日本漢方のアトピー治療方法と、中医漢方薬学派と典型的に異なる事例があった。
既に病院の保険漢方で、消風散(しょうふうさん)エキスを服用され、ある程度の効果があったが、もう一歩効果が弱く、次に当帰飲子(とうきいんし)に変わったが、あまり代わり映えしなかったとのこと。
次に温清飲(うんせいいん)に変わったが、これは逆効果でむしろ後戻りしたので、最初の消風散に戻った。
村田漢方堂薬局に来られるまでは消風散とステロイドの塗布で対処していた。
少なくとも消風散は一定の効果があったとのことだが、見かけ上はアトピー症状は歴然とし重症に近い状況である。
消風散がたまたま一定の効果があったと申告されても、中医漢方薬学派では、アトピーには滅多なことでは使用するつもりはない。
中医漢方薬学流の弁証論治による二度目のピント調整で、瀉火補腎丸と猪苓湯製剤で明らかに効果が見られた。
消風散よりも間違いなく効果が良いと実感されており、しばらくはこの2方剤で様子を見ることにした。
村田漢方堂薬局に来られるくらいのアトピーでは、最終的には4〜5処方の併用となるのが通常であるが、珍しく2処方の併用で行けるかもしれないので、どこまで改善出来るか楽しみである。
しかしながら、昨年も重症のアトピーで、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)と猪苓湯製剤だけで速効を得たので、このまま行けるかと思ったが、とんでもないことで、ステロイドによるリバウンドと季節的な変転が激しく、常に微調整を繰り返しながら、8割近い寛解を得るまでに八ヶ月かかっている。
衛益顆粒(玉屏風散製剤)や六味丸、天津感冒片、地竜や大黄などもさらに必要だった。もちろん、現在も通われていて一年数ヶ月経つが、少なくとも安定した8割の改善を得ており、あと一歩である。
むしろこのように初期に僅か2処方くらいで超速効を得た場合こそ、のちのち油断がならないことも多いのである。
ともあれ、消風散が多少効果がある人でも、瀉火補腎丸と猪苓湯製剤の併用の方が明らかな改善効果が得られている現実は、学問的にも興味深いと思いませんかっ?
2008年04月27日
アトピー性皮膚炎に消風散(しょうふうさん)は滅多に使わない頑固者
posted by ヒゲジジイ at 01:17| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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