おたより: 関東地方の内科医師
こんばんは!
今日は今勤めている病院のレントゲン技師と面白い話をしました。
「昨日、知り合いの鍼の先生の診察をみてきて面白かった」と…。
「その先生は、肩の痛みを訴える患者さんに対して肩への直接の治療はしないで、腰とか足とかを治療して患者を帰したんですよね。あんなものなんでしょうかねぇ…」なんて話していました。
その先生曰く「こんなもんじゃない!」なんて話したとか…。
やりますね、その先生!
病気が出現している場所に対して…体は逆の歪みをもってバランスを取ろうとするものですよね。だから、反対の歪みの場所を是正することで病気が治る!ということなんでしょう。直接教えないものなんですね。
これは漢方にも通じていて、大塚敬節先生が話していた言葉を思い出します。
「江戸の敵を長崎で取る…なんて治療も大切です」とか…。
あの鍼で有名な横田観風先生も同じようなことを話しているようで…
「体に熱が生じる場合、その反対の寒も同時に生じている」と本に記述しています。
体はバランスを取って、どうにか生きようとしているんでしょうね。
体を信じる治療を心がけたいと思いました。
お返事メール: とっても面白いお話、ありがとうございます。
またまた中医学を持ち出して恐縮ですが、お話の鍼灸の先生の治療方法こそ「整体観(整体観念)」そのものの見事なお手本ですねっ。
当方のお馴染みさんたちは、数ヶ月もすれば「整体観」の重要性を体感的に認識されるようになり、たとえばアトピー性皮膚炎を治すには、臓腑の調整を主眼におく漢方薬がいかに重要であるかを体感されています。
アトピー性皮膚炎は皮膚病であるという先入観から離れられず、治頭瘡一方や消風散、あるいは十味敗毒湯や当帰飲子などばかりに頼る漢方治療では、あまり治癒率が高まることはないと思います。(ヒゲジジイの薬局では、これらの方剤は消風散以外はアトピーで使用することはここ十五年は皆無となっています。)
中医学書籍類では、しばしば「頭痛を治すのに、頭部の治療ばかりを考えるのは愚の骨頂だ」というような格言を読まされて来ましたが、まことにもって至言だと思います。
2008年04月29日
肩の痛みに足腰を治療される鍼の先生のお話(中医学における整体観の重要性の証明に他ならない)
posted by ヒゲジジイ at 01:00| 山口 | 日本漢方の情けない現状と限界
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