2009年06月16日
繁用方剤は時代と共に変遷する
DSC_5750sss posted by (C)ヒゲジジイ
二十年前まで毎日まいにち、販売しない日はなかった八味丸は、ここ十年以上、販売することは稀となっている。温暖化と暖房設備の充実と共に、八味丸に含まれる附子が不要になったからである。
不必要に附子が配合された八味丸を乱用すると、肺陰を損傷して碌なことはない。
漢方入門当初に繁用していた加味逍遥散も、ここ二十年くらい使用頻度は激減していたが、ここ数年来、爆発的に使用頻度が復活している。ストレスの多い時代の反映とも思えるが、夙に有名な方剤だから、村田漢方堂薬局に辿り着く前に、どこかで使用されていたので使用頻度が激減していたのかもしれない。
それにしても昨今の加味逍遥散が必要な各種疾患の情況は異様である。すでに他所で服用して来られて無効だった人でも、併用方剤の良し悪しとともに、加味逍遥散製剤自体の品質問題も影響しているのかもしれない。
使用頻度の爆発的増加は異常である。
思い返せば二十五年前、専門分野の原稿を書くようになって初めて原稿料をもらった拙論が「加味逍遥散加桂枝桃仁について」だったと思う。和漢薬誌の299号だったはずであるが、要するに加味逍遥散合桂枝茯苓丸である。
当時はこのような配合がしばしばよく奏功したが、昨今ではこのような配合を必要とするケースに遭遇することが無くなっている。
肝胆の湿熱に奏功する茵陳蒿湯は、少陽三焦のルートを通じて広い範囲に影響力を持つので猪苓湯とともに毎日まいにち販売しない日はあり得ない時代となっている。
疲労困憊の時代でもあるから牛黄製剤や麝香製剤の販売頻度はここ十数年、年々漸増することはあっても減ることが無い。
これらのお陰でこの世に生息することができるのだっ!と真顔で感謝を述べられることが多いが、ヒゲジジイ自身もその一人である(苦笑。
また、中医漢方薬学流の偏見から防風通聖散と十全大補湯は村田漢方堂薬局には存在しない。
小青竜湯も一人の常連さんに特別に使用する以外には販売することが皆無。
肥満薬として宣伝される防風通聖散はほとんど錯誤である。
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posted by ヒゲジジイ at 07:26| 山口 ☁| 時代的な傾向や使用頻度が増加中の漢方薬方剤
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