科学的実証という名のもとに、漢方医学や中医学の特質の一つである「個別性の重視」が忘れ去られ、同一方剤による普遍性の追求、つまり同一病名や症状に目標を絞って、何人中に何人有効であったかの検討です。この分野の追求に過度な期待を寄せると、次元の低い漢方医学に堕するのみではないでしょうか?という漢方薬のNKDYネットのトップページの檄文?で批判されるような行為のようであるが、黄膩苔の存在条件のもとに行っているので、そこまで幼稚ではないと思うのだが・・・苦笑。
「科学」とは、この程度の幼稚なものなのでしょうか?
ともあれ、以下は下関にも二泊三日の旅程で来られたことのある漢方薬も愛好される東洋医学の専門家である某鍼灸師の花粉症に対する茵蔯蒿湯の実験報告経過のおたよりである。
実験報告者:北陸地方の鍼灸師
花粉症の報告です。
昨日は、1日中外にいましたが、ほとんど激しい症状が出ることなく、たまに鼻のむず痒さを感じる程度で、順調でした。
しかし、今朝起きてから昨日の影響がでてきたのか目のかゆみと、鼻水が出ています。
もしかしたら、外などに出て影響を強く受ける場合は、予防的に天津感冒片あたりを服用していてもよかったのかなっと思っています。
風邪予防の応用で、花粉も季節的な外邪(風熱とみて)と同じ様にできないものでしょうか?
ただ、過去の経験からも外に出ていて、すぐに発症しなかったのはすごいと思います。
以前は小青龍湯も使用したことがあるのですが、たしかに症状は落ち着くのですが、鼻や口の乾燥感が増し、鼻の奥がヒリヒリした感じと熱感をかんじたのを憶えています。
以上ご報告まで。
実験報告のお礼メール:御報告ありがとうございます!
花粉症をなるべく理想的に止めるには、茵蔯蒿湯が適応していても、単独ではものたりないことがあって当然だと思います。
しかしながら、花粉症で死ぬ人は(自殺しない限りは)いませんので、実験できる人は花粉症用には茵蔯蒿湯で様子をみて欲しかったわけです(申し訳ありませんが・・・)。
そしておっしゃるとおり、花粉症を風熱感冒と同様に考えるのは基本的にはヒゲジジイ流儀です。⇒ 2008年03月18日:花粉症の漢方薬(但し、平成7年版) 平成七年にも書いている通りです。
地元や東海地方のお馴染みさんのご家族には茵蔯蒿湯で速効で、その後も治まったままですし、地元でも藿香正気散(カッコウショウキサン)単独で治っている人を除けば、明らかに効果がある人ばかりで、茵蔯蒿湯を常用していて中途半端な花粉症(鼻づまりと鼻水だけ、目は無症状で痒みがない)には、辛夷清肺湯に天津感冒片で速効です。
本来なら、茵蔯蒿湯が効く人でも、おそらくは天津感冒片や辛夷清肺湯、あるいは体質によっては葛根湯やカッコウショウキサンなど、適切な方剤を併用したほうが万全であることは間違いないと思います。
今回は、実験研究のために、地元のご家族たちの多くの人にはあえて茵蔯蒿湯だけで様子をみてもらいました。まだもう一人、御報告待ちの人がいますが、ベテランの看護婦さんだけに、報告が楽しみです。
【編集後記】 ところが先ほど関東地方の人で、茵蔯蒿湯などを常用中の人から、次のようなメールが入ったので天津感冒片の併用をお奨めしたところである。
黄膩苔があれば茵蔯蒿湯が全例有効、というふうにはゆかないようですね(苦笑)。
(前文略)胆石の方は、病院から処方されたウルソと、村田漢方堂薬局のダイサイン、インチンコウトウ、オルスビー、六味丸でしのいでいます。
ところで、先週末突如として頸部や耳に蕁麻疹のような発疹が出て、それ以来収まりません。鼻水やくしゃみも止まらず、花粉症のようでもあります。(後略)