2008年04月29日

肩の痛みに足腰を治療される鍼の先生のお話(中医学における整体観の重要性の証明に他ならない)

おたより: 関東地方の内科医師

こんばんは!
 今日は今勤めている病院のレントゲン技師と面白い話をしました。

 「昨日、知り合いの鍼の先生の診察をみてきて面白かった」と…。
 「その先生は、肩の痛みを訴える患者さんに対して肩への直接の治療はしないで、腰とか足とかを治療して患者を帰したんですよね。あんなものなんでしょうかねぇ…」なんて話していました。

 その先生曰く「こんなもんじゃない!」なんて話したとか…。

 やりますね、その先生!

 病気が出現している場所に対して…体は逆の歪みをもってバランスを取ろうとするものですよね。だから、反対の歪みの場所を是正することで病気が治る!ということなんでしょう。直接教えないものなんですね。

 これは漢方にも通じていて、大塚敬節先生が話していた言葉を思い出します。
「江戸の敵を長崎で取る…なんて治療も大切です」とか…。

 あの鍼で有名な横田観風先生も同じようなことを話しているようで…
「体に熱が生じる場合、その反対の寒も同時に生じている」と本に記述しています。

 体はバランスを取って、どうにか生きようとしているんでしょうね。
 体を信じる治療を心がけたいと思いました。


お返事メール: とっても面白いお話、ありがとうございます。

 またまた中医学を持ち出して恐縮ですが、お話の鍼灸の先生の治療方法こそ「整体観(整体観念)」そのものの見事なお手本ですねっ。

 当方のお馴染みさんたちは、数ヶ月もすれば「整体観」の重要性を体感的に認識されるようになり、たとえばアトピー性皮膚炎を治すには、臓腑の調整を主眼におく漢方薬がいかに重要であるかを体感されています。
 
 アトピー性皮膚炎は皮膚病であるという先入観から離れられず、治頭瘡一方や消風散、あるいは十味敗毒湯や当帰飲子などばかりに頼る漢方治療では、あまり治癒率が高まることはないと思います。(ヒゲジジイの薬局では、これらの方剤は消風散以外はアトピーで使用することはここ十五年は皆無となっています。)

 中医学書籍類では、しばしば「頭痛を治すのに、頭部の治療ばかりを考えるのは愚の骨頂だ」というような格言を読まされて来ましたが、まことにもって至言だと思います。
ラベル:整体観 整体観念
posted by ヒゲジジイ at 01:00| 山口 | 日本漢方の情けない現状と限界 | 更新情報をチェックする

2008年04月27日

アトピー性皮膚炎に消風散(しょうふうさん)は滅多に使わない頑固者

 日本漢方のアトピー治療方法と、中医漢方薬学派と典型的に異なる事例があった。

 既に病院の保険漢方で、消風散(しょうふうさん)エキスを服用され、ある程度の効果があったが、もう一歩効果が弱く、次に当帰飲子(とうきいんし)に変わったが、あまり代わり映えしなかったとのこと。
 次に温清飲(うんせいいん)に変わったが、これは逆効果でむしろ後戻りしたので、最初の消風散に戻った。

 村田漢方堂薬局に来られるまでは消風散とステロイドの塗布で対処していた。
 少なくとも消風散は一定の効果があったとのことだが、見かけ上はアトピー症状は歴然とし重症に近い状況である。

 消風散がたまたま一定の効果があったと申告されても、中医漢方薬学派では、アトピーには滅多なことでは使用するつもりはない。

 中医漢方薬学流の弁証論治による二度目のピント調整で、瀉火補腎丸と猪苓湯製剤で明らかに効果が見られた。
 消風散よりも間違いなく効果が良いと実感されており、しばらくはこの2方剤で様子を見ることにした。

 村田漢方堂薬局に来られるくらいのアトピーでは、最終的には4〜5処方の併用となるのが通常であるが、珍しく2処方の併用で行けるかもしれないので、どこまで改善出来るか楽しみである。

 しかしながら、昨年も重症のアトピーで、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)と猪苓湯製剤だけで速効を得たので、このまま行けるかと思ったが、とんでもないことで、ステロイドによるリバウンドと季節的な変転が激しく、常に微調整を繰り返しながら、8割近い寛解を得るまでに八ヶ月かかっている。

 衛益顆粒(玉屏風散製剤)や六味丸、天津感冒片、地竜や大黄などもさらに必要だった。もちろん、現在も通われていて一年数ヶ月経つが、少なくとも安定した8割の改善を得ており、あと一歩である。

 むしろこのように初期に僅か2処方くらいで超速効を得た場合こそ、のちのち油断がならないことも多いのである。

 ともあれ、消風散が多少効果がある人でも、瀉火補腎丸と猪苓湯製剤の併用の方が明らかな改善効果が得られている現実は、学問的にも興味深いと思いませんかっ?
posted by ヒゲジジイ at 01:17| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年04月26日

ようやく通常に戻った土曜日

 土曜日も従来のペースに戻ってホッとした。体調よく少しの延長戦も応えない程度の忙しさだったからよかった。
 本来なら、もう少し混雑する予定が、二度目の相談に土曜日しか来れない筈の女性達3名が来なかったからである。

 一度の来局だけで諦めたのかどうかは分からないが、こちらは身を削るようにして漢方相談に乗ってあげても、相手がそのくらいのお気軽だったのかと思えば、もっとチェックが必要だったのかと反省している。

 昨今、一度で諦めるケースは僅少であったが、そうだとすれば立て続けに女性達でこのような事例が続くと、もっと依怙地になって断るべき人たちだったのかな〜と思い直している訳である。
 つまり、お気軽やお気楽な人たちの厳重なチェック態勢である。

 真面目な人達では、最初から順調に経過しながらも毎週真面目に通われる女性達や、一度目は無効だった重症のアトピーの男性でも、一週間後の微調整で明らかな効果が出ている。本日4度目の確認だが、明らかにそのまま順調であった。

 一方ではこのような真面目な新人さんの男女が通われているのだから、人それぞれである。

 たとえ一度目の配合で効果が見えなくとも、二度目、三度目で次第にピントが合って来るものであるが、これに耐えられない人は、最初から来るべきではない。
 こちらも、お気楽に来られては身がもたない。

 しかしながら、3名の脱落者のお陰で、ほどよいペースの土曜日が戻って来たのだった(笑。

2008年04月25日

整体観(整体観念)とは?


整体観(整体観念) は中医学における基本概念として重要で、人体は体表および各臓腑、各器官、各組織がそれぞれ縦横に連係した有機的な統一体であるとされる。

 同時に、四季折々の季節の推移や気象条件、あるいは生活環境などの変化が、人体の生理・病理に影響を及ぼし、人と外界も有機的に関連した統一体であり、人と自然はともにある、というものである。

 つまり、病気を西洋医学のように局部の病変として捉えるのではなく、必ず人体全体の有機的な関連性を重視し、外界の自然現象や環境変化との有機的な関連性についても重視する考え方である。

 それゆえ、頭痛を治療するときに、頭痛薬を投与するのは、中医学や漢方世界では愚の骨頂とされる。

—━整体観(整体観念)より


 もっと専門家向けに陳潮祖著『中医病機治法学』の貴重な論説より、ヒゲジジイの翻訳によって下記に紹介する。

 中医学による治療では単味の薬物を用いず、複数の薬物を組み合わせた方剤を使用する理由について、中医学理論における二つの整体観が述べられていることに留意すべきである。

 中医学理論は二つの整体観の基礎の上に成り立っており、まさにこのことによって様々な整体療法が生み出されたのである。

 中医学では、人体は一つの有機的な整体であり、各臓は独立した系統でありながら、五臓間は緊密に連繋する協同関係があり、五臓の機能活動の物質的基礎である気血津精の生化輸泄・昇降出入も、五臓の協同作用によって完成されるという認識にもとづき、人体自身における整体観が形成されている。

 中医学ではまた、人は自然環境の一員であり、自然を離れて生存することはできず、四季の気候の突然の変化は絶えず人体に影響を与え、自然界の発病因子となる物質も絶えず人体に危害を加えるという認識にもとづき、天人相応の整体観(整体観念)が形成されている。

 このような内外環境における整体観(整体観念)は、全体の局面にもとづき、整体療法を重視する必要性を示唆するものである。

 それゆえ、どのような疾病の治療においても、外界の気候と発病因子となる物質が人に与える影響を考慮して、発病の原因を取り除くとともに、人体自身の機能失調と基礎物質の盈虚通滞の状態を考慮して、臓腑機能の調整と気血津液の疏通や補充を行う必要性を認識することができる。

 このように考えると、大多数の薬物は上述の三種類の効能〔@病因の除去・A臓腑機能の調整・B気血津液の疏通や補充〕を併せ持ってはいないので、何種類もの薬物を選んで方剤を組み立ててはじめて、それぞれの薬物の協同作用により、三種類の効能を発揮させることができるのである。

 これが中医学では方剤による治療を必要とする基本的な理由であるが、このように単味の薬物による治療から、方剤による治療への変化は、経験から発展して理論の構築に到る一大飛躍であった。

 方剤による治療では、病状にもとづいて病機を分析し、病機にもとづいて治法を考案し、治法にもとづいて病状に即した方剤を組み立てる必要がある。
 それゆえ、治法と方剤の関係を研究することは必要不可欠なのである。

 治法と方剤には四方向の関係があり、臨床治療・理論研究・方剤学書の編集などの各方面で見受けられる。

—━日本漢方の随証治療の精神と「依法用方」より

posted by ヒゲジジイ at 21:28| 山口 | 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする

2008年04月23日

東洋医学の基本概念「整体観(整体観念)」

おたより: 関東地方の内科医師

 今日は自分の主治医と思っていた、ある整体協会の先生…の奥さんからの電話を受けて嬉しくなりました。

 彼は10月にオシッコが出ないと言うことで自分が往診したんですが…膀胱に沢山オシッコが貯まっている感じだったので翌日までオシッコが出なければ、泌尿器にかかるように話していました。

 そして結局翌朝までにオシッコが出なくて…泌尿器に受診し前立腺がんの診断を受け精査入院をしました。結局、骨にまで転移をしているとのことでした(;^_^A アセアセ…。

 そして今日電話を受け…転移も前立腺がんの時に上がる検査の値も正常になったとの話を聞きました。
 そのとき自分は「彼らしいなぁ〜」と思いました。

 ここで彼の場合と一般の人の医療の場合との違いはどこにあるのか?ということがここで興味の中心になると思います。

 彼の場合は…全身を診ることに長けています。前立腺の病気でも全身の変化が前立腺に出ていると考えて体を治していきます。加えて…自分が思うところ…病気を敵視していません。

 こんなことからすれば…「体がゆがんで必要な病気を出しているのであって、病気は敵ではなく、体の欲求として現れているだけだ」と考えることが大切なのではないかと思います。

 敵視して病気を治そうとすれば…その体は戦場になってしまいます。
 がんを取った所で結果は明らかです。

 「体の欲求を理解し、その欲求が出ないように体を変えてやる」という考え方も必要なのではないかと…(^o^)/。

 病気の必要条件である「なぜ体が病気を必要とするのか?」 ということをもう一度考えることが大切である様に感じます。
 これを理解しないと病気は永遠に敵であり…永遠に平和は来ないと思います。

 神様がいるんだとするならば…病気も、その存在意味があるに違いありません。
 もちろん…これを地でいっているのが傷寒論だと思いますけど…(笑。

 やはり漢方の根本概念は素晴らしい! v(^_^)v


ヒゲジジイのお返事メール: すごい話ですねっ!
 貴重なお話ありがとうございます。

 きっと先生がとってもよいお薬を投与なさったからでしょう。
 と同時にその患者さんはご専門がご専門だけに中医学の基礎概念でもある「整体観(整体観念)」の達人なのですねっ! きっと達観しておられるのですねっ。

 ヒゲジジイなどは、何年か前、たくさんの目撃者が多いのですが、タバコの吸い過ぎで口唇癌らしき腫瘍が出来た折、考えられるあらゆる漢方薬類を服用しながら、なかなか消えず、四苦八苦しながら、いよいよ消えなければ大学病院の放射線科に行く決心をしかかったところで、ある生薬の量が足らないのではないかと、一か八か最高量に増やしたら、一気に消失して安堵の胸を撫で下ろした冷や汗ものの恐怖体験をしています(苦笑)。

 その折には外から見える患部だから憎き敵に見えて仕方がありませんでした(汗)。

 一方では、当方の漢方を過大に信じて下さる御一家は、ピロリ菌により生じた胃の低悪性リンパ腫。あらゆる病院治療で死ななかったピロリ菌が、多種類の漢方薬類の併用でほんの一ヶ月前後で腫瘍も含めて完全消失。

 そのご家族のもう一人は一昨年だったか、四年かかって増大した眼球裏の腫瘍が、脳圧亢進症状も日増しに増大しているところへ、考えられるあらゆる多種類の漢方薬類併用で、これも一ヶ月半後の検査で、完全消失していたので、主治医が思わず奇声を発したことなど。

 その他、顔面に生じた悪性黒色腫らしき2cm大の腫瘤が半年で僅か2mmに縮小など、挙げればまだまだ不思議な現象を多々経験していますっ!!!
 CTがない時代には脳腫瘍の手術前三ヶ月間の服用後、開頭したら何にも無くなっていたなどなど・・・。

 「鰯の頭も信心」などと言ったら不謹慎ですが、神様のようにヒゲジジイを信じて下さる人達というのは、不思議と言っても過言ではない凄い治癒反応が短期間で実現するものなのですね〜〜〜っ。

心と身体の関係も、不思議としか言いようがありません。
posted by ヒゲジジイ at 21:24| 山口 ☔| 悪性腫瘍・癌・ステージ4の進行癌や転移癌 | 更新情報をチェックする

2008年04月22日

日本漢方の将来

お久しぶりのおたより: 関東地方の内科医師

>要するに、漢方医学に西洋医学流のエビデンス概念を取り込むことばかりに血道をあげるようでは、日本漢方の将来は暗い。

 その通りですよね。
 一方の西洋医学はどうか?と言えば‥「エビデンス」という観念が病気に通用すると考えているのも不思議なことですね。

 どんな結果を得ても‥病気に対する必要十分条件を備えていない結論では余り意味がないのですが、現代流行の「エビデンス」は「必要十分条件を備えている結論」ではなくて「病気の十分条件だけの結論」が殆どです。

 つまり、研究の根本の考え方が可笑しいのに‥流行している研究方法なんですよね。
 困ったことですよね。権威‥って何なんでしょうね?


お返事メール: おたよりありがとうございます。
 欲張ってサイトスペースとURLを沢山確保してしまい、遊ばせておくのも勿体無いからと新たなサイトを試みたところ、自然にまたまた矛先が困った方向に行ってしまいました。

 ところで、エビデンスや標準治療の足かせのために、西洋医学方面の医師の先生方は随分ご苦労されているとかっ!?
 もしも漢方の分野でも同様なことが進みますと、これが足かせとなって、いよいよ漢方医学の息の根が止められかねません。

 遺言サイトのつもりで、間違いだらけの漢方と漢方薬 というサイトを制作してみましたが、随分嫌味なサイトになってしまいそうです。

 そしてまた、慣れているとはいえ、匿名の非難の嵐が舞い込むかもしれません。
 過去には同業者らしき人達から随分多くの匿名(時には本名の先生もおられましたが)の抗議と非難の手紙をもらっています。いずれブログに掲載してみようかとも考えています。


折り返し頂いたメール:

>遺言サイトのつもり … などと仰らずに最後まで先生の信念を貫いて下さい。
 僕は応援します!

 批判する人がいる…ということは、応援する人もいると言うことの裏返しな訳で、熱烈なファンもいることです。
 気になさらないでご自分の考えを公表して下さいね!

 そういえば…茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)がなんとなく分かるような…肝炎の時に瀉血をすると良くなるいう記事を読んだことがあります。血管内の血の濃度が変われば…瀉血と同じかなぁ〜?(笑

 確かに白朮と蒼朮は違いますよね。生姜と乾姜も違いますよね。
 桂枝に関しては、自分は肉桂を使ってしまっていますが…若い細枝の方が確かに木の場所からして発表力が強いと感じますね。今度は細枝を購入して試したいと思います。

 附子に関しては年寄りは別として…使う場面が熱による寒に使ってたりするんでしょうねぇ〜(;^_^A アセアセ…。
 まだまだ…先生のレベルには達しませんが自分も頑張ります!

 遺言なんて仰らずに…いつまでもそのままの先生でいらして下さい!


折り返しヒゲ爺が送ったメール: そろそろ遺言くらいのつもりでいた方がよいと考える年頃です。
 仕事上、様々な男女を観察するに、多くの男性は諦めが早く、女性のような良い意味での執念深さがありません。小生も自分のことになると彼等と同様ですので・・・(苦笑)。

 応援して下さるとのこと、大変嬉しく存じますっ!!!

 以前は小生のストレートな拙論を好んで原稿依頼される会社もあったのですが、次第に商売に差し支えるようになったらしく、代が変わると突然依頼が無くなりました。それで昨今は原稿料が稼げません(苦笑)。

 最近、情報源のお一人として貢献して下さっていた方が、案の定、とてつもない要職に就かれたので、案外日本も徐々に良い方向に変わるきっかけにでもならないかな〜〜〜と淡い希望を抱いています。
posted by ヒゲジジイ at 15:10| 山口 | 日本漢方の情けない現状と限界 | 更新情報をチェックする

2008年04月21日

土曜日しか来局できない人だけにして欲しいのです

 最近の土曜日はヒゲジジイにとって地獄である(苦笑)。
 半ドンのはずの土曜日が毎回終わるのが午後2〜3時を過ぎる。

 延長戦覚悟の土曜日だから、それは一向に構わないのだが、朝9時からぶっ続けの頭脳労働は神経と体力がもたない。

 どんなに沢山の人が待たれていても、折々に息抜きのためにホンの短い間、奥に引っ込んで深呼吸をするが、無い頭を振り絞るため、脳味噌の過重労働となって、後半は虫の息となってしまう。

 平日の月曜日から金曜日は夕方6時まで開いているのだから、土曜日以外でも外出が可能な人は、是非とも土曜日を避けて頂きたいというお願いです。平日は結構空いてるんですよ〜〜〜っ。
 土曜日以外は月曜日が比較的混雑しやすいけど、今日などは珍しく閑古鳥が鳴いていますっ(笑)。

 毎週このような土曜日が続けば、こちらの身がもちません。
 しかしながら、土曜日しか来局できない人は已むを得ませんので頑張ります。頑張りますがヒゲジジイが危ないです(苦笑)。
posted by ヒゲジジイ at 13:16| 山口 | 近況報告 | 更新情報をチェックする

2008年04月19日

日本漢方を堕落させた吉益東洞

 先ほど新設サイトに次のような現代日本漢方批判を書いてしまった。ヒゲジジイ自身は典型的な長州人の中でも際立った愛国者として自負するものであるが、それだけに日本漢方が中国の伝統医学の最もエッセンシャルな基本概念を捨て去ってしまった過去と現在に至る過程が歯痒いのである。

 真剣勝負の身体を張った学問的な批判とはいえ、本名でここまでやれる日本人がどこまでいることやら〜〜〜、村八分が好きな日本社会ですからねっ。
日本漢方を堕落させた吉益東洞より引用。
 江戸期の漢方医である吉益東洞は、陰陽五行学説を基礎に発展・発達した中国の伝統医学の最もエッセンシャルな基礎概念=陰陽五行を完全に否定した。
 この本来の中国の伝統医学の最もエッセンシャルな部分を、空論臆説と退けるという自己矛盾を犯したのである。

 陰陽五行を否定した時点で、もはや日本漢方はその自己矛盾の自縄自縛により、没理論の泥沼に埋没する方向へまっしぐらに進んでしまった感がある。

 東洞は「親試実験」という実証主義の旗印を掲げて没理論の方向へ突き進んでしまったわけで、それは現代の医療用漢方における「漢方の科学化」と同類の考えに他ならない。
 現代のこの一見実証主義的な「漢方の科学化」という名目は、単に病名漢方的な西洋医学化にすり替わり、ますます本来の漢方医学の本質を見失いつつある。

 この批判的な見方は、日本国内でも多くの漢方家が指摘する所であるが、それらの声は不思議なことに、ほとんどかき消されて、マスコミにすら取上げられることがない。

 江戸期の吉益東洞の行なった「親試実験」は、それがそのまま現代における「漢方の科学化」ということに重なるものである。
 要するに、漢方医学に西洋医学流のエビデンス概念を取り込むことばかりに血道をあげるようでは、日本漢方の将来は暗い。
posted by ヒゲジジイ at 00:53| 山口 ☀| 日本漢方の情けない現状と限界 | 更新情報をチェックする

2008年04月18日

再発した場合でも受け入れてくれますかっ?

 タイトルのような質問を受けて「もちろんよっ」とこたえた。
 当然である。

 ほぼ治ったかなっと思う間もなく、いつの間にか音信不通になって、ふっとその人のことを思い出すことがあって、ちょっと早めにやめ過ぎたと思うのだが〜〜〜再発しなければ良いがな〜〜と思ったものの、それからスッカリ忘れた頃になって、再発してしまいました〜〜〜と駆け込んでくるのはイイ。

 ところが、早めに止めてしまった後悔のみならず、バツが悪くなって再来しにくいので、他所で漢方薬を求めて、結局治らずにバツ悪そうにやって来るひともいた。

 あるいは中には、どこの漢方でも同じと思って他所へ行って治らず、他を転々としてやはり駄目でようやく気がついて戻って来たケースもあった。

 戻って来さえすれば、長年通い詰めて体質も気心もかなり知れているので、再発しても対処が早いのは当然である。そんなことも分からない人がいるから、漢方薬術はよほどやさしいものとアナドッテイルなっと、こちらのほうが僻んでしまう。

 漢方薬の弁証論治は相当な知識と経験が必要なもので、日本の方証相対よりもはるかに高度な構造主義科学である。

 再発したら、へんに躊躇することなく、早めに戻って来たほうが無難で、僅か「石の上にも三年」すら頑張れない安易な風潮の世の中なんだから、気にせずに早めに戻ってくることですよっ、と、やっぱり些かの皮肉交じりに回答したのだった(苦笑)。
ラベル:再発 弁証論治
posted by ヒゲジジイ at 00:29| 山口 ☔| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2008年04月16日

急性の下痢や軟便によく効く胃苓湯(平胃散+五苓散)

お問い合わせ: 東海地方の内科医師

前略 いつも大変お世話になっています。
 先週の土曜日に下痢をしました。元来やや便秘気味ですが、それ以後軟便がでるようになり、食事をすると比較的すぐにトイレに向かいます。排ガスも多い印象です。

 現在人参湯を服薬しています。
 舌はやや淡紅で多少黄色調かなどうかな、という感じです。微妙です。
 ご助言くださいますと幸いです。診療中にはさほど頻回にトイレにはいかないで済ませたいです(笑)。


お返事メール: 一般的な下痢や軟便は、とりわけ急に最近生じたという急性的な場合は特殊な体質や事情がない限りは、ほとんど胃苓湯で速効です。
 あまり体質を考えずに急性下痢症には、水瀉性でなくともよく奏功します。病名治療を行っても良いくらいの胃苓湯です。

 某漢方薬の大国にしばしば会社を上げて出張する人達が、きまってその某国で食事をすると皆が下痢になります。
 そこで当方から錠剤の胃苓湯製剤を持って行かれて全員が速効で直ぐに治るそうです。

 だから村田漢方堂薬局では胃苓湯製剤が好評でよく売れていました。でも、最近出張が少なくなったので、販売量が減っています(苦笑)。

 毎晩晩酌でビールを多飲するために長年の下痢症状の人も、この胃苓湯製剤だけで治りました。

 下痢が止まらず死にかかっていた老犬もこれで治りました。黄連入りの胃苓湯など、胃苓湯そのものには各社特長がありますが、通常の下痢、軟便程度であれば、どのメーカーの製品でも十分に奏功するものと思います。

追伸:小生自身の胃苓湯経験談

いつになく下痢と食欲不振で胃苓湯を服用

↑こういうこともありましたっ


折り返し頂いたメール:いつもすみやかにお返事くださいましてありがとうございます。さっそく内服してみます。

 それにしても茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)はいろいろな効果があってすばらしいです。
posted by ヒゲジジイ at 12:08| 山口 ☔| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする

2008年04月15日

慢性疾患だからといって漢方処方を固定できるとは限らない

 比較的変化の激しいアトピー性皮膚炎を考えてみても分かるように、ピントの合った処方の数種類の組み合わせで固定できるとは限らない。
 多くは基本的な何種類かは固定できても、配合比率や季節に応じた地竜や黄連解毒湯、あるいは天津感冒片などの消炎剤を折々に加減して加える必要が生じることは、現在、村田漢方堂薬局に通っている人達が実感されているところである。

 かといって、一部のひとでは重症度に関わり無く、途中から完全に固定できる運のよい人も無いわけではない。

 他の疾患でも同様で、虚弱体質で様々な症状が折々に出没するタイプでは、陰陽がしばしば逆転する敏感性のために、季節に応じて配合変化が目まぐるしい人も多い。
 常連さんにはこのような人が大変多く、長いお付き合いの間に漢方処方の運用に習熟されて、ご自身で調節が出来るようになる。

 この常連さんたちこそ、流動的な体調のコントロールの難しさにメゲルことなく、それに対処出来る漢方処方の数々の運用を体得される頃には、驚くほど元気な身体に変化していることに気がつくようになる。
 弛まぬ忍耐力の持続の賜物である。

 このような常連さんを別にしても、アトピー性皮膚炎の多くの人たちは、既に西洋医学治療や保険漢方のみならず、各種の漢方治療や特殊な治療方法を様々試みて治らず、苦労の果てにこの唐変木な村田漢方堂薬局サイトやブログに遭遇して、一大決心で来られた人が多い。
 それだけに不屈の精神を持して初期の苦労の多い微調整に耐えることで、多くの場合、半年から一年以内に大きな好転が見られるのである。

 途中で諦められる人も少数出てくるが、実に惜しい事である。
 アトピーに限らず、初期に即効を得た人の中には、運悪く同じ配合で続けていたのに効力が激減してしまうことがあり、その落胆から、もっとも肝心なこれからの微調整に絶えられずに音信不通になるケースが出て来るのである。
 縁がなかったものと諦めざるを得ないわけである。結局は経費の問題かもしれないけれど・・・(涙)。

 そういえば、保険漢方で様々服用しても効果が無く、当方で運よく一発で処方が決まった人が、処方が見つかったんだから病院の漢方に移ってはいけませんか?
 という愚問を発する人もいたが・・・自費の漢方だからこそ、保険漢方にはない個性のある製剤が豊富だからこそ可能であったことを理解されない人もいるのが現実である。(こちらの勘のよさも言いたいところだが・・・)

 いずれにせよ、このような不義理な考えの人には、二度と相談には乗りたくないものですよっ。
posted by ヒゲジジイ at 00:20| 山口 | アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年04月14日

「間違いだらけの漢方と漢方薬」http://www.choshu.info/

 http://www.choshu.info/ という立派?ドメインを取得しながら、遊ばせておくのはもったいないので、ボチリぼちり、嫌味爺らしいサイトを製作中。
間違いだらけの漢方と漢方薬
posted by ヒゲジジイ at 08:49| 山口 | 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする

2008年04月13日

横行する無表示医薬品の漢方調合

性別 : 男性
年齢 : 10歳〜19歳
簡単なご住所 :関東地方
具体的な御職業 : 大学生
お問い合わせ内容 : 以前11月に角栓についての相談をした●●と申します。前回アドバイスありがとうございました。
 あれから約5ヶ月経ち良くなったり悪くなったりを繰り返しながら少しずつ良くなっています。(良くなっていないところもありますが。)

 それで今日は前回書かなかったんですが8月(漢方煎じ薬を飲み始めて1ヶ月ほど)頃からある症状について相談させてもらいます。症状はとにかく舌がまずい、苦い、しぶい感じが四六時中するのです。特に寝起きはものすごくあまりの口のまずさなどに気持ち悪くなったり、クラクラする程です。(今まで19年生きてきてこんな事は8ヶ月前までは皆無。)

 それにくわえひどい口臭があり自分でもなんだか臭っているのが分かるぐらいです。原因を探ろうと、口の中の様々な部分の唾液のにおいを嗅いでみるとある部分の唾液からだけ強烈に臭くそれがまさにまずい、苦い、しぶいと感じる舌の真ん中から奥にできている大量の舌苔から強烈な便臭もしくはお年寄りの口臭のような悪臭がして頭がクラクラするほどです。(歯周病、虫歯はありません)

 それで原因はこの異常に多い舌苔であると判明したのですが、なぜ舌苔が多くなっているのか調べた結果自分の体の状態が湿熱状態であるためこのように大量の舌苔ができるのだと素人なりに推理して通いつめている漢方専門薬局で強く訴えているのですが前から湿熱をさばく処方を出していると言われ2週間前にも新しい処方を出してもらったのですが一向に良くならず本当に悩んでおり、口臭のせいで大学に行くのも困難な状態で、四六時中悩んでいてノイローゼ?状態です。

 今週の火曜日にまた相談に行くつもりですが村田先生の見解、アドバイスがどうしても頂きたくメールしました。本当にこの症状さえなければ肌は確実に一年前より良くなっているのですが舌以外にも体がかゆくなる。掻いた痕、傷、ぶつぶつがずっと治らない、不眠など漢方薬を飲む前より酷くなった症状があるせいで素直に喜べません。

 特にこの舌の症状は訴え続けて7ヶ月近く経ちますが変わりません。二週間に一度直接通ってもう16〜7回処方を変えてもらっていますが変わらず日常生活が困難な状況です。
 ちなみに食生活はここ5ヶ月ほどは腹7〜8分で甘いお菓子などは2週間に一度ぐらいしか食べず、むしろ昔より気を付けているぐらいです。また西洋医学でも治療する場合どの科に行くのが良いでしょうか?

 最後に村田漢方堂薬局にお世話になっていないのに長々と相談失礼します。


お返事メール: 現在、何という名の漢方薬を服用されているのでしょうか?
 まさかっ?! またまた無表示医薬品の漢方薬を飲まれているのではないでしょうね? 処方名や成分および分量を記載しない漢方薬を販売することは許されない行為です

 処方名も成分内容も記載が皆無であっては、いくら現在の症状をメールで書かれてもアドバイスのしようがありません。
 もしも処方名を隠して販売する薬局なら、一切信用できませんので即刻、別の薬局に変えることです。


折り返し頂いたメール: 分かりました。

 実は最初の二ヶ月ほどは処方名と入っている生薬を書いてもらっていたのですがそれから書いてもらはなくなり訊けばいいのになんだか訊くのが億劫に感じてやりすごしていました。
 明日にでも処方名を訊いてまたメールさせてもらいます。


折り返しヒゲジジイのお返事: いちいち処方を問い合わせないと教えてもらえないような薬局は問題が多過ぎます。もっと信頼の置ける薬局に即刻変えるべきですよ。

 遠方の当方にメールで相談する暇があったら、これまでのいきさつや、販売する処方名を全面公開する真面目な漢方薬局を見つけるべきです。
 処方名をこれまで折々に隠しているということは、問い合わせても本当の内容を正直に伝えてもらえるかどうか、とても疑問です。これまでも似たようなケースにしばしば地元でも遭遇していますが、平気で●●●●薬局も多々見受けます。

 広い関東地区ですから、近隣でもきっと薬事法をしっかり遵守する真面目な薬局があるはずです。
 この情報公開の時代に、薬の内容を秘匿して、一々問い合わせないと教えてくれない薬局は信頼がおけるはずがありません。


折り返しのお返事: 分かりました。よく考えてみます。返信ありがとうございました。
posted by ヒゲジジイ at 17:28| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2008年04月12日

ぎっくり腰の漢方薬を止めていたら再発気味

 久し振りに急激に発したぎっくり腰も、疎経活血湯加減方剤であっさり治ったので、服用を中止して命に関わる牛黄製剤や杞菊地黄丸、茵蔯蒿湯 (インチンコウトウ) などの常用薬ばかりにしていたら、またぞろ怪しくなってきた。

 やっぱり歳なんだろう、高をくくっていたら碌なことはない。腰の薬も再開した。それにしても牛黄製剤は以前から地元に限らず遠方の人まで、多くの人の命に関わる重大な心臓疾患や脳血管障害を救っているだけに、ますます手離せない。

 めちゃくちゃな生活を続けても何とか倒れずに生息出来ているのも、この最高級品の牛黄製剤のお陰かもしれない。こんな出鱈目な生活を改善しなければっと思いつつも、睡眠時間の乏しい無理な生活が続いている。
 不養生を漢方薬でカバーするのはトンでもない話のようだが、地元ではハードな生業の為に、ヒゲジジイと同様に牛黄製剤に依存しつつ、ハードな毎日を過ごしている人も多い。

 お互いに危ないね〜〜っと言いつつも、互いになんとか元気でやって来れているのだが、同年代の男性では、この牛黄製剤と麝香製剤のどちらかが途切れると、必ず入院騒ぎになるほど大変な状況に陥るひとがいる。
 結局は、退院できるようになるのは、きまってこの牛黄製剤を真面目に服用することが必須となるのだから、男というものは、咽喉もと過ぎれば直ぐに熱さを忘れるのでいけない。

 いみじくも「男はケチだからっ」と自虐的な愚痴を吐露された人もおられたが、ケチな男性が確かに多いが、それ以上に面倒がりやの男性が多く、諦めも早いように思われる。
 このような生存欲の希薄な男性が多いので、相対的に(良い意味で)執念深い女性の方が長生きするのだろう。

 最近、舌が曲がって出る男性がいたので、諸症状からも推して脳卒中の危険性を指摘し、体質に適応しそうな麝香と牛黄が配合された製剤を奨めたら、やや高額な値段に怯まれる。やはり男性は命よりもお金のほうが大切なようだ(苦笑)。

 懇願されない限りは、親切心からでも薬を推奨することはしたくないのだが、思わず老婆親切でアドバイスしてしまうのは良い事かどうか、いつも迷うところである。
posted by ヒゲジジイ at 01:02| 山口 | 繊細でデリケートなヒゲジジイ | 更新情報をチェックする

2008年04月11日

今年の花粉症に対する漢方薬の総括

 まだ花粉症は続いているようだが、村田漢方堂薬局で花粉症治療用に漢方薬を利用された人の殆どは、終息に向っている。実際にはすでに症状が完全に消えてしまっている人が殆どである。

 もっとも多く使用して多くの人に有効だったのが茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)。但し、黄膩苔が存在する人に限られるはずだが、黄膩苔の兆候に乏しい人でも明らかに有効だったケースがある。

 茵蔯蒿湯はとりわけ目の痒みに有効で、同時に鼻水が止まる。但し、一部の人では鼻づまりにはまったく無効で、辛夷清肺湯や天津感冒片の併用が必要となった人もあった。

 従来は天津感冒片や涼解楽などの銀翹散製剤を主体に運用して早期に治まる人が多かったが、同じアレルギー疾患ゆえ、急性蕁麻疹に有効な茵蔯蒿湯を今年は頻繁に応用してみて、かなり高い有効性を確認することが出来た。
 医師や看護師さんや鍼灸師さんなどの医療関係者にも実験してもらってその有効性を確認することもできた。

 その他、あきらかにカッコウショウキサン単独で花粉症が治まる人がおられたのは従来通りであった。
 また従来どおり、村田漢方堂薬局オリジナルの体質改善三点セットは明らかに有効であったが、これだけでは不十分な人もあり、茵蔯蒿湯や天津感冒片の併用で治まっている。
 他の目的で体質改善三点セットの愛用者の花粉症がいつの間にか自然に根治したという報告は毎年必ず数人以上からの報告がある。

 また例年通り、世間で繁用される野蛮な方剤、小青竜湯を販売することは一度も無かったし、指名客も無かった。
 小青竜湯を花粉症に応用するのは野蛮であるというのは、花粉症患者さんに肺寒停飲の症候を呈している人をほとんど見たことがないからである。
 たとえこの方剤で効果があっても肺陰を損傷しかねないので乱用は慎むべきである。

 なお、常連さんやお馴染みさんたちの多くは、天津感冒片や涼解楽、参蘇飲製剤、葛根湯製剤、辛夷清肺湯、小陥胸湯加味方剤、大柴胡湯製剤、四逆散製剤、茵陳蒿湯、地竜製剤、猪苓湯製剤、カッコウショウキサン、五苓散、加味平胃散、胃苓湯製剤、芍薬甘草湯、大黄製剤、体質改善三点セット、板藍茶、白花蛇舌草、牛黄製剤、麝香製剤など常備されているので、ご家族がどのような急性疾患になっても直ぐに対処できるので、速効が得られている。
 これらの人こそ、漢方の計り知れない恩恵に浴され、健康で長寿生活をおくられている。

2008年04月10日

不妊治療にクラミッド使用中の漢方薬併用について

性別 : 女性
年齢 : 20歳〜29歳
簡単なご住所 : 中国地方
お問い合わせ内容 : こんにちわ。現在、無排卵の為、不妊治療でクロミットを服用しています。漢方との併用し服用しても大丈夫でしか?また、価格はだいたいどのくらいでしょうか?


お返事メール:クロミッドで不妊治療が成功する可能性がある期間に、漢方薬を併用するのはあまり意味をなさないように思います。

 クロミッドで妊娠が成功するのはその90%が服用6周期目までだと言われています。それで成功しない場合は、それ以上使用しても可能性が少ないといわれますから、その時点では他の排卵誘発法を考慮すべきとの意見が、

http://www.ne.jp/asahi/kyoto/art-clinic/page011.html

ここに書かれています。

 ところで、当方で不妊症が成功した例は、いずれも西洋医学治療で成功せず、最終的に漢方薬だけに賭けた人達ばかりです。
 西洋医学治療を行っておられる段階では多くの人が少量の漢方薬の併用にとどまるためか、成功した例は少ないので、最近では漢方薬をお出しすることはなるべく避けるようにしています。
 昨今、医療用漢方も盛んな時代です。漢方薬との併用の良し悪しは、主治医の先生にご相談されることをお奨めします。

 当方では、不妊症に限らずその他の疾患も含めて、医療用漢方を用いても治らなかった人達を主体にご相談に乗っています。この段階になると十分な漢方薬の複数併用を厭わない本腰の人がメインとなるので、却って成功率が高まるようです

2008年04月09日

急性の腰冷えは治ったら漢方薬を止めてもいいよ

 三十数年来の常連さん。
 日頃から多種類の漢方薬を常用されつつ、第一線で活躍されているが、そろそろ九十歳に近づいている。

 冷たい床に長時間座ることがあって、以来、腰が冷えて重だるい。カイロを腰に当てていると気持ちがよいが、何とかならないかという注文である。

 疎経活血湯2日、何の効果もない。年齢からするとやはり海馬補腎丸かと1回5丸を1日3回、これで速効を得て雲散霧消。1日で服用を止めてもらった。その後、半月、再発はない。

 現在は長年愛用の常備薬漢方を連用される元のペースに戻っている。
 この温暖化の時代、高齢者といえども大熱峻補の品は過剰に服用しない方がよい。ましてや俄かに生じた一時的な寒証である。
 再発したら、直ぐに再開するようにアドバイスして治った時点で、1日分の服用で終わり、残りの薬は次の機会に備えて、大事に保存しておいてもらう。

 三十数年来の長期間のお付き合いともなると、ツーカーで互いに意思の疎通がとてもスムーズである。
 合成医薬品が一切服用できない特異体質であっても、漢方薬ならピントがよく合って、これまであらゆる大病を漢方薬ですべて救ってきた。

 小生も、先々月?久し振りに起こしたぎっくり腰も一週間で治って以来、一生、予防で服用するつもりが、馬鹿みたいに雲散霧消しているので、止めた。それよりも脳血管や心臓を守るために最高級品の牛黄製剤を愛用している。そちらの方が、命に関わるではないかっ。

 急性の病というものは、内容によっては治ったら直ぐに止めてもよい場合もある。
 ところが、アトピー性皮膚炎や慢性関節リウマチや慢性肝炎などの慢性疾患では、直ぐに止めたら再発するので、同列に置いてはならない。

2008年04月07日

アトピー性皮膚炎は飽食病であるということ

成人型の重症アトピー性皮膚炎は飽食病
アトピー性皮膚炎は明かにインスタント食品病であり、また飽食病の一種であるということ。
 そのもっとも重要な悪化因子や誘発因子の一つが、スナック菓子やインスタントラーメン(カップラーメン類も同様)でもあるように思われます。

 のみならず、豊な時代にふさわしく、洋菓子類や和菓子類など糖分を豊富に含んだ食品類(果物も含む)、あるいは栄養豊かな油濃い揚げ物や肉食類の過剰な摂取も悪化因子や誘発因子の一つとして忘れてはなりません。
 また、アルコール類も糖分と同様に重要な悪化因子や誘発因子でもあることは当然です。

 アトピー性皮膚炎が存在する以前からあった湿疹類にしても、甘いものやアルコール類は、痒みの敵であったのですから、この点も忘れてはならないことです。

 要約すれば、言葉は悪いですが、食い意地に勝てるかどうかが、アトピー克服の第一歩と言えるわけです。
 4〜50年前の日本の伝統的な食生活に戻すことこそ、漢方療法にも勝るとも劣らない養生法の大筆頭であることを銘記すべきでしょう。
posted by ヒゲジジイ at 21:25| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年04月06日

ブログに書いた食事制限をしっかり守ってやって来た新人さん

 最近、村田漢方堂薬局にやって来られる若い年齢層は気構えがしっかりしている。
 うわっついた中年前後の男女が、電話相談で済まそうとする世慣れた図々しさに比べれば、純粋に長年の持病を治したい一心で、むしろ若い年齢層の方が心構えが座っている。
 やや遠距離であっても定期的に通う約束ができる人が増えている。

 一昨年くらい前までは、ネットで見たからと、物見遊山の若者を随分追い返したものであるが、隔世の感がある。
 本日はさらに見上げた青年で、すでにこのブログをしっかり読まれて、食事制限を守ってやって来られているから、毎日ステロイド軟膏の塗布は続いているものの、症状は安定しているという。

 とりわけ本日は好調だと言われるが、それは緊張から交感神経が優位になっているから痒みも消えるのである、帰宅後にホッとして副交感神経が優位になると俄然痒みが出て来ることだろう〜〜と言っても、本日ご挨拶程度に出した二方剤が直ぐに効果を発揮してくれることを期待したい。

 すでに保険漢方(医療用漢方)を一定期間、処方も3〜4回変えてもらって服用しておられたが、一処方だけにこだわる限りは可能性は低い。しかも消風散(しょうふうさん)や当帰飲子や温清飲といった日本漢方らしい皮膚病漢方では埒が明かないのは当然である。
 このような方剤は村田漢方堂薬局では絶対に使用しないことは、成人型の重症アトピー性皮膚炎治療の漢方薬で繰り返し書いている通りである。

 ところで、甘いものはアトピーの敵だということで、菓子類を一切中止したのはよいが、今度は果物を熱心に食べだした人もいたので、注意した。
 果物も「甘いもの」の一つであり、果物自体が糖分のカタマリであるから、やっぱりアトピーの敵なのである。
posted by ヒゲジジイ at 00:15| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年04月05日

情報が氾濫する漢方薬

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
簡単なご住所 : 中国・四国地方

お問い合わせ:??歳の母ですが、父が亡くなってから、物忘れがひどかったり、頑固になったりしています。認知症かアルツハイマーの初期かとも思ったのですが、物忘れ検診は、パスしますので、病院へ行きたがりません。
 それで、予防にと、ネット検索して、害はなく、栄養になりそうなサプリなどを買って気休めにしていました。

 ところが、3月31日付けの地方紙に、抑肝散に含まれる釣藤鉤が、アルツハイマーを防ぐという記事がありました。先生のブログで時々、釣藤散という名前を拝見します。

 母は、父の死の直後よりはかなり立ち直っていますが、物忘れはすこし残っていますし、気休めのサプリよりは、広告ではない新聞記事で紹介された大学の先生ご使用の漢方薬の方がよいのではないかと思ったのですが、どちらを買うにしても、他の成分が入っています。

 抑肝散と釣藤散と、どちらかを母が服用しても大丈夫かどうか、大丈夫であるならどちらの方が安全でしょうか。

 素人が、証も分からずに、新聞記事を読んですぐ飛びつくのは安易すぎるような気もし、一般治療にはまだなっていないようで、誰に相談ということもできず、あまり体質にこだわらなくていい安全な薬であれば、試してみたいような気がして、メールさせていただきました。


お返事メール:お訊ねの件、「大学の先生ご使用の漢方薬」という「抑肝散に含まれる釣藤鉤が、アルツハイマーを防ぐ」というお話、随分以前から「釣藤散」などは老人ボケの予防になると言われて来て久しいものです。
 もっと効果的な可能性があるのは牛黄や麝香など「気付け」作用のある動物性生薬であろうと思いますが、とても高価です。

 長年の経験からは、漢方薬の長期連用者は癌になりにくく、ボケにくいのは村田漢方堂薬局の常連さんのご高齢者たちでしっかり証明済みだと思っています。
 話はながくなりましたが、「抑肝散と釣藤散」とどちらがお母上によいだろうか?という御質問、お答えは不可能です。

 漢方処方というものは、それほど安易に結論づけられるほど、また大学の先生だからといって実際の漢方に対する造詣が深いのかどうかも怪訝な話で、科学的検証という名の下にますます漢方医学を「幼稚な科学」に貶める傾向が強いのがそれら大学の偉い先生方なのかもしれません。

 もしも真剣に漢方薬を考えらておられるのなら、地元近辺の漢方専門薬局に直接行かれて、ご相談されたほうが、メールで訊ねるよりはるかに確率は高いものです。
 是非、お母様をお連れしてご相談なさるべきです。
 但し、抑肝散と釣藤散のいずれかに絞り込んで考えるのは間違いです。

(蛇足ながら、村田漢方堂薬局では、たとえ直接連れて来られても「常連さんのご家族」でない限りすべてお断りしているご相談内容です。当方の漢方服用経験者が付き添ってない限りはピントの微調整が成功しないのが目に見えているからです。)


折り返し頂いたメール:早速のお返事をありがとうございました。

 新聞記事の大学の先生は、証に関係なく抑肝散を処方していらしたような印象で(違うのかもしれません)、もしかしたらあまり扱いの難しくない漢方薬なのかもしれないと思い、お聞きしてしまいました。

 予防と気休めでサプリを飲んでいる状態で、体質を気にしなくていい漢方薬かもしれないと思ってしまい、お騒がせして申し訳ありませんでした。

 やはり漢方薬は、サプリと違って、気軽に飲むというわけには、いかないようですね。
(「気軽に」は先生のお嫌いな言葉でした。すみません。)

 認知症やアルツハイマーは、発症前の予防が一番よいということですが、はっきりとした症状がない時に、予防の投薬をしてもらえるかどうかわからないのですが、母を説得して近くの漢方病院に行って体質についての相談だけでもしてみようと思います。(漢方薬局さんの方はどこに行っていいかわからないので)

どうもありがとうございました。

☆最初のメールに添えつけるべきで遅くなってしまいましたが今ふと思いついたので、元の新聞記事から、関係部分を抜粋します。

「東北大加齢医学研究所の荒井啓行享受は最近、周辺症状のうち、妄想や昼夜逆転行動などが抑肝散という漢方薬で改善し、身体機能も向上することをみつけた。
 荒井教授によると抑肝散に含まれる釣藤鉤という生薬にはベータアミロイドが集まって固ま(り脳に沈着す)るのを防ぐと共に、固まったものを分解する働きがあるという。」


折り返しヒゲジジイのお返事メール:脳梗塞の後遺症からボケ症状を来たしたご老人が、医師から抑肝散を投与されたために、老人性皮膚掻痒症をますます激化させて、そのために全身ステロイド軟膏塗布量が増えるばかりで、それでもなお抑肝散を投与し続けるという漢方に無知な医師たちの所業は目に余るものがあります。
 弁証論治のなにもあったものではありません。

 このご老人は熱証体質であり、抑肝散中の当帰やセンキュウがよけいに皮膚掻痒症を激化させていることにも気が付かないというお粗末。
 こと漢方に関する限り、いくら権威のある大学の先生が発言されることでも、話半分以下として受け取っていたほうが無難なのです。

 但し、抑肝散証に間違いない人が使用すれば、かなりな効果が得られることは事実、間違いありません。


お返事メール:認知症への、抑肝散の処方は、もしかしたら広く行われているのですね。
 記事が、「最近」「みつけた」だったので新治療かと思いました。

 母は軽症というか父の死の一時的なショックにすぎないかもしれません。物忘れはあっても「人柄が以前とは違う」と感じることがほとんどなくなり、副作用が出る可能性が高いなら、薬はなくても生活には差し支えないと思う一方、認知症やアルツハイマーのような病気の発症確率を下げられるなら、様子をみて服用を中止する余裕のある副作用リスクは受忍してもよいのではないかという気持ちも強いです。

 現在全然深刻な状況ではないのと、もし発症した場合の深刻度がものすごく高いのと、予防が非常に有効らしいのと、身内がたまに違和感をもつ程度の段階で病院に行くものだろうかという迷いと、本人がこの話題を非常にいやがるのとで、サプリでお茶を濁していました。

 抑肝散も新聞を読んだ時には、安全であれば効果はダメ元でいいぐらいに思っていたのですが、証があえばかなり有効性を期待できるということですので、どうにかして、証の正確な判定という、漢方薬の前に立ちはだかる敷居を越えられないかどうか検討してみたいと思います。

 どうもありがとうございました。


【編集後記】抑肝散証や釣藤散証くらい、どこの漢方薬局でも、そのくらいの区別はできるはずだから、近くの漢方専門薬局に訪問されたほうが、こと漢方薬に関しては、病院よりも信頼がおけるような気がするが・・・。
 医師が皆、漢方知識があると思うのはトンでもない大間違いだが、「漢方病院」ということだから、漢方専門の医師がおられるのなら、抑肝散証や釣藤散証の判定くらい容易であろう。
posted by ヒゲジジイ at 00:01| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする