2008年08月31日

ステロイド漬けの期間が長かった人の場合、漢方薬で8〜9割寛解を得ても、たまには挨拶程度に塗布しておいたほうがよいステロイド外用薬

 アトピーばかりが本業じゃあ〜あるまいに、他の疾患に比べて苦労も多く相談時間も過剰に必要とするのに、敢えてアトピーの問題を多く取り上げるのは、治療効果の良否が外面的に明らかに白黒はっきりするし、真っ赤に腫れあがっていた人が、美男美女に生まれ変るのを見るのが楽しくもあるからである。

 実際の本業から言えば、進行癌や転移癌はもとより、あらゆる種類の西洋医学が不得意とする頑固な慢性疾患のご相談は、臓器別に言えば五臓六腑四肢百骸のあらゆる領域に及んでおり、本来の本業はこちらの頑固な疾患の方が遥かに多いのは当然である。

 本題のアトピー性皮膚炎では、長年のステロイド漬け状態の人が多いが、先日も述べたように初期には必ず従来通り使用してもらいつつ、漢方薬の微調整を行って次第しだいに炎症を取り除いていくので、効果が出て来るにしたがって知らず知らずに、ステロイドやプロトピックの塗布回数が減って来る。

 だから、漢方薬治療を開始したからといって肩肘張ってステロイドのランクを落としたり、塗布回数を激減させる必要はないどころか、漢方薬がしっかり効果が出ないうちから、ピントが合った漢方処方であっても、無理なステロイドの減量によりリバウンドが生じること請け合いである。

 一昔前と違って、こんな馬鹿なことを敢行する人は稀であるが、自然にステロイドの塗布回数が激減して、8〜9割程度の寛解に至った時点で、ステロイドの塗布をほとんど忘れるころになると、ちょっとの痒みでは我慢する傾向が強くなる場合がある。
 たとえば、もう2週間も塗ってないので記録をのばそうと変な考えはよしたほうがよい。

 長年塗布し続けたステロイドであるから、ご挨拶程度にたまには塗っておいたほうが、リバウンドなしに離脱できるのである。

 一週間に1〜2回、ほんの部分的に塗布する程度であれば、一生涯副作用はでないであろうと言われるほどだから、このレベルの塗布回数に減量出来ている人は、大きな山場を越えたといっても過言ではない。
 だから数週間以上も塗布してない人こそ、時に生じる痒みに対して、タマにはご挨拶程度に塗っておいたほうが無難なのである。
posted by ヒゲジジイ at 22:44| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年08月30日

「お茶代わりの漢方薬」を求めて来られる人はすべてお断り

 「お茶代わりの漢方薬」なんて実に意味不明である。
 このお茶代わりの漢方薬を求めて来られる人や、電話での問い合わせがあとを絶たない。
 意味不明である。お気軽でお気楽な気分を象徴する要求としか思えない。

 長い年月、35年間も禅問答のように「お茶代わりの漢方薬」を長年の公案として思案し続けたが、いまだに解けない(苦笑。

 闇の夜に、鳴かぬ烏の声聞けば、生まれぬ先の父ぞ恋しき

 という歌の意味よりも難問である。

 また、今年中にはドクダミやゲンノショウコ、ハブチャなどの民間薬類の販売は完全に廃止する。お茶屋さんやどこの薬局でも求められるような薬草の客に限って、意味不明な難問を突きつける。

 漢方薬の相談客にはなれない人達で、混雑して忙しい時に限って上得意顔して騒ぎ立てる人が多い。厳粛な漢方相談のムードをぶち壊しである(苦笑。
 「お茶代わりの漢方薬」を求める人達と近縁に違いない。
posted by ヒゲジジイ at 00:38| 山口 ☔| とんでもない話や、信じられない困った話 | 更新情報をチェックする

2008年08月28日

漢方治療を開始すると同時に常用されていたステロイド軟膏のランクを下げ、塗布する量も激減させてしまったアトピー患者さんへ

 漢方薬の基本方剤が見つけられないうちからこれをやられると漢方薬の効果は出せません。
 ステロイド漬けになっていた人は、従来通りのステロイドを以前の通りのペースで塗布しながらでなければ、漢方のピントが合っているかどうかの判定が不可能です。

 ピントが次第に合ってくれば、自然にステロイドの塗布回数が減ってくるのですが、このときでもステロイドのランクを落としてはならないのです。
 同様の軟膏を塗布しながら、自然に使用量が減ることを指標に効果判定を行います。

 それでなくても従来のステロイドでも痒みが止まりにくかった人が多い状況下で、漢方のピントが決まる前からランクを落とされたり量を減らされていては、何を使っても効果が判然とせずに五里霧中となって当然です。

 二十代の男女ともども、半年〜1年もすれば多くはステロイドを塗布する量が激減します。三十代や四十代の病歴が長い人ほどステロイドの減量ペースは遅い傾向にありますが、「ステロイド漬けの期間が長ければ長いほど減量ペースが遅くなる」と言い換えることができます。

 皆さん状態が悪いからこそ来られるようになった人たちだけに、従来のステロイド軟膏は継続して塗布してもらいつつ並行して漢方薬の効果判定を行います。
 漢方薬の効果が出る前から、こちらが知らない間にステロイドのランクを落とされたり、中止された例は経験がありませんが、想像するだけでも恐怖です。

 最近も新しくステロイド漬けの人たちが多数やって来られていますが、いずれもステロイドをこれまで同様に塗布してもらいながら、漢方薬の効果を判定してもらっています。

 ところが、もしも漢方薬が効く前から、ステロイドのランクを下げられたらっと想像するだけでもゾッとします。
 たとえ漢方薬のピントが合っていても効果はほとんど感じることが出来ずに五里霧中になることだろうと思わざるを得ません。

 ステロイド軟膏を減量したりランクを下げるのは、漢方薬の効果が明らかに出だしてから行うべきことです。
 いきなりランクを下げらるだけでなく、塗布回数も激減されたのではリバウンドが生じるのは明白ですから、長期間リバウンドと戦う日々に陥るのは明白です。

 貴方はその激しいリバウンドと長期間戦う覚悟がなければ、絶対に行ってはならないことだと思います。

posted by ヒゲジジイ at 07:24| 山口 ☔| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年08月26日

季節の変わり目における漢方薬の配合変化

 そろそろ秋の兆しが感じられる。だから体調変化が微妙に生じやすい季節でもある。

 真夏の暑い時期こそ、常用方剤とは別に、炎暑の季節だからこそ涼を求め過ぎたために生じる異変には折々に葛根湯系列の方剤や、藿香正気散(カッコウショウキサン)、あるいは補中益気丸や五苓散、胃苓湯系列の方剤など、様々な温性の方剤が飛び入りで必要になった人も多い。

 秋は肺の季節であり、乾燥の季節である。秋燥のみならず肺の季節でもあるだけに衛気の調節に異常を来たしてオウギが活躍する季節でもある。
 また肺熱肺陰虚に対する辛夷清肺湯や肺腎陰虚の八仙丸が必要になる人も多い。

 四季折々に配合変化が必要な過敏な体質の人達は、常用方剤だけで安定した効果を発揮できるとは限らないので、この中医学の本質に沿ったお互いの努力が出来るかどうか、つまり折々の必要に応じた微調整に積極的に協力されるかどうかで、体質改善のスピードが異なって来る。

 これまで大活躍した黄連解毒湯の服用量を減量したり、不要になる人すら出てくるが、逆に寒さに向えば却って必要になる人もいる。
 一人ひとりの体質傾向を個別的に検討すれば、意外に法則通りにはゆかない場合もあるので、「常と変」に対する見極めは重要である。
posted by ヒゲジジイ at 08:39| 山口 ☀| 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする

2008年08月25日

蕁麻疹は漢方薬により速効が得られやすいが扱いたくない理由は・・・

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
簡単なご住所 : 関西地方
お問合せ・ご連絡内容 : 村田先生、はじめまして。ブログを拝見しお問い合わせをさせて頂きます。

 今年の5月より、蕁麻疹に悩まされています。もともと、親からの遺伝で子供のころから蕁麻疹が出ておりましたが、30本以上の体質改善の注射を行った後、ほぼ完全に出なくなりました。
 大人になり、26歳の時、ランチでとんかつを食べた後、顔が変わるほど全身に蕁麻疹が出て、子供のことに体質改善した内科で治療してもらいました。(この時は、注射1本ですぐに引きました。・・・口の中が魚のような味のする注射でした)

 その後、疲れたときに内股に少し出るくらいで翌日には引いていました。
 それが、今では全身に毎日のように出ます。皮膚科も2件行きましたが、抗アレルギー剤のジルテックを処方され毎日服用しています。改善にもならず、一向に治る兆しもありません。
 肝機能も親譲りで悪く、あまり長くは服用できません。

 5月から今日までにわかった事は、アルコール類を飲むとひどく出るように思います。蕁麻疹の状況は、赤く凸になり出ます。全身です。ほとんど痒くはありません。
 それと、夜に出ていないときでも朝起きてから15分くらいの間に出て、その後1時間ぐらいで消えます。これはジルテックを服用しているときでも毎日です。

 なにか、良い方法はございますでしょうか。近ければお伺いしてご相談したい所ですが、行けません。どうかよいアドバイスをよろしくお願い致します。


お返事メール: 昨今、当方には激しい蕁麻疹症状が病院治療によっていつまでも治らず、全身真っ赤になってやって来られる人さえおられます。

 激しいアレルギー症状ですので、他の病気と異なって、もっとも神経を使う皮膚病です。ですからここで安易に漢方処方のヒントを差し上げるわけには行きません。間違った処方で逆効果になっても困るからです。うかつな処方が使えません。正確な弁証論治を必要とします。

漢方薬による瞑眩(めんげん)⇒好転反応は超稀にはあるっ!

 ここにも記載しているようにしっかりピントがあっている処方でさえ、稀には好転反応により一時悪化することさえあり得ます。
 ところが、この好転反応は超稀にしか起こらないものですから、結果論でしか分からない問題です。
 もしも途中で連絡があったら必ず中止してもらっていたはずのものです。相手が杜撰な男性だったから、結果的に万々歳だったというだけのことです。

 お近くでなくて幸いです(苦笑。
 とてもデリケートな疾患だけに、極端に気を使って神経を消耗する割には極めて少ない方剤で緩解する疾患です。
 蕁麻疹の問題で、毎年何人も来局され、結果的にはいまのところ有効例は百発百中ですが、一部少数の人は根治には至らず、延々と漢方薬の服用を必要とします。漢方薬を継続していれば、8割以上の寛解を維持できるものの、油断して中止すると直ぐに再発する人たちです。

 半数以上の人がビックリするほどの著効を得ていますが、治ったと勘違いして直ぐに中断するために、ひどく再発して来られます。薬を出すこちらの気も知らないで、いい気なものです。
 アナフィラキシーショックを起こして死んでも責任は持てないぞっ!とオーバーに脅してやることもしばしばです。
 だから、最近では蕁麻疹患者さんはお断りにしようかっ、とさえ思っているほどです。

 話が横道にそれてしまいましたが、蕁麻疹に関する限り、ピントが合えば漢方薬はかなりな速効が出ます。
 しかしながら、ピントが合わなければ稀には逆効果で悪化することさえあります。
 地元で信頼できそうなベテランの漢方薬局を見つけて下さい、というありきたりなアドバイスで終わります。
posted by ヒゲジジイ at 01:28| 山口 ☀| 蕁麻疹 | 更新情報をチェックする

2008年08月24日

美しい水晶

posted by ヒゲジジイ at 18:24| 山口 ☀| 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2008年08月23日

重症化したアトピーの漢方相談者が増え続ける

 一昨日も四十代の女性が新たに来られた。基本方剤を直ぐに見つけることが出来たが、しばらくは炎症を抑えるのに苦労することだろう。
 ここ数ヶ月のアトピーの新人さんのほとんどが、今年の春先から顕著に悪化し、病院治療や一般漢方治療では止めはがつかなくなってやって来られたケースが多い。

 初回のしばらくは痒い痒いと、痒い以外の表現は無いのかいな〜〜というほど表現力の乏しい訴えしかできない人たちも、やや遠方でも無理して10日毎に足を運ぶにつれ、適切な微調整の配合を飲んでもらうことで次第に波打ちながら好転に向かうものの、しばらくは一喜一憂の日々が続く。
 途中で足らなかった方剤を発見して、自信をもって追加しても逆効果だったとのメールが直ぐに舞い込んでみたり・・・、仕方がないから新たな追加処方は一時中止してもらい様子をみる。

 ところが、一週間後の再来時に、しっかり状況を把握してみると、やはりどう考えても新たな追加方剤は合っているとしか思えないので、それを再度、ためしてもらうと今度は著効はないまでも、逆効果とは感じないで済んだ。
 でも、まだ痒い痒いの訴えがしばらく続いていたが、数日するとようやく少し良いみたいだ、とのメールが入る。

 こんな調子で、合わないと主張されていた方剤でも、タイミングを計って出直すと、やっぱり合っていたということもシバシバであるから、油断がならない。
 痒みが頭に来て、超過敏になっている急性炎症の繰り返しの状況では、上手にコントロールしてあげないと、一喜一憂の繰り返しがしばらく続くことになり兼ねない。

 実際にその繰り返しから、ようやく病状も落ち着き始めた頃になると既に半年以上も服用した気分になっている人が多いのに驚く。
 先日も、ようやく病状が落ち着いて来た人に「まだ二ヶ月も経ってなかったんですね〜〜〜っ」と言われてお互いに苦笑したものである。

 7〜10日のペースで微調整を繰り返し、途中のメールでも直ぐに微調整を行うので・・・といっても殆どのケースでは、初回に出した方剤が、やはり重要な基本方剤となっているケースがとても多い。
 一時、逆効果に見えた方剤でも、病状がやや安定した時点では、必須の方剤として再登場するケースがとても多い。

 たとえば腎虚に対する方剤は、初回から必要なこともあれば、初期に使用すると時期尚早で、使用を半年延期せざるを得ないこともある。
 痒み止めとしても人気が高い辛涼解表の方剤でも、初期には逆効果に感じていた人が、一年経つ頃には大活躍するようになったケースも珍しくない。

 最近の新しい人の中には、初期の頃に追加した黄連解毒湯が、僅か1回の併用で却って真っ赤に腫れて痒みが増大したとて直ぐに中止していたのだが、一月半の後には必須の方剤となっているケースもある。

 だからアトピーに対する方剤の運用というのは、早く基本方剤を見つけてそれらを土台に、何を併用するべきかの法則性を見つけてあげなければならない。
 望まれるほどには速効が出るとは限らないので、痒い痒いという、効く効かないの超短期的な訴えに耳を傾け過ぎ、いつまでもぐるぐる回りして単なる対症療法の探索に追われていると、結局は埒が明かなくなるケースが出て来ないとも限らない。
posted by ヒゲジジイ at 01:34| 山口 ☔| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年08月22日

ステロイド漬けのアトピー患者さんたちに対する漢方薬

 外用ステロイドに嵌って滅茶苦茶になって来られる人が増え続ける。通える範囲の人は幸いで、遅かれ早かれ安定してくるので、一定期間の我慢比べで、次第に複雑な配合パターンが決まって来る。

 但し、外用ステロイドは漢方薬をはじめたからといって急に中断すると、必ずリバウンドがやって来るから、しばらくは必要最小限のレベルでステロイドの塗布を怠ってはならない。
 リバウンドを起こさずにステロイド離脱の最も安全な方法は、フィットした漢方薬を続けながら、徐々に徐々に塗布回数を減らして行くこと。

 何度口を酸っぱくして言っても、それを聞き入れない頑固者も多く、忘れた頃にリバウンドが来て、慌てふためくのが落ちである。
 このアドバイスを忠実に守れる人達だけが残って、アトピー自体もスムーズに改善しながら、ステロイドを離脱できるし、完全離脱が直ぐにかなわなくとも、同じ場所に一週間に1〜2回塗布する程度なら、一生涯塗っても副作用は出ないだろうといわれているくらいだから、その程度の塗布であれば心配無用である。
(参考文献:ステロイドの塗布の問題についてはアトピーの漢方治療で詳細に紹介している。)

 遠方の人では最低限二泊三日の旅程だから三日連続の直接相談ができるので、何とかその後のメール交信で、試行錯誤しながら次第に安定して来る。
 
 そして何とか病状が半減する頃には、気がつくと臨機応変に配合変化を行うための常備薬がズラリと並んでいることが多い。
 それだけ気合の入った人が多いので、ノロノロながらも寛解に向うわけだが、その間には常備薬の種類が半端じゃないのである。

 年齢的には意外に四十歳以上の人が多く、だから病歴も半端じゃない。
 現在、アトピーの人が増え過ぎて頭が混乱しそうだが、一部の例外的な人を除いて、のろのろながらも比較的順調に経過している人が多い。

 中には漢方の書籍を沢山取り寄せて読破されて来られた人がいて、自身が服用されている漢方薬が全然書籍に書かれてなかったという。
 本に書かれているレベルのアトピーの漢方治療では治らない人が続出しているのが厳然たる現実だから、何の不思議もないだろうということで納得されている。

 なお、アトピーの半数の人に使用してもらっている例の体質改善三点セットを重症の乾癬にも応用してみたところ、短期間に抜群のバックアップに成功しつつある。瀉火補腎丸・黄連解毒湯・茵蔯蒿湯などとともに体質改善三点セットである。
 10年以上前にも当方で多種類の併用方剤を継続されていたが、中途半端な寛解のまま中断されていた人である。

 例の体質改善三点セットは多くのアレルギー疾患のバックアップとして大活躍しているが、乾癬に対しても例外ではないようである。
 但し、アトピーでも1割の人には無効だが、大人の喘息(小児喘息型)にはこれまで例外なく強力なバックアップに成功している。

 しかしながら、いずれは例外も出て来ることだろう
 アトピー性皮膚炎にも絶対的に自信を抱いていた時期が長かったが、昨年、初期には超速効で劇的な改善をみたのに、排卵日を境に効果が激減してもとの木阿弥状態。
 結局は体質改善三点セットは邪魔になり、黄連解毒湯・補中益気丸・六味丸・猪苓湯・イオン化カルシウムなどで半年で十分な寛解を得たという例外もあったので、いずれの方法であれ、過信は禁物である。

 何事も例外はつきものである。
posted by ヒゲジジイ at 00:21| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年08月21日

香蘇散ブーム?

 突然降って湧いたように香蘇散を指名した問い合わせが続く。しかも直接の来訪者ばかりである。
 真面目な相談もあれば、お気楽な相談も混じる。

 真面目な相談では、それほど気になる香蘇散なら一度服用して納得が行ってそれでも治らないなら、正確な弁証論治に基く方剤を見つけることにしましょう、ということになった。

 お気楽な指名客には、送り状の発行と荷造りに多忙を極める最中だったので、危なくない方剤だから一度試したいなら、ということで製品を渡そうとすると、10日分の価格があまりにも安価に過ぎて却って不審を抱いたらしく、ごちゃごちゃと難癖をつけだしたので、逆にこちらのほうからケンモホロロに断りまくると、これを先途に話のための話を仕掛けて来るお邪魔虫。(こういう客に一度販売すると、後々まで祟られることになるので、絶対に販売しないっ!

 間違って服用しても極めて安全な部類に属する方剤だからといって、やはり特定処方の指名客の話には迂闊に乗るべきではないという年来の教訓をあらためて確認するだけのことで、無駄な時間を30分近くも奪われるハメに陥ったのだった(苦笑。

 どうやら新聞の地方版で、どこかの病院の医師が香蘇散の宣伝を行った模様である。実にありがた迷惑なことである。
posted by ヒゲジジイ at 07:25| 山口 ☀| ありがた迷惑な話 | 更新情報をチェックする

2008年08月19日

真珠腫性中耳炎によるフラツキと耳鳴、漢方薬による超速効の功罪

 先月も一部を紹介した例だが、真珠腫性中耳炎によるフラツキと耳鳴りの女性。配合比率の優れた葛根湯製剤5日分の服用で超速効。次は耳鳴りを消して欲しいという要求で香蘇散(こうそさん)を追加。

 その後、一ヶ月無音のまま、極端な速効があると人は往々にして病気を侮る問題点を感じながらも完全にこの女性のことを忘れかけた昨日、葛根湯製剤だけを求めてやって来た。
 既に一ヶ月近く漢方薬の服用を中断していたので、耳鳴りの方はどうなったのかっ? という質問に対して、信じられないほど怪訝な顔をされる。

 そんなもんあったんかいな〜〜という人を馬鹿にするかのような不審顔。

 つまり、香蘇散を10日分服用する間には完全に雲散霧消してまったく再発の兆候は皆無ということで、こちらが質問するまでは本人も忘れていたというのである。(ボケた真似かっ?!
 ただ、フラツキだけが僅かに再発の兆しをみているらしい。

 矛盾だらけの彼女は、一ヶ月近くも服用を怠っておりながら漢方薬で真珠腫性中耳炎の手術が免れないだろうかという強い要求を繰り返す。
 将来的には手術すべしとの宣告をされているそうだが、その問題は主治医の判断に任せる以外にないだろう。
 その猶予期間にあわよくば治してしまいたいという要求である。

 要求が強い割には、その不真面目な服用態度を如何せむ。

 それにしても35年間の経験上では、耳鳴りが僅か10日分の香蘇散で完全に雲散霧消したケースは無かったのではないか?
 ひどく不真面目な人だけに、今後の再発の有無には興味深いものがある。

 こんな安上がりな漢方薬で諸症状が雲散霧消する幸運に感謝すべきであろうが、真逆な態度を取られるのはどうしたことか。
 将来、再発しても貴女自身の矛盾した言動が問題なのだから、再発しても決して苦情を持ち込まないように強く念押ししておいたが、こういう不真面目な人ほど、再発時には漢方薬をボロクソにこき下ろし悪態をつきかねない。

 過去の超速効の類似例から考えても、ますますウンザリする遣り甲斐のない仕事である。
posted by ヒゲジジイ at 08:57| 山口 ☔| 中耳炎(滲出性中耳炎・真珠腫性中耳炎など) | 更新情報をチェックする

2008年08月16日

この国はもうすぐ亡びるだろうっ

 もう、永遠に仕事に戻りたくない気分で山奥に逃亡を企てた。

 いつもは閑散とした中国道であるが、さすがに連休中とて、どこのパーキングエリアにも休憩中の車がある。
 そのパーキングエリアのいずれにおいても共通して顕著な現象を目撃して、この国はもうすぐ終わるだろうっと確信した。

 男が携帯に向かって大声で喋り捲る構図は見てられない。
「男は黙ってサントリー」という名言は死語となったのだろうかっ?

 雌鳥が鳴けば国が滅びるのは世の常だが、雄鳥が女子供のように延々と喚き続けるようになったらオシマイである。

 三島由紀夫が「日本人としてのプライドと品性をなくした同胞たちとは倶に天を戴くことに我慢がならぬ」とばかりに割腹自害した心情が今になって深く理解できる。


注記: 「男は黙ってサントリー」とはいうものの、ヒゲジジイは酒は一滴もやらないので「男は黙って紫煙をくゆらす」のみである。
posted by ヒゲジジイ at 11:09| 山口 ☁| 日本人としての自覚の問題 | 更新情報をチェックする

2008年08月10日

病状が悪化するなら間違った漢方薬を中止すべきである

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
簡単なご住所 : 東海地方
成人型の重症アトピー性皮膚炎治療の漢方薬からのお問合せ・ご連絡内容 :
 アトピーでツムラの漢方を処方されています。
 今まで加味逍遥散、当帰飲子。今は加味逍遥散と白虎人参湯と、塗り薬(フシジンレオ軟膏とコンベック軟膏とベナパスタを調合したもの)が出されています。
 症状はいまはとても悪いです。この漢方はどうでしょうか?


お返事メール: 僅か二行足らずの文面でのご質問の中には案の定、具体的な症状が書かれてないので、こちらも憶測でしかお返事できませんが、すくなくとも「いまとても具合が悪い」と書かれている事から、ほぼ断定できることは、現在服用されているツムラの加味逍遥散や白虎人参湯が病状と体質に合っていない証拠です。
 これらの処方がむしろ悪化させている可能性無きにしも非ずです。

 抗生物質軟膏が投与されていることから類推しますと、トビヒのようになっている部分があって滲出液が漏出している部分があるのではないでしょうか?
 そのような場合には舌の一部に厚い苔が生えていたりすることが多く、そのような場合に白虎人参湯のような強く体液を増す方剤では、朝鮮人参の強い温性も加わってよけいに痒みが増してしまう場合もあります。

 以上は、あくまで憶測に過ぎませんが、せっかくツムラ漢方を服用されながらも却って悪化するようでしたら、投与されている方剤が間違っている可能性も高いので、中止するのも一つの考え方です。
 当方には保険漢方で治らない人ばかりを扱っていますが、アトピー性皮膚炎は一定レベルを越すと、保険漢方では大きな限界があるようです。
posted by ヒゲジジイ at 12:53| 山口 ☁| 病院の漢方薬 | 更新情報をチェックする

2008年08月09日

漢方専門薬局薬剤師の憂鬱〜無礼千万な人達

おたより:東海地方の美人女性薬剤師

 毎日蒸し暑い日が続きますが、お元気でいらっしゃいますか?
 こちらは37度〜40度という体温よりも暑い日が連日続いており、朝から頭のコンピューターも熱をもって鈍りがちです。
 お茶のような漢方・・・・拝見いたしましたが、本当にこちらの思いとは裏腹に、世の中にはお気楽な方が多いものですね・・・・。

 昨日も、憤慨した事件がありました。
 こちらで難病のご相談をされ、半年ほど頻繁にやりとりを行っていた方が、パタッと音信不通になり、気をもんでおりました。
 途中、静脈瘤の破裂等で入院されたような経緯があり、その後ドクターも驚くほど回復され、退院されて安定した生活になった・・・・までで途絶えていたのです。

 久方ぶりのメールがあったので、拝読したところ、状態が安定してよかったので、近くの薬局で同じお薬を作ってもらっていたとのこと・・・ちなみに、配合割合まで記載しているので・・
 理由は、送料と振り込み手数料を浮かせるためとのことで、何だか体から気が抜けてしまいました。

 当然、相談料なんてシステムは、我薬局にはなく、病気が難しいだけに、弁証はもとより、アドバイスの仕方にも細心の注意をはらって、神経をすり減らし、しばらく連絡がないと気をもんで、”お元気なのだろうか・・・”とフトンに入っても頭に浮かぶことがシバシバという始末・・・・。
 私の気持ちは、送料と振り込み手数料にも値しないものだったようです・・・・



 そして、”状態が悪くなったので、ご相談だけでもよいですか?先生のことを信頼しているので・・・”

という文面
勿論お断りしましたっ!!!
”医療の業界では、ご相談されたところで、処方していただくのが常識です”
と申し上げました。

 こちらにも失礼ですが、先方の薬局さんにも、全くご無礼なお話ですよね。

 同業者曰く”あんたんとこ、送料と振り込み手数料とってんの?ほらアカンわ・・・商売人ちゃうな”と
ほりゃ、ほ〜ですよ。商売人ちゃうに、決まってます!
 皆様、ご遠方からでもわざわざ旅費を使っておこしになるんです。ガソリン代も値上げしたのに・・・。
 そんな方よりも送りの方がトクであれば、それこそ本末転倒のサービスになってしまいます。

 何だか世の中、本当におかしいですよ。
 先生のおっしゃる、古き良き、ゆかしき日本は何処へ・・・・
 朝から、頭に痰が詰まりそうなお話をして申し訳ありませんでした。
 気をとりなおして、頭にネジをまきますっ。

PS
それにしても、ボクチン君、めちゃ可愛いですね・・・ワイルドな先生と、素敵なコンビですね♪


お返事メール:
おたよりありがとうございます。
 同様な話は昔は当方でもシバシバありましたが、うっかり親切心を出して乗ってあげたこともありましたが、お人よしの自分に好い加減嫌気がさして、昨今は先生と同様、断固としてお断りしています。実に無礼な話ですね。

 漢方薬はこちらで手に入れるから、電話で処方だけを教えてもらえないかという無礼な話は昨今でもシバシバで、絶えることがありません。

ボクチンと


 ひどいのになると、関西から一度やって来られて以後、処方はこちらで手に入れるから後は相談だけでよい、というまことに無礼な実例もあります。
 一度だけ初回の僅かな漢方製剤を購入されたら、永遠に免罪符となると思い上がっている連中です。

 効果が出た途端、病院の保険漢方でも同じでしょ。同じなら病院で手に入れるからという図々しい連中には、どうぞどうぞと言って縁を切ってやります。
 イスクラの特殊な製剤が病院で手に入ると思い込んでいるおめでたい連中です。

 ネットのお誘い販売でも同じものが売っていたので購入した。一つだけネットでは手に入らないものがあったのでわざわざ買いにやって来たと言う横柄な女性には、今後、漢方相談の依頼があっても二度と乗るつもりはありません。

 人の道に反して平然と嘯ける根性には脱帽するばかりですが、彼等や彼女等に罰が当たらないことを祈るばかりです。


【編集後記】人に紹介されたがご相談だけでよい、薬は自分で調達するから、という図々しい要求は枚挙に暇がないが、話だけ聞きたいとか、話だけを聞いてほしいというこれらの図々しさに気が着かない人は五万といる。

 こういう連中は、薬局というのはお客さんは神様だから平伏する存在であると頭から信じ込んでいるらしい思い上がった連中である。
 馬鹿げた医療関係者が「患者さま」などと言い出しはじめて以後、ますます思い上がった連中が増え続け、しまいには医療関係者に暴言や暴力を振るう馬鹿者どもが増え続ける。

 医療の仕事を単なるサービス業に貶めたのはどこのどいつか知らないが、この国をますますダメにするのは優柔不断で内弁慶な政治家たちと、権利意識だけは旺盛で道徳と規範意識が欠如した多くの日本国民たちだと思っている。

2008年08月08日

お茶代わりの漢方薬ってナンだろう?

 またまた定年退職後の六十代の男性である。

 前日の夜から送り注文が溜まって、午前中にも常連さんからの電話注文や遠方からのメール注文が殺到している時に、幸いにも店頭がヒマだから、発送業務に専念できると思った矢先に、これである。

 漢方薬のご相談だが、体質に合わせてもらえるとのお話、実はやや血圧が高いのだが、気長く飲めるお茶代わりの漢方薬でも調合して欲しい、というわけである。
 既に病院の薬で130〜80にコントロールできている。それ以外に問題はないが、病院にはなるべく行きたくないから、お茶代わりの漢方薬を所望されるわけである。

 はたと考えて「お茶代わりの漢方薬」とは、どのようなものをイメージされてるのだろうかっ?と考え込んでしまった。
 このような軽症の人や趣味的な人、暇を持て余している人などに限って「お茶代わりの漢方薬」を望まれるのである。

 もちろん趣味的な相談に乗る趣味はないので他所の薬局を御紹介することで逃げた。(お断りの弁解には随分手間取ったが・・・)

 思い返してみればここ三十年以上、「お茶代わりの漢方薬」の御相談に来られた人は、無意識に真剣味の足らない遊び半分の人と断じて、すべてお断りして来た長い歴史があるのだった(苦笑。
 お断りはお断りとして、なぜか今回ばかりは老化のせいか、ハタと考え込んでしまったのである。

 一体全体、この「お茶代わりの漢方薬」とはどのようなものを指すのだろうか?
 知っている人があれば是非、ご教示願いたいものである!
 あるいはドクダミやゲンノショウコの類をイメージされているのかもしれませんねっ?! きっとこれでしょうっ
posted by ヒゲジジイ at 00:24| 山口 ☁| ありがた迷惑な話 | 更新情報をチェックする

2008年08月07日

最近の超速効例の数々

 8月に入ってようやく新人さんの来局率が落ち着いて来たが、先々月から二ヶ月間というもの、ほとんど毎日、遠近様々なところから新しい人が続いた。

 数ある中には超速効例が必ず出て来るもので、中でも目立ったのが超真面目系の女性達の落ち込みの救済である。本当に著効が目立った二ヶ月間だった。(このことは先日も書いたばかりである。)
 人生観も変えるほどの効果がでるケースがあるので、ヒゲジジイの毒舌も快い音楽に聞こえる風情である(苦笑。

 処方は今回は明かさない。
 へんに真似されて効果が出なかった場合は、またまた電話で馬鹿な女性達からヒステリックな抗議を受け兼ねないからであるパンチ
 こちらで相談して購入した訳でもない連中に客ヅラされてたまるかっダッシュ(走り出すさま)
 純情可憐な大和撫子でもないのに効果が出なくて当然da。そもそも図々しく電話でイッチャモンつけるような女性には無縁な方剤である。

 それはともかく、同じ女性でも四十代の女性でメニエール氏症候群で、高血圧気味となり160以上が持続しているのに、弁証論治により、釣藤散と半夏白朮天麻湯と杞菊地黄丸の三種類の併用が必須とみたが、初回なので前の二種類だけで様子をみてもらったところ、服用直後から血圧が130代に安定し、体調も頗る良好ゆえ一週間後に喜んで報告に来られた。

 一年間の病院治療も空しく頑固に続いていた蕁麻疹が、カルシウムと漢方処方の単方の併用によって明らかな瞑眩(めんげん)⇒好転反応を起こした直後にほとんど緩解してしまった。

 瞑眩(めんげん)⇒好転反応が実際に生じるのは超稀なことであるが、このケースの詳細は⇒漢方薬による瞑眩(めんげん)⇒好転反応は超稀にはあるっ!:漢方薬局経営薬剤師の一喜一憂

 アトピー性皮膚炎の例では黄連解毒湯と猪苓湯に血行障害改善剤の併用で一定の効果が出ているところへ暑さによってやや痒みが出てきたところで、舌証に基いて茵蔯蒿湯と六味丸を加えたところ、痒みがほとんど解消するのと同時に、ステロイドの長期間塗布による酸化コレステロールが原因と思われる色素沈着が半月もしないうちに驚くほど薄らいでいる。

 この最も多い配合パターンに該当する体質者では、比較的短期間(半年くらい)でかなりな寛解が得られることが多い。
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2008年08月06日

アトピー性皮膚炎の漢方治療における根気の重要性について

昨日の続き

折り返し頂いたメール:お忙しい中、早速返信いただき恐縮です。

 抗生物質の軟膏はまだ使ったことがなかったので、漢方と併用してみようと思います。

 確かにとびひに対する抗生物質の処方でも各医師によってまちまちで、自分でももどかしいことがあります。

 漢方薬に関してはなかなかピントを合わせてくださる方とお会いできずにジプシー状態なのが現実です。

 自分の見極めが早いのかも(2ヶ月くらい)しれませんが、先生から見て、どれくらいの期間でピントがあわなければかえてみてもかまわないとお考えですか?
 ご返信いただきますと幸いです。

 ありがとうございました。

追伸
 今まで通った漢方の中で、自分が飲んでいる処方の名前を教えてもらっ たことはありません。そういう意味で先生のところは、目から鱗でした。
 それがきっかけでブログを毎日読ませていただいている昨今です。


お返事メール:トビヒが生じている面積にもよるのかもしれませんが、狭い範囲なら断然抗生物質軟膏や中黄膏などだけでも治ってしまうのが通常です。

 ところで、アトピー性皮膚炎に処方不明の煎じ薬を服用中だそうですが、処方未公開のものをこの情報公開が当然の時代に、なんとも前近代的な感性(販売側も購入側も・・・)にはやや驚かされるほどです。

 いつも書いていますように処方を秘匿することは薬事法違反でもありますが、この点については販売側にやや同情せざるを得ない事情もあります。処方公開していたら効果が出始めた時点で安いところに逃げられるという恐怖感からに他ならないからです。
(昨今、この業界も四川省の地震などの影響で、本来なら原料生薬の将来的な不安から、漢方薬類の価格が高騰しても当然な時代ですが・・・来年くらいには気がついたら、いくらお金を積んでも物が無いっ!という事態が大いにあり得る不安が内在している漢方業界です。)

 ともあれ、何日毎に通われて微調整を繰り返されておられるのかのご報告が無いので、僅か二ヶ月間で転々と薬局を変えられる事情を推察することすら不能ですが、手前味噌ながら当方では7〜10日毎に通ってもらいつつ微調整を繰り返しますので、運悪く当初から効き目が悪い人でも、二ヶ月目に入る頃こそ微調整たけなわの事情から、最も佳境に入る頃になるので理解困難です。(ご本人にも微調整のコツを習得してもらいますので・・・)。

 また、どれくらいでピントが合わなければ・・・というご質問ですが、当方では諦めの早い人は一度来られたのみで止める人が一割程度。
 二度目からが本格的な漢方治療がはじまるというのに、実に馬鹿な連中だと思っていますが、それ以外の人達は多くは一定の寛解(8割以上)が得られるまで頑張られるのが通例です。

 難航した場合は半年間以上、行ったり来たりで難渋しつくしても、そのうち快方にに向っているので、そのような困難を極めた例ほど漢方の偉大さに嵌っておられるように思います。
 ともあれ難渋した場合こそ、変えてしまうとまたゼロからのやり直しで無駄の連続になるような気がしてなりません。

 ピンと合わせに難渋するということは、その間にも多くのデータが蓄積されるということでもあり、なおかつ、どこ行っても複雑な病証であることが多く、そこでも治療困難ということで、またこちらに戻って来られるケースも目に付きます。
 以上、取り急ぎお返事まで。


折り返し頂いたメール:長いご返信、ありがとうございます。

 ブログにのっていたので、びっくりしました。
 いつも自分が読んでいるところに記事が載っているとなんか変な気持ちです。(悪い意味ではないです。ブログに掲載の件は もちろん了承ですので)

 とびひは両腕、両足、胸、背中ほぼ全身です。
 面積が広いので、内服の方が良いのかもしれないですよね。

 漢方の処方を聞くというお話は、一度聞いては見たのです。
 色々な生薬の名前を書いてもらったのですが、杞菊地黄丸のような名前がつくような配合ではなくその方のオリジナルのような感じでした。

 ピントがあうまでは辛抱強く通うしかありませんね。
 一週間ごとに通って2ヶ月です。考えてみれば少し余裕がないのかもしれません。
 でも、皮膚の具合が悪い状態で何ヶ月も耐えるのはなかなか根性がいり ます。
 ステロイドは塗りたくないですし。

 先生のところがもう少し近ければ絶対に通うのですが。

 それにしても、一回はひどいですね。野次馬のような気もしますが。
 魔法なんかはこの世の中には存在しないのに・・悲しいですね。1回で治ると思ったのでしょうか?

 余談ですが、先生の常連さんを大切にするというの考えにも感銘をうけ ました。
 その患者さんがいたからこそ、先生の処方がさらに良いものになったと いうことをご自身が理解されていて口に出されるのがすごいと思いました。
 恩を忘れない方なんですね。

 色々とありがとうございました。


ヒゲジジイのお返事メール: 全身に及ぶトビヒであれば、やはり内服薬が優先となって当然ですね。

 漢方を配合をするときには、必ず基本方剤というものがあります。基本方剤に基かない処方投与は中医学の伝統を崩壊させるものであると、名老中医たちが口を揃えて訴えていることです。
 サーズが流行したときも、中堅の中西医結合派では治らず、基本方剤を大事にする名老中医たちはよく治したと言います。

 基本処方の名を告げずに、生薬名だけを告げるのは、やはり処方を隠しておきたいからです。(その心理は同業者としてよく理解できます。)

 ところで、ステロイドの使用も正しく使用すれば、決して危ないものではありません。1週間に1〜2回の塗布ならほとんど蓄積することはないと言われます。

 なお、ブログに転載させて頂く条件のもとで、お返事申し上げることはお問い合わせフォームに注記させて頂いている通りです。その点、悪しからずご了承下さいませ。


【編集後記】 様々なところで漢方治療を繰り返しても治らず、村田漢方堂薬局に辿り着いたというケースでは、往々にして8割以上の寛解を得られるまで、一部の処方は固定できても、併用する様々な方剤や単味生薬類を臨機応変に常に微調整を繰り返す必要があったケースはとても多い。

 つまり、一定レベル以上のアトピー性皮膚炎では、配合の組み合わせが分かったからといって、他の疾患のように安易に固定出来ないことが多い。
 ピントが合う合わないといっても、常に一定のピントを維持ずるには臨機応変の配合変化の法則を分析しつつお互いに考えながら、ご本人自身に習得し体得してもらう必要が生じるのである。

 現時点でも、黄連解毒湯や瀉火補腎丸が必須となったかと思うと、急転直下、翌日には補中益気丸主体の配合にシフトしなければならないという、陰陽の幅がとても狭い体質の人もおられ、遠方ゆえにメールで互いに切磋琢磨してご苦労の連続の人もおられるのである。

 しかしながら、こういうケースこそ、体質改善三点セットの出番ではないかと思案している最中なのである。
posted by ヒゲジジイ at 00:14| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年08月05日

アトピー性皮膚炎に合併するトビヒについて

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 :近畿地方
お問い合わせ内容 : 村田様いつも楽しくブログを読ませていただいてます。
 長年アトピーを患っており、色々治療法を試したのですが、やはり漢方しかないと思って、煎じ薬を飲んで治療をしています。

 質問なのですが、夏場にどうしてもとびひにかかり、なかなか治るのが遅いのです。抗生物質をもらいに別の皮膚科にいき、それと併用して漢方を飲んでいる状態なのですが、なかなかよくならずに困っています。

 処方があっていれば、抗生物質を飲まなくても漢方だけで治るものなのでしょうか?
 よろしければ、ご返答おねがいします。


お返事メール: たとえ漢方薬によってアトピーがかなり改善されている状態であっても、皮膚の抵抗力がしっかり養われていない段階においては、大人の場合でも思いがけずトビヒに感染してしまうことがありがちです。

 この場合は、トビヒに対する特別な漢方薬の配合が必要となりますので、手っ取り早くは西洋医学における抗生物質を利用して早く治療する方法も便利なはずです。
 つまり、たとえアトピーに対する漢方薬がよく奏功している場合でも、思いがけずトビヒに感染してしまう例は、時折、遭遇することですが、大人の場合では多くの場合、抗生物質を利用すれば短期間で治るので便利なはずです。

 トビヒやもちろん漢方薬でも十分に治療が可能ですが、アトピー性皮膚炎用の漢方薬とは別の漢方薬の併用が必要となり、その分、余計に経費がかかってしまうことでしょう。

 ただ、文面を拝見するとなかなかトビヒが治らないということですので、投与されている抗生物質が不適切な可能性が高く、また漢方薬のピントがまだしっかり合ってないためにアトピー性皮膚炎の改善レベルが遅過ぎるのか、あるいはその両者かもしれません。

 アトピーの病状がかなり改善されていれば、抗生物質の内服薬を用いなくとも、抗生物質軟膏のみで十分に治ることが多いはずです。
 当方の過去の経験では、漢方薬の中黄膏だけで簡単に治る例も珍しくありませんでした。
posted by ヒゲジジイ at 00:41| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年08月04日

メタボ健診、肥満者を駆逐する国家総動員令            (魔女狩りによる家畜の平等)

 とうとう健康まで国に管理されるようになったかっ。
 家畜の平等国家に邁進するつもりなのだろう。

 腹部に内臓脂肪のたまったメタボリックシンドロームの人は脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を起こしやすい

というにしても、数値基準にかなり信憑性も危ぶまれる単なる学説のために、国民を家畜扱いする乱暴な政策である。迷惑千万極まりない。

 体型まで管理されるという肥満者に対する差別意識は、実に中世的な魔女狩りと同じではないかっ。

—━大きなお世話の「メタボ検診」

 メタボ健診の義務化は、肥満者を狩り出して処罰する中世の魔女狩りと同様である。

 このようなことが日本国家のプロジェクトとして行われるという前代未聞の家畜の平等化政策であることを知るべきである。

—━メタボ健診は肥満者に対する差別政策である

posted by ヒゲジジイ at 00:53| 山口 ☔| ありがた迷惑な話 | 更新情報をチェックする

2008年08月03日

寒熱が相反する配合の常識

 半夏瀉心湯や小柴胡湯のように寒熱が相反する生薬が配合された方剤というのは数知れないが、方剤同士の配合でも日常茶飯事である。

 アトピー性皮膚炎でしばしば行われる配合では、黄連解毒湯と補中益気丸を併用すべき病状を呈する人は多い。

 また、アトピー体質とは無関係に、冷え性で寒がり体質でありながら、補中益気丸や葛根湯に黄連解毒湯を配合すべき体質の人も意外に多い。(当然のことながら葛根黄連黄芩湯の方意とは明らかに異なる。)

ボクチンといつも一緒



 葛根湯に辛夷清肺湯という配合の必然性が生じる場合も決して珍しくは無いし、葛根湯に地竜でピッタリとバランスが取れることも珍しくない。
 釣藤散証と葛根湯証が見事に合併している人も意外に珍しくないが(愚妻もその一人)、釣藤散の服用を常用しながら配合バランスの優れた葛根湯製剤を選んで、一日に1〜2回の併用が適切な例が多い。

 独活寄生湯に地竜や茵蔯蒿湯の併用が適切な膠原病にもしばしば遭遇するし、疏経活血湯に地竜という例もある。

 このような常識的な配合が、日本古方派時代には「支離滅裂な輪投げの杜撰な配合」だと信じていた時代があったこと思い出すと、実に隔世の感がある。
 
 上記の寒熱錯雑した配合には、当然のことながら中医学的に十分説明可能な合理的な根拠がしっかりと存在するのである。
posted by ヒゲジジイ at 00:08| 山口 ☀| 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする

2008年08月02日

骨粗鬆症を伴う腰痛の漢方薬(六味丸系列の方剤に疏経活血湯の併用などの提案)

御質問者:東海地方の内科医師

母親の件をご相談です。
 後期高齢者ですが、腰痛がひどい模様です。以前腰椎の圧迫骨折をしています。骨そしょう症もあります(年齢からしてしかたないと思いますが)。
 白内障もあり杞菊地黄丸を一日2回8丸ずつ服用しています。舌は紅で、舌苔はなく、排便排尿に異常はありません。常日頃疲労感を訴えていまして、高血圧があるため降圧剤で良好なコントロールにあります。


御返事メール:杞菊地黄丸が適応しているようでしたら、まずは一日3回の服用に増やすべきかと思います。

 また、骨粗鬆症も含めて腰痛に対して、また疲労感に対しても吸収率の優れたウチダのイオン化カルシウムを便秘しない程度に常用されるべきかと思います。
 また、カルシウムとともにマグネシウムを補給することは、心臓にもよい影響がありますので、質のよいニガリを少量併用することで、たとえば富士バイオのbit-150という製品などの併用(コップ半分以上の水に数滴加えて薄め、その液でイオン化カルシウムを服用)が適切ではないかと愚考します。
 
 あまりお役に立てない提案かもしれませんが、これらを常用している常連さんはたくさんおられ、皆さんお元気を維持されておられます。

追伸:肝心な重要処方を忘れていました。腰痛の場合は病名治療的に疏経活血湯を併用するのが最もオーソドックスな治療方法だと思います。
 単純に杞菊地黄丸に疏経活血湯を併用する方法でもかなり腰痛は改善されるかもしれません。