お便り:東海地方の内科医師
先日はお休みの曜日にも関わらずご相談にのってくださいましてありがとうございました。
おかげさまですっかりむかつき感などは改善しています。深く感謝いたします。半夏瀉心湯の威力に感服しました。
私は漢方へ入門した当時、指南くださった先生が、補剤と温裏剤を駆使なさっていましたので、その影響を受けています。おそらく、今振り返ってみますに、そのような方剤の必要な患者さんが受診なさってみえたからと考えています。
最近、瀉剤などの方剤がいかに有用性があるかを実感させて頂いていましてありがたいことと思っています。
つきましては、むかつきで調子が悪くなる直前までは釣藤散を常用していましたが、半夏瀉心湯と併用してもよろしいものかどうか、半夏瀉心湯は今回だけですませてよいものか、などご助言くださいますと幸いに存じます。
お返事メール: 短期間で回復されて良かったです。血圧のほうは、しっかり降圧剤でコントロールされておられるのであれば、半夏瀉心湯を引き続き、釣藤散とともに併用されても構わないと思います。
但し、人参や乾姜、甘草の血圧に対する影響を配慮して、煎じ薬の常用量換算で二分の一量程度のやや少な目で続けられる方が無難だと存じます。
ところで瀉剤の重要性については、本日も偶然、更年期障害に伴う食欲不振が、知柏腎気丸製剤と茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)にオルスビー錠の三方剤併用により、僅か3日の連用で6年間続いた宿痾と共に雲散霧消し、あらゆる諸症状が消失したとの報告に訪れた方がおられました。
僅か三日の服用で食欲も完全に回復されたそうですが、弁証論治が正確であれば、瀉剤と補剤を同時に配合する扶正去邪や攻補兼施の重要性があらためて認識されます。
それにしても、当方でも僅か3日間でほとんどすべての諸症状が雲散霧消された喜びのお声を聞くとは、先生のむかつき感の解消といい、とても良い一日でした。
さらには、重症の蕁麻疹患者さんに茵蔯蒿湯のみではもう一歩シャープさに欠ける点があるので、地竜(みみず!)を併用してもらっていたところ、3日目にして速攻を得て、長年持病となっていた手の主婦湿疹まで綺麗に治ってしまったとの喜びの声を薬局を閉める間際の嬉しい報告もありました。
どちらかと言えば「寒涼派」に近い中医漢方薬学派(苦笑)ですが、現代日本社会は、補剤のみならず瀉剤の運用こそ重要な時代であると確信している次第です。
2007年11月08日
瀉法の重要性について
posted by ヒゲジジイ at 00:51| 山口 ☀| 中医漢方薬学問答
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