2011年12月28日

経方(傷寒・金匱の方剤)の魅力

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ZZZ_3769 posted by (C)ヒゲジジイ

 中医臨床誌の通巻106号と107号(2006年9月と12月)に掲載された南京中医大学の名老中医、黄煌先生の講演文が「経方の魅力/経方とは何か」と題して掲載されている。

 中国では経方、つまり日本で言う古方を使用する人は少ない。
 後世方とは異なり、薬味が少ない構成で優れた効果を発揮する古方は、学術的な知識のみならず「経験性と実践性が非常に強い」ために、専門的に伝授されることが望ましいと述べられている。

 現実の中国国内では比較的薬味の多い方剤を組み立てて配合する中医が多く、古方はおろか、後世方などにしても基本方剤を忠実にそのまま投与する人は少ない。

 翻って日本においては、このような古方(経方)の「経験性と実践性」の蓄積量において、大いに誇れるところである。
 ところが方証相対ばかりに頼って、理詰めの弁証論治を並行させる中医基礎理論知識が伴わないため、実に画竜点睛を欠くことは実に惜しい。

 ともあれ、この講演文には具体的な方剤の興味深い実践的記載が散見される。

 黄煌先生は膵炎に大柴胡湯の原方をよく使用されること。

 「甘草瀉心湯はベーチェット病の専門方」と話されているが、ヒゲジジイのところで、二十年前まではしばしば本方を使用してベーチェット病患者さんに喜ばれていたが、昨今、ベーチェット病の相談を受ける機会がなくなっている。

 さらには・・・

 苓桂五味甘草湯は肺気腫の専門薬であり、半夏瀉心湯は熱痞(多くは潜在性胃炎にヘリコパクター・ピロリを伴うものにみられる)を治療する専門薬であり、これらは特効薬であり専門治療薬である、と言い切られているのにはやや驚かされる。

 この「熱痞」なるもの、長年のヒゲジジイの経験からは、実に大柴胡湯証と紛らわしいことこの上ないからである。

 いずれにせよ、古方は侮るべからずであるが、個人的には大好きな小陥胸湯が、日本国内では加味方でしかエキス製剤が存在しないのが歯がゆいばかりである。

 それゆえ、原方通りの小陥胸湯のエキス製剤の第2類医薬品として製造許可を得られないかどうか、某社に検討してもらったが、どのように工夫しても許可を得られそうにないということだった。

 簡単に製造許可が得られるものなら、直ぐにでも取り掛かってもらえただろうが、その方法が日本の医療制度では不可能というから止むを得ない。

 こういうところで、やはり日本は漢方の後進国と言わざるを得ない。

 漢方薬が第二のレアアースとなりつつある現在、あまり贅沢も言っておらないかっ

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ZZZ_3712 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 00:07| 山口 ☀| 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする