2008年07月14日

具体的な漢方処方を提示することの問題点

 最近の新人さんで目立つのが、当方のブログ類を御覧になって様々に模倣してみたが、一向に改善しないのでとうとう直接やって来られたケースが続く。

 とりわけアトピーのように最初の間は臨機応変に方剤の配合変化を行う必要がある疾患に対して、どうしても素人さんは固定的に考えてしまうので、逆効果の方剤を熱心に続けていて、少しは効果があったように誤解していたケースもみられる。

 膠原病などでも、どの辺を御覧になったのかは知らないが、つまみ食い的な使用方法ばかりだから、長期間、無駄な努力を重ねられていたケースもある。
 いずれも既にツムラの保険漢方は何度も経験済みで、治らないからサイトで検索して自身の研究で漢方薬の素人療法を行っていた人達である。

 一定レベル以上の疾患では、ピントのあった基本骨格の方剤を見つけるのにしばらくかかる場合があり、アトピー性皮膚炎のように変化が激しい疾患では、常に臨機応変の配合変化が必要になることも心得ておかねばならない。

 たとえば分泌物が多いケースや、全身から汁が流れるほど出て体力を喪失して命の不安まで覚えるほどだったケースなどでは、初期に絶対的に必要だった玉屏風散や玉屏風散+補中益気丸というケースも珍しくないが、かなり改善して一年も経つ頃にはむしろ邪魔になり、体質改善の基本方剤から外す必要が生じることも珍しくないのである。

 とりわけ変化の激しいアトピー性皮膚炎では、連用する方剤を固定的に考えてはならず、常に必要な基本方剤がどれであるかを見極めた上で、折々に配合比率を変化させる必要があり、あるいは併用すべき方剤が異なる臨機応変さを必要とする。

 その常に必要な基本方剤ですら、8割程度の寛解を得て以後は、一部方剤を入れ替える必要が生じることも稀とは言い切れない。
 使ったり使わなかったりする必要が出てくる方剤も多いし、そのようなきめ細かな配慮がなされればなされるほど改善率が向上するのである。

 アトピー以外の疾患でも、葛根湯系列の方剤では常用する方が良いとは限らず、長期間必要とするにしても適宜使用した方がよいケースと、常用すべきケースと大きく分かれる。
 適宜使用すべき人が常用してしまうと、この暑い季節だから桂皮や麻黄の辛温発散作用により、皮膚に痒みが勃発する事だってあり得る。

 あまり具体的なことをこれまで書き過ぎたつもりはないのだが、却って中途半端な書き方が多かったために、専門家には割り引いて考えてもらえるだろうが・・・。
 ところが、中医学理論や中医学の基本用語に暗い素人さんに模倣されるケースを想定していなかっただけに、今後はブログの書き方をどのようにすべきかと思案しているところである。

 一定レベル以上の疾患ともなると、素人さんがちょっと齧りで模倣しても、ほとんどうまくいくはずもないのが目に見えているのだから。
posted by ヒゲジジイ at 00:47| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする