2010年09月17日

夏バテについて

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IMG_5648 posted by (C)ヒゲジジイ

おたより:東海地方の美人女性薬剤師

 大変ご無沙汰いたしております。

 凄まじい暑さがやっと一段落して、熟睡できるようになり、散歩をしていても心地よく”こんなに素晴らしい世界があったのか・・・”と思えるほどです。
 この異常気象が体に与える影響を考えると恐ろしいものがありますね。

 この夏は、動悸、息切れ、浮遊感、頭冒、目のかすみを伴った眩暈発作に悩む方が例年の5倍ほどありました。
特に普段からパニック症を持っている方や起立性低血圧の方ではその傾向が強く、今年は地獄の夏だったようです。

 標治として、釣藤鈎、石菖蒲、白彊蚕、白菊花等が入った処方+半夏白朮天麻湯
 本治としては、補中益気湯や加味帰脾湯、生脈散

の系統が飛ぶように出て行きました。

 また、クーラーが効き過ぎたスーパー等で急激な気温変化による眩暈発作を起こす方には桂枝湯や柴胡桂枝湯を持ち歩いていただき、頓用していただきました。

 そもそも夏バテとは一体何なのかを考えていた結果、ある自論にたどりつきました。

 この夏のように、気温が体温を超えると、体は体温の上昇を防ぐために、末梢血管を開き体表面に血液を動員して発汗冷却を促進しようとします。
 その結果五臓や脳への血液分布が減少し、内臓が冷え、解毒代謝、異化、同化等の働きが低下するために、疲れがとれないのでは・・・・?

 特に今年は夜になっても気温が下がらなかったため、就寝時に内臓へ集まるべき血液が相対的に不足し、慢性的な疲労が蓄積したように思うのです。
 そして、陽虚、気血両虚、陰虚の方では、その閾値が低いために、外界の環境変化に影響されやすくなります。

 またもうひとつのキーワードは三焦です。
 三焦は気と水の通路なので、外界と体内を結ぶ情報網かつ体液コントロールシステムと理解しています。
 従って、この重要なパイプが邪で塞がれると、眩暈、ほてり、動悸等のいわゆる自律神経症状が容易に起こりやすくなるのでは・・・。

 お話は変わりますが、今年熱中症が多発した原因として、梅雨明けから気温が急上昇したために、暑熱順化がうまく行く期間がなく、汗腺の働き(水分は出すがナトリウムを再吸収する)が低下していたことがあるようです。

 私は、自汗はこれのことじゃないかな???と思っているんです。

 体に良い汗と悪い汗があるようですが、自汗や盗汗の汗と、運動時の爽やかな汗とでは、中身の成分がどのように違うのだろうか・・・・というのも興味深いところです。(笑)

 お忙しいのに、独り合点なしょうもないお話をしてお時間をさき、申し訳ありませんでした。
 そういえば、関東の内科医の先生は、ひげ先生をお訪ねになられたのですね。
 素晴らしい行動力の先生ですね〜。

 ご開業間近とか・・・・ブログ仲間としてお祝いしたい気持ちです。

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IMG_6703 posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:おたよりありがとうございます。
 とても興味深い分析、ブログを御覧の皆さんにもとても参考になることと思います。

 個人的により興味深かったのは、汗の分析です。それに関連して、アトピー性皮膚炎患者さんの多くは、ある程度寛解した時点においても、汗をかくと汗に反応して痒みが勃発するといわれます。

 そしてアトピーが安定した寛解状態を維持できるようになると、汗に反応しなくなる・・・・気津の交通路である少陽三焦の重要性については、日本漢方とは無縁の世界ですね。
ヒゲジジイの中医漢方薬学は、中医古方派の言い換えでもありますから、ここでは猪苓湯が重要な役割を果たすのですが、他剤との配合比率がとても重要課題となります。

 ともあれ、ブログにご協力ありがとうございます。
 最近、おたよりがなかったので、そろそろブログにご協力してくれないかな〜〜と首を長くしてお待ちしていたところでした(笑。

 関東の先生は、予告ナシに来られましたが、ヒゲジジイにはこれが一番です。

 本日も関東から漢方相談で泊りがけで来られた方がおられましたが、よく心得られていて、この方も予告なして来られました。
 ヒゲジジイに電話をかけるとほとんど断られることを皆さんよくご承知です(苦笑。

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DSC_8783 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 23:26| 山口 ☀| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする