2008年07月15日

顔が思い出せなくなった漢方薬のお馴染みさんも多い

 当初はなかなかしっかりしたピントが合わずに右往左往して、ようやく1〜2年近くなって安定した効果が出始めて以後は電話注文による送りに切り替わった人が、いつの間にか十年以上のお付き合いになっている人達が相当な人数にのぼる。

 たとえば皮膚炎に慢性気管支炎が合併していた人など、皮膚炎の漢方薬は直ぐに見つかったものの気管支炎の方がなかなかピントが合わなかったことを覚えている。タバコを止めないのも問題だった。
 
 そうこうする内に、いつしか気管支炎の方は治って、シャープに効いたはずの皮膚炎に対する漢方薬は常に注文がある。気管支炎治療のためにステロイドの内服が長かったらしく、その副作用だと言われていたように思う。
 その後遺症がいまだに続いているのか(あるいはもしかしてまたステロイドの内服が続いているのか?)十五年以上、思い出したように注文が入る。1〜2年は熱心に通われた人であっても、もう顔が思い出せない。

 同様な人が何人もおられる。三十五年もこの仕事をしていると、常連さんとまでは言えないが、いつの間にか電話相談から電話注文に切り替わって細々と長い付き合いになっている人がとても多い。
 いずれの人も、会えば直ぐに顔が分かるだろうが、会わずに思い出すには些か無理がある。

 しっかりした効果が出せる漢方薬の配合を見つけるのに苦労した人達に多いが、それらの慢性疾患はいずれも9割以上の寛解を得ていても、根治までに至ってない証拠に、思い出したように注文が入るのである。

 常連さんのように徹底的に服用されれば、あるいは根治もあり得るのだろうが、電話注文に切り替わって以後の服用ペースでは、そうは行かないようだ。
 しかしながら、各種治療に失敗して来られた人達だけに、奇特にもへたな中医漢方薬学に賭けて下さり、苦労の末に8割以上の寛解を得て後、途切れ途切れでも長期間継続されているからこそ、ひどく再燃することもない。安定した状態を持続されているのだから、結果的には正解と言えるはずである。

 長年苦労された慢性疾患が、そうそう簡単に根治するはずもないが、8割以上の寛解を得て、それが持続出来れば文句はないはずだ。
 時に神経質な人が、百パーセントの根治を望まれ、残りの1〜2割を焦り、不満を漏らす人がおられるが、常連さんのように徹底して漢方薬に嵌らないことにはなかなか百パーセントなんて有り得ない。

 単なる膀胱炎や風邪を治すのとは訳が違う。

 宿痾がそうそう百パーセント根治していたら、人間様は永久に死なないことになる理屈ではないかと、他のブログでも書いたばかりであった。⇒<保険適用外で豊富に存在する優れた漢方製剤(医薬品):漢方薬局経営薬剤師の一喜一憂/a>