2008年07月09日

漢方薬局の選び方

性別 : 男性
年齢 : 50歳〜59歳
簡単な御住所 : 九州地方
具体的な御職業 : 会社員
ご意見やご質問をどうぞ : 6年前原因不明の体調不良が起こり、●大病院で検査を受けましたが特に異常はなく、自律神経失調症と診断を受け安定薬をのみ始めました。
 症状は体が締め付けられるような感じや不眠、めまい、ふらつきといったものでしたが、デパスがよく効いて何とか仕事もできる状況でした。

 しかし2年前から薬が効かなくなり、大変つらい状況になり、思い切って会社を休み、デパスの断薬を行いました。
 その後軽い不安薬(リーゼ、ドグマチール)にして現在に至っていますが、平行して漢方薬治療を始めました。

 疑問に思うのは
 1、ある漢方薬局では安定剤をやめないと漢方薬は効かないといわれました、一方では平行して飲んでかまはないと指導されました。どちらが正しいのでしょう。

 2、ある漢方薬局ではエキス剤ではききめがうすい、煎じ薬が正しい漢方の服用の仕方であるといわれました。どちらが正しいのでしょう。

 3、ある漢方薬局では、あなたに合っている漢方薬はハンゲコウボクトウであるといわれました。違うお店ではオリジナル処方でないと治らないよといわれました。どうなっているのでしょう。

 これまで、四、五件の漢方薬局で薬をもらってのみましたが一向に改善しません。

 夜熟睡ができていないのか朝からすっきりせず昼間の眠気が強く、倦怠感、やる気のなさ、抑うつ感に苦しんでいます。

 正しい漢方薬服用の道と私の病気は漢方で改善できるのか切に知りたいと思います。
 納得できれば先生のところに出かけてみようと思っています。よろしくお願い致します。


お返事メール: ご質問に御返事するまえに、まずお断りしておきますが、ご納得できようができまいが、当方へワザワザお越しいただくには及びません。こちらの方とてお問い合わせの応答内容をブログに利用させて頂く訳ですから、ギブ・アンド・テイクと割り切って頂いて結構ですので、義理立されて遠くから来られるには及ばないということです。
  加えて二年間に4〜5件もの漢方薬局を次々に、些か根気が無さ過ぎると感じます。

 強弱はあれ六年も続いたものを治すのに、石の上にも三年くらいの根気がなく、平均半年も我慢できずに薬局を変えていてはな〜〜〜と感じた次第。
 但し、人間の相性というものもありますから、その中には感覚的に相性の合いそうなところはなかったのでしょうか?

 それほど難病とも思えないので、信頼関係さえ築ければ、5〜8割くらいの寛解は得られそうに思えるのですが、100パーセントの理想的な治り方を追い求めているとしたら、それは不可能な場合があります。
 年齢から考えても小生と同年代に近いはずで、数十年後にはあの世です。完全治癒は無いものと観念するくらいの方が気が休まるのではないでしょうか?

 お悩みの内容から考えても、せめて現在の半分でも楽になれば、というくらいのつもりで、お近くの相性の合いそうな薬局を信頼して通い詰めるのが最善なように思われます。

1)安定剤を止めないと効果が無いという話は全くのうそです。急に中止することによるリバウンドの方が心配です。

2)エキス剤も煎じ薬も、そのような剤型は次元の低い問題で、何よりも貴方に適した方剤を見つけることが先決です。
 エキス剤の方が臨機応変に日毎に、あるいは1回毎に配合変化が行えて、却ってとても便利なものです。
 これを利用して村田漢方堂薬局では、症状の激しいアトピー性皮膚炎患者さんの場合には日毎に、あるいは必要に応じて毎回配合変化を行って、短期間?に痒みを半減させる方法を取って喜ばれています。煎じ薬だったらこうも短期間に痒みを取ってあげることは不可能でしょう。

3)半夏厚朴湯かどうかは貴方に会ったことが無いのでサッパリ御返事不能ですが、そのように断言されるのなら、間違っても大きな副作用が出る心配はありませんので、一度試してみたらよかったのではないでしょうか?

 違うお店ではオリジナルの処方でないと・・・といわれるのこそマユツバで、どうせ無表示医薬品を堂々と販売して、ネット販売や他店に逃げられない営業上の防衛策の可能性も高いのです。
 この業界もネット通販や医療用漢方の乱立に悲鳴を上げている厳しい業界でもあります。

 だから、逆にお客さんの方も足元を見る人もおられ、昨日なども当方のような頑固オヤジのところへ来て、一時間以上の相談を終えて三処方で五千円くらいの価格であっても、経費面でゴチャゴチャ同じことを何度も繰り返し難癖をつけるので、出していた薬を引っ込めて販売せず、二度と来ないように追い返したばかりです(苦笑。

 このようにゴネる場所を完全に間違っているクレマーもどきの中年女性もおり、病人の娘さんが可愛そうな結果でした。(本人は真剣でも、付き添いの母親が邪魔をして難癖をつけるという成人の娘さんにとって最も残酷な構図かも。)

 以上、とんでもない方向に漂流してしまいましたが、是非とも相性の合いそうな薬局さんを見つけて下さい。貴方と同様の症状に悩まれている方が日本全国大変多く、信頼できる病院や薬局を見つけて足繁く通えることが、回復を促進するものと思います。

 もしもしばしば遭遇する真面目系の人達がよく陥る古典的な鬱病であれば、必ずや適切な漢方薬が見つかるものです。
 といっても数処方の併用が必要になることも珍しくありませんし、体質によっては牛黄や麝香などの高貴薬も必要とすることも珍しくありません。人によってはかなり経費を必要とする場合もあり得るのが現実なのです。

 以上、取り急ぎお返事まで。


追記:同業者で、こんなチマチマした仕事なんてアホらしくってやってられない、と考えたかどうかは知らないが、サッサと転職して大学教授におさまった奇特な人もいる。
 ヒゲジジイも今さらボクサーを目指すにはとっくにトウが立ち過ぎたので、さしずめ太公望におさまるのが関の山だろう(苦笑。
posted by ヒゲジジイ at 00:08| 山口 | 更年期障害・自律神経失調症や不定愁訴症候群 | 更新情報をチェックする

2008年07月08日

迫害され続ける「哲学の煙」を死守っ!

「哲学の煙」の出自


漱石著「三四郎」

大正13年発行の岩波版「漱石全集 第四巻 三四郎」の116頁より
posted by ヒゲジジイ at 06:51| 山口 ☁| 哲学の煙(けむり)と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2008年07月07日

日本漢方にも中医学理論を導入しなければ将来は暗い

おたより: 関東の内科医師

 大建中湯ですか? これも結構出されてますよね…
 老人のお腹の痛みには大建中湯とか?(笑
 人参、乾姜、山椒ですから…冷えによる痛みが大建中湯かな?

 桂枝加芍薬湯は、腸の熱が原因の痛みかな?
 自分には…芍薬が腸の熱を取る感覚あるんですよね…。
 実際に芍薬だけ煎じて飲んでみたらどうなるかを経験するとよく分かりますね(笑。

 これからすれば…両者反対の処方?(^_^)
 同じなのは「お腹の痛み」かな?(笑

 自分なら…腸の痛みをどう考えるかと言えば、
「腸の痛みは気の流通の途絶と深い関わりがある」と感じています。

 お腹の後ろの背骨(腰椎)両脇の筋の張り具合を確かめ…緊張している所をほぐします。結果…気の流通が良くなり腹痛がなくなります。(^_^)v

 麻痺性イレウスなども気の停滞しているポイントに正確に鍼を打つと2〜3日もすれば治ります。鍼灸師の先生も、この村田先生のブログをごらんになっているとのこと…すでに、お分かりではないかと思います。

 自分の場合、麻痺性イレウスの患者さんの時などは、看護婦に口止めして…内緒で鍼を打ってテープで止めて2〜3日放ったらかします(笑。点滴はしますけど…。 結果…治ります!
v(^_^)v プロスタルモンは余り効きませんね〜(笑。

 治った後から一般的な漢方薬で調整するとVeryGood!ではないか?と感じています。
 もちろん…開気丸や胃神我述錠などを使えば、処方内容から考えて展開は異なると思いますが…。

GOOD NIGHT! (-。_)。。o〇


お返事メール:貴重なご意見、毎度ありがとうございます(笑・

 ただ、桂枝加芍薬湯の考え方については、些か異論があり、芍薬は確かに寒性の生薬ですが、桂枝加芍薬湯ともなれば、やはり芍薬と甘草以外は温性の生薬ばかりで構成されており、とりわけ日本で使用される桂枝は桂枝にあらずして桂皮ですから辛甘大熱であるがゆえに、桂枝加芍薬湯の性質は温性に偏るものと思います。

 大建中湯における問題点は、大建中湯エキス製剤による副作用⇒痒みを訴える患者さん続出 にも書いてみたのですが、やはり昨今、術後の癒着予防に適応者でない人にまで無作為に投与されることに大きな問題があるように思われます。
 と同時に、やはり日本で使用される「乾姜」が曲者だと睨んでいます(苦笑。

 漢方入門当初の日本漢方の時代から、術後のひどい癒着症状には大建中湯や小建中湯あるいは桂枝加芍薬湯や柴胡桂枝湯などを繁用して随分著効を得た経験をして来ましたが、軽症の人達に大建中湯の適応者はあまりいなかったと思います。

 ところが、昨今は温暖化と栄養過剰の時代に、予防的措置として重症用の大建中湯が乱用されていること自体に問題があるのではないかと勘ぐっているところです。

 ところで鍼灸も素晴らしいことと存じますが、地元では鍼灸でも治せなかった坐骨神経痛の重症者まで漢方内服薬で救ってきた経験が多いだけに、どうしても手前味噌的に考えてしまいます(唯我独尊だと嘲笑されそうですが・・・)。

 先生の長年培われたユニークな考察に、是非とも中医学理論をもっともっと注入されればっと常々期待しているところです。
posted by ヒゲジジイ at 12:10| 山口 ☁| 日本漢方の情けない現状と限界 | 更新情報をチェックする

2008年07月05日

痒くなる副作用が目立つ大建中湯エキス製剤の問題点

性別 : 男性
年齢 : 80歳〜89歳
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 : 村田先生こんにちは

 86歳の父の過敏性大腸(ガスによる腹痛)の治療法についておたずねいたします。
 父は中年頃から過敏性大腸を患い、主訴はガスがたまり腹が痛むということでした。最近15年ほどはすっかり症状も落ち着き、さして不愉快な症状はない状態が続いていました。
 また、父は中年時から何度も大腸ポリープの内視鏡手術を受けています。数年前に胆嚢切除、昨年には脊椎柱管狭窄症手術を受けました。

 ところが半年ほど前から、昼はさほどでもないのですが、就寝中に腹の痛みで目覚め、トイレで1時間ほど篭り、ガスが出ると痛みが消え、再び眠るという状態になりました。
 そのため疲れがとれず、昼間に眠くなってしまいます。持病としては若い頃の甲状腺機能亢進症手術の後遺症で心臓肥大があり、徐脈です(ペースメーカを装着するほどではない)。

 そのためか以前下肢にひどいむくみがでて、ラシックスを処方されたのですが、全く効かず、たまたま田七を少量飲んだら、驚くほど浮腫みが減り、現在も服用中です。

 夜中の腹の痛みで近隣の漢方専門医を受診し、大建中湯と桂枝加芍薬湯を処方され、大建中湯を朝1夜1では効かず、朝2夜2のむと著効しました。
 ところが強い痒みがでて中止せざるを得ず、小建中湯に変えると全く奏功しませんでした。

 医師からは抗アレルギー薬を飲みながら大建中湯を朝2夜2飲むことを勧められ、そうしたら気持ちが悪くなってしまいやめています。

 できれば保険薬の範囲で、なにかできる事はないのでしょうか?

 父は上記の点以外では年齢のわりに元気なほうだと思います。少しでもアドバイスがいただけたらありがたいのですが。
 よろしくおねがいいたします。


御返事メール: 病院で大建中湯を投与されてその副作用として痒みが生じた例に、しばしば遭遇しています。病症に適合してないことがほとんどです。

 服用量を増やすことで著効を奏したそうですが、証に合っておれば大建中湯の性質上、やや少なめでもよく奏功すことが多いものです。

 但し、日本で処方される大建中湯は、乾燥生姜を用いるべきところを、飴色に蒸した煨姜(ワイキョウ)もどきの「乾姜」なるものが大量に使用されることに大きな問題なしとしません。

 正式な乾燥生姜を用いたものでなければ、正しい大建中湯とは言えないはずのものなのです。
 煨姜どき を使用した場合は、乾燥生姜よりも身体の芯から温まり過ぎて、配合中の朝鮮人参や大量に含まれる飴などの温性とも協力して、刺激性が過剰となって激しい掻痒が生じるケースがしばしば見られるようです。

 この温暖化の時代ですから、大建中湯を使用するにしても、正しい乾燥生姜を用いたものに是正すべきであり、大量の飴を使用するのも控え気味に変更すべきかもしれません。
(当方のような保険とは無関係な漢方薬局では、正しい乾燥生姜を用いた保険の利かない製剤を使用していますので、幸いにも未だに痒みが生じた例は現在に至るまで皆無です。)

 いずれにせよ、大建中湯が適応していて、なおかつ激しい掻痒が生じたとしたら、大建中湯の製造内容そのものに起因する上記のような問題が複合している可能性が十分に考えられると思います。

 なお、保険漢方に拘られる限りは、上記のようなアドバイス以外は不可能ですが、難治性の疾患などでもない限りは、むしろ保険適応外の漢方薬(医薬品)の方が、却って安上がりで効果的なケースもあり得るのです。

 たとえば、オルスビー錠という胃薬は、一か月分近くの製品が二千円よりも遥かに安価ですが、病院で治らなかった逆流性食道炎が寛解するケースは5割近くみられるのです。
注記:以前、オルスビー錠の有用性をこのブログに書いて以後、チャッカリした同業者があたかも逆流性食道炎の特効薬であるかのように記載したお誘いネット通販を行っているところがある・・・苦笑。)

 ご質問の腹部のガスの問題にしても、全員が奏功するとの保障はぜんぜんありませんが、開気丸というイスクラの製剤、20日ぶんで数千円はしたとおもいますが、これで高価というのであれば、胃神我述錠という一か月分数千円もしない製剤で、比較的スムーズに寛解するケースも多いのです。
 難病でもない限りは、却って自費の漢方の方が安上がりというケースもあるのです。

 保険のきくツムラ漢方のエキス製剤で考える限りは、あまりにも処方数が少な過ぎるのと、乾燥生姜であるべきところが飴色に蒸した煨姜もどきの「乾姜」で製造されており、他の製剤においても白朮であるべきところがすべて蒼朮で代用されていたり、問題点を指摘すれ際限がないほどです。当然、効果にまで大きく影響します。

 これらのことが、問題視されない日本漢方のレベルは実に情けない現状ですが、他の分野においては諫早湾のギロチン問題など、日本政府の考えることはこのレベルなのだから、漢方界はまだマシな方かもしれません。

 ともあれ、制限があまりに多い保険漢方エキス製剤ばかりに拘泥せずに、地元の漢方薬局でベテランのところがあれば、健康はお金には換えられないものですから、たとえ少し高価なものになっても、直接出向いて本当に合った漢方薬を見つけてもらうのが最善だと思います。


折り返し頂いたメール:土曜日で連日にもましてご多忙のところ、早急ご返事いただき有難うございます。
 アドバイスくださったものをまず試し、だめなときは漢方薬局探しを私がやってみます。

 ●●とはいえ、都心とはずいぶん離れてれていますので、難しいところですが、高齢でもあり、放っておくわけにはいきません。

 最期に、重ねて感謝申し上げます。


参考文献:
posted by ヒゲジジイ at 20:31| 山口 ☔| 大建中湯の誤投与による不快反応や副作用 | 更新情報をチェックする

2008年07月04日

一度も来られない人の電話相談は出来ませんっ!

 っ!を入れるのが癖になってしまった。国語改革である(苦笑。

 電話での問い合わせでもっとも無駄な時間の浪費となる確率100%が最初に「ちょっとお訊ねですが・・・」である。この「ちょっとお訊ねですが・・・」ではいつも身構えている受付嬢である。
 「ご相談があるのですが・・」の確率も99パーセント以上。

 電話でまたぞろ「ご相談があるのですが・・・」というお問い合わせにやや年老いた受付嬢が「電話相談は行っておりません」という毎度の返事。
 何度かやり取りがあって後、勧めようともしないっ!・・・と不満気に食い下がる男性に手を焼いてヒゲジジイにバトンタッチ。

 その間には薬局店頭にやってきた中年女性にヒゲジジイはお断りが終わったばかり。
 中学生の生理痛に効く漢方薬が欲しいという要求に、子供さんにはお出しできない旨を諭して瞬時に終わったところ。本人も連れて来ないで、なおさら不可能。

 電話をかわって、こちらに気を使わせて奨めなければいけないような甘ったれた考えの人は来なくてよい旨を諭して電話を終わる。

 やがて本気モードになったらしく、やや遠方から車を飛ばしてやって来る。
 薬を買ってあげるという奢った考えでは、こちらの頭がフリーズして名案が浮かばないではないかっと言うまでも無く、真剣な態度でやって来られたので一時間以上延長戦となり、へとへとになるまで無い頭を振り絞って考え抜いて、閉店後はぐったり。

 午前中は最初から真剣真面目な新人さんがあり、真剣勝負の毎日が続いている。そういう人は最初っからこちらの漢方に賭けてやって来られているから、及び腰の人にありがちな電話でのサグリもなく、雑音に悩まされることがない。

 いつもこんなことばかり書いていると皆に敬遠されそうだが、腐りきった平成の御世でも、奇特な人達がたくさんおられるもので、毎日新しい人が、しかも半数は(紹介されてというよりも)人に紹介を依頼して来られる人達である。
 もちろん残りの半数はネットっ!

2008年07月03日

不安神経症(パニック障害)に対する保険漢方の可能性

年齢 : 20歳〜29歳の女性
簡単なご住所: 九州地方
お問い合わせ内容 :  お忙しい中大変申し訳ございません。
 なかなか金銭的などで来店する事が出来ない状況でしてすがる思いでお問い合わせさせていただきました。

 現在病院の方で2年くらい経ちますが漢方治療をしておりますがなかなか良くなりません。
 一番辛い症状は 強い緊張と予期不安です。外出や何かをしなければいけない時(電話なども)するにあたって必ず緊張と不安が出て手や首が震えたり動悸、手足の汗、冷熱、夕方に体がダルく動けない、体がカーッとなる(食事中にも)、物音に常にビックリする、体温調整が出来ない、天気で体調症状が左右される、手、首、頭の震えが動作時に出る(飲み物を口へ運ぶ時など)、など色々な身体症状が出たり出なかったりの繰り返しで、不安緊張は常に出ます。

 特に人と接する機会がある前や接する時になりましたり、月経前にさらに酷くなったり気分がガクッと下がったりがあります。

 現在はソラナックス、インデラル、漢方も色々変わり今はクラシエの六君子湯43番で凹んだ時ツムラの四逆散35番イライラした時はジュンコウの加未逍遥散24番にバッチフラワーのレスキューレメディを飲んでます。
 昔はデプロメールにインデラルを飲み良くはなってましたが副作用や飲まなくなると結局再発しました。

 良いアドバイスをいただければ本当に助かります。 ●●県の病院ではちゃんとした漢方治療は出来ないんでしょうか?
 保険がきかないと金銭面でとても治療が無理なのです。

どうか宜しくお願いいたします。失礼いたします。


御返事メール: 保険漢方の範囲内で敢えて方剤を考えれば、不安感や動悸などパニック的な症状からは、竜骨・牡蠣の配合された柴胡加竜骨牡蠣湯か桂枝加竜骨牡蠣湯が必要ではないかと考えられます。

 これまで服用した経験があるにしても、これだけでは不足だろうと思われます。
 もしも生理前に乳房が張ったり痛む現象がみられるばあいは、四逆散あるいは加味逍遙散系統の適切な方剤も常用する必要があります。

 いずれにしても症状から推して適切な漢方処方を数処方併用する必要があると思います。
 これらでも治まらない場合は、保険漢方の範囲内では無理なのかもしれません。保険漢方で使用されるエキス剤にはあまりにも方剤の種類が限定され過ぎます。
 また、適切な方剤が使用されたにしても、製剤ごとに品質の問題なしとしません。

 個人的な見解ですが、もしもなんとしても治りたいという意欲が強烈であれば、薬物療法ばかりに頼らず、森田療法など禅的な精神鍛錬も併用することが必要だと思います。

 そちらの地方で病院での漢方治療はできないのだろうか?というご質問については、少し前まで漢方を否定し、漢方薬なんて効かないっ!とおっしゃっていたお医者さんたちが、最近になって手の平返したように、多くの医療機関で漢方薬を出されるようになりました。

 ところが付け焼刃の知識では漢方薬の運用はなかなかうまく出来ないものです。

 しかしながら、昔から地道に漢方薬を研究して臨床に使い続けて来られた医師の先生方も、日本全国に少数ながらおられたのも事実です。
 そちらでも探せば、きっと漢方薬による臨床経験の豊富な医師にめぐり合えることと思いますが、保険漢方でどこまで可能かは分かりません。

 たとえばの話ですが、当方の薬局において保険漢方エキス剤の範囲内でしか漢方薬を販売してはならないという制限を設けられた場合、明日から廃業せざるを得なくなります。

 お金がかからない治療方法のアドバイスとしては、先にもあげた森田療法です。ネットでも調べられるかもしれませんので、一度当たってみては如何でしょうか?


折り返し頂いたメール:お忙しい中アドバイスしていただきまして大変ありがとうございます。

 特に人と接する機会がある前や接する時(電話や、買い物での会計時、外食や食事中など)になる強い緊張、予期不安、落ち込みが酷いので先週から現在、桂枝加竜骨牡蠣湯に竹茹温胆湯の2種類を服用しておりますがこの処方はどうでしょうか?

 クラシエの六君子湯43番で凹んだ時ツムラの四逆散35番イライラした時はジュンコウの加未逍遥散24番の処方もいかがかご意見をいただければ助かりますm(_ _)m

 以前はありましたが今は月経前の乳房が張ったり痛むはありませんが強い緊張、不安、手や首の震え、手足の汗、動悸、などがいつもより酷くなり気分がガクッと落ちます。

 自律神経訓練法と体の力を抜く運動はしてますが森田療法はまだ経験ないのですがどうしたら出来るんでしょうか?

 それと私には六君子湯と四逆散は体質や症状に対し処方する事が見受けられないと言われたのですがそれはいかがでしょうか?

 度々申し訳ございませんがアドバイスをいただければ幸いです。

 宜しくお願いいたします 失礼いたします。


御返事メール: メールだけでのアドバスは前回のようなホンのヒント程度で限界です。
 人ぞれぞれに微妙に体質が異なるので、マンツーマンで微調整しながら綿密に合わせて行くのが漢方の本来のやり方です。
 それゆえ、このようなメールでは、一度も会ったことも無い人にはあれ以上のアドバイスは不可能なのです。

 森田療法はサイトで調べて研究されるか、森田療法の一般向けに書かれた書籍を購入するか、図書館で借りて一冊でも読めば得るところは少しはあると思います。

 森田療法の真髄が分かれば、半分悟りを開いたようなもので、人間的にも大きく脱皮できます。


折り返し頂いたメール:申し訳ございません。

 ありがとうございます。
 森田療法の本を探してみたいと思います。

 お忙しい中本当にありがとうございました。

 少しでも良い漢方と会えるように頑張ります。

 失礼いたします。

2008年07月02日

アトピー性皮膚炎の様々な合併症と漢方薬

年齢 : 20歳〜29歳
簡単なご住所 : 西日本地方
お問い合わせ内容 : こんにちは私は今アトピーがでていて昨日までカポジで入院していました。それで治りかけたところ今度はカンジダになってしまい踏んだり蹴ったりです。かおなのでとてもへこんでいます。アトピーがなければこんな事にならなかったのにと思うととても辛いです。

 そこで漢方の治療に興味をもちここに たどりつきました。

今まだカンジダ治療中なのですがそちらの漢方の治療をうけることは 可能なのでしょうか?


御返事メール:当方のアトピー専門サイト 成人型の重症アトピー性皮膚炎治療の漢方薬 は御覧になったでしょうか?
 もしもまだでしたら、是非、御覧下さい。

 漢方薬でアトピーを克服するにはどうしても一定の経費がかかりますが(そのことも書いています)、何よりも綿密な弁証論治が必要ですので、7〜10日毎に通える根性があるかどうかにかかっています。

 県外の人であれば、数日間以上の連続した漢方相談が必要ですので、泊りがけで来られる必要があります。

 アトピーに合併するウイルス性イボやミズイボなど様々ですが、並行して治せる漢方薬の配合が必要です。
 一定期間、本腰を入れて漢方薬に賭ける決意ができるかどうか次第です。

 服用者の積極的な意欲がなければ、こちらも頑張って考える頭が働かないからです(苦笑。


折り返し頂いたメール:お返事ありがとうございます。
 (中略)
 本気で治すきはあります。サイトの方もすでに何度か見ています。
 今皮膚科のほうでもらったのみ薬などと併用する事は可能なのですか?
 大丈夫なのであれば・・・・・伺いたいと思っているのですが。


御返事メール: 併用することに問題はありません。
 本気であれば、現在使用している薬をすべて持参して下さい。

 それと、舌の苔を絶対に取らないで来て下さい。舌の苔の状態こそ体質を把握するのにとても重要ですので、歯を磨いて口を漱ぐのは当然ですが、舌の苔までこすらないで下さい。舌を磨かれるのが一番困ります(苦笑。

 薬局の営業時間は、成人型の重症アトピー性皮膚炎治療の漢方薬 のトップページの下の方に記している通りです。いつ来られても構いませんので、時間だけはたっぷり余裕を持ってこられる必要があります。体質によってはたっぷり時間がかかる場合があるからです。
posted by ヒゲジジイ at 07:22| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年07月01日

医師による肺熱の診断法

おたより:関東地方の内科医師

 ご丁寧に私の愚問にお答え頂き感謝しております。

>肺熱の触診による診断方法

 日本には腹診がありますが、胸部の触診まで詳しく触れていないものですから…
 後は自分の感想ということになってしまいます。

 自分の場合は始めに背部から観察します。
 これは長年お付き合い下さいました鍼灸師の先生が背部から観察することを勧めておりましたので、自分も患者さんの背部からの観察することを最初にすることにしています。

 背部からの観察が終わり、次に前部からの観察と言う感じになります。最初は触らないで大雑把な気の流れや停滞感を掴み、次に触診をして、問題の部分の温熱を調べたり筋肉の緊張度を調べることになります。
 この様な診察から、その患者さんの体に必要な薬草をピックアップします。

 これは自分だけの診察方法で他の人には役立ちませんね。ただ自分なりの診察の方法を確立していくことも必要なのではないか?と思います。
 漢方診察も、色々なマニュアルが出回っていますが…それは例として覚えておいて、最後は自分が患者さんの体から感じるものを如何に系統付けて行くかということなのではないかと思いますよね。
 偉そうなことは言えませんが…女性を口説くときも、マニュアルは使えませんよねぇ〜(笑

 次に脈診や舌診で、体の力の強さや病気の位置、また血の充血度などを再検討したりもします。
 ただ…何回も漢方薬を使っている方ならば…全身を大雑把に把握することで、大体の処方は決まるような気がします。

 診察において、一番大切なのは自分が如何に多くの処方を頭にイメージ出来ているか?ということなのではないかと思います。
 処方の構成を頭に描けていないと、診察したものを処方にフィードバックすることが出来ません。
 ここいら辺は漢方薬を使う方であれば、きっと死ぬまで努力して行かなくてはならない所だと思いますよね。
 これは医師でも薬剤師でも同じだと思います。もちろん自分はまだまだ未熟です。

 ちなみに肺熱と言われる症状があれば…胸部に一定の気の停滞感が感じられます。逆に葛根湯の場合は腹部の気の停滞感が主になってくることから、葛根湯は肺熱の処方ではないということが分かります。
 これはすべて自分の感覚的なものなので…残念ながら他の方の役には立たないかも知れません。

 こんなことから自分には葛根湯には肺熱には禁忌という感覚を持っていますが、きっと村田先生の場合は多くの処方の構成を頭にイメージ出来ていることが強みになっていると思いますね。
 患者さんの体を頭にイメージして、そのイメージに近い漢方薬を処方するという一連の流れが、漢方処方には必要だと感じます。

 どんな分野でも同じですが…漢方も努力が必要な様ですね。
 経営相談より努力ですよね、村田先生!(笑。

GOOD NIGHT! (-。_)。。o〇


お返事メール:とても有意義なご教示、ありがとうございます。

 女性を口説くときにマニュアルは使えない、ということには全く同意ですっ!
 書籍や他者の経験談などは重要な参考資料であることは当然としても、結局は最終的に、自分なりの理論とイメージをしっかり構築しないことには血となり肉とはならないように思います。
ラベル:肺熱 日本漢方
posted by ヒゲジジイ at 01:32| 山口 ☁| 日本漢方の情けない現状と限界 | 更新情報をチェックする