2008年07月12日

高血圧体質の人に葛根湯を用いることの是非

昨日の続き

折り返し頂いたメール: 葛根湯は血圧のことがすこし気になりますが、適宜使用であれば影響はすくないかもしれませんね。
 いつもありがとうございます。


ヒゲジジイの御返事メール:ちょうど本日(昨日11日)「真珠腫性中耳炎」が原因とみられる頑固なフラツキで来られた同年代の方がおられました。

 まさに葛根湯証の条件(首の真裏を軽く揉むと気持ちが良いというのと、同じ首の真裏を温めると気持ちが良いという二拍子揃う)ぴったりの女性でしたので、胃弱を考慮してオルスビー錠とともに葛根湯製剤(1日量:葛根4、麻黄2、甘草1の配合比率)を直ぐに薬局で服用されましたが、帰られる30分後には効果が出ていましたっ!
 その方は右肩がひどく下がって背骨も曲がり、明らかな頚椎症合併が疑われる様子でした。

 なお、日本流の漢方では葛根湯が高血圧にも有効例があるとの記載を古方派当時何度も目にしていますが、葛根の分量が多ければ多いほど脳内の血流量を改善し、葛根自体が高血圧にも有効です。

 但し、麻黄や甘草の配合比率の多い製剤では高血圧を悪化させる可能性がありますので、葛根湯製剤の選択には慎重さが要求されると思います。
 その点ではツムラの葛根湯製剤は比率的に問題がありますので、高血圧傾向の患者さんには半分量で様子を見ざるを得ないと思います。


追記: 過去、中国国内では葛根単味による臨床実験による高血圧およびこれに付随する頭痛やフラツキ症状に対する有効性を証明するデーターが各種発表されている。湖北中医雑誌1985(1):27や中国医学科学院など。
 それゆえ、葛根湯中の麻黄や桂枝・甘草・生姜が心配な場合は、葛根単味を煎じて利用することが無難かもしれないが、明らかな葛根湯証を呈している場合は、葛根の比率の高い配合で慎重を期して少量から適宜使用してみることも必要だろう。

 また、中年前後からは八味丸ではなく六味丸合葛根湯というケースはしばしば見られることであり、葛根湯合杞菊地黄丸ともなれば、受験生から高齢者まで、意外に適応する人が多いものである。