2009年11月19日
医療の現場と一部の医療用漢方薬の現実
逆光のシジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ
前回の続き⇒折り返し頂いたメール:関東地方の内科医師
ほんと色々と考えさせられますね。
漢方薬が湿布やうがい薬と同等で扱われているのも情けない限りです。学会にも一般の人達の認識の浅さを分かって行動して欲しいものです。漢方が「効くから必要な医学」という発想から…「病気の本体の把握をしている本当の医学」だと説明出来ることが必要だと思います。
漢方を知らない(医療関係者を含めた)一般の人達の医学に対する感覚は幼稚園児と同じです。大学病院で入院して検査しても分からないまま衰弱していく患者さんも福岡で診ていましたが、最初の質問が面白いのです。
「あれほど色々と検査したのに何で分からないんですか?」と言われました。
「現代医学が、まだ発展段階で未熟なんですよ」
と話しましたら、「目からウロコです」と言われました。
幸いなことに、その方は、治療が終わり、ほぼ健康に近い状態になって働いています。
そう言えば…自分はアルバイトでは漢方薬を使うことができますが、ある衰弱した患者さんに人参湯を使おうと調べたら、白朮が蒼朮になっているんですね。これでは効きませんね。蒼朮は、体力が落ちた患者さんに使う薬草ではありませんね。四君子湯や六君子湯も同じなんですね。何を考えているのか? それを指摘する人も、学会には、いないのでしょうか? おかしな話です。
−−−−−−(中略)−−−−−−
漢方の自由診療でもお金が取れるように、これからも出来るだけ勉強していきたいと思います。これからも宜しくお願いいたします。
逆光のシジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:今回は日本漢方の将来に関わる貴重なお話だと思います。ブログに転載させて頂く価値が大いにあります。
またこのたびは医療の現場からの患者さんからの重い発言の御報告、感慨深いものがあります。
こちらでも以下のような驚くべき話があったばかりです。
昨日のことですが、突然、遠路はるばる泊りがけで来られた転移癌患者さんからのお話です。ご自身も医療関係者です。
信頼していた主治医に、転移が各所に見られるようになってからは、もはや治療しても無駄だから、元気な間は好きなことをするなり現場に戻って働くなりしたらどうだ、という(提案内容よりも)実に投げやりな言い方にカチンと来て、今に見ていろ「まだ生きてるぞっ」という姿をいつまでも見せ付けてやりたい、と言うのです。
いきなり予告も無く、どうして重病をかかえてヒゲジジイのところまで遠路はるばる来られたのか?いかにも怪訝です。
とても無謀ではないかと諌めていたのですが、体力もまだまだあり、10日毎に通える万全の態勢でやって来たので・・・とたっての依頼です。
とうとう情熱に負けて、セカンドオピニオン等も受けることを約束して、漢方薬で出来るだけのお手伝いを約束しました。
治療方法がなくなると投げ出す主治医の話は地元でもしばしば耳に入るのですが、弁証論治の心得があれば、たとえ根治は無理な場合であっても、かなりなサポートが出来るのが東洋医学の優れたところだと思います。
西洋医学ではありえないような漢方薬による優れた効果が現実にあるからこそ、しばしば患者さん同士の紹介で漢方薬を求めて来られるわけです。
そのためには正しい処方内容で製造された漢方製剤が欠かせない訳ですが、ご指摘のように人参湯で蒼朮を使用された製剤では失格ですね。
このような重大問題が看過される日本の医療もかなり好い加減なものだと思います。
小生も日本東洋医学会の「永年会員」で表彰されているほどですが(苦笑)、学会に出向いて論文発表をしないから蒼朮と白朮問題を認識してもらえないのでしょう(苦笑。
ともあれ、きっと様々な政治力が働いて、保険適用外にされることはないと思います。咽喉元過ぎれば熱さを忘れ、日本漢方は再び堕落の道へまっしぐら、というのがオチでしょう。
逆光のシジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 18:48| 山口 ☁| 病院の漢方薬
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