2011年02月03日

漢方薬はアトピー性皮膚炎にどの程度有効か?

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DSC08204 posted by (C)ヒゲジジイ

 最近、あるベテランの漢方専門(といっても保険漢方の範囲内)の医師の談話を読む機会があった。
 要約すると、アトピーの漢方治療といっても、結局は西洋医学の皮膚科治療のサポートレベルであり、漢方薬だけでアトピーを治すのは困難だという主旨であった。

 確かに保険漢方の範囲内では、使用できる方剤が限られているのでその点では自費の漢方とは大きな隔たりがあるように思われる。

 軽症のアトピーではそれほど苦労はないだろうが、一定レベル以上のアトピーともなれば初回から目覚しい漢方薬の効果を発揮できたとしても、四季折々の配合変化がほとんど不可欠であり、うっかり油断できない極めてデリケートなアレルギー性疾患である。

 ヒゲジジイも数十年の漢方相談の経験がありながらも、一定レベル以上のアトピーの人達には半年から一年間というもの、多くはお互いに苦労のし通しで、その苦労に耐えた人達だけが9割以上の安定した寛解が得られるという現実がある。

 かと言って、半年から一年で漢方薬を中止できる人は軽症者に限られ、ほんとうに安定した寛解を得る為には、服用回数を減らすことはあっても数年以上の継続服用は必須に近い問題である。(再発組では5年以上継続している人も珍しくない。)

 つまり、一年前後で寛解を得ても、その後もたゆまぬ体質改善および再発予防が必要となる。
 一定レベル以上重症化していたのだから当然といえばトウゼンだが、漢方薬だけでほとんど完全寛解に漕ぎ着けるのだから、重症者に限って真面目な相談者が後を絶たない現実がある。

 これが自費の漢方の強みといえば強みで、ステロイド外用薬が手放せない人でも、しばらくは必要に応じて併用していても、いずれは完全離脱も夢ではないどころか、自然に一週間に1〜2度塗るか塗らないかの段階に到達する時期が来るので、そこまで来れば、外見上は誰が見てもアトピーだとは気付かない。

 昨今は大人の重症者ばかりの相談がほとんどだが、どこに行っても治らなかった人達の方が真剣真面目に頑張ってくれるので、中途半端で及び腰の人達よりも遥かに治りがよいのだから、世の中、実に皮肉に出来ている。

 明らかな効果が出ているのに長続きしない人がいるのは、あるいは経費的な問題かもしれないが、たしかに最初の一年間くらいは月額数万円の経費はほとんど必須に近い問題である。

 厳然とした事実として、あまり節約すると効果が出せない現実がある。これは経験した人達だけが実感するところだろう。

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posted by ヒゲジジイ at 21:10| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする