前回の続き
折り返し頂いたメール少ない情報にも関らずご丁寧なお返事誠にありがとうございます。
白虎加人参湯は酒さ様皮膚炎に汎用される漢方であるという点と口渇や皮膚炎といった教科書的な適応から選択し、使用していました。
黄連解毒湯は抗炎症効果を期待しての一過性の使用にとどめようと服用しておりました。しかし舌先は特に赤くありませんし、そもそも実熱証というより中間証から虚証に近い体質と自覚しているのですが・・・適してないのかもしれません。
手鏡で舌を観察するに舌根部にかすかに緑色様の色調変化を認めておりますが、昔からお茶や麦茶をよく飲むので茶渋の付着と思っており、黄膩苔といえるかどうかはっきりしません(含嗽やブラッシングで消失します)。
また以前みられました歯痕はほぼ消失しておりましたが、やはり舌縁以外はやや白っぽく乾燥しています。参考になればと見にくいかと思いますが写真を添付いたしました。
一度お伺いすべきとは思うのですが・・・ご無礼を承知で再度ご意見お聞かせ頂ければ幸いです。
君の名は? posted by (C)ヒゲジジイ
御返事メール:
舌先が真っ赤でなければ黄連解毒湯証はほとんどあり得ないと思います。
ところで、その前に虚実論の問題ですが、日本漢方で広く行われる虚実論は、実に非科学的でほとんど意味をなさないと思います。
一般論で言っても、虚実挟雑状態であるのが生命体の特徴であり、虚と実の比率が異なるだけであり、漠然とした虚証や実証、ましてや虚実中間証という用語そのものが言語矛盾であると思います。
専門用語が未熟な日本漢方
舌のお写真を拝見しますと、紫色がかって見えますが、実際に紫がかっていれば瘀血(オケツ)の存在は明らかと思われます。
また、とても重要なことですが、舌の苔は、含嗽はよいとしても、もしも常々ブラッシングされておられれば、正確な舌証を分析することは不可能となります。舌証を見分けるにはブラッシングは絶対にご法度です。
しばしば苔を無理にブラッシングで取っている人では、実際には苔が多くて湿邪が蔓延しているのに、誤って滋潤作用の生薬を主体に考えて大間違いするケースもあり得ます。
ともあれ、想像したよりも苔が少なく思いますが、薄っすらと白い苔がかかっているのでしょうか?(薄っすらとかかっている様に思われますが???)
舌の縦ヒビの深さを考えると腎陰虚の存在を疑いたくなりますが、真冬でも足の裏だけは温かく、あるいはご家庭では冬でも裸足ということはないのでしょうか?
頂いた舌のお写真から、敢えて処方を考えるとしたら、ツムラ漢方で使用できる範囲では、加味逍遥散プラス猪苓湯に六味丸の三者の併用です。
但し、ツムラの加味逍遥散は間違った配合で、白朮(ビャクジュツ)であるべきところを、安価な蒼朮(ソウジュツ)で代用されています。処方としては失格です。
もしも常々、舌をブラッシングして苔を除去されているとしたら、以上の解釈はまったくアテになりません(涙。
写真で拝見する限りは、自然の状態にしていれば舌の奥に薄っすらと黄色い苔がかかって来るのでは?というイメージがしてなりません。その場合は、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)となります。
頬のお写真を拝見する限りでは、写真のためか、それほど重症には思えませんが・・・
以上、取り急ぎお返事まで。
シラン(紫蘭) posted by (C)ヒゲジジイ
2009年04月30日
日本漢方における虚実論の非科学性について
posted by ヒゲジジイ at 21:25| 山口 ☁| 日本漢方の情けない現状と限界
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