2008年03月31日

十数年ぶりの発熱、もしかしてインフルエンザ?

 いくら忙しくたって遣り甲斐のある仕事ばかりではないので、時々この辛気臭い本業にウンザリする。
 そんな一週間が終わった土曜日、やけに寒いな〜と思いつつ完全に気力喪失状態で下らぬテレビを眺めながら厭世観にひたっているとけだるくてしょうがないのでひと寝入り。

 夜八時頃起こされて体温を測ると38度4分。節々は痛いし筋肉痛もある。咽喉周辺はひりひりとへばりつくような痛みと咳嗽。
 咳嗽の発生源が胸の中央付近で胸痛を伴う肺炎の手前を思わせるようないやらしい乾燥咳である。

 咽喉のへばりつくような疼痛は「温熱の病邪は口鼻より入る」の温病学の考えから断然、銀翹散(ぎんぎょうさん)製剤でもシャープな効果を特徴とする涼解楽である。
 節々の疼痛や筋肉痛および悪寒を考えれば、とうぜん日本古方派なら麻黄湯を考えるところであろうが、ひどい食欲不振を考えれば絶対に使用したくない。

 まずはひとい胸痛と胸に響く咳嗽を楽にしたいので涼解楽と小陥胸湯加減方剤に滋陰降下湯で咳嗽が一気に楽になる。安心して寝入り翌朝の日曜日を迎えると7度4分に下がっていた。(実際の服用薬には排尿痛と小便の出渋りもひどかったので猪苓湯も加えている。)

 そこで安心して、遣り残した雑事を片付けていたらまたぞろけだるくなって寝入る。夕方3時頃まで寝入って目が覚めたときには何と8度9分、頭はガンガン、トイレに行くのもふらふら。咳嗽も胸痛もかなり軽くなったが節々と筋肉が痛む。僅かな寒気がどうしても取れない。熱感もあまり感じない。(いかにも麻黄湯証である。)

 やっぱりこれは風寒束表に対する配合が明かに不足しているように思われる。といってもこのひどい食欲不振をどうするか?
 愚娘などは高熱を発すると決まって食欲旺盛になっていた。関係ないけど・・・。
 「虚に乗じて邪が侵入」したのであるから、常々 風邪やインフルエンザの漢方薬 というブログにも書いている通りに上記方剤に参蘇飲を加えることにした。

 涼解楽と小陥胸湯加減方剤に滋陰降下湯に参蘇飲・猪苓湯

 すると半時間も経たない間に7度5分まで下がる。少し食欲がでたが下痢をした。どうにも僅かな寒気が取れないのは藿香正気散(カッコウショウキサン)証の合併だったかと得心してさらにこれを追加服用。

 この時点で気がつくと咽喉のへばりつくような疼痛や胸痛も咳嗽などほとんど消失。
 熱も軽度になったが高熱のあとだけに身体がだるい。症状から見てもまるでインフルエンザのようだが身近に医者がいないので検査もできない。
 夜、昨夜からジュース類以外は咽喉を通らなかったのが梅干ご飯にお湯をかけて食べれた。体温も37度以内36度までを上下。

 夜は涼解楽と小陥胸湯加減方剤にカッコウショウキサンと参蘇飲・猪苓湯で寝る。
 月曜日は鼻声を残してまったく平熱。食欲が俄然沸く。
 幸い、1日中、送り注文とお馴染みさんが来られるばかりで、最も神経を使う新人さんが無かったのが幸い。

 夜の今現在の服用は、念のために涼解楽とカッコウショウキサンと参蘇飲・猪苓湯。
 こんな華奢?な身体に麻黄湯を使用していたら、どうなっていたか分からない(苦笑)。

追記: 当然、板藍茶や白花蛇舌草は常時併用しているはずが、時に熱に浮かされ服用を忘れているときもあった。高熱時に地竜や牛黄製剤も使用したが初日の土曜日にはまだ寒気が強い時だったためか、有効性はほとんど感じられない。
 翌日の8度9分の時にも使用したが、この時は一気に熱が下がったのは地竜と牛黄製剤のおかげかもしれない。

 なお、終始寒気が伴っていたので暖房で強烈に室内を暖めていた。
posted by ヒゲジジイ at 21:30| 山口 ☔| 風邪やインフルエンザ | 更新情報をチェックする

2008年03月29日

初めてなのに電話の漢方相談を要求する安易な人達

 木曜日と金曜日はようやく暇な時間も出て来たので、ほっと一息つけたが、疲労が残ってやや風邪気味。天津感冒片をトローチ代わりに舐めている。乾燥咳には滋陰降下湯がよく効いている。

 月曜日には驚いたことに合いもしない八味丸の煎じ薬を有名な漢方専門科のある病院から8年間も服用し続け、却って体調を崩している人が、ようやく気がついて、見切りをつけてやって来られた。
 八年間、やや遠方のその病院に数時間かけて通い続ける熱心さも見上げたものだが、見切りをつけるまで8年もかかったこと事体がおめでたい。

 投与する医者も医者である。患者さん側では、口が渇き過ぎるという訴えに、口渇を治す薬だからそんなはずはないと断言し続けている。ようやく注意が必要な漢方薬(肺陰を損傷しやすい漢方処方)を読んで、やっぱりと思い、再度、主治医に申告すると、また同じことの繰り返して、あなたには八味丸以外に合う薬はない、煎じ方が間違っているのだろうと強引である。
 仕舞いには、あなたは漢方に向かないと見切りをつけられたとか。

 これが日本古方派のエライ先生方の所業であろうかっ。弁証論治のない世界では、患者さんの深刻な訴えでも馬耳東風なのだろうかっ。
 結局、方証相対や随証治療とはこの程度のものなのだろうかっ。

 8年間もの長きに渡って、通うほうも通う方である。病院だから許されるのだろう。コチトラのような薬局では効果が弱いと3〜4ヶ月も辛抱出来ずに止めていかれる人も出て来るくらいだっ。
 実に信じられない8年間である。

 春なのだろう、お問い合わせ電話も頻繁である。
 しかも電話相談だけで漢方を出してほしいという実に安易な人が、地元の下関市内でもシバシバあるのだから話にならない。
 また、迷いながらの問い合わせも多いが、迷いの電話は一切サヨナラ。互いに時間の無駄である。

 定年退職後の暇つぶしに困っているような男性が、持病の相談に遊び半分で来られるのも実に迷惑である。
 先週から立て込んでいるときに限ってやって来られ、女性薬剤師が地元なら日を変えて出直してほしいという御願いに素直に従ってくれたのはよいが、また今週も立て込んでいるときである。

 先客が終わって、こちらもかなりグッタリ疲れているときに暇つぶしの病気相談に何で付き合わねばならないのかっ。
 10日分2,000円の漢方薬すら「年金生活だから」買えないのだそうだ。だったら来るなと言いたい。
 八味丸ばかり投与するような高名な漢方科の病院に行くがよいっ。

2008年03月25日

やや特殊なタイプの増水行舟法常習便秘に増水行舟法の応用の可能性

おたより兼お問合せ:東海地方の内科医師

 茵蔯蒿湯(インチンコウトウ) ですが、舌の所見を評価して処方していますが、なかなかいい感じです(花粉症)。
 もちろん、患者さんによっては追加の方剤が必要な場合があるようです。 麦門冬湯、真武湯、苓甘姜味辛夏仁湯、辛夷清肺湯などが補助となってくれます。

 本日の本件ですが、30台半ばのご婦人ですが、幼少期からの頑固な常習性の便秘に悩まされて受診されました。
 舌は紅で無苔、脈は尋常です。腹部は両側下腹部にお血を認めます。

 排便がないとき(数日にわたり)、下剤を使用され排便が出るそうですが、そのようにして数日排便が順調にあると(下剤を使用して)のどが必ず数日してヒリヒリするそうです。
 そして常時水分を一日2L以上飲まないと体がだるいそうです。

 便秘のときはのどの症状は全くないとのことです。一応、教科書的に通導散、牛車腎気丸を処方しましたが、ご助言くださいますと幸いです。


ヒゲジジイのお返事メール:茵蔯蒿湯は本日も速効の報告を得ました。
 10日ごとに通って来られている方のご家族がベテランの看護婦さんで、この時期、花粉症で仕事に差し支えるので点鼻薬と点眼薬が離せないのに、黄膩苔が確認できたことから直ぐに服用してもらったところ、速効をえて点鼻薬と点眼薬の使用が激減したそうです。
 不思議なことに雨降りの日だけは一時必要なときがあったとか。
 それでも著効に間違いないとて茵蔯蒿湯を今回も余分に買って帰られました。

 お尋ねの便秘症の女性の舌像において苔がなく紅色であることから、陽明熱実し津液枯燥の状況が推測され、典型的な陰虚による便秘症と思われます。
 この場合、中医学的には増水行舟法を行うべきで、代表的な方剤は増液承気湯(玄参・麦門冬・生地黄・大黄・芒硝)です。

 しかしながら、増水行舟法を「常習便秘」に応用する場合、エキス剤で行うには潤腸湯に滋陰降下湯や養陰清肺湯のいずれかを加えることでも十分に代用になるのではないかと思います。
 あるいはこの女性のように津液欠乏を起こしやすい陰虚体質者では、下剤の入らない滋陰降下湯だけでも十分に常習便秘を改善できる可能性もあり得ることだと思います。


【編集後記】 生来の陰虚体質者の体質改善剤としては六味丸が基本であるから、上記の方剤とともに八仙丸(麦味地黄丸製剤)などを根本体質改善剤として長期間続ける必要があるだろう。
posted by ヒゲジジイ at 20:22| 山口 ☁| 常習便秘症 | 更新情報をチェックする

2008年03月24日

花粉症に対する茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)単独実験の報告

 花粉症に敢えて茵陳蒿湯単独で実験してもらうなどとは、まるで
 科学的実証という名のもとに、漢方医学や中医学の特質の一つである「個別性の重視」が忘れ去られ、同一方剤による普遍性の追求、つまり同一病名や症状に目標を絞って、何人中に何人有効であったかの検討です。この分野の追求に過度な期待を寄せると、次元の低い漢方医学に堕するのみではないでしょうか?
 「科学」とは、この程度の幼稚なものなのでしょうか?
という漢方薬のNKDYネットのトップページの檄文?で批判されるような行為のようであるが、黄膩苔の存在条件のもとに行っているので、そこまで幼稚ではないと思うのだが・・・苦笑。

 ともあれ、以下は下関にも二泊三日の旅程で来られたことのある漢方薬も愛好される東洋医学の専門家である某鍼灸師の花粉症に対する茵蔯蒿湯の実験報告経過のおたよりである。

実験報告者:北陸地方の鍼灸師

 花粉症の報告です。
 昨日は、1日中外にいましたが、ほとんど激しい症状が出ることなく、たまに鼻のむず痒さを感じる程度で、順調でした。

 しかし、今朝起きてから昨日の影響がでてきたのか目のかゆみと、鼻水が出ています。
 もしかしたら、外などに出て影響を強く受ける場合は、予防的に天津感冒片あたりを服用していてもよかったのかなっと思っています。

 風邪予防の応用で、花粉も季節的な外邪(風熱とみて)と同じ様にできないものでしょうか?
 ただ、過去の経験からも外に出ていて、すぐに発症しなかったのはすごいと思います。

 以前は小青龍湯も使用したことがあるのですが、たしかに症状は落ち着くのですが、鼻や口の乾燥感が増し、鼻の奥がヒリヒリした感じと熱感をかんじたのを憶えています。

 以上ご報告まで。


実験報告のお礼メール:御報告ありがとうございます!
 花粉症をなるべく理想的に止めるには、茵蔯蒿湯が適応していても、単独ではものたりないことがあって当然だと思います。

 しかしながら、花粉症で死ぬ人は(自殺しない限りは)いませんので、実験できる人は花粉症用には茵蔯蒿湯で様子をみて欲しかったわけです(申し訳ありませんが・・・)。

 そしておっしゃるとおり、花粉症を風熱感冒と同様に考えるのは基本的にはヒゲジジイ流儀です。⇒ 2008年03月18日:花粉症の漢方薬(但し、平成7年版) 平成七年にも書いている通りです。

 地元や東海地方のお馴染みさんのご家族には茵蔯蒿湯で速効で、その後も治まったままですし、地元でも藿香正気散(カッコウショウキサン)単独で治っている人を除けば、明らかに効果がある人ばかりで、茵蔯蒿湯を常用していて中途半端な花粉症(鼻づまりと鼻水だけ、目は無症状で痒みがない)には、辛夷清肺湯に天津感冒片で速効です。

 本来なら、茵蔯蒿湯が効く人でも、おそらくは天津感冒片や辛夷清肺湯、あるいは体質によっては葛根湯やカッコウショウキサンなど、適切な方剤を併用したほうが万全であることは間違いないと思います。

 今回は、実験研究のために、地元のご家族たちの多くの人にはあえて茵蔯蒿湯だけで様子をみてもらいました。まだもう一人、御報告待ちの人がいますが、ベテランの看護婦さんだけに、報告が楽しみです。


【編集後記】 ところが先ほど関東地方の人で、茵蔯蒿湯などを常用中の人から、次のようなメールが入ったので天津感冒片の併用をお奨めしたところである。
 黄膩苔があれば茵蔯蒿湯が全例有効、というふうにはゆかないようですね(苦笑)。

(前文略)胆石の方は、病院から処方されたウルソと、村田漢方堂薬局のダイサイン、インチンコウトウ、オルスビー、六味丸でしのいでいます。
 ところで、先週末突如として頸部や耳に蕁麻疹のような発疹が出て、それ以来収まりません。鼻水やくしゃみも止まらず、花粉症のようでもあります。(後略)

2008年03月23日

茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)にまつわる雑談

おたより:東海地方の女性薬剤師

 ここ3ヶ月ほど、実は私も茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を愛用しています。
特にアレルギー等はありませんが、一日の殆どが座り仕事なのに、食べ過ぎているのかもしれません。(^^;)
 舌の他の部分に対して、肝胆がいつも赤く、時折黄膩苔が見られることがあります。

 そのくせ、丈夫かというとそうではなく、本質は脾腎陽虚です。
 無理しては、しんどくなり、肝熱が上がってくるタイプです。
 血筋的にも、中風のサラブレットです。

 茵陳蒿湯は、私にとって寝る前1度の服用が最も調子がよく、朝は脾胃を温めるもの、昼は理気、そして夜は化痰や解毒の食事で対応しています。

 先生がおっしゃるように、現代の食事事情からすると、これから茵陳蒿湯は益々活躍しそうですし、こういったタイプのガン体質予防、改善にも使えそうな気がしています。

 また、お話は変わりますが、少し前のブログで、頭に良い物・・・で先生は”哲学の煙”を書いておられましたが、私の場合は、コーヒーです。
 コーヒーのお供に、甘い洋菓子をとらず、栗、くるみ、松の実、枸杞子などの補肺腎系統を少量いただくと、頭や目の疲れに良いみたい・・・・。

 そして、私はピアノの練習前に、全蝎を摂ります。
 特に、新しい曲を練習していて思うのですが、昨日まで指が絡まって動かなかったところが、突然に弾けるようになる・・・これは、指が覚えたのでなく、その部分の頭の神経がうまく伝達し、つながったことをヒントに、通経絡作用のある全蝎をとると、指の動きが良くなることを実感したためです。

やはり、中風の気があるせいかもしれませんが・・・(笑)


ヒゲジジイのお返事: 茵陳蒿湯証は、たとえ僅かでも「黄膩苔」が必発ですね。これがない人に使っても無駄だと考えています。舌質よりも重要なのが黄膩苔の存在だと考えています。
 先生のように脾腎陽虚の人にもシバシバ遭遇しています。それに近い極端な例に最近遭遇しています。

 以前ブログにもお問い合わせを掲載した、
 2008年02月13日 様々な症状が複合する場合の漢方薬

 この女性、あらゆる自覚症状が、茵蔯蒿湯・五苓散・葛根湯という配合で、ドンぴしゃりと嵌っています。
 ひどい黄膩苔が現在は軽減して、この配合で偏頭痛や肩こりのみならず、胃症状も全面的に快癒。まだまだ徹底的に継続服用の必要がありますが、このような配合は、日本漢方の時代では決して考えもつかない組み合わせでした。

 使っている方剤は古方ばかりですが、配合方法はあきらかに中医漢方薬学派です。日本漢方の伝統である古方を重視する伝統を守りながら、発想は中医学理論を基礎に、それも陳潮祖先生の少陽三焦理論を最も重視しています。


折り返し女性薬剤師からのお返事:先生がおっしゃるように、私も茵蔯蒿湯、五苓散、葛根湯、そして柴胡桂枝湯によくお世話になり、この四つの方剤があれば、自分はかなり安心できます。
 薬局には、自分と似たタイプの女性がよく訪れるので、これらはとてもよく出ています。

 脾腎陽虚の女性は、当然、衛気も弱く、特に足元から邪気が入りやすいようです。
 冷えによってすぐに膀胱炎の初期症状を呈し、足の裏の湧泉と、足のきびす付近の申脈や昆侖に圧痛がしてくるのが特徴です。

 こんなとき、タイミングよく、葛根湯と五苓散を使用して、督脈と膀胱経に通陽すると1度の服用で治ってしまいます。

 ところが、ここでタイミングをのがすと、すぐに少陽へ入り、本格的な排尿痛、口渇、熱っぽさが出てきます。
 特にデスクワークで座りっぱなしの女性は帯脈機能が失調しているため、膀胱経に邪気が入ったかと思うと、驚く早さで、少陽の症状が出てきます。(少陽に入ると、臨泣穴の方が痛くなってきます)
 こんなときには、柴胡剤と猪苓湯を持ってくるか、黄膩苔があれば茵陳蒿湯と五苓散を併せ、スカッと症状がとれています。

 ただ、私の場合、古方にも中医にも精通しておらず、頭の中が体系化されていません。

 自分は物覚えが悪く、ひととり勉強してからでは、おそらく百年たっても処方できないと思うので、自分のタイプとよく似たところから、少しづつ攻めて勉強中です。
 きっとおかしなことを書いていると思うので、ビシビシとご指摘ください。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


折り返しヒゲジジイ:先生ほどの経絡とツボを通した分析能力がおありでしたら超一流です。
 没理論の日本漢方に精通する必要はありませんが、経絡理論や鍼灸知識を用いてそこまで分析できれば十分でしょうっ!
 ただし、さぞやヒゲジジイと一緒に仕事をしたら、微妙なところで意見が食い違ってケンカばかりしそうな予感がします(苦笑)。

 ところで花粉症の人達のその後は、やはり茵蔯蒿湯を主軸にして急速に治まった人ばかり。但し、茵蔯蒿湯を常用中に生じた常連さんの花粉症では既に服用していた辛夷清肺湯に涼解楽(銀翹散製剤)で治まってきました。
 多くは茵蔯蒿湯が主体で、一部の人に銀翹散製剤や藿香正気散(カッコウショウキサン)、それ以外の人は、ヒゲジジイオリジナルの体質改善三点セットで治まっています。

 今年ほど花粉症に遭遇した例は近年稀でしたっ!
 花粉症の急性発作で村田漢方堂薬局に駆け込む新人さんは、仕事が過剰に増えるばかりだから、上手にお断りするのが例年でしたが、お馴染みさんご本人のみならず、そのご家族のご相談を受ける機会がとても多く、ご相談受けた人はいまのところ全員、短期間で治まってくれてホッとしています。

 本日土曜日は午前中なのですが、お馴染みさんや常連さんが立て込んで、途中来られた新人さんは幸いすべて市内の人達だったので、お二人ほど日をあらためて出直してもらうことにしました。

 電話のほうでも朝から奨めてほしいような思わせぶりな相談電話が続きます。
 春の数ヶ月だけに続く咳嗽が長年繰り返して病院で治らないのだが、というご相談には一時抑えだけでよいのなら、よその漢方に行ってほしいと迷いを断ち切って差し上げたこの老婆親切。

 一人ひとりにたっぷり時間をかけるので、本気の人でなければ、この老体に鞭打って心身ともに消耗する弁証論治はやっておれません。

 ところで服用が不真面目でも効果がある人はいるもので、
2008年03月17日:一日1回の服用もおぼつかないアトピー性皮膚炎の患者さんからのおたより この一日1回服用するのがようやくというアトピーの人、やっぱり二度目の下関へ遠路はるばるやって来られました。

 例年重症化する冬だというのに、意外にも一日1回の服用でも初めて来られた8月下旬に比べれば、明らかに好転しているのです。
 合併していた鼻詰まりも出ず、両腕が明らかに残っているものの、ややひどかった顔面は頬の赤味がわずかに残るのみ。
 これなら2回の服用でも十分治る可能性があるではないかと、大いに励ましておきました。

 一日1回の服用では遠路はるばる相談に来られても無駄だと返信していたものの、これだけ明らかな効果があれば、押しかけてでもやって来られる意義があったというものでした。
 皮膚病は、他人からも客観的に治癒や悪化の状態が分かるだけに、昨今一番やりがいのある仕事かもしれません。

 この方は、北陸地方の人らしく冷え性で寒がりではありますが、大柴胡湯・茵蔯蒿湯・猪苓湯・六味丸・ササヘルス・イオン化カルシウムの併用で、村田漢方堂薬局ではまったくオーソドックスな配合でした(苦笑)。この配合で結構身体が温まっているようです。

 せっかく遠くから来られたのですから効果をアップするために高濃度のヨクイニンエキス製剤を追加してもらうことにしました。


【編集後記】ヒゲジジイの最も不得意とするところは、典型的な心気症タイプで極端に愚痴っぽい悲観主義の人。不安がってあれやこれやのピントの外れた不毛な逆質問ばかり受けるのも返答に窮するばかりで最悪である。
 最近、そのような方に短期間でこちらが根を上げてギブアップしてしまい、東海地方の女性薬剤師を御紹介して無理に引き受けて頂いた。
 ヒゲジジイの不得意分野は頼もしい彼女にお願いするのが一番だ(笑)。
posted by ヒゲジジイ at 00:20| 山口 | アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年03月22日

不妊治療中にダイエット漢方薬服用の是非についての御質問

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
御職業 : 主婦
簡単な御住所 : 近畿地方
ご意見やご質問をどうぞ :  専業主婦になった数年前から、体重が増え、健康診断ではコレステロールと中性脂肪が多くなっております。

 「へんせき」を試してみたいと思っているのですが、現在、不妊治療中でもあります。
 妊娠中には飲まない方がよいようですが、妊娠を考えている準備段階にも服用は控えた方がよいのでしょうか。
 ご回答いただけると、幸いです。


お返事メール: 貴女の体質が本当に「へんせき」が適応する体質なのかどうかは不明ですから、購入する薬局に出向いて直接御相談なさるべきです。
 「へんせき」は医薬品ですから、販売する側はいずれも薬の専門家であるはず?です。
 また、不妊治療を行なっている主治医にも御相談なさるべきでしょう。

 ところで、不安をもちなが「へんせき」を服用されることになっては本末転倒ですので、物のたとえですが「食わずに走れ」が最も健康的かもしれません。
 つまり一人前以上は食べず、甘いものをやスナック菓子類を避け、適度な運動を心がけることです。これこそ健康的な生活です。

 なお、コレステロール値は200以下になれば癌が生じやすくなるというデーターがあり、むしろ240〜250位の値付近が、癌も含めて重大な疾患になりにくいというデータは疫学的にも有名な話です。
スタチン製剤を投与されてコレステロールが下がり過ぎ、却って新たな疾患を誘発されている例をしばしば見受ます。
 「へんせき」ではそのような危険性はありませんが、漢方薬ですので弁証論治に照らして、もしも体質に合わない人が服用するのは無意味です。
 いずれにせよ、病気でもないのに大切な時期に「へんせき」を服用する必要はないように思います。

 むしろ西洋医学的な不妊治療を行なう前にこそ不妊症治療目的で漢方薬を利用されていた方が漢方薬の利用目的としては理にかなっていたかもしれません。


折り返し頂いたメール: 丁寧なお返事、ありがとうございました。

 現在、不妊治療中ですが、実は並行して漢方の周期療法も行っておりました。ただ、漢方を始めてから、かえって生理周期が乱れるようなことがあり、今は漢方治療を休んでいるというか、さぼっている
というか・・・。

 そのため、お世話になっている漢方薬局さんには尋ねにくかったのでした。
 太っていると妊娠しにくいということもあると聞いたり、昨日訪れたドラッグストアで店頭に「へんせき」が並べてあったり・・・で非常に興味を持ったのでした。

 本当に、ご丁寧にありがとうございました。
posted by ヒゲジジイ at 00:06| 山口 | ダイエットや肥満症 | 更新情報をチェックする

2008年03月21日

茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の花粉症に対する中医学的考察←東海地方の女性薬剤師

中医学的考察のおたより:東海地方の女性薬剤師

 急激に春めいて参りましたが、お元気でいらっしゃいますか?
 こちらでも今年は温病のきざしがあります。
 黄砂が飛び出してから特に、風熱型花粉症、アトピーの方でヘルペスを併発する方などが訪れています。
 このようなとき、茵蔯蒿湯が活躍しています。

 舌先〜肝胆の部分に赤みがあり、黄膩苔があることを目安に、花粉症で特に目の痒み、耳の中が痒い、喉もイガイガと痒いなどの症状を鼻水とともに併発している方に好んで用い、良好な結果を得ています。
 場合によっては、さらに大柴胡湯を併用しています。

 また、舌質は白っぽく、ぼてっと湿を含んでおり、舌の奥にかけて薄い黄膩苔があるような例では、茵蔯蒿湯に五苓散をプラスして、調整しています。

 どちらとも、よく観察すると、舌の脾胃の部分が少し暗い感じがしています。

 茵蔯蒿湯を処方する方に、日頃の食生活を聞いてみると、コロッケや唐揚げなどの揚げ物、生クリームを使ったお菓子、乳製品などが大好きで、外食や、手作りではないお弁当を購入している方がとても多く、やはり現代の食生活が、脾胃に負担をかけている結果、衛気が弱っているのでは・・・?と思われます。

 先生に笑われるかもしれませんが、私は衛気について、体表だけでなく、口から肛門までの消化管の内側にも巡っているのではないか・・・?と考えているんです。
 ですので、脾胃に負担がかかるものを食べ過ぎると、そちらにエネルギーをとられ、衛気が充分に働かなくなるのではないかなぁ・・・と。

 油ものや乳製品、特にカゼインタンパクは、消化管粘膜を塞いでしまい、食物を停滞させます。その結果、脾胃に痰湿と瘀血(オケツ)が生じやすくなります。
 茵蔯蒿湯がよく効く方の舌は、先ほどのように、脾胃の部分が暗い感じがし、瘀血(オケツ)があるように思われます。

 このような方に、冷やす方剤を使ってよいかな・・・?と最初とまどった記憶がありますが、大黄の強い活血去瘀作用により、血液の流れがよくなり、かえって瘀血のあった脾胃は温められ、花粉症に効果をなしているのではないか・・・・?と愚考しています。
 ちょっと子供じみていますね・・・(@_@)


お返事メール:
 花粉症に対する茵蔯蒿湯や、とても薀蓄のある脾胃論、興味深く拝読申し上げました。

 実際のところ、茵蔯蒿湯証は、舌質がたとえ赤味が乏しくて白っぽくとも、気虚や血虚が強い場合でも、舌の奥に些かでも黄膩苔がかかっておれば、現代人の多くは、食生活環境の内容から類推しても、茵蔯蒿湯証が合併していることが多いと思います。
 ですから、様々な補剤と併用する機会はとても多いように思います。

 おかげさまで、先生のとても薀蓄のある内容でブログを埋めることができます。
 ありがとうございました。


【編集後記】
 現代人の食生活の内容は、上述のように女性薬剤師が指摘されるように脾胃に負担をかけているのは尤もであるが、さらに発展して脾土侮肝および脾土克水により肝胆系統および腎・膀胱系統にも大きな負担がかかっているように思われる。
 だから常々、茵蔯蒿湯証は現代人の三人に二人は見られる現象であろうと主張する所以である。

2008年03月20日

花粉症に対する茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の続報

おたより:東海地方の内科医師

茵蔯蒿湯のご報告をします。
以前原因不明の蕁麻疹にお悩みの30台半ばの男性に茵蔯蒿湯を処方しましたところ、蕁麻疹に著効を得たのですが、そのかたの奥さんが来院なさいました。

 奥さんいわく、「蕁麻疹の方はすっかり落ちついていて、茵蔯蒿湯は飲んでいませんが、この1週間ほど花粉症の症状がひどく、帰宅も遅くて受診できなかったため、手元にある茵蔯蒿湯を勝手に飲みました。すると、著効したのです。本人はとても欲しがっています」とのことでした。

 カルテには舌の所見について微黄色苔と記されていました。
 やはり、舌所見が重要ですが、インチンコウトウ恐るべしという印象を強くしました。
 ご報告まで。


お返事メール:茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の御報告、ありがとうございます。

 こちらでも蕁麻疹が出来やすい体質の中年男性で、メタボリック体質改善目的で茵蔯蒿湯だけを昨年から常用されていた人が、とてもスリムになるのと同時に今年は例年になく、花粉症状が出て来ないというご報告を得ました。
 毎年この季節になると、ティッシュの山を築いていたのが、今年はないと言われます。

 この男性の姉上様(同様な蕁麻疹体質)が当方のお馴染みさんで、一昨年から茵蔯蒿湯や辛夷清肺湯・杞菊地黄丸などを多少途切れ途切れに常用されておられましたが、蕁麻疹は二度と出なくなり喜んでいたところ、今年は初めて花粉症が勃発し、2日間だけひどい症状が出ました。

 報告に来られた昨日の朝は茵蔯蒿湯を服用したからか、症状は治まっているとのことでしたが・・・。
 インチンコウトウのみで治まるかどうか、しばらくしたら報告があるはずです。

 この女性の報告で、もうひとつ興味深いことは、同じご兄弟で茵蔯蒿湯だけを常用されているお二人の話、お一人は肥満体のメタボリック体質、一人は胃が弱く食欲不振で痩せ過ぎていました。
 昨年から、この姉の奨めで茵蔯蒿湯だけを常用させていたら、肥満の男性はスリムに変身して上記のように花粉症も克服。もう一人は痩せの食欲不振が茵蔯蒿湯の常用により、胃の調子が回復して体重がしっかり増えてきて、とても喜んでいるということです。

 お二人が茵蔯蒿湯を常用するようになったきっかけは、上記の姉の蕁麻疹癖や嘔吐感などが雲散霧消したことがきっかけに、ご兄弟に奨めて大正解だったという以上のような結果でした。


【編集後記】 この少しの間に、村田漢方堂薬局においては例年になく、凄まじく花粉症問題で地元近辺のおなじみさんたちやそのご家族の問題で、茵蔯蒿湯にまつわる話題が沸騰している。
 この地元の人達は、小生のブログとは無縁の人達ばかりだが、今年ばかりは黄砂の来襲も凄まじいことと相俟って、新たに花粉症となった人が続出のようである。
 中には、当方の漢方薬のお馴染みさんまでが上記のように花粉症になる人まで出る始末である。

 ところで、一昨日は4〜5ヵ月前後のお付き合いの北陸地方の方が、例年通り花粉症が出てきたのだが・・・という問い合わせのメールがあったので、手元に常備して頂いている茵陳蒿湯エキス製剤を服用してもらったところ、昨日のご報告では「昨日からインチンコウ湯服用しましたら結構いいみたいです。目の痒みはほとんどなくなりました。ただ、やはり浮腫みがあまりとれてないです。」ということだった。
 この方は他にも大柴胡湯や釣藤散や沢瀉湯製剤、あるいは五苓散、葛根湯製剤、時に加味平胃散や瀉火補腎丸、地竜、天津感冒片などを常備されて、折々に使い分けてもらっている。

 そして昨日は、15年来の四十代の常連さんが茵蔯蒿湯を常用されているにも関わらず、鼻づまりを訴えてやって来られた。目の痒みが皆無なのは幸いであるが、体質に応じて天津感冒片と辛夷清肺湯などを服用してもらうが、シャープさに欠ける。

 また、半年以上通われているアトピーの人が突然、花粉症になったと言ってやって来られた。目のかゆみが出ないのは、茵蔯蒿湯・黄連解毒湯・猪苓湯・六味丸を常用されているお陰かもしれないが、せっかくおさまりかけていたアトピーの痒みがやや再発気味で、鼻づまりと鼻水が出る、そこで、茵蔯蒿湯の服用濃度を上げてもらい、新たに天津感冒片をお出しした。
 効いてくれればよいのだが、この方の奥様には先日、花粉症がひどいと言われるので、ご本人に会わないまま藿香正気散(カッコウショウキサン)をお渡ししていたところ、ズバリ的中で、これだけで治まっている。今回も追加注文されたほど気に入られているが、ご主人には無効である。

 そのほかにも体質改善三点セットと葛根湯製剤服用中の重症の花粉症の人が来られ、今年に限り漢方薬のお陰で、くしゃみと目の痒みがほとんど出ないので助かっている、しかしながら鼻づまりと鼻水だけは消失しないといわれるので、黄膩苔を目標に茵陳蒿湯と鼻づまりの補強にネオチクジロンをお渡しし、予備にカッコウショウキサン。
 この方のご両親も、今年初めて花粉症にかかって困っているということだが、やはり今年は例年になく新たな花粉症罹患者が続出している。

 その他にも、新たに茵蔯蒿湯だけで花粉症対策の実験をしてもらっている人が複数おられるので、いずれ結果の報告があるはずである。
 村田漢方堂薬局では、しばしば常連さんやお馴染みさんが研究材料にされるが、皆さん喜んで引き受けてくれる。

 研究材料だからといって薬代は通常通り頂いている(笑)。もともと格安だから当然だろう〜っ(苦笑)。

2008年03月19日

注意が必要なメーカー間における製剤原料の大きな違い

 昨日ご紹介した平成7年に、A医師に回答した花粉症の弁証論治。

 実はこの医師から紹介されたステロイド漬けとなっている顔面の皮膚病患者さんを、苦労の果てにようやく茵陳五苓散と猪苓湯製剤で効果を得たことがある。

 そこでA医師にお伝えして患者さんをお戻ししたところ、医療用の漢方では3日で再発するのだった。
 再び、当方の同製剤に戻したら3日で顔面の皮膚病が消失するのである。
 このことは当時ウチダ和漢薬発行の『和漢薬』誌の巻頭随筆に掲載している。

 また成川一郎氏の「漢方製剤の偽装」を読んで感じたことでも書いているように
 たとえば、これは既に十年くらい前に「和漢薬」誌などにも発表したことだが、顔面に生じた慢性の皮膚疾患に、医師の出された医療用の猪苓湯と茵陳五苓散の配合で全く無効であったものが、市販されているエキス量二分の一の猪苓湯とエキスと粉末が混合された茵陳五苓散の併用によって比較的速やかな効果を示した例など、患者さん御本人と、主治医に薬剤師2名によって、何度も確認したものである。

 さらに最近しばしば遭遇することだが、複数の女性が医療用の猪苓湯エキスを出され、小生から見ても適切な投与であると思われるのに、一向に効かないからもっといい漢方薬が欲しいという要求に、濃度は二分の一だが効力の点では長年信頼している某メーカーの猪苓湯エキス製剤を試してもらったところ、速やかな効果を得ている事実をどう解釈すべきだろうか?
 このように医療用で効かなかった理由を猪苓湯製剤の質の問題ばかりにおもっていたが、茵陳五苓散製剤にも大きな問題があったことを今になって気がついた。

 この医療用漢方メーカーのツムラ漢方さんでは、ほんらい白朮(ビャクジュツ)であるべきところをすべて蒼朮(ソウジュツ)に置き換えられた配合なのである。
 ヒゲジジイの薬局では使用しない医療用のツムラ漢方だから、ほとんど関心がなかったのだが、先日、五苓散に蒼朮が使用されている問題を論じて以後、ちょっと気になって調査したところ、あらゆる方剤の白朮であるべきところが、すべてが蒼朮に置き換えられて製造されているという信じ難き事実っ!

 日本漢方の杜撰さがここにあり、補虚の白朮を去邪の蒼朮に置き換えたら、茵蔯五苓散や五苓散など利水系の方剤なら問題にならないこともあるだろうが、とりわけ補虚を主眼とする六君子湯や補中益気湯および十全大補湯など、それら数十処方以上ある方剤類が悉く、本来の方意を微妙に損なうことになる事実を知る医療関係者がどれだけいるのだろうかっ?

 こういう逆鱗に触れることをズバリ指摘できるのは、老い先短いヒゲジジイ以外には出来ないのだろうかっ?
 上述の白朮と蒼朮の問題は、すべて学問的にも臨床的にも中医学的には当然のことで、常識中の常識なのである。
 日本の漢方界は漢方処方に配合する生薬に関して、どうしようもなくデリカシーに欠け、杜撰なのである。
 それに比べれば、エキス濃度の問題なんて二の次ではないだろか。
posted by ヒゲジジイ at 00:02| 山口 ☁| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2008年03月18日

花粉症の漢方薬 (但し、平成7年版)

 以下は、平成7年に漢方を専門とする某内科医の先生から花粉症の漢方薬について質問を受けた時の回答である。当時は過剰なくらい老婆親切であったことに、我ながら驚いている。当時は花粉症に茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を使用した形跡はない。
 以下、当時の手紙文。

 さて、花粉症につきましては、一部の例外を除いて、上焦の風熱が主体であると愚考しています。
 したがって、天津感冒片を中心に投与すべき症例が多く、天津感冒片の単方天津感冒片+参蘇飲、天津感冒片+玉屏風散(注記:製剤としては衛益顆粒)、天津感冒片+藿香正気散(カッコウショウキサン)、天津感冒片+小青竜湯、あるいは辛夷清肺湯+参蘇飲、辛夷清肺湯+藿香正気散、辛夷清肺湯+玉屏風散、辛夷清肺湯+小青竜湯などのパターンで、アンダーライン部分は私のところで特に常用する組み合わせです。
(「天津感冒片+小青竜湯」もかなりな速効がみられることも多いのですが、胃弱な人が多い昨今ですので、なるべく避けるようにしています。)

 実際の臨床においては、このように寒熱の錯雑したタイプが多く、参蘇飲や藿香正気散、あるいは小青竜湯などの単方では表衛を侵襲した風寒や、体質的素因による肺寒停飲の領域に対処できても、口鼻から侵入した温熱の病邪(花粉による刺激)には十分な対応ができないと思われます。
(但し、一年中症状に悩まされるアレルギー性鼻炎の場合は、肺気虚に風熱をともなうタイプだけでなく、肺気虚に風寒を伴うタイプも多いので、花粉症とは区別する必要があると存じます。たとえば、季節を問わずに出没するアレルギー性鼻炎では、「玉屏風散+参蘇飲」あるいは「玉屏風散+苓甘姜味辛夏仁湯」などのタイプが多いようです。)

 つまり、くしゃみ・鼻水だけでなく激しい目の痒みと充血を伴う典型的な花粉症に関しては、風熱が主体の疾患であると愚考している次第です。
 天津感冒片はアレルギー性結膜炎にも適応することが多く、大変重宝な方剤です。

 なお、玉屏風散の臨床応用につきましては、ほんのサワリ程度ですが、平成7年和漢薬誌の3月号(もうすぐ発行される筈です)の【訳者のコメント】中で述べています。

 今年の流感は、二年前の流行時と同様、「天津感冒片+参蘇飲」の配合が大活躍しました。「邪の湊まるところ、その気は必ず虚す」といわれるように、心身の疲労によって一時的な気虚に陥り、この時に表衛が風寒に侵襲され(参蘇飲)、口鼻からは温熱の病毒であるインフルエンザウイルスを吸入し(天津感冒片)、悪寒と発熱に咽喉腫痛というのが昨今の典型的なパターンであり、傷寒と温病が合体した病態が一般的な現象であろうと愚考しています。

 もちろん、純粋型の風熱証の場合もあり、この場合は天津感冒片のみで対処できる訳ですが、インフルエンザウイルスの感染ではどのようなタイプであれ、少なくとも初期の段階では上焦の風熱に対する天津感冒片を使用する必要があり、たとえば激しい下痢症状を伴う場合でも「天津感冒片+藿香正気散」などで対処できることが多いようです。

 ともあれ、このような急性熱性病に対する方法が、そのまま花粉症にも応用できるわけで、このへんの事情は和漢薬誌488号(平成6年1月号)の巻頭随筆『中医漢方薬学』や、同じく488号の【訳者のコメント】中でも述べたとおりです。

 以上、ご質問に対するお返事としては些かピント外れに思われるかもしれませんが、「花粉症」という現代病の実際的な状況にもとづく臨床経験を述べたものです。

 私の弁証方法を要約すれば、中医基礎理論にもとづきながらも、現実の病態は複雑多変であり、教科書通りの典型的な病態は現実には比較的少ないという二十数年来の実践経験から、たとえばインフルエンザなどでは傷寒病と温病が合併した病態と考えて方剤を決定するなどは上記の通りです。
 また、たとえば希薄透明な鼻水であればすべて寒証であるなどと杓子定規には考えず、「上焦の風熱による急激な症状では、津液が熱化する暇なく外に排出されるので、希薄透明な鼻水もあり得る」など、常に現実に即した実践を心がけている訳です。

 そのほかにも、御承知の通り寒熱錯雑・虚実挟雑などは毎度のことであり、病変部位も五臓六腑の1〜2個所に特定できず、数個所以上に渡っていることが多いのですから、実際のところ、いつもいつも弁証には苦労し通しという訳です。
              平成7年 3月12日(日曜日)

2008年03月17日

一日1回の服用もおぼつかないアトピー性皮膚炎の患者さんからのおたより

北陸地方のアトピー患者さんからの久しぶり(昨年11月以来)のおたより:

 仕事の影響で忙しく、1日の食事の摂る回数が1回や2回なる日が多くなり、それに伴い、薬の服用も1日に1回や2回なる日がおきてしまい薬を消化するまで時間かかってしまいました。

 年が明けて1、2月は気温が低下して寒さが一層増して、アトピーが悪化しました。一時的に良くなる事もありますが、良くなったり、悪くなったりの繰り返しが続いております。

 鼻づまりや、胃腸の方は、特に目立った症状もでてきておりません。安定していると思います。

 詳細は?/??に相談したいと考えております。
また、時間や必要があれば、?/??も相談したいと考えております。
 ホテルや列車の手配がありますので、予定等メールのご返事を頂ければ幸いです。宜しくお願いします。


お返事メール:
 漢方薬の服用回数があまりにも少なすぎますので、効果が出にくいのは当然です。
 
 地元の男性にも、一日1〜2食の元大食漢がおられますが、食事を抜かしても漢方薬を一日3回欠かしたことがありません。
 そのお陰で、昨年5月から通い始めて重症のアトピーが今年に入って9割以上の改善です。毎日ステロイドを塗り続けて2年間、それでも悪化の一途を辿っていたのが半年でほぼ完全離脱で、見かけも症状も殆ど消えています。

 食事は忘れても漢方薬を欠かすことがなく、常に臨機応変の微調整を繰り返したからです。

 同様な人は、関東・東海・近畿地方から多くの男女が、九州や中国地方は最も多く、同じアトピーの人達は、毎日3回の服用をほとんど欠かすことがありません。中には故意に4回服用する人もあるくらいです。

 一日3回しっかり服用しないことにはピントが合っているのか、微調整が必要なのか、まったく判断することは不可能です。
 これまでお送りした漢方薬の量から言って、平均一日1回の服用すらおぼつかないとおもいます。
 これでは、現在の漢方薬のピントが合っているのかどうかすら、判定不能です。

 服用回数があまりに不足している現状で、再度、来られる意味がどれだけあるのか疑問です。(来られるのを拒むつもりはありませんがっ!)

 前回お送りしたのは昨年11月23日に一か月分をお送りして以来のことです。
 もっと気合を入れて頂きたいものです。
ブログの材料が尽きたところですので、この往復メールのみ、転載させて頂きます。


【編集後記】 昨年8月下旬に下関に来られ日帰りされた方で、10日毎に二度、経過観察してもらったところ前年に比べて明らかに軽減傾向であるとご連絡があり、ご希望にそって9月中旬からは一ヶ月分を送付。
 この時からやや途切れがちで、それでもご連絡があった11月下旬でも、明らかな軽減傾向のご報告だった。

 もっとも不得手な冬季ということだったので、音信不通を心配していたが、結果的に平均1日1回も覚束ない服用方法では経過観察は不可能としか言いようがないわけで、遠路はるばる再度来られる気迫がおありなら、その前にやるべきこと(しっかり3回服用して経過観察すること)があるだろうと思うのである。

 11月下旬のご報告では、比較的良好なご報告だったので油断されたのかもしれないが・・・。



後日談:実際に来られてみたら、このような服用方法でも明らかにアトピーは初めて来られた当初より軽減していたのだったっ!!!

posted by ヒゲジジイ at 00:32| 山口 | アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする

2008年03月15日

専門家の皆さんへお願い⇒茵蔯蒿湯で花粉症が改善する症例があったら御連絡を!

 このブログのご訪問者は、半数近くが漢方と漢方薬の専門家や漢方関連メーカーの従業員の方達であろうと思われる。

 だから、皆さんにお願いしたいことはインチンコウトウ証体質の人で、インチンコウトウを服用することで、実際に花粉症が改善する例があったら是非、御連絡・御報告をお願いしたい。

 連絡先は⇒ このお問い合わせ フォームを利用して頂ければ、折々にこのブログへの転載を考えている。

 こちらがいつも淡い期待を抱いているバナーのクリックもしてくれない人達が多いので、なかなか面倒なご報告は期待できないかもしれないが、平成時代の花粉症の一部は茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)で治せるかもしれないという重要な統計であるから、バナーは押さなくとも(本当は押して欲しいのだがっ!)、この学問的な御連絡だけは、是非お願いしたいものである。

 いまのところ御連絡下さった専門家は、東海地方の内科医の先生だけであるが・・・果たして他にご連絡がいただけるものかどうかっ?!実に美妙ですね。

 念のために申し添えれば、茵蔯蒿湯証では、少なくとも舌の奥に多少とも黄膩苔が存在することが必須のはずである。

2008年03月14日

茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)と花粉症

おたより:東海地方の内科医師

 先日の花粉症にたいする茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の有用性のブログを拝見してから、当クリニックに受診なさっているアトピーの患者さんについて振り返ってみました。

 村田さんもご存知の通りアトピーのかたに茵蔯蒿湯を中核とした投薬を行っているからです。
 すると、やはり花粉症の症状が軽いか内服以前と比べて今シーズンは症状が現れていない、というかたが結構多いことに気が付きました。

 巷では抗アレルギ薬が数種類投薬されたりしているにも関わらず、花粉症状でお悩みのかたがかなりいますが、そのような患者さんの中には助けとなり得ることが確認できました。
 ありがとうございました。

お返事メール: 
 ちょうどさきほども、新たな花粉症の女性が、茵蔯蒿湯を服用する都度、明らかに症状が軽減しているとのメール報告を得ました。
 本日朝から始めて、夜の三度目を先ほど服用したら、また明らかに症状が軽くなるそうです。

 県外の遠方の人で、下関には昨年一度来られたことのある人です。
 藿香正気散(カッコウショウキサン)では効果がないので、当方のブログを読まれて茵蔯蒿湯はどうだろうかということで、ご家族が服用中の茵蔯蒿湯をもらって早速服用されたところ、本日朝から、上記の通りの明らかな効果を感じられるとの御報告でした。
 念のため、舌の奥に黄膩苔があることを確認してもらい、先ほど舌の写真を送ってもらったばかりでした。

 また本日も、地元のお馴染みさんのご家族の花粉症の相談を受けました。
魚類でしばしば蕁麻疹が出る体質を持つ重度の花粉症とのことで、あえて実験として、茵蔯蒿湯のみで様子を見てもらう約束をしました。
10日毎に通われている人のご家族ですので、黄膩苔の有無も確認してもらい、10日後にその効果の有無の報告が得られるはずです。

 西洋医学的に考えても、茵蔯蒿湯は、もともと一部の蕁麻疹の特効薬でもありますから、アレルギー反応という共通性を考えれば、花粉症に効果があっても当然のことかもしれませんねっ(笑)。


【編集後記】 茵蔯蒿湯の常用者で花粉症が治癒する例としては、以前にも2008年02月21日 アトピー性皮膚炎の漢方治療に欠かせない食事制限の中でご紹介したアトピーの男性の場合では、一時的に藿香正気散(カッコウショウキサン)の頓服が必要な時期もあったが、その後、花粉症も現在に至るまで頓服の必要もなく無症状のまま、アトピーともども9割以上の寛解状態を持続している。
 昨日来局されて確認済み。

 参考までに2月21日のブログの一部を以下に抜粋引用。
 以前、ブログでも取り上げた正月をきっかけに食事量を人並みの一食分に減らした男性の例では、昨年5月、村田漢方堂薬局に来るまで2年間、ステロイドを毎日塗り続けても暴れまくり、自殺を考えていたと語るほど全身に皮湿が蔓延していました。
 鼻炎も合併しており、漢方薬は黄連解毒湯・辛夷清肺湯・瀉火補腎丸・茵蔯蒿湯・猪苓湯・地竜・天津感冒片(2錠)・イオン化カルシウム、透明な鼻水が出るときだけ藿香正気散の頓服(注記:3月に入って不要となる)ですが、正月をきっかけに食事を人並みの一食だけに制限したお陰で、今年になってステロイドの使用が皆無となり、保湿剤としては紫雲膏がピッタリ効くようになり、見かけ上は全身、ほとんど完治の様子に見えるくらいになりました。

2008年03月12日

花粉症の漢方薬

 花粉症真っ盛りである。
 これまで村田漢方堂薬局の漢方薬で花粉症がほぼ根治した症例数は膨大なものになるが、花粉症だけのご相談をお受けしたことは少なく、ほんの一時抑えのお付き合いは避けてきた

 多くはアトピー性皮膚炎や糖尿病など、他の疾患と合併していた人ばかりで、花粉症は付録としていつの間にか根治していることが多いし、お馴染みさんや常連さんのご家族の花粉症こそは、枚挙に暇がないほど、根治してもらっている(笑)

 何年も前に地元のテレビ局の花粉症対策の番組に取材された時も、番組のしめくくりとしてヒゲジジイが出演し、花粉症が重症化して、一般治療や病院治療で治らず、根本体質改善を行いたい人だけが、体質に合った適切な漢方薬を使用べきで、多くは季節的なものだから、対症療法を行っておればよいのではないか、と逃げ腰の発言をしておいたのだった。

 テレビに出演した時の発言が発言だったから、その年も花粉症だけの漢方相談は皆無で、安堵の胸を撫で下ろしたのだった。

 本音を明かせば、よほど重症でもない限りは花粉症くらいの問題で漢方相談に来てもらっては困るからである。命に関わる疾患でもなし、ほんの季節的な一時抑えの目的だけの漢方相談なら御免蒙りたいというわけである。
 しかしながら、本腰を入れて、花粉症体質改善を目的する漢方相談なら、喜んで応じるところである。

 昨年暮れには珍しく重症花粉症の体質改善を行いたいと言われる奇特な方が来られたが、体質改善三点セットなどと漢方処方2つをお渡しして、発作の時期になったら必ずもう一度来られる約束だったのが、仕事が多忙という理由から、その後は同じ方剤を発送しているだけだから、症状は明らかに軽減しているものの、完璧に止まっているわけではなさそうだ。

 前置きが長くなったが、花粉症の一時抑えでも、ほどほどテクニックが必要なもので、藿香正気散(カッコウショウキサン)、天津感冒片や涼解楽・辛夷清肺湯や葛根湯、玉屏風散(衛益顆粒)などを体質と症状によって使い分ける。
 うまく行けば、その日の内から症状がほとんど消失する。
 但し、村田漢方堂薬局では、かの有名な小青竜湯はよほどの根拠が無い限りは使用しない。

 ところで最近、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ) が適応する体質の人では、超速効で花粉症が止まることを地元の男性で確認できた。

 先日も東海地方のお医者さんへのアドバイスで成功した例、花粉症と茵蔯蒿湯(インチンコウトウ) と同様、超速効の男性を確認出来ているので、今後も意識的に茵蔯蒿湯を花粉症に応用する価値は大いにありそうに思える。


 通りで村田漢方堂薬局のお馴染みさんや常連さんには花粉症がいないわけである。体質改善三点セットのみならず、茵蔯蒿湯の常用者はあまりにも多いのだから。
 今後もますます、茵蔯蒿湯常用者の花粉症への有効性が確認できるのではないかと期待しているところである。

2008年03月11日

蒼朮(ソウジュツ)配合処方では必ず古立蒼朮(コダチソウジュツ)であるべし

 本日たまたま某生薬メーカーの外交さんが来られ、一昨日の五苓散の蒼朮(ソウジュツ)問題の話題となった。
 そもそも五苓散は本来白朮(ビャクジュツ)を用いるべきであるが、これを論じるのはまたの機会があるあろう。

 日本の漢方界における原料生薬におけるルーズさの問題に話しがおよび、黄耆(オウギ)にしても、30年前までは黄耆といえば、ウチダ和漢薬さんではイワオウギが主流だったので、綿黄耆(メンオウギ)を主流にすべきだと強く主張してヒゲジジイの意見がすんなり実現した昔話を蒸し返した。

 ところがどうしようもない問題が、常々主張する生姜(ショウキョウ)と乾姜(カンキョウ)の錯誤である。いまさら救いようがない絶望的な問題だからこれ以上、触れない。

 ところで平胃散や半夏白朮天麻湯などに配合される蒼朮は、当然、古立蒼朮とばかり思っていたら、そうではないらしい。
 一般的に蒼朮の注文があった場合は、特別に指定されない限りはやや高価な古立蒼朮を販売することはないという。

 とすれば当然、エキス製剤にも良質の古立蒼朮が使用されていない可能性も高くなる。
 なぜだろう? ソウジュツと言えば古立蒼朮だろう。詳細を書くのは面倒だから結論だけを書けば、蒼朮の蒼朮たるゆえんは古立蒼朮(コダチソウジュツ)であってはじめて蒼朮なのである。

 なんともいかにルーズな日本の漢方界であることかっ。
 
 どうせこのブログの訪問者は、同業者や漢方メーカー関連の人達が半数近くを占めているのだから、ここで敢えて苦言を吐きちらしておく。

 蒼朮は古立蒼朮でなければ、蒼朮と言うべきではないとさえ極論したいくらいだ。


 一流大学の看板を背負った肩書きの立派な薬学博士か、どこそこのお医者さんなどでなければ、権威に弱いこの国では、市井の一薬剤師がどんなに吠えたところで何の影響力も無いことは専門誌時代からよ〜〜〜く承知していますがねっ。
posted by ヒゲジジイ at 21:59| 山口 ☀| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2008年03月10日

お断りせざるを得ないご高齢者や子供さんのご家族からのお問い合わせ

 今日はたまたまだろうか、ご高齢者を持つご家族からのお問い合わせが、電話や直接のご訪問により、しかも同じ時間帯に続いた。
 偶然とはいえ、ご高齢者人口が増え続ける我が国の現状では、当然あり得ることであろう。

 しかしながら、常連さんやお馴染みさんのご家族でもない限りは、まったく初めてのお問い合わせでは、残念ながらすべてお断りせざるを得ない事情がある。
 その理由は、お馴染みさんや常連さんこそよくご存知のことで、この繊細・綿密な弁証論治の方法では、神業的な名人芸を施すわけではないので、ご自身がみずから望んで積極的に行動できる状況ではないご高齢者にはとても馴染まないのである。

 同様に子供さんの場合でも、お馴染みさんや常連さんのご家族でもない限りは、お断りするケースが多いのも同じ理由からである。

 みずからの御意思で積極的に望まれて直接来られる気概のある成人男女だけを漢方相談の対象とさせて頂いているので、初めてのご高齢者や子供さんは、お断りせざるを得ないのがここ数十年の村田漢方堂薬局の実情である。

 ご自身が村田漢方堂薬局の漢方に賭けてみようという強い意志表示が出来る成人男女でなければ、その後のヒゲジジイ特有の臨機応変の配合変化に即応できないことが歴然としているからである。

 高齢者子供さんが、ご家族に強く奨められて当方の漢方相談を利用されるようなケースでは、服用者ご本人の自覚と熱意の有無にかかわらず、必ず付き添いのご家族が、こちらの流儀を既に体験してある程度知っておいてもらうことが必須となる。

 つまりは、既に信頼関係の確かな常連さんやお馴染みさんのご家族、あるいはせめてご家族が過去に当方の漢方薬のご利用経験者が一人でもおられない限りはお断りする所以である。

 
 意思の疎通のはかりにくいはじめてのご高齢者や子供さんに中途半端な漢方販売を行って、後々遺恨が残るようなことはしたくないし、気心も知れないご家族を巻き込んでの板ばさみにも会いたくない。

 それだけ自分の身の丈に合った仕事以外には手を出さない方針に徹しているが、よくぞこれほど徹底した長年の方針を墨守して経営が成り立つものだと、我ながら不思議である。
 みずからの熱意と真摯さで、ヒゲジジイの繊細な弁証論治の漢方に賭けてくれる奇特な人達が絶えないお陰である。


 かくのごとく本日のお問い合わせも、上記の理由からお断りさせて頂いたのだが、店頭に訪れた同年代の男性は、事情と説明に不本意ながらも納得されて大人しく引き下がられた。

 ところが、同じ時間帯に電話で問い合わせられた女性っの場合は、こちらの言っている意味が分らない!とばかりに強く食い下がられるのである。
 ネットで当方のHPを見たという割には何も読まれてない証拠であろう。

 こちらの言う意味が理解できないようでは、ナオサラごめんだな〜と内心困っていたら、話の途中で一方的にバシャリと電話を切られた。

 このような失礼な電話の切り方は男性ではお目にかかったことがないが、親を心配するお気持ちは十分に理解できるものの、やはりお断りすべき相手であったと安堵の胸を撫で下ろすのであった。

関連参考文献:※直接面談による詳細綿密な漢方相談
      客を選んで何が悪いのか?


posted by ヒゲジジイ at 21:07| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2008年03月09日

五苓散(ゴレイサン)の成分に蒼朮(ソウジュツ)を用いるのは間違いである

 最近、ようやく五苓散の優秀な製剤を手に入れることが出来た。猪苓湯と同様、各社それぞれ意外に優劣の大きさを感じており、なかなか気に入った五苓散製剤が見つからなかったのだが、灯台下暗しであった。

 それはともかく、言うもはばかられるが、五苓散製剤の原料に蒼朮(ソウジュツ)を使用している信じられない漢方製剤がこの日本に堂々と存在し、広く流通しているのだから驚愕ものである。
 その製造元の漢方と漢方薬に対する学識レベルを疑わざるを得ない。

 五苓散の薬味は、猪苓・沢瀉・茯苓・白朮・桂枝であると原典の傷寒論に記載されている。
 なにゆえ白朮(ビャクジュツ)のかわりに蒼朮(ソウジュツ)なのか?

 白朮と蒼朮は、中薬学上の薬効は明かに違いがある。類似した点も多々あるが、明かに異なる部分もある。
 脾虚脾湿に適応する白朮と、湿邪の実証に適応する蒼朮である。燥湿健脾を特長とする白朮と、去風除湿を特長とする蒼朮である。

 白朮と蒼朮の最も大きな違いは、白朮は固表止汗して黄耆(オウギ)がないときには一定の代用になるほどだが、蒼朮は逆に散寒解表して発汗作用がある。


 たとえば玉屏風散(ギョクヘイフウサン)は黄耆・白朮・防風の三味で構成されるが、この白朮を蒼朮で代用することがあっては絶対にならない。蒼朮に入れかえられてしまうと、玉屏風散の立方の主旨である表衛不固の治療方剤(益気固表止汗)としては完全に失格してしまう。

 同様に五苓散の立方主旨から考えても、明かに白朮でなければならないのである。

 もともと日本漢方(漢方医学)では白朮や蒼朮の原料に対する考えかたが非常にルーズであったが、その悪しき伝統が平成の御世にまで受け継がれているらしい。
 この国の漢方レベルは未だにこの程度のものであるかっ?

 白朮がないときの代用として古立蒼朮(コダチソウジュツ)を止むを得ず使用するというのなら話はわかるが・・・しかしながら、白朮の流通が途絶えたという話は聞いたことがない。

 実は、蒼朮を用いた五苓散エキス製剤が意外に広く日本で流通している事実を先ほど偶然知ったばかりなのである。
 だから驚き過ぎて眠れず、このブログの投稿も夜中の3時(苦笑)。

 実際には過去、五苓散(1)において
この五苓散ばかりは、色んな意味で、様々な応用方法があり、また、配合生薬中の「白朮(びゃくじゅつ)」が、「蒼朮(そうじゅつ)」を使用する漢方製剤があったり、「桂枝」であるべきところが、日本には腎陽・心陽・脾陽を特に温める作用の「肉桂」が使用されているなど、書こうと思えば、様々な方向から、どのようにもダラダラと書き続けてしまえるほど、話題はつきない。
 と述べていたが、事ここに至ってやや錯誤した製剤が広く流通するのも如何なものかと思って、敢えてここに書いた次第である。



玉屏風散(優秀な製剤は日本では衛益顆粒)の参考文献:アレルギー性鼻炎に対する玉屏風散
          玉屏風散証の見分け方
posted by ヒゲジジイ at 03:17| 山口 | 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2008年03月08日

村田漢方堂薬局の漢方薬の愛用者に花粉症はほとんどいない

 漢方薬の愛用者でなければ理解できない様々なことがある。

 たとえば漢方薬を服用しだして風邪を滅多に引かなくなったという人はとても多いし、花粉症を持ってた人でも、主訴に対する治療兼体質改善をおこなっているうちに、気がついたらいつのまにか治っていたということはザラにある。
 体質改善三点セットを併用される人が多いからという理由もあるのだろう。これだけでも9割以上の高確率である。

 HPやブログのお陰で、若い年齢層の人が相対的に増えているが、昨今では二十代の若い人たちが、漢方薬の著効を得てヒゲジジイを仙人扱いする女性も出てくる始末である(苦笑)。
 地元近辺にそのような漢方ファンになる若い年齢層の男女が増えるのはとても喜ばしいことだが、漢方を過大に万能視されると荷が重くなる(苦笑)。

 西洋医学治療や病院の漢方で治らなかった疾患ばかりだから、西洋医学治療や病院で出される漢方薬との違いだけでなく、漢方薬の合わせ方にも大きな違いがあることを理解され、ヒゲジジイの漢方なら何でも治るだろうと買い被ってくれるのだから、ややありがた迷惑でもある。人によっては苦労に苦労を重ねなければなかなかピントが合わないこともあるのだから・・・。

 「他の人には絶対に村田漢方堂薬局のことは教えないんだからっ!」と、複雑な気分ながら嬉しいことを言ってくれる人もいる。
 
 昨今では中年のおっさんやおばさんよりも、若くして長年病気に苦しんで来た若い年齢層の真摯な人たちに、忍耐強い日本精神を見ることが多いのだった。
 若い年齢層でも、一定の経費がかかるのを我慢して真剣に慢性疾患の克服に努力されている。諦めない不屈の精神こそ貴重である。

 いつの間にか花粉症の話とは無関係な所に飛んで行ってしまった。
タグ:花粉症

2008年03月07日

花粉症と茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)

おたより: 東海地方の内科医師

 先日は貴重なアドバイスを頂くことができまして誠にありがとうございます。

 茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を服用してみたのですが、結構いい感じです。
 花粉症(大量の鼻水・くしゃみなど)が著しく改善してまいりました。現在85%治癒度といった感じです。

 ちゃんとした患者さんの弁証が必要ですが、威力を発揮するかもしれません。
 まずは個人的な著効のご報告まで。


お返事メール: 茵蔯蒿湯のみを加えることで効果がありましたでしょうか?

 苓甘姜味辛夏仁湯は使用されずに茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)だけでも花粉症に効果が実際に出てくれたのかどうかが、とても興味深いのです。

 メールでもお伝えした通り、舌の奥に黄膩苔の傾向が多少ともあれば、現代人の多くは茵蔯蒿湯証が存在することがとても多く、様々な領域の疾患に応用が可能です。

 それゆえ、まだ確実には証明されてない花粉症にも茵蔯蒿湯単独でも効果があったのであれば、大変うれしい御報告となります。
 最近は舌の奥に黄膩苔があるタイプの後鼻漏にも他薬との併用で効果が増強されることが証明されつつあるところです。

 その点で、苓甘姜味辛夏仁湯の併用の有無を知りたい訳です。
 ご面倒でも、お返事賜りますよう、お願い申し上げます。

 ここ10年近く、これまでの専門書にも記載されなかった茵蔯蒿湯の適応範囲が広範であることに気付き、応用領域の広さと限界を研究している最中で、猪苓湯に次いでライフワークともなっている処方です。

 貴重な御報告、またブログで利用させて頂けることを嬉しく思います。


折り返し頂いたメール: これまで鼻水ダラダラのときに使用していました鼻水の救急薬119番 苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)は使用しました。

 ただし、ひどいときに一度だけで、それも茵蔯蒿湯を使用するまえのことです。お返事まで。

 茵蔯蒿湯は結構良薬かもしれません。古人の知恵に深く感謝しています。脳の思考力はかなりアップしてきました。

2008年03月05日

黄砂か花粉による鼻炎症状に対する漢方薬

ご質問者:東海地方の内科医師

 中国からの黄砂のせいか、花粉のためか、大量の鼻水とくしゃみの連発、頭のボーとしたのぼせ感を覚え、思考力も低下傾向にあります(病気のせいにしてはいけないかもしれないのですが、笑)。

 最近比較的落ちついていた血圧も普段より高い傾向にありまして、便秘で、舌は微妙に黄色苔がのっているのかなといった感じです。
 現在の服薬は釣藤散、八味丸です。

 アドバイスをお願いできれば幸いに存じます。


お返事メール:私も血圧が安定したつもりで、釣藤散の服用を怠っていたら、午前中に気が抜けないご相談が続いた後、後頭部の気色悪さと伴にふらついて急な血圧の上昇がありビックリしました。
 その後は、釣藤散・辛夷清肺湯・八仙丸・茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)・猪苓湯・牛黄製剤の併用で落ち着いて来ました。幸い花粉症はいまだに無縁です。

 大量の鼻水とクシャミを一時的でも止める速効の可能性が高いのが、藿香正気散(カッコウショウキサン)です。医療用漢方には採用がありませんが、松浦薬業やイスクラなどで製造発売され市販されています。
 頓服使用で多くは一時的に治まり、連用の必要はありません。

 それ以外では、ご存知「小青竜湯」ですが、これは高血圧にはとても悪影響しやすい方剤ですし、とても野蛮(苦笑)な漢方薬です。

 黄色い苔が存在するときには、便秘のことも考慮に入れ、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)も併用されることをお奨めします。血圧にも有効ですし、また最近、この方剤をメイン方剤(辛夷清肺湯や八仙丸・天津感冒片など)に加えて頑固な後鼻漏の治療にも最近成功しつつあります。

 茵蔯蒿湯は実に素晴らしい処方です。舌の奥に黄膩苔の傾向が僅かでもあれば、絶好の条件となります。但し、花粉症に対する有効性は不明です。

 「大量の鼻水」が無色透明な水様性であれば!という条件付ですが、高確率で一時押さえには藿香正気散(カッコウショウキサン)がとても有効ですが、連用すると粘膜を乾燥させ過ぎる場合があります。

 それ以外の保険採用漢方で敢えて考えれば、以前、先生ご自身がご報告下さったこともある「苓甘姜味辛夏仁湯」ですが、これとて多少とも高血圧には悪影響する可能性もありますが、半分量ならまず大丈夫だと思います。


折り返し頂いたメール: さっそくのお返事ありがとうございます。
 患者さんへの漢方の方剤の選択にあたっては、気効力の停滞は死活問題です。減少しつつある脳細胞の働きにがんばってもらわないといけませんので(一例一例おなじ方剤でいける場合はほとんどなくてその都度フルに脳に回転してもらわないと患者さんのご期待に応じきれないようですので。脳の回転がよくなるものがもしあればまたお教えください。笑)、期待して茵蔯蒿湯・苓甘姜味辛夏仁湯あたりで試みてみます。
 大変ありがとうございました。感謝です。


ヒゲジジイの悪乗りアドバイス:
 「脳の回転がよくなるものがもしあればまたお教えください」
に対するお返事です(苦笑)。

 決して推奨するわけにはゆかないし、極めて不謹慎ではありますが、我が村田漢方堂薬局ではお馴染みさんの常識となっているのが、ヒゲジジイの「哲学の煙」です。

 漢方相談の途中に中断して、奥の台所の換気扇の下で一服することで、しばしば素晴らしい処方が頭に浮かびます。
 「哲学の煙」の薬効に勝るものはありませんっ!

 かくして我が寿命を縮めながら、多くの患者さんたちへ「命の切り売り」をしている毎日なのです(涙笑)。


折り返し頂いたメール: 哲学の煙はちょっと
 小生は気管支が弱いものですから、「哲学の煙」は使用困難です。
 日々の自己犠牲的なお仕事ご苦労さまです。