2008年10月26日

脳幹出血による後遺症の漢方薬はありますか?

性別 : 男性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 会社役員
お問い合わせ内容 : 私は2年前に脳幹出血で倒れた●●県◎◎市に住む4?歳の男性です。毎日、リハビリに励んで降りますが左半身麻痺の状態で一向に良くなりません。

 脳の疾患に伴う治療というものはございますか。普段は4点杖で歩いています。100Mほどですが。バランスがとりづらくすぐに転びそうになります。そういったことの治療・治療薬はございますか。

 ぜひ、お聞かせください。よろしくお願い致します。


お返事メール:倒れられた後、安定期に入った段階で早ければ早いほど効果が十分に発揮しやすいと昔から言われています。もちろん漢方の世界の話です。既に二年も経っているのですから、相当の知恵と工夫が要るものと思います。

 2年も経っておれば、どの程度回復するかは、漢方専門家の知恵と工夫もさることながら、服用者の熱意と決意は当然のこととして、ほどほどの経費が必要になるケースも多々あります。

 一般処方以外にも牛黄製剤などの高貴薬と言われるやや高額な漢方系の医薬品が効果的な場合もあり得るからです。
 結果的にどの程度改善できるかは、既に二年間を経過している状況では、個人差が大きく、ピンキリです。

 あるいは日本国中のどこかに脳卒中関連の後遺症の改善を得意とされる漢方の専門家もおられるかもしれません。

2008年10月24日

様々な意味で、なんじゃこりゃ〜の漢方薬

おたより: 東海地方の美人女性薬剤師

 今日は、最近のこちらの様子のご報告です。
 ここ2週間ほど、柴胡桂枝湯が飛ぶように出てゆきます。
 こちらでは、少陽の病の方がとても多いです。

 通常、春先に多い症状ですが、今年の夏は暑くてクーラーで冷えた方も多く、かえってクーラーを使わないこの時期の方が、暖かい・・・つまり、冬から春へ向かってゆくような反応なのかもしれません。

 いずれにしても、通常陽〜陰へ入れ替わってゆく時期にあるせいか、体側部の病気がこちらでは多いです。
 すなわち、偏頭痛、耳鳴り、扁桃炎、耳下腺炎、三叉神経痛、肋間神経痛、坐骨神経痛・・・・など

 今日は、右耳に電気が走るような痛みが続き、痛くて眠れなかった方が来られました。

 病院で診ていただいたところ、神経痛だと言われ、ジヒデルゴット、ブルフェン、メチコバールが処方され、1週間飲んだが、全く変わらず、痛みで何もできない・・・・
と言うことでした。
 痛くてたまらず、こともあろうに湿布までしておられました。

 舌をみると、冷えと湿があります。
 昼間は暑いので、冷たい水分を摂りすぎていたところ、夜の寒さが手伝い、寒湿の邪が少陽の経絡を犯した・・・というふうに見て取れましたので、葛根湯+五苓散+柴胡桂枝湯を処方しました。

 薬局で飲んでいただき、温灸で耳を温めてから帰られたのですが、家に着いたころには痛みが全くなくなり
まさに”ナンジャコレ〜”だったようです。

 柴胡桂枝湯は、この時期、私も娘も好んで飲んでいます。
 朝、ちょっと寝冷えっぽく、体がだるく起きるのがしんどいようなとき、柴胡桂枝湯を煎じて飲むと、また一日働く気力がわきます。
 親子で体質が似ているようです。

 新型インフルエンザ対策も必要ですね・・・・。
先生のところは、まつ子先生が万全を期してご用意されているとのこと・・・・安心ですね。
 こちらは、からっけし準備していないです・・・すぐに食料も底をついて、真っ先に飢えるタイプかもしれません。

 最近では地震雲もよく出ており、何となく不気味です。

 先生のような腕はありませんし、バカチョンヘッポコカメラですが、屋根に上がって雲を撮りまくっています。(笑)


お返事メール:おたよりありがとうございます。
 柴胡桂枝湯もさることながら、当方では昨年来、加味逍遙散がやけに目立ちます。これほどありきりな処方を今年になって滅多矢鱈に販売する事態に驚いています。

 多くの人は保険漢方などで服用済みのものなのに、製剤が異なれば、これほどの違いが出るのかと驚愕しています。

 併用方剤の違いが大きく影響していることは当然のことながら、そのようなケースがあんまり続くと気味悪くなってきます。先日は難病の男性にも中心方剤として販売したほどですから・・・ストレスの多い時代とはいえ・・・ストレスと言えば、最近、こんなこともありました。

 アトピーで当方の漢方を利用されている男性が、胃の調子までよくなって喜んでおられたところ、もともと胃痛持ちだったのが、最近、再び繰り返すのでピロり菌検査でも受けるに進言し、同時に四逆散のエキス製剤を併用してもらったところ、中途半端な効き目で、やはり繰り返しています。
 検査にはなかなか行かれず、ストレスの多い職業の方だから、四逆散証に間違いないので、製剤の品質上の問題や濃度の問題も考えられるので、文字通りの「四逆散」の散剤とエキス剤を併用してもらったところ、劇的に効いて雲散霧消です。

 そのまま継続服用してもらっていますが、証が合っていても製剤の品質や製剤内容の問題は、本当に無視できない重要問題だとあらためて感じたものでした。

 ところで先生はナンと雲っ!
 雲をつかむようなと表現されるその雲が写真のターゲットですかっ!?
 趣味の世界というものは何とも不思議なものですね。

ヒゲジジイは一度狙った対象は、ハチでも蝶々でも、無駄打ち覚悟で数百枚はあらゆる角度から撮影せずにはおれません。裏庭でアカタテハを見つけた早朝には、数百枚を機関銃のように写しまくったものでした。

 雲は面白いものですか?
 雲の写真にはあまり興味は持てないのですが、惹かれる所はどのようはところか、いつかお教え願えればさいわいです。


【追記】 本日早朝の被写体は、五月を二倍する十月らしく五月蝿く五月蝿く喚き散らす ヒヨドリ 数百枚は撮りたいところだったが、数枚撮ったところで飛び去ってしまった。こちらの殺気が伝わり過ぎた。
posted by ヒゲジジイ at 15:21| 山口 ☁| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

2008年10月22日

利尿剤と利水剤の違いっ!←合成医薬品と漢方薬の大きな違いの一つ

性別: 女性
年齢: 30歳〜39歳
簡単なご住所: 近畿地方
具体的な御職業 : 司法書士
お問い合わせ内容 : はじめまして。
 いつもこちらのホームページを拝見させて頂いております。何卒よろしくお願い致します。

 ご相談させて頂きたいのは、漢方の生薬の中で利尿作用のある生薬はあまり長期にわたり連用しない方が良いのか、教えて教えて頂きたくメール致しました。

 漢方を服用しておりますのは母で、糖尿による腎機能低下、高血圧、C型肝炎を患っております。母が服用しております生薬は当帰・赤芍・生地黄・莵絲子・塾地黄・枸杞のみ・茯苓・陳皮・大棗・沢瀉・五味子・黄耆・益母草で各々3グラム、黄耆のみ5グラムになります。

 一ヶ月を服用し母のクレアチニンは1.95→1.70になりました。血液検査の中でNaという項目があるのですが、漢方服用後かなり低値になっております。糖尿を示す数値も正常になりました。

 西洋の薬の利尿剤はあまり長い間服用しない方が良いと聞いた事があるのですが、漢方の場合、利尿効果のある漢方は長期にわたり服用しても問題はありませんでしょうか?

 お忙しいなか、大変申し訳ありません。何卒ご返答お願い申し上げます。


お返事メール:合成医薬品の利尿剤と、漢方薬における利尿作用を持つとされる方剤や生薬を、医薬品だからといって同一視することは出来ません。

 現在服用されている漢方薬が明らかに効果が出ているとしたら、それを中止するほうが問題となることでしょう。
 逆に、現在の漢方薬が逆効果に働いているというのであれば、即刻中止すべきですが、あきらかな効果が出ている状況下で、長期連用の不安を持つには及びません。

 本来なら、せっかくそのような漢方処方を出されている先生にこそ、ご質問されるべきだと思うのですが、このような問題はセカンドオピニオンというには、些か・・・。

 蛇足ながら、西洋医学的に言えば利尿剤の部類に入るかもしれない猪苓湯を愚妻は35年間毎日欠かさず高濃度の製剤を他の漢方薬と共に服用し続けています。
 服用を続けている理由は、二十代で腎臓結石の激しい疼痛に苦しみ、腎臓に存在した石の多さに恐れをなし、無症状となった現在でも予防的に高濃度の猪苓湯を服用し続けているわけですが、適応証であれば、このように長期間の連用が可能なのです。(おそらく一生涯続けることでしょう。)

 利尿過剰になったり検査で悪影響が疑われるなどの特殊なケースではで続けるべきではありませんが、よい結果が出ていれば合っている証拠なのでしょうから、考え方のまったく異なる合成医薬品と混同して、その漢方薬を中止するほうがもっともっと問題が多過ぎるのではないでしょうか?


おり返し頂いたメール:このように早くご返信下さり有り難うございました。

 先生の言われますように、医薬品の利尿剤と混同しておりました。
 結果に効果が出ているのに不安をもってしまい反省しております。

 先生にわかりやすくご説明して頂き大変勉強になりました。
 本当に有り難うございました。

2008年10月20日

ウチダの生薬製剤二号方による著効例(東海地方の内科医の先生からご報告)

おたより:東海地方の内科医師

 いつも適切なご助言に感謝しています。

 本日母親を面会してきました。雲南田七、杞菊地黄丸、疏経活血湯、そして1週間まえからウチダの生薬製剤二号方を1包内服することによって左大腿部のしびれ感と疼痛が改善してきた、と申していました。車椅子ではありますが、病院に近接した喫茶店にでかけて約1時間雑談することができ、本人も嬉しがっていました。

 なんといって感謝してよいのか分かりませんが、本当にありがとうございました。母親に替って深謝いたします。

 メーカーさんが村田さんの生薬製剤2号方の論文を資料として持参してくれましたが、大変参考になりました。この件につきましても示唆的な論文を投稿してくださって、ありがとうございました。

 最近、村田さんが指摘なさっている五蔵六腑、気・血・津に注目した弁証を意識して患者さんに投薬するようになって、徐々にではありますが手ごたえらしきものを感ずることができています。さらに精進してゆきたいと思っていますので、粘り強くご助言くださいますようお願い申し上げます。

 そろそろ感冒が流行る時期になってきましたので村田さんにおかれましてもお自愛くださいませ。


お返事メール:ウチダの生薬製剤二号方が少しはお役に立てたようで、嬉しく思います。

 ちょうどブログの材料がなくなっていたところですので、今回のおたよりを掲載させて頂きたく、生薬製剤二号方の宣伝にもなりますので(笑、宜しくお願い申し上げます。

posted by ヒゲジジイ at 00:54| 山口 ☁| ウチダの生薬製剤二号方と丹心方 | 更新情報をチェックする

2008年10月19日

漢方薬運用の難しさ(茵蔯蒿湯や藿香正気散など)

 折々に取り上げた茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)について。

 これまでしばしば取り上げたのは世間では意外に使用されないために、メーカーの回転率の悪さから製造中止になったら困るので、盛んに宣伝してきたのである。このような裏心があったからである。
 つまり深謀遠慮があったという訳である(苦笑。

 しかしながらいまや宣伝が行き届いたのか、その心配は無用となった。
 せっかくだから打ち明け話のついでに、茵蔯蒿湯にまつわる話で、通常は舌の奥に黄膩苔を認めない限りは適応証とは認められないはずの人でも、以前医療関係者に実験してもらったところ、花粉症による目の痒みなどにはよく奏効した実験結果が出ている。

 そのような人の中で、花粉症の時にも、浮腫が続いた時にも、いずれも大いに活躍した茵蔯蒿湯が、過食によるものか急性蕁麻疹に見舞われたので当然のごとく茵蔯蒿湯を使用されたが、一向に効果が出ないという報告があった。
 蕁麻疹こそ茵蔯蒿湯の効果効能に大きく記載されるほど本命の症状であるはずが、これだけには奏効しないというのだから、何とも不思議な現象である。

 もともと茵蔯蒿湯の応用範囲はとても広いもので、http://cyosyu.exblog.jp/i8/ ここにも取り上げているほどだが、先日もアトピーで一年以上続けられている遠方の女性の子供さんが、夏が過ぎて極端に疲労が出たのか、一日中ゴロゴロしていてムカムカが続いて時に嘔吐する。病院治療も点滴などでしばらくは元気になるが直ぐに元に戻ってしまうが、何とか漢方薬で治らないものだろうかとご相談があった。

 夏場の冷たいものの取り過ぎが原因ではないかとを服用してもらったが一向に効果が無い。
 ところが舌の奥に分厚い苔が存在するというので、母親がアトピーで使用中の茵蔯蒿湯を飲んでもらったところ速効である。

 大人では珍しいケースではなく、最近も子供の頃からしばしばむかむかと吐き気がしていたため成人して以後、重度の吐き気恐怖が続いていた人にもよく奏効している。

 の変わった応用では、急な腰痛で立てなくなるほどの状態が続いている中年女性に、クーラー病ではないかと疑って、試しに服用してもらったところ速効を得た例もある。

 効くべきものに奏効しなかったり、突拍子も無い症状に効果があったり、漢方薬の難しさがここにある。
posted by ヒゲジジイ at 01:40| 山口 ☀| 漢方薬や漢方系健康食品の長期連用によるメリット | 更新情報をチェックする

2008年10月17日

思わず牛黄製剤の速効に驚いて「ナンジャコリャ〜っ!」と街中で叫んで皆に振り返られたそうだ

 本日帰って行かれた関東の兄ちゃんは、線維筋痛症と慢性疲労症候群が合体して悲惨?な状態で、危険だから下関には来ないようにとメールを送っていたのに行き違いで、とうとう二泊三日でやって来てしまった。

 だから初日は、他の重要な問題もあってちょっと叱ってしまったが、疲労と疼痛が激しそうなので、中心になる方剤に、追加で某社の牛黄製剤を疲労回復用に追加したところ、本日の報告ではホテルに帰る小倉(九州)への道中に前もって服用したところ30分後には身体の疼痛が消失して疲労感が解けるように消え去るのに驚いたという。

 思わず「ナンジャコリャ〜〜〜ッ!」と叫んでしまい、小倉の街中で、皆に振り返られて恥ずかしかったといわれる(笑。

 その場に遭遇した人達は、さぞや気色が悪かったことだろう(苦笑。
posted by ヒゲジジイ at 00:06| 山口 ☀| 線維筋痛症 | 更新情報をチェックする

2008年10月13日

デング熱の恐怖?!

おたより:東海地方の女性薬剤師

 ご無沙汰しています。
 毎日、タイムリーな記事・・・勉強になります。(勿論クリックしてます)

 ところで先生、私ちょっと心配になったのですが、昨日テレビで、デング熱が日本に流行するかも・・・。
 というような番組がありました。

 デング熱を媒介するネッタイシマカは、通常日本にはいないそうなのですが、夏季に43度を超える日が連続して1週間続くと、発生するそうです。
 今年の日本の気候は、ベトナムの気候に近かったようで、43度を超える日はなかったものの、7〜8月の平均気温が昨年よりも4度も上昇し、各所で見られたゲリラ豪雨など、熱帯の気候になってきているようです。

 昨年、台湾でデング熱が流行したそうで、日本においては、今年、奄美でネッタイシマカが確認されたとのことですが、まだ本土では確認されていないとのことでした。

 そのネッタイシマカの映像が映されたのですが、私がハッとしたのは、先生が凄腕で撮影された蚊の名写真にあまりにも似ていたことです。
 それこそ、素人なので定かではありませんが、いっぺん、”ネッタイシマカ”を画像で検索して見てみてくださいっ。
 仮に違ったとしても、先生、ご自分を蚊の餌食にしての撮影・・・・危険なのでどうかご遠慮ください。

 何だかとても心配でハラハラしてしまいます。

 それにしても、自然の花や昆虫、接写すると不思議な世界が拡がりますね。
 蜘蛛の顔なんて見たこともなかったですが、沖縄のシーサーみたいなお茶目な顔をしているんですね。

 枯れ葉に似た虫も戦闘機のような顔をしていてユニークです。
 こんなふうに撮ることができる先生の腕前もスゴイです。
 お月様は、望遠鏡にくっつけて撮られたのですか??
 ボクチンとのツーショットは、プリントアウトして、飾ってあります。(笑)
 コンデジシリーズも楽しみにしています。


御返事メール:ご心配、ありがとうございます。

 まだ元気で生きております。ブログ類に貼っている写真の蚊は、ヒトスジシマカで、いわゆる「薮蚊」のことで、日本のどこにでもいる蚊のようです。
 だから大丈夫、と思っていたら、

http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/medical/mosquito_around_the_world.html

 ここには「デングウイルスを媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカには特に注目が集まっています。」と書かれていますので、ちょと薄気味悪くなりますね。

 でも、まだ発病してないから大丈夫みたいです(笑。

 最近、人間様との付き合いには飽き飽きしたので、昆虫やお花ばかりを友として、主に拡大写真を撮りまくっています。
 最近は、デジタル一眼レフが凄まじいブームだそうで、ここ七ヶ月間に505万台以上も売れているそうです。

 あんなに重たそうで大げさなスタイルは性に合わないので、天邪鬼にコンパクトデジカメばかりで、大げさな一眼レフに対抗しています・・・と、こんな本音を書くと、デジタル一眼ファンから袋叩きにあいそうです(苦笑。

 本当にご心配ありがとうごさいました。

 仕事の方は、何ヶ月ぶりかで暇な月曜日があり、薄気味が悪いほどでしたが、株化暴落の影響か、薬局に直接訪問される人が今週は減って一息つけました。
 ところが、いきなり二泊三日の旅程でやって来られた「大阪のおばさん」(赤の他人のおばさん)が、あまりに乱雑に散らかっている相談机を見るに見かねて綺麗に整理していってくれました。
 オコナイがよいから、きっと早晩回復されることでしょう(笑。

 ともあれ、デング熱もデング熱ですが、必ずやって来ると言われる新型インフルエンザ。愚妻は早くから、あらゆる想定の準備をしていますが、小生は馬鹿馬鹿しくって、その時になって慌てればよいではないかと高をくくっています。

あっ、例のお月さんの撮影は単純です。18倍ズームのニコンのコンデジを使って、絞りや露出、ISO感度を調節すれば、あのレベルは普通に撮れます。やることは一眼レフとまったく同じですから・・・。


追記:従来なら連休明けの明日は時に悲劇的な忙しさに見舞われ過労死の不安恐怖を感じる可能性の高い日だが、株化暴落のお陰で少しは暇な連休明けになるだろう〜とたかを括っているのだった。
posted by ヒゲジジイ at 15:13| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2008年10月11日

アトピー性皮膚炎で大学病院の漢方科に行くにあたってアドバイスを求められるが・・・

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
簡単なご住所 : 東北地方
具体的な御職業 : 看護師
お問合せ・ご連絡内容 : ステロイドを減量しながら約1年、その後ステロイドをやめて約5年の計6年、漢方治療してきました。

 最初の1年は、体に熱があると言われ、特に冬はもともと足が冷えるにもかかわらず、漢方薬で足がしびれるほど冷え、その上顔ばかり赤かったので、アトピーを治すか冷えを我慢するかと言われ、疑問に思いやめました。

 次の薬局は4年かかりました。根本原因は冷えと言われ、漢方の生薬は附子(ブシ),乾姜(カンギョウ)が基本と温める治療でした。
 最初は体を動かすのもつらい状態でしたが良いときには近くの温泉施設で人前で裸になることもできる位になりました。

 ただ、あまりにも重症で治るのにかなり時間が掛かり、良くはなってもまだまだひどい状態だったし、あまり冷えが原因という考えにとらわれたくないと思い、今のところに変えてみました。
 原因は血虚、肺と腎を強めることとのこと。

 調子が落ち着いているときは、一ヶ月くらい同じ漢方を飲めましたが、六月に胃の調子をくずしてから、胃の調子を整える漢方を加えるようになりましたが、なかなかよくならずたびたび薬が変わるうち皮膚のほうも悪化して頑張って10日くらいしか飲めなくなってきました。

 このことを相談しましたが解決する話にならず少し不信に思い始めました。毎回の薬で当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)だけは変わりません

 たまたま大学病院に漢方科があるのを知り来週初診予約しています。ただ今までの経験上、アトピーのことを知る先生でないとだらだらと辛い思いが続くように感じています。
 ●●市には漢方医院や薬局が数少なく、頼るところがない現状です。

 私は看護師でアトピーについて知識もあると思います。自分なりに調べて試して見たい漢方もありますが、大学に行くにあたり、何かアドバイス頂けないかとネットをみて思いました。

 よろしくお願いします。近ければ伺いたいのですが、遠方のため継続して治療は難しいと考えます。


お返事メール:「何かアドバイス頂けないかと」ということですが、せっかくステロイドを離脱しているのに、随分漢方治療をこれまで頑張られているのに惜しいケースだと思います。
 4年も頑張られたところがあるのに・・・そこまで頑張ってくれれば何とかなりそうなものですね。

 といっても、ステロイド軟膏も使い方次第では、決して問題とはならないはずです。

アトピーとステロイド

また、

>私は看護師でアトピーについて知識もあると思います。

という点については、当方にも医療関係者が各種疾患で各地から来られていますが、各大学病院ですら、若い年齢層の各科の医師自身が複数、アトピー性皮膚炎に苦しめられている実体をしばしば耳にします。(さすがに医師自身が当方に来られるケースは僅少ですが・・・)

>大学病院に漢方科があるのを知り

という点については、最初にそれらを受けて、それで治らずに転々と各地の医院や漢方薬局を巡り・・・という順番の方が、当方では多い印象なのですが、貴女はその逆コースを辿られているようです。

 良い先生にめぐり合える事を祈るばかりです。
posted by ヒゲジジイ at 06:36| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年10月10日

飛蚊症の漢方薬として特定の方剤が決まっているわけではありません

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 主婦
簡単なご住所 : 九州地方
お問い合わせ内容 : お世話になります。
 「飛蚊症の漢方薬」をみました。当方も黒いものがじゃまをし目がとても疲れます。釣藤散と六味丸を試してみようかと思っております。

 しかし以前、虚症と言われたことがありますが症が合わなくても、飛蚊症には効果が出るでしょうか?1度来店しご相談した方が良いかと思いますが他に適当なものがありましたら、お教え頂けると有り難いです。宜しくお願い致します。


御返事メール: 飛蚊症には釣藤散と六味丸が効くと決まったものではありません。
 ましてや、御覧になった「飛蚊症の漢方薬」は、あくまで専門家でもある特定の医師個人へのアドバイスに過ぎず、不特定多数の人にアドバイスした訳ではありません
ましてや、貴女が釣藤散証(釣藤散が適応する一連の症候群)タイプであると、どうして分かるのでしょうか?

 また、虚証と言われたという、いかにも日本漢方特有の幼稚な判断では、何も処方は決められません。
 ほとんどの慢性疾患患者さんたちの実態は、虚実挟雑状態にあり、虚と実が入り乱れているのが通常です。一人の身体で五臓六腑それぞれの寒熱虚実が異なります

 飛蚊症はなかなか頑固なこともあり、それでもある女性は、加味逍遙散と杞菊地黄丸だけで急速に寛解した方がおられましたが、そのような超速効が出るのは珍しいケースです。
 杞菊地黄丸を主体に生薬製剤二号方を加え、さらに釣藤散や体質改善三点セット等、考えられる多くの併用薬により、ようやく軽減した例もあるなど、なかなか困難を極める場合もあります。

 また、随分昔の話ですが、様々な漢方薬の工夫にも関わらず、まったくぜんぜん効果が出なかった某製薬会社の社長さんもおられ、面目丸潰れという情けない経験すら持っています。

 ともあれ、安易に素人療法はされないで下さい、というのがお返事の結論です。

 なお、一度来られたくらいで治るとは限りませんので、遠路はるばる来られるには及びません。地元近辺で(信頼出来そうな漢方の専門家を)お探し下さいませ。


折返し頂いたメール:お忙しい中、ご丁寧なお返事ありがとうございました。
 大変参考になりました。
 どうもありがとうございました。
posted by ヒゲジジイ at 06:21| 山口 | 飛蚊症 | 更新情報をチェックする

2008年10月09日

漢方薬(補気建中湯など)と病院の薬を併用して危険性はないのでしょうか?

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 近畿地方
具体的な御職業 : 出版関係
お問い合わせ内容 : 私の父は現在肝臓がんの末期といわれ、腹水がたまって、病院の治療でもあまり効果がみられません。

 あまりにつらそうなのでネットで調べておりましたら補気建中湯のお話がのっており、お聞きしたいのですが、病院でのお薬(利尿剤、血圧降下剤、アルブミンを増やすお薬)などと、漢方薬の併用には危険性はないのでしょうか。

 病院では漢方の知識が深くなさそうなので、聞いてもわからないと思います。よろしければ、ご経験上からのお返事をお待ちしております。


お返事メール:疑問を呈される内容自体、まったく考えたこともない内容ですので・・・

 皆さん、かなりなギリギリのところで、言葉は悪いですが「一か八か」の切羽詰まった状況の中で、一時的でもよいから腹水の辛さを何とか漢方薬でやってもらえないかと懇願されてアドバイスしてき来た方法の一つです。
 だから、なおさら、そのような疑問が湧く余地がなかった状況ばかりだったと記憶しています。

 たとえば、一週間も持ちませんよと主治医に宣告されるようなギリギリの状況が多かっただけに、なおさらご相談者のご家族こそ、貴女のご質問のような不安を持つ余地がなかったのだと思います。こちらでも同様です。

しかしながら、昨今はますますむずかしい時代ですので、以前からもそうですが御相談者が不安や疑問を呈される場合は、こちらからは決してお奨めするものではありません。

 補気建中湯を服用すれば一時的にせよ、腹水が絶対に軽減されるという保障があるわけでもありませんし、ご覧になったブログ自体、専門家向けに書いたものですので、歯切れの悪いお返事で恐縮です。

2008年10月08日

糖尿病性腎症・腎不全の速効に喜ぶ患者さんを強く戒めたこと

 昨日の出来事だが、僅か20日足らずの服用後の検査で、クレアチニンが正常値になり、尿素窒素も上限から2高いだけのレベルまで下がった糖尿病患者さん。
 元凶であるヘモグロビンA1cも限りなく5,8に近づいた。

 足のシビレも速効で緩解し、この調子で白内障も治らないかな〜と強い願望を述べられるが、杞菊地黄丸などナドがどこまで改善してくれるかは今後の心がけ次第である。

 糖尿病の影響で腎不全の兆候が見られ、いずれは透析の可能性も・・・と医師に告げられ、たまたま当方のおなじみさんに紹介されて来られたのが縁であった。

 放物線を描いて数値が急に上昇して、短期間で透析になるケースも珍しくないといわれるが、「いずれは透析も・・・」と主治医に告げられるまでになって、はじめて漢方薬を求めて来られる地元近辺の人は以前から多い。
 
 クレアチニンが5を超えたり、尿素窒素が50を超えるくらいになってはじめて来られるようなケースでは、状態を一時改善して透析までの期間を延期するだけに終わるケースもあり、このように一定レベルを超えれば、どんなにがんぱっても五分五分の賭けになる。

 ところが早い段階であれば、ほとんどのケースでクレアチニンも尿素窒素も正常化するのが通例で、その多くは短期間で速効が出る。
 だから初めて来られた頃の深刻さは直ぐに失せて無意識に病気を甘く見るようになる傾向が強い。
 それゆえ、今後も当分は決して油断がならないことを懇々と説いたのである。

 せっかく大喜びで検査表を持参されたご夫婦に、その喜びこそ警戒で、最初に超速効が得られる人ほど油断して漢方薬の連用を怠り、じわじわとしか効いてくれない人達よりも、却って中途半端に終わることも多いのだから、と過剰なくらいに警告を発するばかりであった。

 実際のところ、どのような疾患であれ、漢方薬で超速効が出た人ほど、継続服用する根気が失せる人が目立つのである。

 実際に数日前に、当初はIgA腎症がやや進行してクレアチニンや尿素窒素が上昇して、当方の漢方薬数ヶ月にして、まったく正常値に戻っていた人がいた。最近は延び延びの服用になっているので危ぶんでいたところ、他の用があって立ち寄ったときに、

 最近は1回しか服用してないのです。薬に頼らず食事療法で治してますから〜〜〜

 と嘯く厚顔無恥にあきれ果て、バッカジャジナイノ〜〜、その油断から35年間に何人の人が結局は透析するようになったか、せめて朝と晩の2回でも続けておかないと1回くらいの服用では屁のツッパリにもならない。
 腎不全の現実を知ってってそんな暢気なことを言ってるのカイナ〜〜っと言わざるを得ないお馴染みさんがいたばかりである。

 サボるも念を入れるも、ご自身の問題だからお好きにどうぞっ、とまともに相手すべきではないのかもしれない。
 しかしながら、長く苦しまれた慢性疾患に超速効は歓迎すべきであろうとも、実際には却って大きな油断を生む結果になる現実を35年間、イヤになるほど見続けてきた。

 だから、超速効例ほどますますキツク、サボり癖が着く前に事前に強く訓示を与えておくに限るのである。
posted by ヒゲジジイ at 00:22| 山口 ☁| 糖尿病性腎症・腎不全 | 更新情報をチェックする

2008年10月05日

傷寒論時代の人参は実際には党参(トウジン)だったのかも?

おたより:関東地方の内科医師

どうも人参は暖める力が強すぎますよねぇ〜。
血を集めれば当然…水も集まるわけで…
ん〜お腹が出っ張ってれば…
人参は使いたくない!

でも人参が含まれている処方は使いたい!
てな場合…党参の方が使いやすいかもぉ…

結果…党参は小生の漢方処方でも
活躍しそうです。

村田先生に感謝です!


お返事メール:おたよりがないので外国へでも行かれたかと訝っていました(笑。

 党参の件、最近ではますます傷寒論時代の人参は、やっぱり党参だったのではないかと疑っています。

 但し、いわゆる後世方の人参の中には朝鮮人参でよいものもかなりあるものと思っていますが、昔ほどの資料研究の情熱が湧かず、日々の仕事に忙殺され、ストレス解消には暇が取れたらコンデジで遊んでいます。マクロを使って昆虫や草花のミクロの世界の観察です。

 それはともかく、現実的には既にブログでも書きましたように、白虎加人参湯などは西洋人参を使用すべきときが多いはずですが、漢方行政後進国の日本では、不自由極まりない現実があります。人参は、党参、竹節人参、西洋人参などのきめ細かな使い分けをする必要があると信じるものですが、この国の現実は・・・・・。

 また、優れた製剤であればあるほどコストがかかっている分、メーカー側も採算が取れにくくなり、値上げすれば益々流通が途絶えて赤字が出るということで、結局は製造中止に追い込まれているケースをしばしば目にしています。

 真面目なメーカーさんでは、白朮と蒼朮がいかに異なるものであるかという科学的なデーターと共に、製剤原料として使用する蒼朮は古立蒼朮レベルのものを使用しているという証拠資料などを持参されて説明に来られた奇特なメーカーさんもおられます。
 
 やはりどこの分野でも日本は捨てたものではないな〜〜〜と思いつつも、常に行政の方が、ぜんぜん追いついてない状況のように感じます。

 たとえば、話は飛びますが農水省が薬物混入やカビだらけの米を業者に売り渡していた行為は、あれは完全に「未必の故意」であり、れっきとした犯罪行為に他なりません。

 最近ますます信用ならない行政側の言動には、国民がもっと厳しい目で注視する必要があると怒っています。

 あまり真面目に考えると交感神経が興奮してますます血圧があがりそうなので、コンデジを持って今から上の畑に逃亡します。(⇒ その成果は スズメバチの晩夏 と 僅か一匹のスズメバチに襲われながら何度も撮影に挑戦 PowerShot SX100 ISの10倍ズームで撮ったスズメバチ
posted by ヒゲジジイ at 19:12| 山口 ☔| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2008年10月03日

意味不明の訳がわからん症状の訴えの女性なら、多くは加味逍遙散?!

 いまさら日本流の漢方をされる人なら、上記のタイトルは常識中の常識だから、タイトルにしてまで述べるまでもないことなのである。
 それをあえてここで書いてしまうのは、一昨年までは販売量が激減していた加味逍遙散製剤が、昨年頃から激増しているからである。

 古方でもないのに古方派が好んで使用される加味逍遙散ではあるが、それだけにヒゲジジイの古方派時代はしばしば使用したし、また当時は意味不明な症状を訴えて、いわゆる「血の道症」の女性が多く訪れていた。

 ところが、中医漢方薬学に目覚めた頃から、世の中も漢方ブームに沸き立ち、テレビでは医療用の漢方が派手に宣伝される時代に至って、加味逍遙散証を呈する女性達が、漢方専門の当方では激減していたのが実情である。

 もともと不定愁訴というものは、大変把握しにくいところがあるので、訴える多種類の症状の一つ一つに囚われ過ぎると、いつのまにか五里霧中に陥って、気がついてみると何のことは無い、加味逍遙散を主軸に運用すればよかったというケースが稀ではないのである。

 加味逍遙散証を呈する序章としての肝気鬱結を起こすからには様々な原因や誘引が存在するが、器質的な疾患と異なって、症状を真面目に聞いていたら、時にこちらがノイローゼになりそうなほどである。

 転移癌の患者さんたちが、様々な苦痛を堪えながら、ひたすら通い続けられる静かなる闘志と不屈の精神が滲み出る雰囲気と比べると、加味逍遙散証を呈する不定愁訴症候群やホットフラッシュの人達の方が、遥かに難病をかかえているような錯覚を起こすほどである。

 加味逍遙散という製剤こそ、世の中には五万とあるはずなのに、昨年から当方のような漢方専門薬局に多数の人が訪れるようになった原因は、品質のよい製剤しか販売しないからという理由だけではなさそうで、それに併用すべき適切な方剤の選択がかなり的確だからかもしれない(笑。

 ここで本音を言えば、一部の不定愁訴症候群の御相談は、死に病でもないのに時にはぜんぜん理屈に合わない症状の多さに閉口して、本当は決して得意分野ではなく、精神的には大いに不得意分野である ことを宣言しておきたいのであるっ(苦笑。
posted by ヒゲジジイ at 22:43| 山口 ☁| 更年期障害・自律神経失調症や不定愁訴症候群 | 更新情報をチェックする

2008年10月01日

子宮内膜症には古方の方剤ではやや非力なのでは・・・

 最近子宮内膜症関連の新人さんが続いているが、子宮内膜症はアトピー性皮膚炎よりも得意かもしれない。

 皆さんいずれも医療用漢方製剤や漢方薬局で煎じ薬などを服用した経験がある人が目立つ。あるいはチョコレート嚢胞などを併発して一度は手術した人も多い。
 
 多くの人が、当帰芍薬散や桂枝茯苓丸料などありふれた古方のエキス製剤や煎じ薬、あるいは婦宝当帰膠というパンダ薬局十八番の製品を主体にした配合が目立つ。
 いずれも当方ではそれらの方剤くらいでは内膜症にはやや力が不足だと愚考することから、ほとんど使用しない方剤である。

 比較的パターン化しやすいのもこの子宮内膜症で、軽症の人から重症の人まで、これまでまあまあ、というかとてもよい実績がある。アトピーほど苦労が要らない分、確率はアトピーよりも上かもしれない。

 最近ブログに気が乗らないので、ついついタダの宣伝になってしまった(苦笑。
 でも及び腰や迷ってる人達なら来られる必要はありませんよっ。本気の人でなければ、ぜんぜん頭が回転しないから。