2009年12月14日

中医学の学習方法についての御質問

カワウ
カワウ posted by (C)ヒゲジジイ

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 30歳〜39歳の男性
簡単なご住所:関東地方
具体的な御職業 : マッサージ師 登録販売者
お問い合わせ内容 : ●●●にて指圧治療院をしております◎◎と申します。

 私が学んだ指圧の創始者である先生は、もう亡くなられてしまったのですが、著作の中で吉益東洞の腹診を書いておられたので興味を持ち、漢方薬に興味を持ったしだいです。
 私も指圧にてお腹の指圧をするので、漢方と途中まで同じだから楽かも・・・何て簡単に考えておりました。

 ところが登録販売者の資格を取ろうと決意した頃に、先生のブログに出会い、漢方と中医学の違いを知ることとなり、登録販売者の試験勉強そっちのけで、先生の勧めておられる、張 瓏英先生の「中医学概論」や神戸中医学研究会の「基礎中医学」などを読み勉強を開始しました。また「中医病因病機学」は注文いたしました。

 そこで質問1です
 これまで読んできましたが、まだ殆ど理解できません・・・今後どの様な本や、勉強方法、などがありますでしょうか?

 指圧やカイロプラクティックは師匠に付いたのですが、今からまた漢方薬局に入りなおすのも困難ですし(一度は考えましたが)。現在○○○○会に入り、月に二回土曜日3時間ほど勉強していますが、そんなもので身に付くほどやさしいものじゃない事は、分かって来ました。

 村田先生が勉強されていた頃のことでもかまいませんので、何か参考になる事を教えていただけますでしょうか。
 また現在私は医薬品販売業の許可証も取りましたが、薬は全く扱っていない状況です。

 そこで質問2です
 今後少しずつ漢方薬を取り揃えて行こうと考えておりますが、指圧院という性格上、ぎっくり腰、肩こり、膝の痛み・・・がメインの患者さんで来て頂いております。疏経活血湯などは腰痛などに病名漢方的にも大丈夫との事ですので、準備しようと考えておりますが、先生のブログには会社によって漢方薬の性能と言うか性質が違うと書かれておりますが、ここなら安心だよと言う製薬会社はどこになるのでしょうか?

 不躾な質問で申し訳ありませんがお時間のある時の、暇つぶしにでも先生のご経験から教えていただけたら幸いです。

カワウ
カワウ posted by (C)ヒゲジジイ

御返事メール:ご質問の件ですが、あまりご参考にはならないお返事になると思います。

 ヒゲジジイはもともと人に教わるのが嫌いで、何事も自分で調査して納得しなければ、物事を理解できない性分です。「理解」というのは自分なりの流儀で物事の本質を理解しなければ気が済まないわけです。

 人に教わるのが嫌いな頑固者であってみれば、必然的に書籍類に頼らざるを得ません。それゆえ、古方派時代から家計を顧みず、毎月分不相応な経費を費やして書籍類を買い集めて濫読を重ねました。

 当時の古方派には寒熱理論の重要性を蔑ろにした、今から思えば何とも幼稚な民間療法に毛が生えたレベルのものでした。
 現代日本古方派の実質的な開祖、吉益東洞翁は、当時梅毒治療が主流でもあり、しかも中国医学理論をすべて切り捨てる暴挙を行った偉人ではなく無謀な奇人です。

 アドバイスできるとしたら家計を潰すほど、日本で発売されている中医学書籍のみならず、中医学の中国語で書かれた専門書籍類を少なくとも10年、できれは三十年以上買い漁りつつ、これはと思われる部分を拾い読みでもよいから、濫読し続けて、自分なりの中医学観を頭の中で構築する必要があると思います。

 小生の場合、そんな中で出あった書籍で、濫読によるバラバラの知識を一気に実用的な方向に導いてくれたのが日本の書籍では張瓏英先生の著作類、中医学原書では陳潮祖先生の「中医病機治法学」(四川科学技術出版社)や瞿岳雲著著「中医理論弁」(湖南科学技術出版社)でした。

 但し、現実的な漢方相談においては、西洋医学治療で治らない人達ばかりのご相談では、なかなか教科書通りの典型的な弁証分型通りの人は僅少で、ほとんどが様々な病型が輻輳しているので、応用問題の連続であることが現実です。

 だから濫読ばかりしておけばよいというものでもなく、最終的には日々の実践的な訓練と創造性をいかに発揮するかが問題です。
 常に基礎理論にもとづきながらも、自身での試行錯誤のみならず思考錯誤の繰り返しの毎日となり、今日もそれが続いている訳ですから、日暮れて道遠し、というのはヒゲジジイの為にある言葉のように思われてなりません。

 以上のように他の人の勉強の参考になるようなアドバイスは不可能です。

 なおメーカーによる漢方製剤の優劣については、営業妨害になりますので、お返事は出来ません。ご自身で実際に比較検討されるべき問題だと思います。
 一つだけいえることは、白朮であるべきところを安物の蒼朮で代用するような低次元の学識レベルの製造メーカーは避けるべきでしょう。医薬品製造メーカーとしての良心まで疑われます。

 以上、取り急ぎお返事まで。

今にも降りそうな曇天下のアオサギ
今にも降りそうな曇天下のアオサギ posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 23:56| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする