2009年12月05日

漢方薬専門薬剤師の悲哀

ムクドリ
ムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

おたより: 東海地方の女性薬剤師

 いつも、先生のブログに登場する可愛い鳥さんたちや、ボクチンの超可愛い写真にとても癒されています。
 ボクチン、すっかり元気になって、ネズミさんのおもちゃで遊んでいる様子や、愛くるしいおねだりポーズにぞっこんです。
 先生のお気持ち、とてもよくわかります。
 私も、自分の気持ちを誰よりもわかってくれるのは、我が家のネコちゃんたちです。

 先生もいつかブログに書いておられましたが、こちらも何でこんな遠くまでわざわざ・・・・と思われる新人さんや、常連さんのご紹介で、”漢方でインフルエンザを治したい!”という方がドヤドヤと訪れ、電話はひっきりなし、インフルエンザと思われる方が、駐車場の車内で待機、待機・・・と対応に追われ、とうとう自分も牛黄製剤にお世話になる毎日です。
 クタビレとネタ無しで、メ〜ルすることもできず、ご無礼ばかりしておりました。


 最近の話題はやはり、インフルエンザです。
内科の先生もおっしゃっているように、殆どの方が銀翹散系列の処方で快方に向かっています。
 ただ、銀翹散のような風熱というよりも、こちらの方は風湿熱が多く、その点タンポポ茶や麻黄剤を少量足した方がうまくいっています。

 また今年は、竹茹温胆湯もかなり使っています。湿や痰絡みがこちらは多いです。
 その他、麻黄附子細辛湯もよく動いていますが、未だに純粋の麻黄湯の症例はありません。

 更年期で陰虚傾向にある方で、初期の手当てが悪かったために、邪気が中へ入ってしまい、その後なかなかスッキリと治らず、上熱下寒の症状で悩まされている方がとても多いのも特徴かもしれません。
 頭がのぼせて熱感があり、フワフワと眩暈、頭が塞がった感じでまるで中風でも起きたかのような症状です。足先は氷のように冷たく、体が上下に分断されているかと思うほど・・・・・。
 今日もこの症状の方が何人も訪れ、引火帰元の湧泉温灸と八味地黄丸であっけなく治ってしまいました。

 まだまだこちらのインフルエンザは下火にならず、当分バタバタが続きそうです。
 養生もされ、お薬も何種類も常備されている常連さんは元気そのもので、その点は救いですね。
 インフルエンザなどでバタバタすると、久病で深刻な方のご相談にひびき、考え物ですね。

 年末、何かと気忙しくなります。
 先生もお体大切に、ご自愛くださいませ。
 患者さんのみならず、同業の方の中にも先生のファンは多いですね。
 それも先生にはうっとおしいことなのでしょうが、とにかくお元気でいてください。

ムクドリ
ムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール: 当方では「急性疾患の場合は一見(いちげん)さんお断り」ですので隣県の常連さんが新型インフルエンザに罹って、病院のタミフルと天津感冒片および板藍茶で二日で速治の女性と、地元の大学生がそれらしき病状で同様な方法(受診しないのでタミフルなし)で速治があったのみです。そのほかの常連さんもお馴染みさんも新型に罹ったという報告はいまだにありません。常連さんたちは漢方薬による予防が徹底しているので、誰も罹りません。

 それにしても先生の新型インフルエンザの弁証論治の内容は、専門家にとっては大いに参考価値の高い内容ですねっ!

 ところで引火帰元の治療法則が必要な治験例の御報告、とても興味深いお話です。
 こちらでよく見かける同様の症状では、病機が異なるようで、加味逍遥散に茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の併用が適応する病状に見えます。舌質が紅でオケツの兆候もあり、茵蔯蒿湯の活血化瘀作用により手足の冷えも速治する例も多見します。恐らく地方的な環境の違いが大きいのですねっ!

 当方で最も相談が多いのは相変わらず癌サポート関連ですが、今年は超最高の成果が得られた人が続いて漢方薬の威力をあらためて実感しているところです。
 命に関わる疾患だけに、過剰なくらいに感謝して下さる人もあれば、アレレっと思うような人もあり、人の世は様々であること・・・これが最悪のコースを辿っていたら、御家族からどういう反応をされたのだろうかと思うと、変に神経質になって、もう引退して山に篭ろうか?と真剣に考えるときもあります。

 難病関連では脊髄小脳変性症の人達が複数、同様に進行を食い止めるだけでなく、明らかな改善効果が得られていることも、難病に対する弁証論治の強みを実感しているところです。

 ともあれ、漢方薬による癌サポートの長年の蓄積で、根治した人達から紹介されて来られる人が途絶えることがないので、来年早々にも新発売される補気建中湯エキス製剤が活躍する場も増えることと思います。

 先生はとても気品のある美人といえども、もうそれほど若くはないのですから、あまり無理をされないように・・・と、ひとこと余計なことを書いて失礼致しました。

DSC03385
DSC03385 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 11:56| 山口 ☁| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする