2008年09月05日

漢方では西洋医学のような病名治療は通用しないのが一般である

 モンスターペイシェントの実態を少しばかり調査してみたら、1割の患者さんがそれに該当するだろうということが書かれている文献があった。
 医師や医療スタッフに対して1割の人がそのような態度であるのなら、市井の薬屋さん達に対して更に高い割合のモンスターペイシェンの存在が容易に察せられる。
 
 それはともかくとして本題に入ると、最近遭遇した例で、漢方においては病名治療が不可能な場合が多いというその例証として、瀉火補腎丸による食欲増進効果を認めたケース。
 転移癌手術後、半年以上経過しても回復しない極度の体力喪失、食欲不振、手足のシビレ、ひどい息切れ。
 さらなる癌の再発転移を強く疑われていたので、人に紹介されて来られた。

 ところが、中医漢方薬学にもとづく忠実な弁証により、こられの諸症状が瀉火補腎丸と牛黄製剤の併用によってかなりな速効で改善された。しかも精密検査で転移の疑いも晴れた。

 アトピー性皮膚炎は、生理が関連して女性の場合の方が複雑なことが多いが、その割には熱心な人が多いゆえか、どちらか言えば男性よりも最終的には成績がよいような気がする。美容に直結するから熱心な人が多いのかもしれない。
但し、短期間での脱落者は男女ともども極めて少数ながら常に存在して、微調整の苦労の大きな山場を乗り越えることが出来ないケースは、根気もさることながら冷静な観察力と客観的な報告能力欠如の問題とともに、経費的な問題も絡んでいるのかもしれない?一つ一つの漢方製剤の安さでは激安漢方として天下一品、とても評判が高いはずだが・・・苦笑

 最近、当方ではアトピーには滅多に使用しないはずの加味逍遥散が適応する人に遭遇し、これに茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の併用1週間で見かけ上、5割の改善を得た。
 既に長期間服用されていた朝鮮人参入りの補中益気湯などをすべて中止してもらったことも効果を上げた。あきらかに朝鮮人参が熱証を助長していたからである。

 凸凹を消すために猪苓湯製剤を追加したが、順次六味丸系列の方剤も追加すべきことが予測されている。ステロイドの離脱を焦って行わない限りは、順調に経過することだろう。漢方薬がしっかり奏功してくればステロイドは自然に減らせる問題である。

 いくら加味逍遥散と茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)で一定の改善を得ても、ステロイド漬けになっている現状を考えると、また舌証にも歴然と現れていることからも、猪苓湯による滋陰利水とともに、遅かれ早かれや六味丸系列の方剤による強力な補腎は必須である。

 このような中医漢方薬学派の弁証論治は、一般の漢方書籍やネット検索でも、ほとんど出て来ない方法である。
 それらの一般書籍やネット検索で出て来るような病名治療(アトピー性皮膚炎の病名治療)が可能なほど、アトピーは容易な疾患ではないということである。
posted by ヒゲジジイ at 00:00| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする