをしたら、命取りでした。

 私達、毎日真剣勝負で弁証論治しているのに、患者も医者もどうしてこんなに安易なのでしょうね?

 漢方に限ったことではなく、たまたま診察に行ったときの血圧がちょっと高めだったからといって、降圧薬を追加処方され、フラフラになって3回も倒れた高齢者、症状を一言言ったら、どんどん処方が追加され、とうとう20種類を越える薬をのんでおられる方、たいして熱も腫れもないのに、風邪ですね・・・と抗生剤が出て、具合を悪くしている方など、言い出したら切りがなく・・・・。

 こんな医者もいるということ自体、日本の医療が危惧されますね。

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IMGP5109 posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:おひさしぶりです。

「とんでもない」お話し、ありがとうございます。
 陰虚内熱で脈拍が130もあれば、六味丸にミンハオでも加えるならまだしも、柴胡剤ですかっ!?
とんでもない話ですねっ。
しかも柴胡桂枝乾姜湯も柴胡桂枝湯も一緒くた。

 以前、咳の漢方薬として小青竜湯と麦門冬湯のどちらでもよいけど、と患者さんに「小青竜湯と麦門冬湯のどちらでも良いと医師に言われながら出された小青竜湯に疑問をお持ちの親御さんからのお問合せ」 という、実に見事なほど頓珍漢なお医者様がおられましたが、まったく同類としかいいようがありませんねっ。

 本来なら、当時の元厚生省のE課長さん(ずいぶん前に厚生省を去られてしまった)のような聡明な役人さんがそのままおられたら、きっと日本漢方に中医学を合体させた中医漢方薬学が医師の間に広まって、今頃、漢方薬局の存在は風前の灯火となっていたはずなのですが・・・

だから言わんこっちゃない!24年前に提唱した中医学と日本漢方を合体させる「中医漢方薬学」論を忌避し続けたツケが今になって回って来ただろうがっ!」というお陰で、漢方薬局がのうのうと存在出来るのですから、なんとも皮肉なものですね。

 お医者さんこそ我々薬剤師以上に真摯な方が多く存在されるのは間違いない事実ですが、ヒゲジジイの紹介を良いことに、各漢方メーカーに無理難題を突き付けて「医者の常識は世間の非常識」ぶりを発揮して、人の顔に泥をぶっかけて逃げた卑劣な医師にもあきれ返ったばかり。

 ともあれ、医は算術とばかり、何の基礎もない癖に、弁証論治抜きで漢方処方を安易に投与するとんでもない医師も無数に存在するのですから開いた口が塞がりませんが、やっぱりそのお陰で世の中の漢方薬局が存続できるという皮肉な現実。

 軽蔑するよりもむしろ本当は彼らに感謝すべきなのか?! と、皮肉な矛盾を感じる昨今です(呵呵。

IMGP5108
IMGP5108 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 20:50| 山口 ☀| 病院の保険漢方による誤投与あるいは危険な配合 | 更新情報をチェックする

2012年05月12日

病院医師による小青竜湯乱用が取り持つ縁

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ZZZZ5853 posted by (C)ヒゲジジイ

 昨年末から今年にかけて、親子で気管支喘息の二人と、同じく親子で花粉症の二人が、病院の医師による小青竜湯誤投与により、いずれも幸いに副作用が出ないまでも、一向に効果がないので、ネットで調べたら村田漢方堂薬局の主催するHPやブログに小青竜湯乱用の問題点を指摘していたのでやって来られた。

 本来なら親御さんが既に当方の漢方薬を利用された経験がない限りは、子供さんのご相談はお断りするところであるが、いずれも子供さんに負けず劣らずそれぞれの母親の症状も一定レベル以上であるので、まずは母親に効果が出るのを確かめて後、ボチボチ子供さんも取り掛かろうということになった。

 この二組の親子の片方はご主人が医師である。

 案の定、この親子合計4名に、小青竜湯の適応者は皆無。そのうちの3名は明らかに肺熱に肺陰虚が並存する現状であるから、辛夷清肺湯を主方としてそれぞれにバランスの取れた他方剤もしっかり併用してもらったところ、気管支喘息の母親は、昨年暮れから当方の漢方をはじめて以後、二度と発作は生じなくなった。

 花粉症の親子も今シーズンは症状がほとんど出ずに過ごせた。

 気管支喘息の子供さんには参蘇飲を主軸として体質改善を行うことで発作の誘発原因でもある風邪を引くことが少なくなった。

 病院医師による小青竜湯乱用が取り持つ縁、とでも言えようか(呵呵。

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BBBB8048 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 19:30| 山口 ☀| 日本漢方の情けない現状と限界 | 更新情報をチェックする

2012年05月10日

連休があると皺寄せがヒドスギル

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IMGP0799 posted by (C)ヒゲジジイ

 長い連休があると、必ず決まって大きな皺寄せが来る日がある。

 それが8日(火曜日)だった。午前中が終わる頃には、もうダウンしそうで息切れがし、牛黄製剤でなんとか生き返った。

 少人数の薬局だから、嬉しい悲鳴といえば言えなくもないが、老体には実に応える。

 県外の人達だけでも京都、長野県、名古屋、大分県、福岡県、同じ山口県でもかなり遠方の人達、下関市内の常連さんたちもかなりやって来られた。

 それでも一人ひとりになるべく時間を取れたと思うが、1日中ほとんど休む暇も食事を摂る時間もなかった。

 ただ哲学の煙を嗜む時間だけはしっかり取った(苦笑。

 ほんと小さな薬局にしては千客万来で、1日中ほとんど途切れることなく続いて、おまけに上述の通り日頃はあまり顔を出さない大量買いの常連さん達も次々にやって来る始末。

 嬉しいといえばうれしいけど、薄利多売の昨今だから1日中老体を支えるために服用する牛黄製剤の消費で利益はほとんど吹っ飛んでしまう(笑。

 そんなに多くの来訪者にヒゲジジイの中医漢方薬学は効果をあげているかって?
 もちろん全員、一定レベルの効果は発揮してますよ。いずれも一定の効果は出ている人達ばかり。

 最近の新人さんはほとんどが初回の1回目で一定の効果を発揮しており、1名だけが2回目の微調整で効果を発揮している。

 当然といえばトウゼンだが、いくらまともに効果が出始めていても、安定した寛解が得られるまでの根気があるかどうかは、ご本人達の問題。
 いくら薄利多売といっても、それなりに一定の経費はかかるので、思ったより経費はかからなかったと喜んでもらえる人が多い反面、逆の思いをされている人もいるかもしれないし・・・

 どうも夜中にブログを更新すると、ロクデモないことを書いているような気がする(苦笑。

 更新のための更新をしているのは、更新を怠ると、ヒゲジジイが倒れたんじゃないか?!と一部の人に期待を持たせるのが癪だから、敢えて更新しているまでのことよっ。
 
 おやすみっ

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BBBB7669 posted by (C)ヒゲジジイ
 
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2012年05月08日

虚寒証を呈する線維筋痛症に蒼朮を配合した真武湯の利用価値

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AAAA2324 posted by (C)ヒゲジジイ

 真武湯は本来、白朮が配合されるべきことは中医学世界では常識中の常識である。

 ところが日本漢方中心の日本では、往々にして白朮を蒼朮で代用され、これでは真武湯の本来の効果をフルに発揮できない。

 しかしながら、現実には蒼朮が配合されていることを却って有利に利用できる場合がある。

 たとえば虚寒証を呈する線維筋痛症などに対し、疏風定痛作用を持つ方剤とともに蒼朮が配合された真武湯を併用することで、袪風除湿・散寒止痛の効能をフルに発揮させることが可能となる。

 最近もこの線維筋痛症と診断されながらも、あらゆる西洋医学治療で効果が乏しい人に一定の効果をあげている。

 このように日本の漢方製剤は、往々にして錯誤に近い生薬が配合されているものが多いが、それを利用するには中医学理論の基礎をしっかり身に着けておれば、馬鹿とはさみは使いよう、ということである。

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posted by ヒゲジジイ at 00:28| 山口 🌁| 線維筋痛症 | 更新情報をチェックする

2012年05月05日

日本漢方の後進性の証明は医療用ツムラ漢方の補中益気湯や六君子湯中の白朮を蒼朮で代用する錯誤もその一つ

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ASC_2969 posted by (C)ヒゲジジイ

 日本漢方の統一的な教科書すら存在しないこと事態が、理論面でいかに杜撰であるかは、いまさら論ずる必要もないが、漢方製剤における配合薬の選定において、これほど杜撰であればローカルな民間療法レベルに堕すると暴論を受けてもやむを得ないことだろう。

 日本を代表する医療用漢方メーカーとあろうものが、ツムラの補中益気湯やツムラの六君子湯など補益系統の方剤中の白朮を蒼朮で代用する愚考を犯している現実。
 ツムラの五苓散も然りであるが、補中益気湯や六君子湯の蒼朮に至っては、五苓散中の蒼朮レベルとは遥かに問題が大き過ぎる。

 白朮を蒼朮で代用された方剤、その数なんと三十数処方に及ぶ。
 白朮と蒼朮は類似点は多いが中薬学上の薬効は明かに違いがある。
 脾虚脾湿に適応する白朮と、湿邪の実証に適応する蒼朮である。燥湿健脾を特長とする白朮と、袪風除湿を特長とする蒼朮である。

 白朮と蒼朮の最大の違いは、白朮は固表止汗して黄耆(オウギ)がないときの代用品になるくらいだが、蒼朮は逆に散寒解表して発汗作用があるので決して黄耆の代用とはなり得ない。
     ━白朮を蒼朮で代用する日本漢方の杜撰
 これではたして補中益気湯や六君子湯の本来の効能をフルに発揮できるといえようかっ!?

 白朮や蒼朮錯誤の問題だけではない。

 乾姜と生姜の問題も信じられない馬鹿げた問題である。詳細は日本漢方における生姜と乾姜の錯誤に譲るが、これら以外にもレベルの低さを露呈する数々の問題がある。

 ついでに言えば、昨今NHKテレビが医療用漢方の宣伝を繰り返し行わなければならないほど、現実にはジリ貧状態の日本漢方ではないのか?と疑いたくもなる。
 たとえば手術後の大建中湯、認知症に抑肝散など、ますます水は低きに流れるばかり。
 陰虚証体質や実熱証の人達が主治医に、これらの方剤を投与された結果、皮膚掻痒症が重症化した事例が後を絶たない。

参考文献:
 ※補中益気湯に白朮ではなく蒼朮を配合した医療用漢方製剤は明らかに錯誤
 ※だから言わんこっちゃない!24年前に提唱した中医学と日本漢方を合体させる「中医漢方薬学」論を忌避し続けたツケが今になって回って来ただろうがっ!

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2012年05月04日

連休中に忙しい理由

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 長年続けたワブログが7月で閉鎖されるということなので、連休中は移転作業に忙しい。といってもようやく2日間で移転を終えた。

漢方薬局経営薬剤師の一喜一憂 

 このブログはもともと「漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱」というタイトルだったのを、移転ついでにタイトルをあらため「漢方薬局経営薬剤師の一喜一憂」と改変した。

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posted by ヒゲジジイ at 21:41| 山口 ☀| 近況報告 | 更新情報をチェックする

2012年05月02日

慢性リンパ性白血病と漢方薬

シジュウカラ
シジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ

 あれから十五年前後が経つだろう。今ではまったく健康体に等しい。決して根治したわけではないが、ここ5年近くは白血球数も2万前後で安定して、体調もまったく健康人と変わらない。
 最近では2万を下回ることも多くなっている。

 初めて相談こられた当初は体力を失い、西洋医学的にも治療方法がないため、かなり意気消沈して来られ、白血球を押さえるために短期間エンドキサンの内服を使用すると白血球数が減ることによって良質な白血球も激減するためにか、ますます体力を消耗して動けなくなるので、滅多なことで服用できない。

 最初の一年間は直ぐに食あたりをして高熱下痢を発したり、これが治ると角膜ヘルペスを発したが、抗ウイルス性の中草薬を追加すると眼科の治療とも相俟って、急速に治癒するなど、大変な時期もあった。

 当初は漢方薬や中草薬に対して半信半疑だったが、体力増強効果と角膜ヘルペスの急速な治癒によって信頼されるようになって、あらゆる必要と思われる漢方薬類を素直に受け入れるようになって以後は、10種類近くの漢方製剤や中草薬類などの多種類を熱心に服用され、いつの間にか気が付けば十五年近く経っていた。

 しかしながら最初から続いていたリンパ節の腫れと脾臓の腫れは5年以上の長きにわたって常に伴っており、体調が劇的によくなっているというのに、白血球数は3〜4万付近を持続した。
 さいわいなことに、このリンパ節の腫脹と脾臓の腫れも7〜8年間くらいは常に指摘されていた問題だったが、いつの間にか完全に消失したものの、肝腎な白血球数は10年近く平行線を維持し続けていた。

 ところが、ここ数年は主治医の先生からは「まだ漢方薬を飲んでるのかねっ」といつも笑ってからかわれるほど劇的に好転して安定しており、1〜2年に1回、1〜7日間服用することがあったエンドキサンもまったく無縁となって5年以上が過ぎ、上述の通り、白血球数も2万前後に完全に安定している。

 結局は初期の10年間は一年に一度くらい短期間に使用していた内服のエンドキサン以外は、最近の5年間はすべて当方の漢方薬と中草薬類だけでここまでお元気で、ますますいよいよ安定した状態が続いいる。
 
 実際にはここ数年は漢方薬類の服用が1日2回になっているので、ちょっと心配していたものの、そのまま数年以上まったく安定しているので、もともと健康な人よりも長生き出来ますよっ、誰からも言われるほどの健康状態が続いている。

 ともあれ、牛黄製剤を主体に運用する方法は、悪性リンパ腫や各種白血病あるいは骨髄異形成症候群における過去の漢方相談経験からも期待できる部分だと思っている。

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ASC_2406 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 00:40| 山口 ☔| 慢性リンパ性白血病 | 更新情報をチェックする