
山茱萸とメジロ posted by (C)ボクチンの母
以下は平成23年 新年のことば「漢方の臨床」誌1月号に掲載されたヒゲジジイの拙文。
新年おめでとうございます。
昨年は待望の補気建中湯エキス製剤が小太郎漢方製薬さんから新発売されました。同時に荊防敗毒散などエキス製剤としては、はじめての漢方処方が新発売されました。また、数ヶ月前にはまさかと思われた延年半夏湯のエキス製剤も発売されました。
補気建中湯は、脾虚に伴う一般的な浮腫にも気軽に応用できる便利さがありますが、脾虚水滞で軽度の肺熱に肺胃陰虚を伴う腹満や腹水に有効で、各種悪性腫瘍の末期に生じる腹水や胸水に、時に著効が得られることがあります。
荊防敗毒散は、抗生物質が効きにくい蓄膿症に応用されたり、咽喉腫痛を伴う風邪やインフルエンザにも応用されるなど、今後ますます注目を浴びることになるだろうと思われます。
補気建中湯などは、以前から各社に「世のため、人のため、採算を度外視してでも是非作って」くれと強く働きかけて来たのですが、小太郎さんがとうとうやってくれました。
延年半夏湯に関しては(個人的な話で恐縮ながら)若い頃より愚妻が慢性膵炎様の症状に苦しみ、長年の延年半夏湯の服用で救われた、とても思いで深い方剤ですが、このようなやや特殊な方剤までエキス製剤を発売されるとは、実に感激ものでした。
ともあれ、これまでなかった各種エキス製剤が続々と発売されることで、薬系漢方に活気と活力が戻って来ることを期待したいものです。

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