尿漏れや夜間多尿に八味丸製剤が横文字の商品名ハルンケアでテレビ宣伝、肥満にはやはり横文字のナイシトールという名で防風通聖散製剤が盛んにテレビ宣伝されている。
日本古方派時代の30年前ころには、確かに八味丸証の人は巷にゴロゴロいたので乱売気味に売って多くの人に喜ばれたのは確かである。
ところが、時代は下って温暖化とともに食料品や暖房設備も充実した有史始まって以来の豊かな時代である。村田漢方堂薬局で観察する限りは、平成に入って八味丸証の患者さんに遭遇する機会は極めて僅少となった。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)のごときは言わずもがなである。
流行は、たいていの場合、それの需要者によって作られないで、それの供給者によって作られる。即ち頭の好い商人たちによって創案され、頭の悪い婦人たちによって需要される。(傍線ヒゲジジイ)昭和4年に発行された萩原朔太郎の名著『虚妄の正義』における正鵠を射たアフォリズムは現代社会と異なるところがない。
但し、傍線部分の婦人というのは現代社会では、男女ともどもというのが際立った嘆かわしい特徴であろう。
まあ〜〜宣伝に乗せられて素人判断から、せいぜい八味丸中の附子(ぶし)や、あるいは防風通聖散中の麻黄・川芎(センキュウ)・石膏というトリプルによる忌まわしい不快反応が出ないことを祈るばかりである。