おたより:関東地方の内科医師
葛根湯と肺熱の関係を見抜く力に脱帽です!
おそらく肺熱の患者さんに葛根湯を使用すれば確実に悪化しまね。
また体の内部を中心とした処方をしていれば…表裏を司る処方である葛根湯の出番もあるのだと感じます。
また麦門冬のご指摘も素晴らしいです…自分が使った感覚では先生のご指摘の通りだと思います。
先生のことは凄いな〜と思っていますが…
ただ…「体を触らないでよく分かるな…」と感心しております。
こんな感覚を持つ自分は、まだまだ若輩者という証なんでしょうけど…。
もしご気分を害されたらお許し下さい。
次に温病の問題に移ります。
なんか…少陽がかんでいる太陽の様な感覚があります。この病態に太陽病の処方をすれば…少陽がに引っかかりながらも再度太陽病が出てくる可能性があると感じます。
ただ傷寒論の処方で行くと何度か処方を変えないといけないので…煩雑さは避けられません。このようなことからすれば…温病として扱うことも必要なのかも知れないと感じております。これはあくまで現段階での感想です。
次回薬草を購入するときは温病に必要な薬草なども揃えてみたいと考えています。
御返事メール: 老体には応える土曜日の仕事がようやく終わりました。月末ゆえ薬局店頭のみならず、電話やメールでも補充注文が殺到して閉店後も送り状発行にへとへとです。
薄利多売の漢方薬局ですから、安さと綿密な弁証論治が売り物ですっ!と宣伝を兼ねて・・・(ヒヒヒっ笑)
ネットでいくら安売りされても、それを上回る値下げでなんのそのっ!です。
お返事がこの時間まで遅れたのは、以上の事情によります。まだ虫の息です。牛黄や麝香を服用しても回復が遅れています。
麦門冬の話は拙著「求道と創造の漢方」にある柴朴湯加麦門冬のことだと思いますが、柴朴湯の強い燥性は、しばしば肺陰を損傷します。それゆえ、柴朴湯証があってもしばしば効果が不徹底です。麦門冬一味を加えるだけで即効というケースは日常茶飯事です。
利水剤を投与しても利水がまったくかからないときには、腎陰虧損を見逃していることが多いので、利水剤に六味丸系列の方剤を加えることで一気に利水がかかることも珍しくありません。
補気建中湯の場合は、腹水や胸水に有効ですが、この場合は肺陰虧損をサポートする麦門冬が重要な働きをしているように思われます。
> ただ…「体を触らないでよく分かるな…」
ということですが、仰るとおり薬剤師は医師のような診療行為である触診などはできませんが、適切な医薬品を提供する義務として、その人の病状に適した薬をアドバイスして、効果のある漢方薬を販売しないことには仕事になりません。
日本漢方なら腹診を重視するから医師でなければ不利だと思われるでしょうが、中医学では舌と脈が主体で、舌を見るだけなら触診にあたりません。
それよりも何よりも、中医漢方薬学の基本は、病気で苦しむご本人の具体的な「体感」こそ重要な弁証論治の材料です。根掘り葉掘りとこちらが納得いくまで、あらゆる方向から質問攻めにすれば、あらゆる重要な情報はたやすく得られるものです。
肺熱や胸部の痰熱を確認するくらい、いとも容易いものです。
「胸を冷やしたくなることはありませんかっ? 咳の発生源はどこですか? 咽喉ですか? それとも胸ですか?」
村田漢方堂薬局に御相談に来られる人たちの病状は、西洋医学のお医者様や保険漢方専門のお医者様が治療しても治らない人たちですから、一定の症状が明らかに持続しています。
観察力がある真剣・真面目な患者さんなら、上記のような質問に「はい、いつも胸が熱く感じます。胸のこの位置からムズムズっと咳き込みます」とすかさず答えられます。
要するに村田漢方堂薬局では質問攻めです。
ところでこの肺熱などの区別は触診などで判明するものでしょうか? 患者さんの体感や舌証を確認なしで、触診だけではむしろ分からないのではないかと思いますが、触診ではどのように診断されるのでしょうか? 是非、ご教示賜りたいものです。
温病の問題ですが、ご存知の通り、とりわけ呉鞠通著「温病条弁」などは、傷寒論では対処しきれない伝染病などを治療する方法として書かれたもので、しかも傷寒論医学を基礎に発展したものではありますが、異なる弁証体系を構築しています。
ですから温病は温病理論として傷寒論医学とは別の弁証体系として学習する必要があると思います。
傷寒論は六経弁証、温病学は三焦弁証や衛気営血弁証など。得るところは大きいと思います。
2008年06月29日
病人さん自身の「体感」を重視する中医漢方薬学
posted by ヒゲジジイ at 01:08| 山口 🌁| 日本漢方の情けない現状と限界
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