2011年02月08日

主治医は漢方薬について正しい知識を持ってるのかな?

シロハラが睨み付けて飛んでいくっ!
シロハラが睨み付けて飛んでいくっ! posted by (C)ヒゲジジイ

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年齢 : 40歳〜49歳の男性
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 : こんにちは。

 現在病院から処方されている漢方薬・桂枝茯苓丸 他について伺います。

 私について簡単に説明します。4●歳、男性。20代後半から現在に至るまで、中性脂肪が300台と高い数値であり、また肝機能も非常に高い数値となっています。

 身長1●●cm、70kgのガッチリ型の体格です。10年ほど前から顔の鼻を中心とした両頬が真っ赤になり、顔の皮膚もボロボロに荒れた状態です。
 皮膚科でアトピーと診断され、評判の良い皮膚科と聞けば遠方でも通いましたが、殆ど効果の無いまま10余年が過ぎ、最近では諦めの境地でした。

 更に4年ほど前からストレスによるものか血圧が上がり始め、150/90台後半で落ち着いて?おり現在推移しています。

 前置きがスッカリ長くなってしまいいましたが、ここからが本題です。
 そんな状況の中で、ある病院がアレルギー疾患について非常に評判が良いと聞き訪問してみました。先生は私の顔を見た瞬間に「血圧高いね」と言いました。

 私は顔の赤みとボロボロの皮膚を診て貰いたいと話したところ、その赤みは「瘀血」によるものでアレルギーではないとの診断でした。早速「桂枝茯苓丸」と血圧降下剤を処方され帰宅して早速飲んでみたところ、僅かな時間で胸に違和感を覚えました。

 最初は違和感だったのですが、飲む度に胸が苦しくなっていき、血圧も急上昇していきます。
 病院に問い合わせても当番医が「桂枝茯苓丸で血流を良くする効果はあるけど、血圧は上がらない」と断言するし、血圧がネットで桂枝茯苓丸を調べてみても、血圧が上がるなどの情報は皆無です。

 唯一貴店だけが「桂枝茯苓丸の問題点」として取り上げておられました。
 このことから、多数の知識と経験をお持ちのことと考え質問している次第です。

 桂枝茯苓丸は確かに血流を良くする効果があるようですね。であれば、医学のことは何も知らない私でも、詰まりかかったホースに勢い良く水を流したらどうなるのか程度は想像は付きます。

 早速担当医が出勤した日に訪問すると、次に「ツムラ当帰湯」と「ツムラ人参養栄湯」を血液がサラサラになると処方されました。
 すると人参養栄湯は1.5gで胸が苦しくなりましたが、当帰湯は胸の苦しさはありませんでしたので、引き続き当帰湯と血圧降下剤を飲んでみませんか?と言われています。

 ところが効能を調べてみると当帰湯は、私の症状に効果があるのか?疑問です。

 降下剤も出来るだけ少なく抑えてくれたりと、医師の一生懸命な気持ちは伝わってくるのですが、私にすれば「漢方薬について正しい知識を持ってるのかな?」と不安が先に立っています。

 最初から合う処方は難しいとは思いますが、何か医師の方向が片手落ちになっているような気がしてなりません。

 先生は如何お考えになりますでしょうか?ご意見を賜りたく。

IMG_1174
IMG_1174 posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:桂枝茯苓丸は適応を誤ると不快反応が出るケースがありますが、多くは病院の医師から出された漢方薬で遭遇する機会がとても多いものです。

 その理由は、多くの医師が漢方知識が浅いためと、もう一つは桂枝茯苓丸のエキス製剤には、本来は桂枝を使用すべきところを辛甘で大熱で腎陽を強く温補する桂皮=肉桂が使用されているからです。

 桂皮は腎陽を強く温補するだけに過剰に投与すると、時に血圧を上昇せしめることがあるのは常識といえます。

 のみならず、瘀血(オケツ)がほとんど存在しない場合に桂枝茯苓丸を投与すれば、何らかの不快反応が生じても不思議はありません。

ところで、高血圧のレベルはそれほどひどいとは思われませんが、それにしても顔面が真っ赤で血圧もやや高い人に、いずれも温補剤の人参養栄湯や当帰湯が投与されるとは、漢方を本当に勉強している医師であれば、ほとんどあり得ないと思います。

 但し、冷え症、寒がりでいつも厚着をしているような体質であれば、これらの温補剤が適応する場合もあり得ますが、この場合には顔面に対する別の方剤の併用がほとんど必須となるように思いますが、何せ深いところの体質が分からないので断定はできません。

 なお、桂皮はいずれの方剤にも含まれていますが、桂枝茯苓丸にもっとも多量に含まれています。

 以上、取り急ぎお返事まで。

【編集後記】もしもこの患者さんが実熱証の体質者であれば、人参養栄湯や当帰湯は明らかな逆効果であり誤投与となる。
 ともあれ、日本漢方の知識が浅い人にもっとも多い困った問題は、寒熱に対する認識不足が顕著である傾向が強い。
 常々唱える「臓腑経絡ごとに寒熱虚実の弁証分析は必須である」と言ったところで、基礎知識の部分であまりにもレベルがかけ離れすぎているので、馬の耳に念仏である。


ジョウビタキ(メス)
ジョウビタキ(メス) posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 12:53| 山口 | 桂枝茯苓丸の有用性と副作用 | 更新情報をチェックする