2010年10月30日

まったくはじめてのご高齢者の漢方相談をお断りする理由

ジョウビタキ(オス)
ジョウビタキ(オス) posted by (C)ヒゲジジイ

 まったくはじめてのご高齢者の漢方相談の依頼が今週だけでも3名あった。うち一名は電話でのお問い合わせだが、2名は直接来局された。

 うち2件は遠方の子供さんがネットで調べ、老齢のご両親が在住する近くの村田漢方堂薬局を見つけたから直接行って相談せよと言われたから、というもの。

 過去にまったくはじめてのご高齢者の漢方相談に乗って気まずいことになった例は枚挙に暇がない。

 たとえば牛黄製剤がよく効を奏してご本人も喜び、1〜2年も続けていたところで他の疾患で入院され、それでもご本人は身体が楽になるからと実の娘さんが代理で購入に来られていたが、やや高額な製品であるためか、その娘さんが来られる度にさんざん嫌味を言われて不快な思いをし続けた。

 メニエール氏症候群で入院されていたご高齢の婦人が退院の帰りによられ、まだ完全には治ってないので漢方薬を求められた。
 ところが、数日経っても目立った効果がないと、ご高齢のご主人から脅すかのような苦情の電話に困惑した。

 もっとひどい板挟み状態に追い込まれた経験など、思い出せば際限がない。

 互いに気心の知れた常連さんやお馴染みさんたちの高齢のご両親の漢方相談に乗るのとは大違い。

 とりわけ多いのは、病院の医師に当ることができない腹いせか、矛先がこちらに向いて、ご家族から八つ当たりされまくったことは若い頃のひどいトラウマとなっている。

可愛いけどいつもけたたましく鳴くモズ
可愛いけどいつもけたたましく鳴くモズ posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 23:56| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2010年10月29日

とうとう焼きが回った話

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ヒヨドリ posted by (C)ヒゲジジイ

 関東から毎月やって来られている●●さんから、都合によりいつもより一週間遅れるが必ず伺いますというメールが入ったので、お返事を返すのだが送信不能。数ヶ月前にはまともに交信出来ていたのにおかしいと思って、所有するほかのメールで送信してもやはり送信不能。(県外では関東の人が最も多い)
 きっとセキュリティのレベルを上げているに違いない。

 それはともかく「とうとう焼きが回った」というのはヒゲジジイの不慮の事故?に遭遇した話である。
 ほどほどの運動神経とバランス感覚には自信があったが、歳は取りたくないもの。

 本日、午前中に店内の蛍光灯がマバタキをはじめたので、応急処置にとりあえずグロス管だけを抜いておこうと脚立の上に上って取り外し、降りようとした瞬間、そのまま足を踏み外して頭から転倒。

 後頭部を店の入り口のドアに激しく打ち付けた弾みのショックで、不思議なことに上唇の裏表から出血。

 それ以外には右足の打撲少々。後頭部は不思議に今に到るまでまったく疼痛もなく、触ってもおかしなところが皆無っ!

 おそらく減らず口を叩かせないようにと天の配剤、ひどく打ちつけた後頭部のショックを、いつも減らず口がやまない上唇ばかりにあらゆる罰を集中させたに違いない。

 上唇は腫れ上がり無惨この上ない・・・と思いきや、天も怖れぬヒゲジジイ、相変わらず減らず口だけは止むことがないっ。

 直後に、はじめて来られたアトピーの中年女性。みかけは大して悪くない上に、経費が心配だとのたもうばかりでなく、食事制限が出来るかどうかもあやふや。
 お気楽な気配が拭いきれないので・・・
 どうせ続かないから止めときなっ、と減らず口を交えてお断り。

ツグミ
ツグミ posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 23:39| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2010年10月28日

夏は内臓が冷える季節

新東京タワー 撮影者:関東の内科医師

おたより:東京の内科医師

 いま現在、開業への忙しさも慢性的になり、先生にお便りする余裕もなくなってしまっておりました。

 先生のブログ上で、東海地方の薬剤師の先生から自分への「開業への激励」に感謝しておりました。ありがとうございます。そんなことから、村田先生や東海地方の薬剤師の先生に何か出来ないだろうか?とも考えておりました。

 そういえば…東海地方の薬剤師の先生の「夏ばて」の記事を読みました。「内蔵が冷えることが夏ばての特徴」との指摘…自分も「夏は内臓が冷える季節」であると感じておりました。
 今回は、このことを相対性な思考を使って説明していきたいと思います。

 自分は、いつも出来るだけ簡単に考えることを念頭に、病気を理解しようとしております。ですから…いつも簡単にお話しする様にしておりますが、一般的に考えてみますと、人間は難しく考えるのが得意な動物の様です。それは現象を見つめる時、「今まで習ってきた知識を利用して考えること」を優先するからに他なりません。

 では、「夏ばて」について自分の考えをお話いたします。

 夏と冬は外気温が異なります。加えて、人間のそれぞれの臓器は他の臓器と比較して、自己の臓器の温度差を測っていると考えられます。(空間上に絶対的な基準をもつ運動物体は存在しません)

 としたときに…季節の変動による「内臓である腸の温度」を考えてみたいと思います。

 冬は外気温が低く皮膚の温度が低下する傾向にあります。しかしながら、裏である腸の温度は余り変わりません。このことから、冬の皮膚の温度と比較すれば、冬の腸の温度は皮膚の温度に比較して相対的に高くなっていることになります。

 逆に…夏は外気温が高く皮膚の温度が上昇する傾向にあります。しかしながら、この夏にも腸の温度は余り変わらないことから、夏の腸の温度は皮膚の温度に比較すれば相対的に低下していることになります。それが…夏の臓器の冷えであると考えております。

 ご理解できましたでしょうか?
 この様な考え方が「陰陽」であり「相対性」の基本的な考え方に他なりません。

 と、話題は変わりますが、現在、保険煎じ薬処方ができる電子カルテの制作を業者共々行っております。おそらく…年末には、この様な電子カルテが出来上がると思います。
 こんな自分の些細な行動が日本漢方の行く末の小さな光となれば、自分に取って掛け替えのない喜びと考えております。

 そんなこんなで…毎日、とても充実?(笑) 忙しいですぅ(泣)
 新東京タワーも日毎に高くなっています。自分の漢方のレベルも高くなるのだろうか?
 と焦っています(汗)

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IMG_1931 posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:おたよりありがとうございます。
 ご開業の準備は着々と進んでいるようでなによりです。

 「夏は内臓が冷える季節」の論点、これがまさに寒湿の病変に対する方剤でもあるカッコウショウキサンが夏場に多用される所以でもあると思います。
今夏も常連さんやお馴染みさんが真夏の炎暑の最中にカッコウショウキサンを頓服使用されるケースが多くみられました。

 しばらく前まではアトピー性皮膚炎が重症であるために強烈な炎症を治めるために清熱瀉火の方剤を多用されていた男性でも、真夏にプールで泳いだあとに胃腸が冷えて猛烈な吐き気が生じた例⇒真夏に涼を取り胃腸が冷えて吐き気がする時の漢方薬 など。
胃苓湯で代用しても一定の効果があったようですが、それにしても今夏の猛暑では例年になくカッコウショウキサンを販売する機会が多々ありました。

 一方では西洋人参も例年になく大いに人気を博した炎暑の夏でもありました(苦笑。

 ともあれ、添付頂いたお写真、新東京タワーのとても美しい夜景、これだからテレビでも大きな話題になるのですねっ!

モズ
モズ posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 20:02| 山口 ☁| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

2010年10月27日

アトピー秋の異変による漢方薬の配合変化

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IMG_1305 posted by (C)ヒゲジジイ

 安定していたアトピーが、秋に向かう季節の変わり目で異変が生じることは希ではない。
 案の定、現在、把握しているだけでも3名、いずれも大なり小なり六味丸系列の方剤と猪苓湯の配合比率の問題が関わっていたが、いずれも現時点ではやや再燃しかかった異変もほとんど下火になって一安心、もとの寛解状態にほとんど戻りつつある。

 いずれのケースも乾燥が目立って来たので独自の判断で猪苓湯を半減したり、あるいは猪苓湯が切れてしまったのに補充購入に来られず、六味丸系列の方剤ばかりを濃厚にしたために却って異変がますまず増悪したケースばかりであった。

 3名とも猪苓湯の存在意義を大いに体感されて、あらために配合比率の重要性を実感されている。

 但し、一名は近年希に見るほど速効で重症のアトピーがほとんど寛解状態が半年も続いていたのに、猪苓湯が無くなっている上に従来こちらで調達されていた保湿剤を中止し、縁ある素人さんに断りきれずにエステや新たな保湿剤等を奨められて使用したところで、急激な再燃に驚いてやって来られた。
 
 当然のことながら、逆効果になりかねない新たな素人療法をすべて中止してもらって従来の漢方薬の配合とこちらで購入されてた保湿剤に戻したところ、10日もしないうちにほとんど下火になって一安心の段階に落ち着いた。

 たまたま三名とも、秋の乾燥期にもかかわらず、猪苓湯を減らしてはならない体質者だったが、例年、この季節になると猪苓湯を相対的に減量すべき人も多いはずである。

 つまり、この空気が乾燥する季節に向かって、猪苓湯が勝ち過ぎると肌を余計に激しく乾燥させてしまう体質の人も多いのである。
 実際に、まだ一ヶ月も通わない新人さんの中には、猪苓湯を半減させる微調整で乾燥が軽減している人もいる。

 とはいえ、アトピー性皮膚炎の激しい痒みに、六味丸系列の方剤と猪苓湯ばかりが主薬というわけではないので、決して誤解のないようにっ!

 いずれの人も、他に清熱解毒剤や清熱涼血剤などを併用している。

 例外的に、もともと重症のアトピーでありながら、大黄牡丹皮湯だけ、あるいは消風散だけで急速に寛解中という人もいるにはいるが、やはりこれらの人達は、長年の漢方相談事例の中では、例外中の例外に属する部類である。

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IMG_1034 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 00:42| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2010年10月22日

しばしば遭遇する医原病=医師の誤診による合成医薬品の誤投与による副作用問題

ヒヨドリ
ヒヨドリ posted by (C)ヒゲジジイ

 病院や医院の医師による誤診や誤投与は、医療用漢方において実に頻繁であるが、漢方薬の誤投与の場合はそれほど深刻な問題になることは少ない。

 やはり大きな問題となりやすいのは合成医薬品の誤投与である。
 先日も、初老に近い女性が真夏の炎天下で軽度の熱中症にかかり、嘔吐したあとやや食欲不振が続くので、主治医に相談して胃のレントゲンなどの諸検査では大きな異常もないとてタケプロンとムコスタが投与された。

 その後も食欲はますます低下し、めまいやフラツキも伴い始め、もともと不眠傾向があったのに嗜眠傾向が顕著となり、次第に動くことが困難となった。忙しい家業も休むこと一週間。
 主治医に重ねて相談したところ、主治医の診療所だけではもはや手におえないから精神科に受診し、同時に癌に関する諸検査をしっかり行うように指示された。

 そのような情況下で困り果てて当方にも相談があった。
 もともと折々に漢方薬を利用されるお馴染みさんでもあったから、前後のいきさつをよく問い質したところ、最近投与されたタケプロンとムコスタの投与が誤診と同時に誤投与に違いないので、医師に相談して中止するようにアドバイス。

 ところがプライドの高い医師だから、そのようなことを言ったら大変だというので、当方の名前を出してもよいから相談するように言っておいたが、ご本人は主治医に相談せずに、こちらのアドバイス通りタケプロンとムコスタを中止したところ翌日には完全回復。

 数日後お礼に来て、主治医にこの事実を伝えるべきかどうかを悩んでおられる。当然、伝えるべきだと言うのだが、プライドの高い医師だから怖くて言うのが躊躇されるとは、何のための主治医なのか?!

 患者さんが正直に治療効果の有無を伝えないから、その医師は天狗のまま誤診と誤投与を繰り返す結果になるのだろう。

 世の中、医師の中には東大受験の滑り止めで地方の医学部を後期試験で受かり、しかたなく医学部に進学した連中がいる。
 最初から医師を志したわけはなく、暗記力はあっても医学に対する情熱が欠落したプライドだけの煮ても焼いても食えない連中もいるので、医師を選ぶのも寿命のうちということを肝に銘じておくべきだろう。

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IMG_0404 posted by (C)ヒゲジジイ

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2010年10月21日

清熱補気湯を投与されながら続く舌痛および咳嗽の中医学的な原因分析

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DSC_2088 posted by (C)ヒゲジジイ

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年齢 : 40歳〜49歳の主婦
簡単なご住所 : 東北地方
お問合せ・ご連絡内容 : はじめまして。●●に住む◎◎と申します。

 去年の12月から舌痛があり、耳鼻科や口くう外科、内科、消化器科で胃カメラ検査をしても異常なしと言われ、それでも辛いので6月から漢方薬を処方してもらい(病院)飲んでいました。

 夏には夏バテで近くの薬局から生脈宝を奨められ飲んだり{病院まで片道2時間かかり、とても運転出来る体力がなかった為)病院からの処方は清熱補気湯を飲んでおりました。(生脈宝を飲んでいた時は中止してました)

 舌痛になる1年半位ニンニク(レ○ピ○)商品も飲んでいました。舌痛になってからは飲んでいませんが、9月半ば頃から風邪を引いた訳でもないのに咳が出はじめ(最初は空咳)今も変わらず出るのです。空腹時や熱い物を食べたり飲んだりした時だけです。(今の咳は痰がでます)これはどうしたら良いのか分からず、漢方薬を出して下さってる先生に聞いても聞き流され、薬剤師さんにも『飲むのを中止して先生に聞いてみて』と言われ、何がなんだかわからず困ってしまいました。

 どこかに熱がある為に肺に影響があるのかな?と思うのですが、誰に相談して良いのかわからず、直接行けないのにメールでお聞きするのは申し訳ないとは思いながらも、どんどん変わっていく自分の身体に、不安と焦りで村田先生にメールしてしまいました。

 この咳は、今飲んでる漢方薬を止めたら出なくなるのでしょうか?お忙しい中本当に申し訳ありませんが、お返事頂けませんでしょうか?

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DSC_2166 posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:就寝前にメールの点検をして・・・と見るとご質問が入っており、ちょっと通読すれば直ぐにお返事しやすい内容だったので、直感的に判明した部分をお返事します。

 舌痛を生じた原因はおそらくニンニク製剤を長期間服用したために生じたもので、おそらく肺陰と胃陰あるいは脾陰などを損傷されると同時に肺熱や胃熱などが生じた結果であろうと推測されます。

 舌痛を治療するために投与された清熱補気湯の配合は人参・当帰・芍薬・麦門冬、朮・茯苓、升麻・五味子・玄参・甘草であり、その中には人参、当帰、朮、茯苓、五味子、とりわけ人参と当帰が肺熱や胃熱をさらに悪化させている可能性が高いと思われます。

 生脈宝という製品名の内容は、は確か原方は生脈散だったと思いますが、これには人参・五味子・麦門冬の配合ですから、この人参や五味子が肺熱や胃熱などには悪影響しやすいものです。

 少なくとも現在服用中の漢方薬は中止され、中医学に堪能な薬局を見つけられて、適切な方剤を処方してもらう必要があると思います。地元でも同様な症状で五十代の女性を漢方薬で半年以上かかって治したことがありますが、必要な配合方剤は、似ている症状でも微妙に異なるもので、かなり正確な弁証論治が必要です。

 なお、配合生薬中に、たとえ当帰や五味子、あるいは朮や茯苓が配合されていても、適切な肺熱や胃熱、あるいは肺胃陰虚にしっかりフィットした配合がなされていれば、これらの生薬といえども反佐として、つまりゼンザイの甘味を引き立てるために入れる塩味のような役割をして、邪魔にはならないものです。

 清熱補気湯レベルの配合では、肺熱や胃熱に対する配慮が皆無の方剤ゆえ、おそらくやや逆効果になっているものと思われます。

 ところで刻々症状が変化しているようですが、臨機応変にその時点での的確な弁証論治が必要ですので、通える範囲内でしっかり相談に乗ってくれる漢方薬局を見つけるのが最善です。最初空咳だたのが、最近は痰が出るというのは肺陰虚は幾分か緩和されている証拠のようにも思えます。

 いずれにせよ、中医学を熱心に勉強されている先生を早く見つけられることです。
 適切な方剤までアドバイスは不可能ですので、悪しからずご了承下さい。

 以上、取り急ぎお返事まで。

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DSC_2477 posted by (C)ヒゲジジイ

折返し頂いたメール:●●の◎◎です。

 こんなに遅い時間にもかかわらず、暖かいお返事をありがとうごさいました。

 嬉しくて(安心して)お返事を読みながら涙が出てしまいました。

 何が何だかわからなくなって、不安で一杯でしたので 本当に嬉しかったのです。

 きっと私の住んでいる県にも 村田先生までとは無理でも、近い先生が居らっしゃる事を信じて捜してみます。

 本当に本当に、ありがとうごさいました。


【編集後記】
参考文献:警告:無謀な温め療法

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DSC_2008 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 16:27| 山口 ☁| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2010年10月19日

漢方薬によるアトピー性皮膚炎の強烈な乾燥軽減方法

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IMG_9525 posted by (C)ヒゲジジイ

 昨今の成人アトピー性皮膚炎の多くは、清熱滋陰利水(あるいは除湿)法に活血化オ法の併用が基本となる複雑な病態を呈していることは前回にも述べた。

 その分析の詳細は企業秘密に属することだから詳細には触れない。

 そろそろ秋も深まる兆しを見せ、冬にむかってますますアトピー患者さん達は皮膚の乾燥や亀裂に悩む時期なので、その緩和方法が体質によって真逆となる現象を書いて置きたい。

 是非読んで欲しい読者対象は現在、村田漢方堂薬局の漢方薬を服用中の多くのアトピー患者さん達である。
 多くの人の基本方剤となっている六味丸系列の方剤と猪苓湯製剤の配合比率の問題。

 秋・冬のような乾燥時期には多くは滋陰作用の強い地黄が配合された六味丸系列の方剤の比率を上げ、相対的に猪苓湯製剤の配合比率を下げるべきことが多いことは、しばしば皆さんに口を酸っぱくして伝えている。

 ところが、その真逆の場合もあることもしばしば伝えているはずである。個人差が大きいので、自らしっかりテストして確認するべきことも伝えているはずである。

 乾燥する季節にも関わらず猪苓湯が主体となり、六味丸系列の方剤を控えめの方が、手のひび割れが減少し、乾燥肌も緩和する人達も実際にいる。

 ご自分がどちらに属するタイプであるかはしっかりテストして必ず相談すべきである。

 一部の人は、六味丸系列の方剤はしっかり必要だが、猪苓湯が邪魔になって極控えめの配合量に減らすか、あるいは一時中止した方がよい人も出て来るのがこの季節である。

 ところが逆に、猪苓湯こそしっかり必要で、乾燥肌のみならず亀裂の入ったひび割れがしっかり緩和するのは猪苓湯のお陰であると、この漢方薬に礼を言う人もいる。

 そのような人の中の一部には、六味丸系列の方剤が増えすぎると却って肌がひどく乾燥して亀裂すら入るので、減量するか一時中止した方が好い時もある。

 年間を通して猪苓湯も六味丸系列の方剤も同比率で、季節的な配合変化を行なわない方がよい人もいる。

 要するに六味丸系列の方剤と猪苓湯製剤の配合比率は、一人ひとり異なるので、両者を使用している人達はしっかり観察して、必要に応じて配合比率を変えてテストすべきである。

 以上、現在、村田漢方堂薬局で漢方薬を服用中のアトピー性皮膚炎の人達への伝言である。配合比率に困ったら直ぐにメールをご遠慮なくっ!

 新しく来られている人達は、しばらくはこの微調整に手間取ることもあり、多くの人が通る関門でもある。お互いにしばらくは試行錯誤の時期が続く場合もある。一年間を通した季節的変化を互いによく観察して、臨機応変に配合比率を微調整するコツをみずから体験しながら学習してもらう必要がある。

 上記のようであるから、みずから考え積極的に頑張れる人でなければ、村田漢方堂薬局の漢方薬は続かない。

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IMG_9643 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 23:06| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2010年10月18日

成人アトピーの多くは清熱滋陰除湿法を基礎に活血化瘀の併用が基本となるのが通常だが・・・

ヒヨドリ
ヒヨドリ posted by (C)ヒゲジジイ

 長年、観察するところによると成人型アトピーの多くは清熱滋陰除湿法を基礎に活血化瘀の併用が基本となるのが通常だが、少数ながら例外もある。

 このような配合で一時は治りかけて、途中で破綻を来たし活血化瘀法をもっぱらにして改善する例や、同じく古典的な消風散を高濃度にすることで急速に改善した例など。

 清熱滋陰除湿活血法が集約された消風散のような欲張り過ぎの方剤、一つの方剤で欲張り過ぎているだけに却って合わない人は膨大な数に上るが、逆にこの方剤でなければ治せない人が極少数おられるのも事実である。

 通常は清熱・滋陰・除湿は別々の方剤で綿密な配合比率を情況に応じて微調整しながら行なって、波打ちながらも比較的順調に経過することが多い。
 といってもこれに脾胃の虚弱が伴っていたり、肝鬱脾虚を伴ってたり、衛陽不固を伴っていたり、さまざまな合併証に対する配慮は不可欠である。

 ところが上記のように、希に例外があるのでアトピー性皮膚炎はおざなりな漢方薬を続けても、たとえ一時的に効果があっても破綻を来たし、滅茶苦茶になって遠路はるばる下関まで通わざるを得ないハメになる人達があとを絶たない。

 但し、数ヶ月ごとに転々として来た渡り鳥さんたちは、村田漢方堂薬局のような詳細綿密な弁証論治には付いて来れないで、多くは勝手なことをしだしたり、あるいは観察力と忍耐力の欠如から長続きしない。

 経費的にも、重症度によっては最初は少な目からはじめるにせよ、途中からしばらくの間、月額にして3〜4万円の経費を強いられることも珍しくないので、経費面でもそれなりの覚悟が必要な場合がある。(一つ一つの漢方薬は間違いなく全国的に見ても最安値といっても過言ではないが、十分に効果を得るために必要な方剤の数が必然的に多くなる時期があり得るからである。

シジュウガラ
シジュウガラ posted by (C)ヒゲジジイ

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2010年10月15日

嬉しいお便り:糖尿病が治癒に向かってまっしぐら(笑

メジロのボクチン
メジロのボクチン posted by (C)ヒゲジジイ

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年齢 : 40歳〜49歳の女性
嬉しいお便り続報:  村田先生こんにちは。

 電話の工事お疲れ様でした。昨日患者さんが少なかったようなので、今日はお忙しいのではないでしょうか。
 前回伺ったとき、お待ちの方がいらっしゃるのに気付かず、長い時間お手間を取らせてしまいすみませんでした。次の方をお待たせしてしまい申し訳なく思っています。

 昨日病院で検査をしましたら、HbA1cが5.4に下がっていました。主治医の先生が「10.8から半年足らずで健康な人とかわらない数値になるのは珍しいですよ。」と言って不思議そうな顔をされていました。
 ケーキやお饅頭など間食を結構摂っていたので、数値が上がっているのではないかと検査結果を聞くまで内心ヒヤヒヤしていました。

 内服薬は念のためということでもうしばらく続けますが、食事は普通に摂っていいそうです。半年前に先生がおっしゃって下さったように、薬を飲まなくてもいいようになりそうです。

 ここ数年、重病ではないのですが幾つか持病があって気分がすぐれず、憂鬱でたまりませんでした。今年の年明けに十数年ぶりに村田漢方堂に伺い、先生に処方して頂いた漢方薬を飲むようになってすぐに、体調が良くなっていくのが実感出来ました。先生と出会えたことに本当に感謝しています。

 先生は女性が漢方薬を飲んで若返ったとおっしゃいますが、先生も奥様も以前とお変わりになっていらっしゃいませんよ。先生ご夫婦は若さを保っていらっしゃるのですね。
 また伺いますので、お忙しいときは追い立てて下さい。

おっとりしたキジバト
おっとりしたキジバト posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール: ご連絡ありがとうございます。
 その後も順調に経過しているようで何よりです。

 お陰さまで昨日は来客も少なく、何とか工事を終えることができました。でも、本業が多忙な日よりも気疲れで、本当にぐったりしてしまいました(苦笑。

 昨日の皺寄せで、常連さんの電話や今日は朝から近畿地方から泊りがけで来られているご相談者をはじめ、常連さんやお馴染みさんが続いて昼下がるまで息もつけないほどでしたが、昨日の疲れよりも遥かにマシでした。
 それはともかく、

>ケーキやお饅頭など間食を結構摂っていたので、数値が上がっているのではないかと検査結果を聞くまで内心ヒヤヒヤしていました。

というお話し、これは頂けませんねっ(苦笑。

 糖尿病には食事制限は欠かせない重要課題です。これで安心して同様にお菓子類を続けると、元の木阿弥になっては大変です。せっかく十歳以上も若返っているのですから、飲食の内容にも十分に注意して下さい。

 なお、次の人が待たれていても、来られる皆さんは順番をお待ちすることは覚悟の上で来られている人達ばかりですので、必要な御相談には次の方をお待たせすることがあっても当然ですので、お気遣いは不要です。

 中には数年くらいで常連風吹かしてありがた迷惑な人もおられる中、以前から来られていた人ほど、このようにお気遣い下さるので、こちらの方が却って恐縮致します。

 ありがとうございました。

のんびりと上空を飛翔するトンビ
のんびりと上空を飛翔するトンビ posted by (C)ヒゲジジイ

ラベル:糖尿病
posted by ヒゲジジイ at 18:56| 山口 ☁| 糖尿病 | 更新情報をチェックする

2010年10月14日

板藍根についてのご質問および吐き気と下痢の漢方薬

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PA080961 posted by (C)ボクチンの母

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 30歳〜39歳の女性
簡単なご住所 : 中国・四国地方
お問い合わせ内容 : 初めまして。いつも、HPを拝見させて頂いてます。

 もともと、子供の頃から吐き気と下痢で、一時期治まっていたものの、間で症状が出てしまい、2006年に子供の嘔吐下痢がうつって入院してから、度々吐き気と下痢(週4日くらい)に悩まされています。

 2人目が出来てから(2009年7月)、授乳という事もあり、心療内科の先生に、漢方薬をすすめてもらい、◎◎の●●病院という所に、かかっています。(下の娘が預けれず、泣き喚くので、なかなか定期的に行けないのが辛いです)

 六君子湯や四君子湯でも、下痢は治らず、五苓散を調子の悪い時に飲んで吐き気は少しよくなりましたが、下痢は治っていません。

 西洋の薬より、漢方薬が自分には良いと思っていて、頼りにしていて、村田先生のHPを見つけて、いろいろ聞いてきた漢方薬の話が間違いだったと分かり、村田先生を信じております。

 そこで、『板藍根』が予防に良いと、村田先生のHPで見たのですが、子供の気管支が弱い(咳喘息持ち)事もあり、早速何軒かの漢方薬局に行ったのですが、『板藍根』を予防としてお茶で飲むのを知らない所や、0.5グラムずつ作ってくれて子供にも大丈夫と売ってくれたが村田先生のブログに書いてたカタカナの漢方薬を売っていたりだとか、胃をいためるのでお茶では無理という所。どこを信じて良いのか分からなくなりました。

 とりあえず、0.5グラムずつ包装してくれた物を買いました。そして、いろんな漢方薬局さんの意見があったので、ネットで『板藍根』について調べていたらこういう事を書いたHPがありました。jchs.exblog.jp/8173510/

 とても風邪予防がしたいのですが、私は、胃腸が弱く、娘は気管支が弱く、板藍根はやめておいた方が良いのか悩んでいます。村田先生のHPで、『板藍根』の事は予防に良いというのは、書いていたと思うのですが、『板藍根』に対する御意見はどのような物か知りたく、とてもお忙しい所申し訳ないのですが、質問させて頂きました。

 大変、長々とまとまりのない文章で申し訳ございません。13日は、回線の件で、混みあうと思いますので、もし先生がお返事を書いていただけるのなら、ゆっくりと待っております。

 吐き気と下痢には辛い思いをしており、子供が大きくなれば、山口まで通いたいと思う気持ちがあります。宜しくお願い致します。

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IMG_1760 posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:メール拝見しました。

 吐き気と下痢が続いていれば、体力的な低下も当然付随していると思われます。そのような状況下では、下関まで通うことは到底不可能であり、無理をされれば往復の旅程に過労から、漢方薬が効く前に病状を悪化させ兼ねません。

 ましてやそのお近くの病院にでさえ「下の娘が預けれず、泣き喚くので、なかなか定期的に行けないのが辛いです」と書かれるくらいなのですから、こちらに通いたい気持ちがあっても不可能であることは貴女ご自身のメール内容が証明されていますね(苦笑。

 ところで、ご質問の板藍根の件ですが、胃腸がそこまで弱ければ、板藍根以前の問題で、適切な漢方薬をもちいて胃腸をしっかり丈夫にすることが、免疫力をそのまま向上させるので、次第に風邪に対する抵抗力もできてきます。胃腸にほどほど自信が持てる段階になってはじめて考えるべきで、現状では吐き気と下痢が生じない丈夫な身体に改善する必要があります。

 吐き気と下痢という虚弱体質を歴然と証明するような病状では、速効は望めなくともしっかりピントの合った漢方薬を使用する必要がありますが、実際にはこのようなありきたりな病状に対しては、日本中のどこにでもある日本流の漢方薬の投与方法でも改善する可能性は高いものです。

 中医学を学んだ先生に出会うことこそ望ましいとはいえ、現実には中医学を学んでも実際に臨床応用できるようになるには相当の経験をつまなければなりません。
 中医学を標榜していても、頭でっかちで理屈ばかりが先立って、効果がイマイチという現実をしばしば目撃する昨今です。

 吐き気と下痢という、しばしば見られる虚弱体質の改善では、中医学を標榜していても理論と実際を一致させる能力が乏しい専門家の漢方相談を受けるくらいなら、むしろ熟練された日本漢方を行っている漢方薬局さんのほうが頼りになるかもしれません。

 それほど吐き気と下痢という苦しい症状でも、理論の乏しい日本漢方でも十分に治すことができるはずのものなのです。ですから、地元近辺の薬局さんで、漢方薬の販売だけで飯を食っているところに賭けて、頼ってみるのが現実的で最善のはずです。

 あるいは吐き気と下痢にも心気症(神経症の一種)の場合もあり、その場合は漢方薬に頼るだけでなく、精神療法的なものも受ける必要があるかもしれません。(但し、精神療法を受けるにしても、その専門家、つまりカウンセラー自体が常軌を逸した人だったという笑うに笑えない現実もありますので、相談相手には注意が必要です。)

 以上、とりとめがないお返事になってしまいましたが、取り急ぎお返事申し上げます。

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DSC_0567 posted by (C)ボクチンの母

おり返し頂いたメール:お忙しいところ、早々な御返事ありがとうございます。

 私の、胃腸の問題は、近辺の漢方薬局さんへ行って、治したいと思います。
 何種類か、飲んだのですが、吐き気か下痢かどちらかが治るようにはなりますが、
 両方の改善はまだ出来ていないので、いろいろ試してみたいと思います。

 心療内科には通っていました。今は、安定剤は飲まなくて良い状態になっています。
 ストレスも不安も感じず、体の疲れもない状態ですが、お腹の痛みのない下痢が続いています。
 村田先生のおっしゃる通り、これを改善してから『板藍根』の服用を相談してみます。

 6歳の子供と、旦那(今帯状疱疹がでています)は、今朝から『板藍根』を飲んでますが、メールさせていただいた、HPの内容を見て、飲ませていいのか分からなくなっていました。
 生後2ヶ月から大丈夫と書いている所もありました・・。

 村田先生のような漢方薬局が沢山出来れば良いのにと、せつに願っています。

 子供が大きくなったら、村田先生の所に行きたいと思っていますが、それまでに近辺の漢方薬局さんで治れば良いと思ってます。

 お忙しいところ、本当にありがとうございました。

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IMG_1084 posted by (C)ボクチンの母
posted by ヒゲジジイ at 20:31| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2010年10月13日

電話工事は午前11時前から午後6時過ぎるまでかかったっ!

イソヒヨドリ(メス)
イソヒヨドリ(メス) posted by (C)ヒゲジジイ

 7台の電話機と2台のインターホンの付け替えに午前11時前から午後6時過ぎるまでかかった。

 来店客はブログでお知らせした効果もあって店頭は閑散とし、午前中に美人のお馴染みさんがますます美人になって漢方薬類の補充購入に来られ、午後には年増の女性が来られたくらいのものだった。

 だから当然、午前中には息抜きにはなったが、午後からはとてもとても息抜きにはならなかった(苦笑。

 次回の工事は27日(水曜日)だが、光回線の導入が早過ぎたためか、わざわざADSLに変換して使用していたのを光回線オンリーに切り替えるための工事。
 外の工事に多少の時間はかかっても、店内の工事は一時間以内に間違いなく終わるとのことだから、本日のような開店休業状態にしないでも済みそうである。
 
 なぜか、通常の仕事よりも、遥かに疲れた1日だった。

ヒヨドリのボクチン
ヒヨドリのボクチン posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 20:21| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2010年10月11日

13日(水曜日)は電話機取替え工事のため、多少とも仕事に支障をきたすこと必至っ!

スズメバチ
スズメバチ posted by (C)ヒゲジジイ

 光回線を導入した時期があまりに早過ぎて、電話機との相性が悪く(些かの不具合もあり)、新しい機種に交換しなければならなくなった。同時にインターネット接続のパワーアップの工事も行なうので、それが13日(水曜日)の昼前から。

 連休で一日少ない今週のことだから、いつもより来客者や常連さんの電話、あるいはネットによるメール注文や相談にも多少の影響が出ることだろう。

 7台の電話機の交換とインターホンのビデオカメラ設置やネットの接続をパワーアップするために、13日だけでなく後日、もう一日工事が必要になるらしい(次の1日はいつになるかは不明)。

 薬局内や家に工事人が入るのは生活ペースが狂うので最も避けたいところであるが、交換設置後は様々な領域でパワーアップするそうだから、一時の不便は止むを得ない。

 ということで13日(水曜日)は、このブログを読まれた方は、甚だ恐縮ながら、なるべく直接来訪は避けて欲しい。といってもネットには無縁な常連さんたちのために店は当然開いている。

 メールでの交信は、返信が少し遅れる可能性は高いものの、必要なお返事は必ず行うので、お返事の遅延については、悪しからずご了承下さい。

 13日の不便を考えると今から憂鬱になる。

 それでなくとも憂愁の秋なのだから。
 欧陽子、夜にあたって書を読むに、声の西南より来たるものあるを聞く。悚然(しょうぜん)としてこれを聞いていわく、あやしいかな・・・・
             ━秋声の賦
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IMG_1445 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 18:19| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2010年10月09日

黄耆建中湯証とは無縁の不定愁訴だった

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IMG_0397 posted by (C)ヒゲジジイ

 前回のブログのお問い合わせの女性は、黄耆建中湯とは無縁だった。

 昨日、突然直接やって来られた。

 転載文の表現力でお分かりのように、聡明な女性だったから弁証論治に苦労はなかった。

 すくなくとも肝鬱血虚に脾虚不運湿をともなって軽度の浮腫傾向があり、しかも肝鬱化火が歴然とみてとれた。これだけ書けば、中医学の専門家であれば、はは〜んと頷けることだろう。

 でも、想像されるような単純な方剤だけで解決できるようなレベルではないので、今後も微調整しながら一工夫が必要になるかもしれない。

 といっても、類似した症例は例年多いばかりでなく、今年だけでもたくさんの中年女性で多く扱ってしっかり改善されている例ばかりだから、見通しはとても明るいはずである。

 いずれにせよ、黄耆建中湯証とは無縁の女性だったことだけは間違いない。

 蛇足ながら、9月6日のブログ「朝から真剣さの感じられない電話の問い合わせが続く」でお断りした人だった(苦笑。

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IMG_0157 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 01:21| 山口 ☔| 更年期障害・自律神経失調症や不定愁訴症候群 | 更新情報をチェックする

2010年10月07日

不定愁訴で一ヶ月服用して症状の改善が見られない場合でも同じ漢方薬を続けるべきか?

ジョウビタキ(メス)
ジョウビタキ(メス) posted by (C)ヒゲジジイ

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 30歳〜39歳の女性
簡単なご住所 : 九州地方
お問い合わせ内容 : はじめまして。

 現在、●●市内の漢方薬局にて漢方薬を処方して頂いておりますが、村田先生のお考えを聞かせて頂きたく、メール致しました。

 症状は胃酸過多・胃下垂・便秘・汗かき・のぼせ・浮腫・頭痛・頭重です。
 少しでも症状が緩和出来ればと思い、胃腸科・産婦人科等で検査をしましたが特に異常は無く、対症療法で薬を処方されるばかりでした。最終的に心療内科へ行き、緊張が原因だからと抗不安薬を勧められ、病院での限界を感じ、漢方薬局へ伺った次第です。

 五年前にB型急性肝炎を患い、抗体が出来て完治に至り肝機能の数値も正常に戻ったのですが、出来るだけ肝臓に負担をかけたくないという理由からです。現在、処方されているのは桂皮・芍薬・干薑・大そう・甘草・膠飴・黄耆で、脾の陰虚熱によるのぼせ他に効果があるとの事です。

 朝晩の空腹時に飲み始めてまだ一ヶ月ですが、身体の変化は良くも悪くも何もありません。

 先生へ聞いたところ「長年の積み重ねがあるので、なかなか効果は出ない。子供でも三ヶ月、大人だともっと長い期間を要する。悪い影響が出ない限り、今の処方で飲み続けて下さい。」との事でした。
 自分の見立てが間違っているとは思えないとの事で、村田先生の様に十日ごとの微調整はされない方針の様です。

 そこで質問なのですが、このように最初の見立てのまま長期間飲み続けなければ効果を発揮しない場合があるのでしょうか?

 村田先生のおっしゃる渡り鳥にならない様に、しかし、しっかりした漢方薬局へ通いたいという思いとの間で、どう行動すべきか分からず困っています。今の漢方薬局がしっかりしている薬局なのか、他の薬局へ行くならどの段階なのか、自分で判断出来ないでいます。

 村田漢方堂薬局へ伺いたい気持ちもあるのですが、実はネットで先生のブログを発見してちゃんと読み進める前に、ちょっとお尋ね電話をしてしまい勿論お断りされたという経緯があり、未だ勇気が出ないのが現状です。

 その節は御手を煩わせてすみませんでした。お時間のある時で結構ですので、返信頂けると助かります。宜しくお願い致します。

コムクドリ
コムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール: ちょっとお訊ね電話を下さったことがあるそうですが、どの電話であったか受付嬢も記憶がないことでしょう。すべてお断りの対象となる「ちょっとお訊ねですが」のお電話は日々尽きることがありません(笑。

 ところで貴女が現在、服用されている漢方薬の処方名は黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)という処方ですが、九州では処方名を教えてくれない薬局さんが多いようですね。配合成分を教えてもらえるだけまだマシかもしれません。
 現在の症状は、いわゆる不定愁訴症候群のようですが、女性であることにも配慮した弁証論治が必要であると思います。

 症状の中に浮腫とありますが、浮腫の程度と内容によっては、黄耆建中湯の場合、甘草や膠飴や大棗によって余計に浮腫が悪化する場合もありえます。
脾陰虚による虚熱があると解釈されているようですが、それがどうして脾胃の虚寒証に対応した黄耆建中湯となるのか疑問ですが・・・。

 前置きが長くなりましたが、ご質問の「最初の見立てのまま長期間飲み続けなければ効果を発揮しない場合があるのでしょうか?」に対するお返事。

 不定愁訴症候群のような様々な症状がある場合、すくなくとも一ヶ月以内に一つ二つくらいの改善がみられなければ、その後も、そのまま同じ方剤を続けても効果が出るとは考えにくい、ほとんどありえないことでしょう。

 残念ながら、もしかしたらロクデモない先生に出くわしたのかもしれません。

 なお、当方では7〜20日毎(関東地方の場合では内容によっては一ヶ月毎くらい)のペースでしばらく通える人でなければ、一部の例外(常連さんやお馴染みさんのご家族の場合は例外)を除いて、すべてお断りさせて頂いています。
 当然、安定した効果が得られ、配合パターンが決まってからは遠方ゆえに、一ヶ月毎に、あるいは数ヶ月毎のまとめ買いペースに切り替える人もザラです。

 もちろん今現在でも近畿地方や中国地方や九州を含めた隣県レベルでは7〜15日毎に通われて順調に寛解中の人はたくさんおられます。
 関東地方の人達は一ヶ月毎のペースの人もおられますが、たまたまその方が都合の良い病状でもあったりします。

 さいわいなことに、現在のところ渡り鳥らしき人は僅少です。
 もしも渡り鳥さんが混じっていても、結局は渡り鳥さんでうまく行くケースは希です。
 渡り鳥さんたちは、少しくらいの効果ではなかなか忍耐が続かず、直ぐに息切れして去ってしまいます。

 貴女の場合、当方に遠路はるばる来られることを考えなくとも、よくある不定愁訴症候群のようで、あまりにもありきたりな症状ばかりのように思えますので、地元の漢方薬局でも十分、見立てのできる漢方薬局があるはずです。(但し、配合には数種類の方剤が必要になる可能性が高いと思います。)

 以上、取り急ぎお返事まで。

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IMG_9798 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 23:18| 山口 ☁| 更年期障害・自律神経失調症や不定愁訴症候群 | 更新情報をチェックする

2010年10月05日

渡り鳥がいつまでも渡り鳥を止められない理由

コムクドリ
コムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

 最近、5〜6年以上も同じ漢方薬局で頑張ってほとんど改善がみられずに、意を決して当方にやって来られた人が、さいわいにも初回から一定の効果が出て大いに喜ばれている。

 これまでの傾向としては長期間同じ漢方専門医院や漢方薬局で継続して頑張りながら、効果がほとんどみられないため、遠路はるばるやって来られたという場合。
 もともと頑張り屋さんたちだから、こちらも落ち着いて相談を受けることができ、複雑で裏読みが必要なケースでさえ、次第に改善がみられるのが通例である。

 少なくとも他所で2年以上も通い詰めて効果がほとんど見られない場合は、行き詰っている証拠であるから、場所変えも当然といえそうだが・・・

 ところが渡り鳥さんたちと来たら、数ヶ月も同じところで頑張れないから、直ぐに効果が出ないと転々と場所変えして留まるところを知らない。

 これでは相談を受けるほうも、はなから「また渡り鳥さんかっ」と、先入観も手伝って弁証論治の創意工夫に本腰を入れようにも、戦意が高揚しない。

 石の上にも三年どころか、砂の上にちょっとだけ3ヶ月。

 まるで砂上の楼閣的な生き方に見える。その人の人生観と無関係ではないかもしれない。

 実を言えば、昨年来渡り鳥さんたちが激減して留鳥さんばかりが続いているのだが、そろそろ渡り鳥の季節なので気を付けなければならない。
 上掲の写真のように、例年にはみられないコムクドリが旅の途中なのか、下関で羽を休めているが、渡り鳥の性質上、三ヶ月も留まらないかもしれない。

コムクドリ
コムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 20:26| 山口 ☁| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2010年10月03日

葛根湯は急性であれ慢性疾患であれ速効性が身上

スズメのボクチンたち
スズメのボクチンたち posted by (C)ヒゲジジイ

おたより:前回のブログで登場された葛根湯で速効が出た女性

 その後、葛根湯は1日定量を2〜3回とっています。胸の痛み自体は消えているのですが、これを飲んでいると、体が緩むので、心地よいのです。

 よくマッサージなどで、凝ってますね〜と言われていたのに、自分では全く自覚がなかったのですが、葛根湯を飲んでいると、凝りを感じることができるようになりました。

 今までそんなに力を入れて生きていたのか!世間の人は意外に楽に生きていたのかも、と妙な気づきも起こっています。
 休みの日も時間があっても力が抜けず、頑張って色々やろうとしていたのですが、葛根湯をとってると、自然にゴロゴロとゆっくりしたくなります。
 いい意味で脱力して、生きていけそうです。

 本当にここにきて初めて、漢方薬の偉力がわかりました。
 ありがとうございました。

ヒヨドリのぼくちん
ヒヨドリのぼくちん posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:葛根湯がフィットする場合は、もともと速効性が出なければ葛根湯が適応とはいえない証拠で、フィットしている場合は、かなりな速効が得られる方剤です。

 ほとんどの人が1回の服用で効果を感じ、数回飲めば効果は歴然とします。

 但し、それだけに症状がほどほど改善されて以後は、常用した方がよい場合と、折々に適宜の使用こそ適切で、常用すると効き過ぎて却ってバランスを失う場合もあります。

 少量を常用してちょうどよい人、規定量を常用した方がよい人も時におられますが、折々に必要に応じて適宜、あるいは頓服的に数回以内の使用でしばらく休むという方法が適切な場合もあります。

 常用した場合は、バランスを失って効果が激減したり、身体が温まり過ぎて中止したくなる場合は、漢方薬に慣れた人なら直ぐに気がつくはずです。

 ご自身はどのタイプであるか、飲んだり中止したりしてさぐってみて頂きたいと思います。

ヒヨドリのボクチンがまっしぐらに寄って来る
ヒヨドリのボクチンがまっしぐらに寄って来る posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 22:32| 山口 ☁| 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする