2008年03月20日

花粉症に対する茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の続報

おたより:東海地方の内科医師

茵蔯蒿湯のご報告をします。
以前原因不明の蕁麻疹にお悩みの30台半ばの男性に茵蔯蒿湯を処方しましたところ、蕁麻疹に著効を得たのですが、そのかたの奥さんが来院なさいました。

 奥さんいわく、「蕁麻疹の方はすっかり落ちついていて、茵蔯蒿湯は飲んでいませんが、この1週間ほど花粉症の症状がひどく、帰宅も遅くて受診できなかったため、手元にある茵蔯蒿湯を勝手に飲みました。すると、著効したのです。本人はとても欲しがっています」とのことでした。

 カルテには舌の所見について微黄色苔と記されていました。
 やはり、舌所見が重要ですが、インチンコウトウ恐るべしという印象を強くしました。
 ご報告まで。


お返事メール:茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の御報告、ありがとうございます。

 こちらでも蕁麻疹が出来やすい体質の中年男性で、メタボリック体質改善目的で茵蔯蒿湯だけを昨年から常用されていた人が、とてもスリムになるのと同時に今年は例年になく、花粉症状が出て来ないというご報告を得ました。
 毎年この季節になると、ティッシュの山を築いていたのが、今年はないと言われます。

 この男性の姉上様(同様な蕁麻疹体質)が当方のお馴染みさんで、一昨年から茵蔯蒿湯や辛夷清肺湯・杞菊地黄丸などを多少途切れ途切れに常用されておられましたが、蕁麻疹は二度と出なくなり喜んでいたところ、今年は初めて花粉症が勃発し、2日間だけひどい症状が出ました。

 報告に来られた昨日の朝は茵蔯蒿湯を服用したからか、症状は治まっているとのことでしたが・・・。
 インチンコウトウのみで治まるかどうか、しばらくしたら報告があるはずです。

 この女性の報告で、もうひとつ興味深いことは、同じご兄弟で茵蔯蒿湯だけを常用されているお二人の話、お一人は肥満体のメタボリック体質、一人は胃が弱く食欲不振で痩せ過ぎていました。
 昨年から、この姉の奨めで茵蔯蒿湯だけを常用させていたら、肥満の男性はスリムに変身して上記のように花粉症も克服。もう一人は痩せの食欲不振が茵蔯蒿湯の常用により、胃の調子が回復して体重がしっかり増えてきて、とても喜んでいるということです。

 お二人が茵蔯蒿湯を常用するようになったきっかけは、上記の姉の蕁麻疹癖や嘔吐感などが雲散霧消したことがきっかけに、ご兄弟に奨めて大正解だったという以上のような結果でした。


【編集後記】 この少しの間に、村田漢方堂薬局においては例年になく、凄まじく花粉症問題で地元近辺のおなじみさんたちやそのご家族の問題で、茵蔯蒿湯にまつわる話題が沸騰している。
 この地元の人達は、小生のブログとは無縁の人達ばかりだが、今年ばかりは黄砂の来襲も凄まじいことと相俟って、新たに花粉症となった人が続出のようである。
 中には、当方の漢方薬のお馴染みさんまでが上記のように花粉症になる人まで出る始末である。

 ところで、一昨日は4〜5ヵ月前後のお付き合いの北陸地方の方が、例年通り花粉症が出てきたのだが・・・という問い合わせのメールがあったので、手元に常備して頂いている茵陳蒿湯エキス製剤を服用してもらったところ、昨日のご報告では「昨日からインチンコウ湯服用しましたら結構いいみたいです。目の痒みはほとんどなくなりました。ただ、やはり浮腫みがあまりとれてないです。」ということだった。
 この方は他にも大柴胡湯や釣藤散や沢瀉湯製剤、あるいは五苓散、葛根湯製剤、時に加味平胃散や瀉火補腎丸、地竜、天津感冒片などを常備されて、折々に使い分けてもらっている。

 そして昨日は、15年来の四十代の常連さんが茵蔯蒿湯を常用されているにも関わらず、鼻づまりを訴えてやって来られた。目の痒みが皆無なのは幸いであるが、体質に応じて天津感冒片と辛夷清肺湯などを服用してもらうが、シャープさに欠ける。

 また、半年以上通われているアトピーの人が突然、花粉症になったと言ってやって来られた。目のかゆみが出ないのは、茵蔯蒿湯・黄連解毒湯・猪苓湯・六味丸を常用されているお陰かもしれないが、せっかくおさまりかけていたアトピーの痒みがやや再発気味で、鼻づまりと鼻水が出る、そこで、茵蔯蒿湯の服用濃度を上げてもらい、新たに天津感冒片をお出しした。
 効いてくれればよいのだが、この方の奥様には先日、花粉症がひどいと言われるので、ご本人に会わないまま藿香正気散(カッコウショウキサン)をお渡ししていたところ、ズバリ的中で、これだけで治まっている。今回も追加注文されたほど気に入られているが、ご主人には無効である。

 そのほかにも体質改善三点セットと葛根湯製剤服用中の重症の花粉症の人が来られ、今年に限り漢方薬のお陰で、くしゃみと目の痒みがほとんど出ないので助かっている、しかしながら鼻づまりと鼻水だけは消失しないといわれるので、黄膩苔を目標に茵陳蒿湯と鼻づまりの補強にネオチクジロンをお渡しし、予備にカッコウショウキサン。
 この方のご両親も、今年初めて花粉症にかかって困っているということだが、やはり今年は例年になく新たな花粉症罹患者が続出している。

 その他にも、新たに茵蔯蒿湯だけで花粉症対策の実験をしてもらっている人が複数おられるので、いずれ結果の報告があるはずである。
 村田漢方堂薬局では、しばしば常連さんやお馴染みさんが研究材料にされるが、皆さん喜んで引き受けてくれる。

 研究材料だからといって薬代は通常通り頂いている(笑)。もともと格安だから当然だろう〜っ(苦笑)。