頑固な疾患というのは、時に効果がなかなか出ずに難儀することもあるが、諦めずに服用し続けることでようやく奏効する例というのも枚挙に暇がない。
といってもヒゲジジイはせっかちな方だから、10日間で多少とも効果が見えなければ、「微調整」という名目で早く一定の効果がでるようにあらゆる工夫と無い知恵を働かせるのが常である。
なかなか難治性の疾患で、たとえば膝関節を手術後に細菌感染を生じ、繰り返し長期間ミノマイシンの投与を受けながら治りきらず、漢方に救いを求めて来たやや高齢の人にもやや難航していたが、ご本人自身も長期間かかるものと観念されているので、四ヶ月間の服用の成果がようやく実り始めたところである。
まだまだ予断を許さないが、ヒゲジジイとしては珍しく配合処方を一度も変えることなく続けてもらった。
金銀花入りの荊防敗毒散に防巳黄耆湯製剤に白花蛇舌草である。
黄耆(オウギ)と金銀花の配合など、托裏消毒飲の方意を含ませるのは、日本流の時代から実績が多いからである。
単なる皮膚掻痒症でも、やや高齢のお馴染みさんが最初に出した茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)だけを飲み続けて半年以上、最初の頃は薬局店頭には遠来の人達が沢山立て込んでいるときに大声で「まだ効かんっ」と言いながら、アテツケガマシクやられていたが、昨今、大人しくなったのでご夫婦で来られたときに、その後どうなのっと訊くと、この木の芽立ちの春先、もっとも皮膚病患者が増える時期に、最近は痒くないそうだ。
初期にはステロイドを塗りたくっていたはずだが、効き目が出てくると現金なものである。茵蔯蒿湯だけでは不足だから瀉火補腎丸などを追加しようにも、きまって立て込んでいる時にばかり偶然来られるものだから「アレ頂戴っ」で半年以上、単方でもあきらかな黄膩苔がある人だから、長期間の服用でようやく確実な効果がでて来たようで、今年になって、しかも春先にも激しい再燃することもなく落ち着いている。
本来なら上記の二例のようなノロノロした効果では、服用者が途中で諦めるか、あるいは効果を出すために追加の方剤を工夫するかのいずれかだが、幸か不幸か上記のお二人のように、漢方薬は効果がのろいものだという先入観が、却って幸いした例である。
とても申し訳なかった例では、重度の貧血症状に気がつかず、様々に方剤を多種類工夫するも、大きな成果が得られずに丸一年。
丸一年も頑張ってもらって成果が乏しいのによううやく気づいて何のことは無い、牛黄製剤を利用したシンプル・イズ・ベストでようやくまともな効果が得られたという近年まれに見るひどいドジ。
本当は、アトピー以上にご相談者の多い転移癌や進行癌における数々の自慢話を書きたかったが、変な誤解を受けたくないので自慢話は止めにした。
2008年05月12日
長期間続けてもらってようやく奏効したり気がついたりした難儀な症例
posted by ヒゲジジイ at 00:23| 山口 ☁| 中医漢方薬学
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