年齢: 40歳〜49歳の男性
ご職業 : 医療・福祉関係(医師)
お問い合わせ内容 : よろしくお願いします。
5年ほど前より両頬部の毛細血管拡張が出現しここ1.2年徐々に広がっています。いわゆる酒さだと考えられ、2ヶ月ほど前より白虎加人参湯開始、2週間前より黄連解毒湯を開始(何れもツムラです)。
またビタミンB2,6配合剤の内服と本邦未発売のロゼックス(メトロニダゾール含有軟膏)の塗布も行っております。
桂枝茯苓丸も試みましたが顔面の熱感と軽いめまい感(ボーっとしてふらつく感じです)が出現し二日で止めました。
色白、中肉中背。元来疲れやすく、食後の眠気、軟便(最近は乳酸菌製剤の服用と酒量の減少で軽快)、口渇、顔のむくみ、皮膚の乾燥があります。
眠りやや浅く多夢の傾向です。
既往:幼少期アトピー性皮膚炎ありましたが現在治癒しております。しかし顔面潮紅著明な時期(7歳から18歳ころまで)もあり、ステロイドを顔面塗布していた期間もありました。
40歳頃、頬の掻痒に半年ほどステロイド用いた時期もあり、それ以降酒さが出現したことから酒さ様皮膚炎の要素も加味されているかもしれません。
ステロイドはここ数年は全く使用していませんが病変は広がっています。自己判断では気虚、お血、水毒があるがあるかと考えているのですが・・・現行の漢方治療でよいものかどうかお尋ねしたく存じます。ご教授お願いいたします。
飛行準備だよ posted by (C)ヒゲジジイ
御返事メール: 桂枝茯苓丸の服用で顔面の熱感と軽度のめまい感という反応は、おそらく含有成分中の桂皮が原因だと思われます。
このような体質の人には黄連解毒湯が適応することも多く、舌先が真っ赤であれば黄連解毒湯症の可能性大ということになります。
ですから、逆に桂枝茯苓丸を半分量として黄連解毒湯と併用していたなら、そのような副作用は生じなかった可能性もあります。(体質的にお血の存在が明らかであればという前提ですが・・・)。
また、浮腫傾向のある体質の人が白虎加人参湯を使用する機会は滅多に有り得ないもので、文面から推察する限りは不要であり、むしろ邪魔ではないかと思われます。
舌証はとても重要で、この観察だけでも必須方剤が直ぐに見つかることも多いはずです。舌の奥に黄膩苔が多少とも確認できれば、多くは肝胆系統に湿熱の存在が疑われますので茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を考慮すべきで、一般の教科書にはまったく指摘されないながらも、優れた活血化瘀作用があります。
いわゆる「酒さ」の多くは瘀血(オケツ)が併存することが通常ですが、桂枝茯苓丸が基本的に合わない体質であれば、熱証の程度によっては丹参や地竜(活絡作用を利用)の併用も考慮する必要があります。
気虚が存在する根拠は疲れやすさに伴って、歯型を伴う大きな舌象を呈するのでしょうか?
ともあれ、酒さで明らかな実熱証で、顔面の熱感を強く自覚し、舌先が真っ赤という条件が揃えば、黄連解毒湯を主体に、適切な活血化お薬を併用する方法が基本になりやすいと思います。
顔面紅潮の著しい酒さ様皮膚炎を伴った重症アトピー性皮膚炎の人達でも、数年がかりの漢方治療で9割以上の改善を得られているのですから、きっと適切な方剤が見つかるはずです。
但し、頑固になり進行性が見られる場合は、過去の病歴から考えましても、恐らく僅か1〜2方剤の連用では効果が弱いかもしれません。
一定レベルに進行した皮膚炎関連では、かなり細やかな工夫と試行錯誤が必要になることも多く、結果的にはかなり手の込んだ配合となる場合もあります。
文面から推察できることは以上が精一杯です。僅かでもご参考になれば幸いです。
大空へ羽ばたいて行くのだっ posted by (C)ヒゲジジイ
2009年04月27日
いわゆる「酒さ(しゅさ)」に対する漢方薬の御質問
posted by ヒゲジジイ at 21:09| 山口 ☀| 酒さ(酒皶)・赤ら顔・酒さ様皮膚炎・ステロイド酒さ
|