2010年04月11日
辛夷清肺湯証と小青竜湯証の鑑別が必要なことも多い
おたより:北海道の登録販売者の●●さん
拝啓 ご無沙汰しております。北海道の●●です。
4月も半ばに入りつつありますが下関市の方はだいぶ暖かくなっているのでしょうか。ブログ拝見しましたがそちらは桜が満開のようできれいですね。
こちら北海道も空が青々となり、春を感じる日が増えてきています。例年、ゴールデンウィーク期間中頃から桜が見ごろとなる地域が多いので、花見はまだまだ先ですが過ごしやすくなってきました。
写真は3月中旬に連休がとれたので小さい愚息、愚娘達をひきつれ洞爺湖温泉で一泊した帰りにオロフレ峠で撮った北狐です。
3月半ばでも山頂付近は−10℃以下で一面の銀世界。そんな極寒の中でもたくましく生きていました。もちろんエキノコックスが怖いので 車内からの撮影です。
さて、今回は花粉症のことです。北海道も4月に入り、遅ればせながら1日に数人は花粉症に効く薬はないかとたずねてきます。その中で病院で漢方を処方されたけど効果がなかったという方が相当数おられます。
話しを詳しく聞いてみると、ほとんどの方が何らかの診察のついでに花粉症の薬を出してもらっているようでして、その多くは小青竜湯でした。
自分は村田先生のブログを隅から隅まで見させて頂いていますので、すぐに、小青竜湯で効果がないならアレかと気づきます(苦笑)
そうです、辛夷清肺湯証と小青竜湯証の鑑別です。
「津液が鼻や肺に停留する暇がなく、肺気が上逆してクシャミによって頻繁に鼻汁が排出されたり、咳嗽によって喀出されるような場合は、熱盛の状況であっても津液が熱で煮詰められ濃縮される暇がないので水様性の希薄透明な喀痰や鼻汁がみられることになる」
(ヒゲジジイ注⇒重要参考文献:
意外に鑑別が困難な「痰熱」と「寒飲」)
村田先生の言われていた上記の文が頭に入っていたので、これはと思いよく説明したうえで、辛夷清肺湯のOTC薬であるチクナインを試してもらうとほとんどの方が軽快にむかいました。鼻の症状の他に目の充血や痒みも伴っている方には銀翹系の方剤を併用してもらい効果を上げています。
尚、患者の体質を診ずに花粉症=小青竜湯という、いかにもMRの話しを鵜呑みにしたような病名投与に関しては、またかという思いなのであえて触れません(笑)
それにしても多分に気づかされるのは、漢方薬はすべて体質改善につながると思われている方が多いことです。「小青竜湯も飲み続ければ花粉症になりづらいんでしょう?」と聞いてくるお客様もかなりいまして、そのたびに標治と本治について説明しています。
また、村田先生が2月にブログで載せていた「お茶代わりの漢方薬」ですが、この手の方はドラッグストアにも来られます。こういった方々のほとんどは生薬が1つでも入っているお茶なら漢方薬と誤認している方がほとんどです。
つまり、センブリ茶やドクダミ茶も漢方薬と思っているんですね(苦笑)
長くなりましたが辛夷清肺湯証と小青竜湯証の鑑別について、勉強させて頂きありがとうございました。
今後も先生の知識の一部を盗みに来ますのでブログの継続よろしくお願いします。
桜とヒヨドリ posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:おたよりありがとうございます。
北海道と下関では季節の推移が大きく異なるでしょうね。こちらは桜が満開で、そろそろ数日後に控えた雨が降れば散ってしまいそうな情況です。
花粉症は一ヶ月前から症状が出ている人が多いようですが、当方には花粉症だけの相談で来られる人は稀で、他の重い慢性疾患のついでの相談ばかりです。
ご指摘の辛夷清肺湯ばかりでなく、タイプによっては藿香正気散や玉屏風散や茵蔯蒿湯や猪苓湯などもしばしば使用する機会が多いことと思います。
村田漢方堂薬局ではたとえ小青竜湯証に見える場合でも、適応する喘息でも合併してない限りは、藿香正気散を使用します。
なお、数年前のブログにも記載したとおり、舌の奥に黄膩苔がある人には茵蔯蒿湯で目の痒みが速効で軽減する確率がとても高く、一部の人ではすべての花粉症がこの方剤のみで治まる人もおられます。
現実的には蓄膿症で通っておられるような人には、やはり辛夷清肺湯合茵蔯蒿湯に猪苓湯というケースもよくあります。
といっても花粉症だけの一時おさえでよい人達はほとんどお断りしていますが、さすがに一年中あらゆる花粉に反応する深刻な体質の人の御相談には必ず真剣に応じています(苦笑。
そのような人にはもちろん正確な弁証論治によって次第に軽減していきます。
ともあれ、北海道らしい珍しい写真の添付、ありがとうございます。早速ブログにも掲載させて頂きます。
お陰さまでブログに気合を入れることが出来ます。
コゲラ posted by (C)ヒゲジジイ
おり返し頂いたメール:ご返信ありがとうございました。
ご指摘の辛夷清肺湯ばかりではなくという点、先生のブログ拝見後は肝に命じています。可能な限り弁証に神経を使い、状態に応じてに茵陳蒿湯やカッ香正気散も使用することもあるのですが、北海道と言う寒冷地の特色とも言いましょうか、寒い外から暖かい店内にこられるとサラサラの鼻水になる方が多く四苦八苦しています(苦笑)
自分の場合はまだまだ知識不足、経験不足ですし、ドラッグストアには風邪や下痢などの急性のもので来られる方が多いことから慢性疾患に対する体質改善などへの対応は追いついていない状態です。
先生が言われる、「現実的には蓄膿症で通っておられるような人には、やはり辛夷清肺湯合茵陳蒿湯に猪苓湯というケースもよくあります。」
これも自分の弁証力では未だ判断できないです。生兵法は怪我の元
なので、自分に知識がない分野に関しては、申し訳ない気持ちを持ち
ながらOTC薬や漢方薬局に行ってみることお薦めしています。
それでも毎日、中医学や漢方薬の参考書を見ながら少しずつお客様
にも対応できるようになってきているので、これからも頑張ります(笑)
それでは、またメールさせて頂きますね。
ヒヨドリと桜 posted by (C)ヒゲジジイ
メジロとこれは桜ではありません(苦笑 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 16:06| 山口 ☁| 小青竜湯の誤投与や乱用による不快反応や副作用
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