2009年07月17日
白朮であるべきところを蒼朮で代用したエキス剤の問題についての御質問
セイヨウニンジンボク posted by (C)ヒゲジジイ
ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 40歳〜49歳の男性
簡単なご住所 : 日本の本州
具体的な御職業: 内科医師
お問い合わせ内容 : 中医学に興味を持ち、勉強し始めたばかりの者です。村田先生のサイトに興味津津。これからも楽しみにしております。
蒼朮代用のエキス剤について、質問させてください。
私の対象患者は老人が多いので、蒼朮で散寒解表させるような補中益気湯、真武湯では困ると考え、ツムラのMRさんに問い合わせたところ、
1.古典では蒼朮と白朮は区別して記載されておらず、大塚敬節先生らが、方剤の内容を蒼朮で良いとされた。
2.他社の白朮も、和白朮であり、本来の唐白朮は高価で使えない。
という回答でした。
冷やしすぎる心配もないとの事ですが、どう思われますか?(自分の処方は、まだ、強い薬を使う度胸がなく、温補剤乱用かもしれません。)
ぜひ、ご意見を伺いたく、よろしくお願い致します。
DSC_0532 posted by (C)ボクチンの母
お返事メール: 蒼朮と白朮の問題ですが、御承知の通り日本の薬局方でさえ区別している生薬です。
ですから、たとえ大家の大塚敬節先生が言われたからといって混同してよいはずがありません。
日本で使用される白朮が和白朮だからといっても、あきらかに蒼朮とは原植物が異なるものです。
成分的にもアトラクチロジンを多く含み、アトラクチロンをほとんど含まないものが蒼朮であり、白朮はアトラクチロンを主成分としてアトラクチロジンを含まないものです。
成分的にも歴然とした違いがあり、蒼朮には白いカビのような結晶成分が特有なもので、ヒネソールやβ-オイデスモールも含まれているのが白朮とは大きな違いでもあります。
ツムラさんの回答は極めて杜撰で投げやりとしか思えません。
他社では蒼朮と白朮の違いを厳密に考慮しているところも少なくありません。
本来の半夏白朮天麻湯や補気建中湯には、白朮と蒼朮の両者が配合されていますが、実際に日本で販売される半夏白朮天麻湯には白朮しか配合されてないものだらけで、実に嘆かわしい限り、日本漢方の杜撰さを証明するようなものだと思います。
(過去にどのようなメンバーで処方基準が決められたのかは知りませんが、いよいよもって日本漢方のレベルの低さを証明するものであると思います。)
補中益気湯や真武湯には当然、補剤の範疇に入りますので白朮を蒼朮で代用してはならず、和白朮であっても白朮を使用すべきことは常識です。
蛇足ながら、身内の◎◎内科医が赴任していた高齢の入院患者の多い病院で、ツムラのMRさんが盛んに補中益気湯の投与を奨めるので、言われるがままに投与していたら、血圧が異常に上昇する人が続出したために慌てて投与を中止した経験談を述べていましたが、当然のなりゆきだと思います。
大企業ともなると、沢山の従業員をかかえて経営を存続するために無謀な宣伝活動をを行い勝ちのようですが、いつも被害を蒙るのは患者さんたちばかりのようです。
以上、とりとめのないお返事になってしまいましたが、取り急ぎお返事まで。
追記:
参考文献⇒ 白朮を蒼朮で代用する杜撰
つばめ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 21:43| 山口 ☔| 補中益気湯や六君子湯中の白朮を蒼朮で代用する錯誤問題
|