2009年12月31日
アトピー性皮膚炎患者には痩せの大食いが多いのはなぜか?
紅葉の名残 posted by (C)ヒゲジジイ
食い意地が張っている人が世の中には多過ぎるっ!
生きるために食うのか? それとも食うために生きるのか?
ヒゲジジイなどは明らかに前者だが、豊かな日本に住まう多くが後者であるから情けない。
食えば太るのは当たり前。
過食と運動不足をあらためないで、ダイエット・ダイエットと意味不明なサプリメントやピント外れの漢方薬(防風通聖散など)に走ったところで痩せるはずもない。
ところで食っても食っても太れない、あるいは太らない体質の人達の中にアトピー性皮膚炎患者がとても多い。
言い換えれば、アトピー性皮膚炎患者さんの多くは過食傾向が強く、食い意地が張って過食ばかりしているのに、その割には太らない体質者が断然多いという印象が強い。
アトピー性皮膚炎をはじめ、慢性疾患の多くが冷えが原因であると、いかにも幼稚な考えが席巻しているようだが、まったくもって理解に困しむところである。
アトピーに限らず多くの慢性疾患の原因は、@呑兵衛さんやA食い意地が張ってB運動不足になり、C人間関係のストレスに神経を消耗することに違いない。
アトピーではAの食い意地の影響が大きく、Cはあらゆる疾患の大きな誘引となる重大事であると思われる。
前置きがあまりにも長くなってしまったが、せっかくピントの合った漢方薬を提供しても、食い意地が張っているために、どうしても食事の不摂生が改善できず、一人前以上は食うなと厳命しても、意地でも守ろうとしない連中は、せっかくの漢方薬の改善効果も激減する。
中には、最初の三ヶ月間はどうしてもヒゲジジイのアドバイスに従えなかった女性が、その後に突然自覚して、徹底的に食生活の改善と日用品の改善を行なったところ、その後の三ヶ月間で劇的に9割以上の改善を得た人もいた。
例外的に毎日の缶ビール二本が止められず(アル中ではないかと疑われるほどだが)そんな不摂生でも重症のアトピーが一年半で8割以上の改善を得て、その後は1日2回の漢方薬の服用を持続して9割の寛解状態を維持している人もいるが、これなどは例外中の例外である。
本日のタイトル「アトピー性皮膚炎患者にはやせの大食いが多いのはなぜか?」という命題に対する解答は、いつも皆に説明しているように、分かりやすく極言すると、不必要に食い過ぎて過剰となった栄養素が毒素に変化して皮膚表面に吹き出ている、とでもイメージすればっ。
正月だからといってハメを外して食うために生きる生活を続けていると、そりゃ〜大変なことになりますよっ!
今朝のシジュウガラ(シジュウカラ) posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 23:49| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2009年12月28日
前回の続き:インフルエンザに対する弁証論治
オオタカ(幼鳥) posted by (C)ヒゲジジイ
北海道から折り返し頂いたメール:ご返信ありがとうございました。自分の拙い経験談でよければブログへの転載宜しくお願いします。
ただ、拙いとはいえ、中医学の基礎で足元をかため、先生の知識を武器にしていましたのである程度の自信はありました!
反面、経験不足から不安もありましたが(苦笑)
尚、ご指摘の通り、一番参考にさせて頂いたのは
「風邪(インフルエンザも含む)の一般的な治療方法私案」です。
ただ、猪苓湯を加える知識を得たのは村田先生自身が風邪をひかれた体験談を述べている筆者13年ぶりの高熱体験記←もしかしてインフルエンザ? からです。
妻も小便の出渋りがひどかったので猪苓湯も加えたのですが効果は覿面でかなり楽になったようです。
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>> 先生に言わせれば各メーカーの製品の優劣を指摘されるでしょうが
>
>とありますが、それ以前に弁証が間違っていれば、たとえ優秀な製剤を使用しても、子効果が出るわけがありません。
>
> とはいえ、煎じ薬や生薬を直接扱った経験が長ければながいほど、エキス製剤の品質の優劣も敏感に分かるものです。生薬を直接扱ったり、煎じ薬の製造経験がなければ、エキス製剤の優劣の鑑別はほとんど不可能だと思います。
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弁証に関しては日々中医学書を繰り返し読み、習得に努めていますが、難しいと実感しています。こればっかりは経験を積んでいかないとだめですね。
尚、エキス製剤の優劣の鑑別は漢方を専門としている薬剤師や医師以外は不可能であるとことは十分に理解していますので、先生の指摘されている白朮と蒼朮の違いなど、登録販売者でもできる範囲で良い物を使用できるようにしていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします。
以上、要件のみのご連絡で申し訳ありませんが取り急ぎ返信まで。
さらに2009年12月25日のブログ掲載後に頂いたメール:ブログへの転載と万葉板藍仙の私見を拝見しました。
先生の私見を拝見して恥ずかしくなりました・・・。よく考えれば分かりますよね、銀翹解毒散に金銀花はかなり含まれており、あえて追加する必要はないですね。
晶三仙についてもご指摘頂いて、またひとつ知識を得ることができ、ありがとうございました。
今後同様なことが起きた場合は、余分なものを含まない板藍根単独のものを使用するように心がけます。
ちょっとしたことが大きな差となって現れるのが中医学の面白いところでもあり、難しいところでもありますね。
ご迷惑でしょうがまた何かしら機会があった時はメール出させて頂きますのでよろしくお願いします。
オオタカ(幼鳥) posted by (C)ヒゲジジイ
ヒゲジジイの御返事メール: もっと早くブログに転載させて頂く予定が、うっかり早く寝込んで、おまけに早朝はジョウビタキの撮影に夢中になっていたら、開局後は次から次への新人さんたちが続くので閉店までにへばってしまいました(苦笑。
さきほど漸くアップでき、また追記として御覧になった通り「万葉板藍仙の私見」も追加しましたので、ご連絡しようと思っていた矢先にメールを頂き、ご報告が遅れて申し訳ない次第でした。
ところで、アップする前に再度ご報告を読ませて頂きましたが、温病特有の発汗をしている子供さんの新型インフルエンザに対して、自信満々で麻黄湯を処方する医師がおられるとは、本当に驚愕ものですねっ!
このような誤治を知らずにそのまま服用されていたら、最悪の場合は脱汗して亡陰亡陽により命の危険さえ伴う懼れナシとしません。
実に恐ろしい医師もいるもので・・・といっても、日本全国のほどんどの医師は同様な漢方知識レベルなのですから、日本全国で保険漢方を投与される医師の漢方レベルはすなわち某メーカーの学識レベルと連動しているわけですから、これまた恐怖キョウフとしか言いようがありません。
ともあれ、このたびはヒゲジジイが長年の実践例から割り出したインフルエンザの対処法を参考して頂き、その信憑性を高めて頂ける貴重なご報告の数々、とても嬉しい限りでした。
オオタカ(幼鳥) posted by (C)ヒゲジジイ
折り返し頂いたメール:お忙しい中、返信頂いて恐縮です。先生が多忙なのは十分に承知していますので自分への返信などいつでも構いません。
また、自分の今後のメールについては承諾など必要ありませんのでブログに転載される部分があればよろしくお願いします。
ところで、先生が言われた「温病特有の発汗をしている子供さんの新型インフルエンザに対して、自信満々で麻黄湯を処方する医師がおられるとは、本当に驚愕ものですね」ですが、実際にはかなりいると思います。
今回、自信満々に麻黄湯を出しておくと言った医師は某市立病院小児科の医師ですし、今まで愚息・愚娘が診察をうけて漢方薬が出されたことを思い出してみると、疑問が残る処方を受けたこともかなりありますね。
今でこそわずかながら中医学の知識が身についたのでおかしいと分かりますが。
やはりこれは、漢方薬を現代薬と同様に、単一作用機序で異常
正常に関わらず一定に作用すると錯誤しているからではないでしょうか。
極端に言えば、「麻黄湯の服用=ウイルスの抑制」くらいの方程式ができているのかもしれないですね。
自分はもともと大学で応用化学を学び、卒後10年ほど研究職についていました。いわゆるエビデンスが求められる業界にいたわけですが、一度エビデンス云々が頭に入ってしまうと、どうしてもその方向から漢方薬を見てしまいます。
だから医師を含め、漢方薬に疎い薬剤師も漢方薬は「一定に作用するのではなく、複数の成分が異なる薬理作用機序を介する」ことを認識しなければエビデンス漢方からの脱却は難しいかもしれませんし、理解するためには中医学を学ぶしかないと思います。
自然発汗があったり、悪寒がなければ、インフルエンザであろうがなかろうが麻黄湯は使わない。この1文だけ覚えているだけで誤治が減るんですけどね。
飛んでるオオタカ(幼鳥) posted by (C)ヒゲジジイ
アオサギの飛翔風景 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 19:59| 山口 ☁| 新型コロナウイルス・風邪やインフルエンザ・咽喉痛・扁桃炎
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2009年12月25日
北海道からのおたより:新型インフルエンザ治療に使われた漢方薬の御報告
マガモ posted by (C)ヒゲジジイ
おたより: 北海道の某医薬品登録販売者
ご無沙汰しております。10月に中医学の書籍について問い合わせた北海道の●●です。
今年も残り1週間となりましたが村田先生は変わらず忙しい日々を送っているのでしょうね。体調崩されぬよう、どうかご自愛下さい。
こちら北海道はすっかり冬景色となりまして、日中でも氷点下の真冬日も多くなってきました。先日、出張で占冠(しむかっぷ)に行ってきたのですが、最低気温が−24℃を記録した日でして、北海道生まれ北海道育ちの自分でも身震いするほど寒かったです。
さて、たいぶ下火になってきたとは言え、まだまだ話題の多い新型インフルエンザですが、2週間ほど前に3歳になる愚娘(次女)が新型インフルエンザに罹患しました。
自分は仕事中でしたので妻がかかりつけの小児科に連れて行き、A型と確定後にタミフルが処方されたのですが、あえて飲まさずに次女の状態を見ながら参蘇飲+銀翹解毒散+板藍根を服用させました。
この時点で熱は38℃後半、咽頭痛は強く自然発汗はなし。
1回目の服用後しばらくしても寒気がとれないようなので、2回目も同じく参蘇飲+銀翹解毒散+板藍根を飲ませ就寝。夜中起きるかと思いましたが朝まで寝続け、朝7時では熱が37℃、咽頭痛はまだあるものの寒気はないとのことなので銀翹解毒散+板藍根のみに変更。
日中にもう一度、銀翹解毒散+板藍根を服用するよう妻に言っておき、夕方自分が帰宅すると熱は36℃台の平熱に咽頭痛もなく、何より食欲旺盛ですっかり良くなっていました。
普段から先生の各サイトをくまなく拝見していますので、参蘇飲+銀翹散+板藍根は頭に入っておりましたが、ここまで効果が絶大だとは思いませんでした。
先生に言わせれば各メーカーの製品の優劣を指摘されるでしょうが何せドラッグストア勤務なのでイスクラのものは当然あるはずも無く、ロート製薬の銀翹解毒散、松浦漢方の参蘇飲と板藍根を使用しました。しかし、それでも速攻で効果をあげられたのは漢方薬の力と先生から盗んだ(?)知識の賜物ですね(笑)。
ただ、この話しには続きがありまして、次女が解熱後2日ほど経過した頃に長女(5歳)が発熱しました。間違いなく新型インフルエンザだとは思いましたが念のため、普段とは違う小児科に自分が連れて行きました。
簡易検査の結果はA型でほぼ新型に間違いないと医師から言われましたがタミフルやリレンザではなく、漢方薬を処方して欲しいと伝えました。
そこまではいいのですが、医師は長女の状態を診るまでもなく、自信満々に「麻黄湯という良い漢方薬があるから出しておく」と言いました。
この時、長女の体温は39℃で咽頭痛もありましたが寒気や関節痛などの悪寒はなく、何より額も背中も発汗でびしょ濡れの状態だったのです。中医学初学者の自分ですら麻黄湯ではないと判断できるのに、自信満々に麻黄湯を出すという医師。
カルテにいろいろ書き込んでいる医師の後ろ姿に思わず飛び蹴りでもおみまいしてやろうかという衝動にかられつつ、その場を後にしました。
製薬会社のMRの言うままに情報が入ると医師もこうなるんでしょうね。
もちろん処方された麻黄湯は飲ませず、常備している八ツ目製薬の銀翹解毒丸+中村薬品工業から出ている万葉板藍仙を合わせて服用させ様子を見ることに。
夜中に鼻が詰まって苦しいとのことで見てみると黄色の粘性鼻水が出ていたので辛夷清肺湯を追加しました。
翌朝、熱は38℃台でしたが鼻は通って楽になったようで、その日は銀翹解毒丸+万葉板藍仙で過ごしました。その後、状態は安定していたのですが、なかなか咽頭痛がとれないので八ツ目の銀翹錠を小さく割り、トローチのように服用させたところ数時間後には咽頭痛がほぼなくなりました。
翌朝、熱も下がり、咽頭痛もなく、予防的に板藍根のみ服用させ終了。
医師の言うままに麻黄湯を服用させたら体力は奪われ、咽頭痛がさらに増していたと思います。
インフルエンザ=麻黄湯という病名投薬。中医学を知らずに漢方薬を投与するのは怖いですね。
余談ですが、中村薬品工業の万葉板藍仙、なかなか良いと思います。板藍根に金銀花と晶三仙(山査子、神曲、麦芽)を加えたものです。
先生の目にかなうかは不明ですが、個人的な経験から良いように思いました。
話しを元に戻させて頂きます。
実はこの後も、長男(1歳2ヶ月)が新型インフルエンザに罹患し、さらに検査はしていませんが妻も発熱するという事態になったのです。
長男は1歳ということもあり、かなり神経をつかいましたが参蘇飲+板藍根で2日で回復。
妻は熱も40℃を超え、激しい咽頭痛に襲われましたが葛根湯や参蘇飲、板藍根、松浦漢方の地竜、小太郎のチョレイン(猪苓湯)を状態を見ながら投与し3日ほどで回復しました。
自分はというと、多少咽頭痛もあった時がありましたが予防的に銀翹錠をなめたり、適宜板藍根を服用していたので大事には至りませんでした。
自分にとっては激動とも言える2週間でしたが、漢方薬を適切に使用すれば新型インフルエンザにも対応でき、現代薬を凌駕することも可能であることを実感した期間でした。
中医学書を基礎に実践的な先生のブログでさらに力をつけ、実際の病に漢方薬を使い、効果が出る。中医学を学んで良かったと思います。
長くなりましたが、先生のブログから沢山の知識を得ていることに感謝していることを伝えたく、メールしました。
今後ともブログの継続をよろしくお願いします。
ホワイトクリスマスイブの北海道より。
オオバン posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:おたより、ありがとうございます。
とても貴重な体験ですね。是非、ブログにそのまま転載させて下さい。
当方のブログは同業者や医師の先生方がご覧になられているようですので、皆さんの参考になることと思います。
きっと転載を許可頂けるものと信じて、25日になる早々には筆者は前回と同様の掲載方法で北海道とは記載しても匿名とさせて頂き、ブログにアップさせて頂きたいと考えています。
もしも不許可であれば、御面倒でも、それまでにお申し出下さい。(転載後に不許可となった場合は、直ぐに削除させて頂きます。)
参蘇飲と銀翹散製剤に板藍根の併用は、各所に書いていると思いますが、きっと
風邪・インフルエンザ初期の漢方薬
あるいは、漢方薬による風邪・流感(インフルエンザ)の治療法私案 などもご覧になっているのでしょうね。
ともあれ、
> 先生に言わせれば各メーカーの製品の優劣を指摘されるでしょうが
とありますが、それ以前に弁証が間違っていれば、たとえ優秀な製剤を使用しても効果が出るわけがありません。
とはいえ、煎じ薬や生薬を直接扱った経験が長ければながいほど、エキス製剤の品質の優劣も敏感に分かるものです。
生薬を直接扱ったり、煎じ薬の製造経験がなければ、エキス製剤の優劣の鑑別はほとんど不可能だと思います。
追記: おたよりの中で、なかなか良いといわれる万葉板藍仙についてのヒゲジジイの私見を述べると・・・
本来高濃度の板藍根がもっぱら必要なところへ、余分に金銀花や晶三仙(山査子、神曲、麦芽)加えられている分、板藍根の成分が不足している可能性が大である。
ましてや温性の山査子や神曲や麦芽は不要であり、金銀花はすでに銀翹散製剤にもたっぷり含まれている。
このような余分な成分が加わり過ぎると、肝腎な板藍根の濃度が薄まって、本来の目的からはあまりに逸脱し過ぎるように思われる。
要するに、本来の目的から考えても、高濃度の板藍根に限定して銀翹散製剤や参蘇飲製剤などに併用するのが望ましい。
カイツブリ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 20:18| 山口 ☔| 新型コロナウイルス・風邪やインフルエンザ・咽喉痛・扁桃炎
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2009年12月24日
医師からの御報告、新型インフルエンザのその後
ウグイス posted by (C)ヒゲジジイ
おたより:東海地方の内科医師
ご無沙汰しています。当地域での新型インフルエンザの爆発的な流行はピークを越してきました。
当クリニックに受診なさった患者さん(患児がほとんど)は入院など重症化することもなく、だいたい1,2日で解熱し直ってゆきました。勿論、一応開業医ですから抗ウイルス剤を適時使い分けてはいます。
しかし、みなさんには漢方薬を併用するようにお勧めし、患児も頑張って飲んでくれるそうです。葛根湯あるいは柴胡桂枝湯を使用しますが(これだけでは不十分のようです)、愚息での貴重な経験から桔梗石膏を処方、そして、村田さんのお勧めにしたがって板藍根・銀翹散を購入いただいて(1000円未満)います。多くのおかあさんは喜んで購入されます(院外薬局で購入)。
巷では麻黄湯が勧められていますが、全く効果がなくて受診された患児もいました。個人的経験では今回の新型インフルエンザはかなり温病的ではないかと思います。熱を制御する薬が必要と感じました。
話は変わりますが、個人的に私の血圧は大変良い状態にあります。杞菊地黄丸、茵陳蒿湯、生薬製剤ニ号方を常用しています。一時、降圧剤も極量に近く内服していましが、現在は最小用量で済んでいます。
血圧の専門医に相談していますが、「日常生活の注意などでこのレベルまで改善したのでしょうか。でも、個人的には珍しい経験です」とおっしゃいました。
このような近況です。本年も村田さんからの助言をいただいて貴重な経験をすることができました。西洋医学だけでは体験することが決してできなかったことばかりです。
ジョウビタキ(メス) posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:いつも貴重な御報告、ありがとうございます。
板藍根と銀翹散製剤が1,000円未満で賄えるのは、子供さんは薬用量が大人の半分くらいでしょうから、そのくらいで済むわけですね?
こちらでも大人の場合の小包装が3〜4日分で両方併せて2,000円以内ですから・・・でも、当方の常連さんは常時予防薬として大量買いをされるので、実質的には安価となる徳用包装を購入をされて行かれます。
常連さんたちのお陰で、この不況下でも不遜な村田漢方堂薬局が消えずに済んでおります(笑。
また、当方でもお馴染みさんの中年女性が、夕方から寒気を覚え、直ぐに葛根湯製剤と板藍茶を服用したところその夜は症状はすっかり治まり安心していたところ、翌日は寒気はないものの目が充血してやや熱感があり、軽度の咽喉腫痛を覚えたので、三度目の葛根湯製剤と板藍茶を服用するも症状が治まらないというので直接薬局に来られました。
あきらかに温病に転化しているので、直ぐに涼解楽(銀翹散製剤)と板藍茶に切り替えてもらい、天津感冒片(銀翹散製剤)の1錠をトローチ的に使用してもらったところ、一日で治ってしまいました。
こちらでも新型インフルエンザが流行していた時期ですので、あるいは新型だったかも?しれません。
ともあれ、いつもブログへの御協力ありがとうございます。来年もよろしくお願い申し上げます。
オオタカから逃れて隠れるカワラヒワ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 07:35| 山口 ☀| 新型コロナウイルス・風邪やインフルエンザ・咽喉痛・扁桃炎
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2009年12月19日
やりがいを感じる仕事
ペンタックス K-x posted by (C)ヒゲジジイ
長年の宿痾で西洋医学治療はおろか各地の漢方でもはかばかしくない人達。
村田漢方堂薬局に辿り着き、繊細な神経を酷使する中医漢方薬学流の弁証論治の繰り返しによる互いの切磋琢磨が実って期待する効果が得られた時の快感。
漢方薬の素晴らしさに嵌った常連さんやお馴染みさんの多くは、このような苦労を共にした過去がある。
必然的に優柔不断な人や根気の無さそうな人、クレーマーチックな雰囲気の人、投げ遣りな様子が見える人、自分のことなのに他人事のように自己責任能力のなさそうな人達は御免である。
本気が見えないこれらの人達にまで、(見かけによらず)極めて繊細な神経を酷使する気分になれないからである(苦笑。
無題 posted by (C)ボクチンの母
ラベル:弁証論治 村田漢方堂薬局の近況
posted by ヒゲジジイ at 21:11| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ
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2009年12月18日
芍薬と甘草の配合比率が2対1という時代にマッチしたエキス製剤の製造許可を取得する奇特なメーカーはないものかっ?
無題 posted by (C)ボクチンの母
傷寒論時代の配合比率を墨守する時代遅れの日本の漢方事情には呆れるばかりだが、そのくせ白朮を安物の蒼朮で代用したり、乾燥生姜を用いるべき乾姜が、いつのまにか飴色に蒸した得体の知れない乾姜にして乾姜にあらざる生薬がまかり通る不思議な日本の漢方事情である。
理解に困しむことの多い日本の漢方業界であるが、時代に即応して配合比率を変更すべき芍薬甘草湯のような方剤などは、猫も杓子も依怙地に同比率の極めて使用に不便な芍薬甘草湯エキス製剤ばかりが造られ、乱用されている。
少なくとも芍薬に対して甘草を半分量に減らした時代にマッチした芍薬甘草湯を考えてくれる奇特なメーカーはないものか?
どうしようもなく旧態依然としたこの業界にあってみれば、恐らく耳を貸さないことだろうっ。
監督官庁の石頭の影響も大きいのは事実のようだが・・・・っ。
ともあれ、詳細は⇒ 芍薬甘草湯 で述べている。
オオバン posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:芍薬甘草湯 芍薬甘草湯の配合比率
posted by ヒゲジジイ at 07:32| 山口 ☔| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬
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2009年12月17日
ニンニクに続いて昨今は生姜の過剰摂取による弊害が巷で蔓延中っ!
無題 posted by (C)ボクチンの母
昨今次第に目に余る生姜の過剰摂取による弊害勃発事例の数々っ! 既に姉妹ブログで書いているのでそちらを覗いて欲しい。
昨今ブームの生姜の過剰摂取による弊害が目に余るっ!
要するに、適量は薬にもなる食品でも過剰摂取は毒性が出て来る、ということですよっ!
実に馬鹿バカしいブームがまたまた蔓延したもんですねっ。
モズ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:09| 山口 ☀| 温め療法や温補薬による弊害
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2009年12月16日
久しぶりに訪れた御高齢のお馴染みさん
DSC_9215 posted by (C)ボクチンの母
37年も漢方相談の仕事をしていると、以前来られていたお馴染みさんが久しぶりに新たな病気や、あるいは以前と同様の疾患の再発で、あるいは再発の不安で予防を兼ねて来られる人達がある。
長い間には様々な人が来られては、一部の人は完全に漢方薬に嵌ってしまって常連さんになる人もあれば、何かある毎に訪れるお馴染みさんなど、いつの間にか数十年のお付き合いとなっている人が多い。
そのような中で、最近もいつの間にか80歳を超えられて、久しぶりに健康不安などで訪れる人が後を絶たない。
80歳を超える御高齢者で新人さんであれば、常連さんの御家族でもない限りは、鄭重にお断りせざるを得ないのが現実である。
ところが、かなり久しぶりとはいえ、以前から折々に利用されていたお馴染みさんともなれば、10年以上の久しぶりとあっても中医漢方薬学の綿密で時間のかかる弁証論治の流儀を既に体験されているので、たとえ80歳を超える御高齢であっても、そこいらの若者たちよりもはるかに理解力が優れている(笑。
たとえば、当時は持病の腰痛が激しく、病院治療で治らない激しい腰痛発作を漢方薬を10年近く続けられ、その後も年に数回くらい予防的に続けられていた人が、久しぶりに腰の不安を覚えて来局された。お歳を伺えば既に80歳を超えられている。
背筋がピンと伸びて、腰が曲がる気配は微塵も無い。以前、あれだけの腰痛に悩まれていた人が、見事な姿勢ですねっと感慨深く思わず口から漏れると、あれ以来まったく腰痛は皆無となったものの、昨今何となく不安になったので、また予防的に服用しておきたいとの希望である。
このように以前から折々に利用されていた人では、たとえ10年あるいは20年も遠ざかっておられた人でも、かなり御高齢になられても、そこいらの若者よりも遥かに当方の中医漢方薬学の流儀に何の抵抗もなくスムーズにことが運ぶ。
少し前もヒゲジジイと同年代の人が、十数年ぶりに訪れたが、各種の病院検査で指摘されている悪性腫瘍の不安を覚えて体質に合った免疫力向上や体質強化の目的である。
最初はまったくの新人さんかと勘違いして、やや怪訝そうに本気度を確認していた受付嬢が、以前来られていた経緯や当時の病名などを申告されることで、古い相談カードを取り出すなり思い出したっ!
重々当方の流儀は御存知とのことで、その後の話はスムーズ。
やはりまったくの新人さんと異なって、当方の流儀を既に体験されている人達だけに、気が楽で微妙なところに神経を使わないで済むから、変な疲労感や徒労感がなく幸いである。
ところがまったくの新人さんともなると、どの程度の本気かわからないケースも多く、とりわけ電話でのお問い合わせなどは、そのほとんどが「ちょっとお訊ねですが」レベルであるから、お断りするに限るのである(苦笑。
オオバン posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 21:31| 山口 ☀| 悪性腫瘍・癌・ステージ4の進行癌や転移癌
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2009年12月14日
中医学の学習方法についての御質問
カワウ posted by (C)ヒゲジジイ
ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 30歳〜39歳の男性
簡単なご住所:関東地方
具体的な御職業 : マッサージ師 登録販売者
お問い合わせ内容 : ●●●にて指圧治療院をしております◎◎と申します。
私が学んだ指圧の創始者である先生は、もう亡くなられてしまったのですが、著作の中で吉益東洞の腹診を書いておられたので興味を持ち、漢方薬に興味を持ったしだいです。
私も指圧にてお腹の指圧をするので、漢方と途中まで同じだから楽かも・・・何て簡単に考えておりました。
ところが登録販売者の資格を取ろうと決意した頃に、先生のブログに出会い、漢方と中医学の違いを知ることとなり、登録販売者の試験勉強そっちのけで、先生の勧めておられる、張 瓏英先生の「中医学概論」や神戸中医学研究会の「基礎中医学」などを読み勉強を開始しました。また「中医病因病機学」は注文いたしました。
そこで質問1です
これまで読んできましたが、まだ殆ど理解できません・・・今後どの様な本や、勉強方法、などがありますでしょうか?
指圧やカイロプラクティックは師匠に付いたのですが、今からまた漢方薬局に入りなおすのも困難ですし(一度は考えましたが)。現在○○○○会に入り、月に二回土曜日3時間ほど勉強していますが、そんなもので身に付くほどやさしいものじゃない事は、分かって来ました。
村田先生が勉強されていた頃のことでもかまいませんので、何か参考になる事を教えていただけますでしょうか。
また現在私は医薬品販売業の許可証も取りましたが、薬は全く扱っていない状況です。
そこで質問2です
今後少しずつ漢方薬を取り揃えて行こうと考えておりますが、指圧院という性格上、ぎっくり腰、肩こり、膝の痛み・・・がメインの患者さんで来て頂いております。疏経活血湯などは腰痛などに病名漢方的にも大丈夫との事ですので、準備しようと考えておりますが、先生のブログには会社によって漢方薬の性能と言うか性質が違うと書かれておりますが、ここなら安心だよと言う製薬会社はどこになるのでしょうか?
不躾な質問で申し訳ありませんがお時間のある時の、暇つぶしにでも先生のご経験から教えていただけたら幸いです。
カワウ posted by (C)ヒゲジジイ
御返事メール:ご質問の件ですが、あまりご参考にはならないお返事になると思います。
ヒゲジジイはもともと人に教わるのが嫌いで、何事も自分で調査して納得しなければ、物事を理解できない性分です。「理解」というのは自分なりの流儀で物事の本質を理解しなければ気が済まないわけです。
人に教わるのが嫌いな頑固者であってみれば、必然的に書籍類に頼らざるを得ません。それゆえ、古方派時代から家計を顧みず、毎月分不相応な経費を費やして書籍類を買い集めて濫読を重ねました。
当時の古方派には寒熱理論の重要性を蔑ろにした、今から思えば何とも幼稚な民間療法に毛が生えたレベルのものでした。
現代日本古方派の実質的な開祖、吉益東洞翁は、当時梅毒治療が主流でもあり、しかも中国医学理論をすべて切り捨てる暴挙を行った偉人ではなく無謀な奇人です。
アドバイスできるとしたら家計を潰すほど、日本で発売されている中医学書籍のみならず、中医学の中国語で書かれた専門書籍類を少なくとも10年、できれは三十年以上買い漁りつつ、これはと思われる部分を拾い読みでもよいから、濫読し続けて、自分なりの中医学観を頭の中で構築する必要があると思います。
小生の場合、そんな中で出あった書籍で、濫読によるバラバラの知識を一気に実用的な方向に導いてくれたのが日本の書籍では張瓏英先生の著作類、中医学原書では陳潮祖先生の「中医病機治法学」(四川科学技術出版社)や瞿岳雲著著「中医理論弁」(湖南科学技術出版社)でした。
但し、現実的な漢方相談においては、西洋医学治療で治らない人達ばかりのご相談では、なかなか教科書通りの典型的な弁証分型通りの人は僅少で、ほとんどが様々な病型が輻輳しているので、応用問題の連続であることが現実です。
だから濫読ばかりしておけばよいというものでもなく、最終的には日々の実践的な訓練と創造性をいかに発揮するかが問題です。
常に基礎理論にもとづきながらも、自身での試行錯誤のみならず思考錯誤の繰り返しの毎日となり、今日もそれが続いている訳ですから、日暮れて道遠し、というのはヒゲジジイの為にある言葉のように思われてなりません。
以上のように他の人の勉強の参考になるようなアドバイスは不可能です。
なおメーカーによる漢方製剤の優劣については、営業妨害になりますので、お返事は出来ません。ご自身で実際に比較検討されるべき問題だと思います。
一つだけいえることは、白朮であるべきところを安物の蒼朮で代用するような低次元の学識レベルの製造メーカーは避けるべきでしょう。医薬品製造メーカーとしての良心まで疑われます。
以上、取り急ぎお返事まで。
今にも降りそうな曇天下のアオサギ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 23:56| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問
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2009年12月11日
傘の忘れ物
騒々しく我が家の庭に降り立ったシジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ
37年間いつの間にか、薬局入り口付近の傘立てが、忘れ物の傘で満杯になっていた。五年も十年もそのままで、持ち主が気が付いて持ち帰ることもなく・・・。
折々に、傘を携行されなかった漢方相談客が、急な雨で困っている様子に、しばしば忘れ物の傘をお貸しし、持ち主が何年も現れないので戻さなくていいですよ、と伝えるのが習慣になっていた。
昨日も傘を忘れた常連さんがいたので、同様のセリフを言ってお貸しして、ふと傘たてを見ると、残るは最後の1本だけになっていた。
満杯状態が続いていたはずの傘立ても、傘を忘れた人達にお貸しする間に、いつの間にか閑散としてしまっていた。
と言っても、ここ最近のことだから、推測してみれば、この不況下で皆さんも気が締まって忘れ物をする人が激減したからに違いない(苦笑。
三十年以上、常に満杯状態だった傘立てが、急に閑散としてきたのは、ほんのここ1年くらいのことだからである。
同様に、新規の人達の半数近くが短期間で無音となる事態が発生しているが、そのような過去にはない青天の霹靂は、今年に限ってのことなのである。
自費の漢方だから、無理して来られても経費的に長続きしない人達が半数近いということなのだろう。
無理は禁物だから、経費的に継続できずに結局は中途半端の手前にもならないくらいなら、お互いに無駄な労力を費やさないためにも、最初から漢方相談に来られないほうがお互いの身のためである。
騒々しく我が家の庭に降り立ったシジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ
騒々しく我が家の庭に降り立ったシジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:10| 山口 ☔| 繊細でデリケートなヒゲジジイ
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2009年12月06日
中医漢方薬学における実践的な弁証論治の実際
オオタカ(幼鳥) posted by (C)ヒゲジジイ
東海地方の女性薬剤師さんからおり返し頂いたメール:ご指導ありがとうございます。
上下の気機の失調、前後(腹側と背中側)の寒熱の不調和、体の右半身と左半身のバランスの乱れなど、上下前後左右のバランスをいかなる方法で整えるか・・・・は漢方家の腕の見せ所ですね。
茵蔯蒿湯の活血化瘀作用による手足の冷えの改善、大変に勉強させていただきました。
臨床というのは、本当に教科書通りに遭遇することは珍しく、陰虚なのに、痰湿があってみたり、寒熱錯雑していたりで、微妙なバランスとりが必要になってきますね。
こちらも来局者の半数強がガンのご相談ですが、特にこのような病気の場合は、虚実混雑で調整に神経を使います。
今年は特に6月以降から腹水の方が目立ち、特に陰水の方はすこぶる効果をあげて、ウソのように楽になられています。
先生のご尽力で補気健中湯が発売されれば、また多くの方に喜ばれますね・・・夢のようなお話です。
いろいろな方を見ていますと、治すことができるかどうかは、勿論患者さんの養生にもかかわってきますが、自分の症状をいかに適切に表現できるかどうか・・・・というセンスにも大きく影響しますね。
中には的を得ない症状を昔に戻ったり、今の話に戻ったり・・・とこちらがいくら誘導してもフォーカスできない方がありますが、これをやられるといっぺんに頭が疲労してしまい、頭の地軸が狂ってきます(苦笑)
先生のように、ビシッと患者さんを選ぶことが大切なのでしょう・・・・・。
が、未熟な自分には、一見さんお断り!の台詞は何十年も早く、なかなかそこまで言えませんワ。
ともあれ、修行あるのみ・・・今後もどうぞよろしくご指導くださいませ♪
獲物を運ぶミサゴ posted by (C)ヒゲジジイ
獲物を運ぶミサゴ posted by (C)ヒゲジジイ
おり返しヒゲジジイのメール:御返信ありがとうございます。
いつも思っていることを的確に書いて頂いて、ありがとうございますっ!
>自分の症状をいかに適切に表現できるかどうか・・・・というセンスにも大きく影響しますね。
>中には的を得ない症状を昔に戻ったり、今の話に戻ったり・・・とこちらがいくら誘導してもフォーカスできない方がありますが、これをやられるといっぺんに頭が疲労してしまい、頭の地軸が狂ってきます(苦笑)
まさに先生のおっしゃる通りで、ヒゲジジイは短気だから、思わず「●●っ」と実際に口に出してしまうこともしばしばです。
観察力のない人、表現力のない人、命に関わる自身の身体について、自覚症状等の表現が出来ない人は困ったものです。
往々にして医療関係者にも多いのですが「私は専門ではないので、専門家の先生にすべておまかせしますっ」と嘯いて、自身で観察・表現しようという努力をされない人もいて呆れ果てます。
効果が出かかったところで、何とか理屈をつけて服薬をサボって遠のいていた人が、突然忘れた頃になって再発したり転移したと言って駆け込み、薬を変えてくれと勝手な時だけシロウトの自己判断をされる人。
このような人達は決まって同じことを繰り返すので、当然のことながら将来の成算が高いわけがありません。
茵蔯蒿湯の活血化瘀作用は、肝胆系統に湿熱が存在する人に限って効果を発揮するもので、条件が揃えば高い確率で冷たかった手足が暖かくなります。どの教科書にも載ってないことですが、病機の詳細を解説するのは面倒なので省略します(苦笑。むしろ理論に堪能な先生にやって頂きたいと希望します(笑。
ご指摘の通り、中医学の教科書通りの人は現実には僅少で、綺麗に整理された教科書記載の病態が純粋に存在することは稀です。
たとえば、肝腎陰虧に肝胆の湿熱が併存する現象は、アトピー性皮膚炎などでは日常茶飯事ですが、中医学の教科書知識だけで各地を教えて回る指導者?や、中医学に入門したばかりの人達にとっては、「肝腎陰虧に肝胆の湿熱が併存」という教科書ではあり得ない記載については、ヒゲジジイが間違っていると阿呆呼ばわりするかもしれません。そのような連中も、やはり●●です(苦笑。
杞菊地黄丸に茵蔯蒿湯の併用なんて日常茶飯事ということです。
その他の病機でも、六君子湯に茵蔯蒿湯の併用、温胆湯に六味丸や杞菊地黄丸の併用なんて、まったく日常茶飯事です。
五臓六腑の寒熱・虚実・燥湿はそれぞれで異なる、という教科書には書かれてない現実を直視する必要があります。
学問的にはそれらの病機(メカニズム)を詳細に分析して解説すべきでしょうが、ヒゲジジイは歳を取り過ぎて、もはや昔のようなエネルギーがありません(苦笑。
ともあれ、補気建中湯エキス製剤が発売された暁には、先生も是非、御利用下さい。
獲物を運ぶミサゴ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 21:45| 山口 ☁| 中医漢方薬学問答
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2009年12月05日
漢方薬専門薬剤師の悲哀
ムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ
おたより: 東海地方の女性薬剤師
いつも、先生のブログに登場する可愛い鳥さんたちや、ボクチンの超可愛い写真にとても癒されています。
ボクチン、すっかり元気になって、ネズミさんのおもちゃで遊んでいる様子や、愛くるしいおねだりポーズにぞっこんです。
先生のお気持ち、とてもよくわかります。
私も、自分の気持ちを誰よりもわかってくれるのは、我が家のネコちゃんたちです。
先生もいつかブログに書いておられましたが、こちらも何でこんな遠くまでわざわざ・・・・と思われる新人さんや、常連さんのご紹介で、”漢方でインフルエンザを治したい!”という方がドヤドヤと訪れ、電話はひっきりなし、インフルエンザと思われる方が、駐車場の車内で待機、待機・・・と対応に追われ、とうとう自分も牛黄製剤にお世話になる毎日です。
クタビレとネタ無しで、メ〜ルすることもできず、ご無礼ばかりしておりました。
最近の話題はやはり、インフルエンザです。
内科の先生もおっしゃっているように、殆どの方が銀翹散系列の処方で快方に向かっています。
ただ、銀翹散のような風熱というよりも、こちらの方は風湿熱が多く、その点タンポポ茶や麻黄剤を少量足した方がうまくいっています。
また今年は、竹茹温胆湯もかなり使っています。湿や痰絡みがこちらは多いです。
その他、麻黄附子細辛湯もよく動いていますが、未だに純粋の麻黄湯の症例はありません。
更年期で陰虚傾向にある方で、初期の手当てが悪かったために、邪気が中へ入ってしまい、その後なかなかスッキリと治らず、上熱下寒の症状で悩まされている方がとても多いのも特徴かもしれません。
頭がのぼせて熱感があり、フワフワと眩暈、頭が塞がった感じでまるで中風でも起きたかのような症状です。足先は氷のように冷たく、体が上下に分断されているかと思うほど・・・・・。
今日もこの症状の方が何人も訪れ、引火帰元の湧泉温灸と八味地黄丸であっけなく治ってしまいました。
まだまだこちらのインフルエンザは下火にならず、当分バタバタが続きそうです。
養生もされ、お薬も何種類も常備されている常連さんは元気そのもので、その点は救いですね。
インフルエンザなどでバタバタすると、久病で深刻な方のご相談にひびき、考え物ですね。
年末、何かと気忙しくなります。
先生もお体大切に、ご自愛くださいませ。
患者さんのみならず、同業の方の中にも先生のファンは多いですね。
それも先生にはうっとおしいことなのでしょうが、とにかくお元気でいてください。
ムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール: 当方では「急性疾患の場合は一見(いちげん)さんお断り」ですので隣県の常連さんが新型インフルエンザに罹って、病院のタミフルと天津感冒片および板藍茶で二日で速治の女性と、地元の大学生がそれらしき病状で同様な方法(受診しないのでタミフルなし)で速治があったのみです。そのほかの常連さんもお馴染みさんも新型に罹ったという報告はいまだにありません。常連さんたちは漢方薬による予防が徹底しているので、誰も罹りません。
それにしても先生の新型インフルエンザの弁証論治の内容は、専門家にとっては大いに参考価値の高い内容ですねっ!
ところで引火帰元の治療法則が必要な治験例の御報告、とても興味深いお話です。
こちらでよく見かける同様の症状では、病機が異なるようで、加味逍遥散に茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の併用が適応する病状に見えます。舌質が紅でオケツの兆候もあり、茵蔯蒿湯の活血化瘀作用により手足の冷えも速治する例も多見します。恐らく地方的な環境の違いが大きいのですねっ!
当方で最も相談が多いのは相変わらず癌サポート関連ですが、今年は超最高の成果が得られた人が続いて漢方薬の威力をあらためて実感しているところです。
命に関わる疾患だけに、過剰なくらいに感謝して下さる人もあれば、アレレっと思うような人もあり、人の世は様々であること・・・これが最悪のコースを辿っていたら、御家族からどういう反応をされたのだろうかと思うと、変に神経質になって、もう引退して山に篭ろうか?と真剣に考えるときもあります。
難病関連では脊髄小脳変性症の人達が複数、同様に進行を食い止めるだけでなく、明らかな改善効果が得られていることも、難病に対する弁証論治の強みを実感しているところです。
ともあれ、漢方薬による癌サポートの長年の蓄積で、根治した人達から紹介されて来られる人が途絶えることがないので、来年早々にも新発売される補気建中湯エキス製剤が活躍する場も増えることと思います。
先生はとても気品のある美人といえども、もうそれほど若くはないのですから、あまり無理をされないように・・・と、ひとこと余計なことを書いて失礼致しました。
DSC03385 posted by (C)ボクチンの母
posted by ヒゲジジイ at 11:56| 山口 ☁| 中医漢方薬学問答
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2009年12月04日
現代日本の漢方製剤四方山話
ダイサギ posted by (C)ヒゲジジイ
※いよいよ来年早々には念願の補気建中湯エキス製剤が某社から発売される。末期癌の腹水などに応用できるケースが多く、終末期の苦悶の軽減以上のことが出来る場合もある。時に起死回生ということもあり得る。
世のため人のため、保険適用外の漢方薬ではあるが、日本全国の医師にも使用してもらいたいと希望している。
ヒゲジジイが各漢方メーカーに長年強く要望していた方剤であるが、実際にその目覚しい効果を某社内で体験され、目撃者も多いことから実現したものである。
この不況下にあっても機動力のあるメーカーとそうでないメーカーの差がますます広がるかもしれない。
※板藍根のエキスが昨今盛んに各社から製造されるようになったものの、いずれも濃度が薄くて使用に堪えない。
唯一、某メーカーの高濃度の製品だけは優秀であるが、後追いで作るようなメーカーでありながら、研究も工夫も足りない。
銀翹散製剤にしても、たとえ濃度は同等でも、抽出方法に問題があるのか、恐らく煎じ過ぎて気が抜けた製剤もあり、これも使用に堪えない。
もちろん無効ということはあり得ないが、ヒゲジジイの基準からは、上記の板藍根エキスも、気の抜けた銀翹散製剤も完全に失格である。
その点では最初にあげた補気建中湯エキス製剤は、ヒゲジジイみずから原料生薬を厳しく指定しているので、優れた製剤が出来るはずである。
※昨今、医療界では芍薬甘草湯の乱用が顕著であるが、その問題は別のブログ漢方薬に無知な医師達(せっかく眼圧が正常化したのに投薬された「芍薬甘草湯」)にゆずるとして、配合生薬の比率がどこの社も芍薬と甘草の比率が1:1であるのはいかにも怪訝である。
従来からこの問題は論じているのだが、穏便な書き方しかしなかったから、無視され続けたに違いない。それにしても日本の漢方界の知恵の無さには、この点でも呆れ果てるばかりである。
日本漢方では、芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)の比率を同量で使用するから、甘草が多すぎて浮腫を生じさせてしまうことが多い。おそらく中国の中医師で傷寒論時代の配合比率を墨守する人は皆無であろう。
同じ比率で使用するのは、傷寒論の記載に忠実であろうとするための、弊害である。
当時とは、時代も環境も、マッタク異なっている、ということに対する配慮が足らないのでは、ないだろうか。
煎薬で服用するときでも、甘草は3〜4グラムくらいまでとし、芍薬をしっかり多めに使うべきではないか。
つまり、上記の甘草の分量に対して、芍薬は9〜12g、場合によっては15g使用するのである。
現代中国の文献類によれば、日本のように等比率で使用されることは、まずない。
こういう点が、日本の漢方界の頑迷さと、とらえられても仕方がないような、不思議な配合規則なのである。
━芍薬甘草湯 (芍薬と甘草だけからなるシンプルな方剤)
常識的には芍薬が3に対して甘草は1くらいの配合にするのが順当であるが、科学技術では知恵ある人材が豊富で多くの分野で世界の最先端を走る日本において、不思議と漢方界の時代遅れで錯誤だらけの現状には唖然とするばかりである。
PB210753 posted by (C)ボクチンの母
posted by ヒゲジジイ at 00:50| 山口 ☀| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬
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2009年12月03日
中医病機治法学
シジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ
ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 30歳〜39歳の男性
簡単なご住所: 福島県
お問い合わせ内容 : お忙しいところすみません。
書評にあります、「中医臨床のための「病機と治法」 陳潮祖著 神戸中医研訳編」をぜひ読みたいと思ったのですが、ネット上では、販売しているところが見当たりません。どこか手に入るところありますでしょうか。
「中医病機治法学」宋鷺冰 東洋学術出版社は、販売しているようですが、それとはやはり内容が違うのでしょうか。
よろしければご教示ねがいます。
シジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:
「中医病機治法学」宋鷺冰 東洋学術出版社と書かれていますが、そのような本は存在しないはずです。「中医病因病機学」の間違いでしょう。これも大変な良著で中級者向きだと思います。
「中医臨床のための「病機と治法」 陳潮祖著 神戸中医研訳編については、こちらは出版社ではないので知る由もありません。医歯薬出版さんにでもお訊ねになられたらいかがですか?
あるいは「日本の古本屋」サイトで検索するか探求書として依頼するとか。
それでも入手不能なら原書の「中医病機治法学」を燎原書店さんや東方書店さんにまだ在庫があれば入手可能かもしれません。
また、原書では同じ陳潮祖先生著の「中医治法与方剤」(人民衛生出版社刊)は千ページ近い原書ですが、「中医病機治法学」の次に読むべき良著です。
ダイサギ posted by (C)ヒゲジジイ
折返し頂いたメール: 昨日は、不躾なメールにもかかわら
ず、迅速丁寧なご教示ありがとうございました。
先生のブログや記事は いつも拝見させてもらっています。いろいろあたってみます。
ありがとうございました。
DSC_3229 posted by (C)ボクチンの母
posted by ヒゲジジイ at 16:06| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問
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2009年12月01日
11月28日(土曜日)の関東の内科医師と下関のヒゲジジイの写真撮影
富士山 posted by (C)関東の某内科医師
おたより:関東地方の内科医師
お元気でお仕事のことと思います。
自分も一昨日と昨日の土日に福岡に行って参りました。
飛行機からみる富士山も雪がかぶり綺麗でした。
と、今回は彦島も…見えました。関門大橋もうっすらと見えました。
でも、先生の望遠レンズは、どこ???(笑
アトピーの患者さんも「仕上げの段階に入って来たのかな?」と感じました。とても良い顔をしていました。
勤務先の「ガスター下さい」の看護師さんも治らないので、また泣きついてきました。再度、漢方薬治療です。「あの薬を飲むと食べられるのよね…」とか話しています。参っちゃいますよね…ホント。
話は変わって「温病論」は良い感じがします。少しずつ自分のものになっていけば良いな!と思います。今回の収入(と言ってもお小遣い程度ですが)で「温病論」の処方が作れるように薬草とポリ容器を買わなくては…と思っています。
12月の福岡は自分の慰労会なので、遊びで福岡に行く予定です。呼子に行って…サザエの壺焼きを食べたいな。
先生にお会いするのは、自分の本が出来ないと…駄目ですね。
頑張らなくては…。
下関市彦島 posted by (C)関東の某内科医師
ウグイス(鶯) posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:エネルギッシュにご活躍の先生には脱帽ですっ!
ヒゲジジイは、深刻なご相談が続くと直ぐにへばって牛黄製剤のお世話なっています。
そのくせ、土日になると鳥撮りには目の色を変えて頑張れます(苦笑。
裏表のある人間様と違って、ボクチンや小鳥たちは純真無垢の純真そのもの、気心がよく通じ合うので、先生が土曜日に彦島上空を通過された数時間後には、目の前数メートルのところで季節はずれのウグイス嬢の鳴けもしないのにこれ見よがしにクネクネダンスする場面を夢中で撮影していました(笑。
その前には南風泊(ハエドマリ)港では、カラスに追っかけられるトンビの慌てた姿に笑いころげながら連写で撮った写真をブログにも掲載しておきます。
トンビがカラスに追っかけられて posted by (C)ヒゲジジイ
トンビがカラスに追っかけられて posted by (C)ヒゲジジイ
トンビがカラスに追っかけられて posted by (C)ヒゲジジイ
トンビがカラスに追っかけられて posted by (C)ヒゲジジイ
先生が撮られた彦島上空の写真に、撮影された数時間後にいた場所を赤色で印をつけてこれもアップさせて頂きます。
また、富士山の写真はお見事っ!まるで絵に描いたうような芸術作品ですねっ!
看護師さんといえば、地方の病院で若いうちから重責を担わされて過労死されるお気の毒な方もおられるかと思えば、某大学病院などでは、高学歴の看護師さんが多いのはよいが、医師の協力者というよりも、口先ばかりが先行して行動が伴わない足手まとい。だから医師同士で互いに看護師役を決めてチームを組まざるを得ない実態があったり、信じられない医療の実態もあるようですね。
ともあれ、先生もご親切だからガスター嬢にまで面倒見がよいようですが、ヒゲジジイなら「無礼者」と一喝するところです(笑。
来年、春にでもお会いできるとよいですねっ! でも、ヒゲジジイは別名キチガイ水は一切飲めません。
トンビがカラスに追っかけられて posted by (C)ヒゲジジイ
トンビがカラスに追っかけられて posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 17:36| 山口 ☁| 中医漢方薬学問答
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