2007年10月23日

アトピー性皮膚炎の保湿の重要性について

 言うまでもない極めて常識的なことだが、アトピー性皮膚炎患者さんたちは皮膚のバリアーが脆弱に生まれついているのだから、アトピーが完全寛解した後も、ほとんど一生涯、適切な保湿剤を用いて常に乾燥傾向にある皮膚を保護する必要がある。
 
 無理なステロイドの離脱によりアトピーが悪化して大量の滲出液が出ているような場所に保湿は不要だが、乾燥して痒みが生じている場所には、適切な保湿剤を使用すべきであり、そうすることによって漢方薬の効果もより能率的である。

 ステロイドばかりに頼っている人に限って、保湿剤の使用を怠りがちな現象が目立つ。
 漢方薬の効果が出始めて以後は、次第にステロイドの塗布が減ってくるのは当然であるが、重要な保湿を怠っているとステロイドの減量が遅くなりがちである。

 但し、ここで注意が必要ななことは、皮膚の乾燥状態が皆無な部位で、むしろジクジクと滲出液が漏れ出るような個所には保湿剤は不要である。そのような部位にまで保湿剤を使用すると却って悪化することがあるので、無意味な乱用は慎まねばならない。

 また乾燥した皮膚に保湿剤を塗布する場合でも、皮膚呼吸が出来ないほど分厚く塗るのは大きな間違いである。必ず薄っすらと軽く塗るのがコツである。分厚くたっぷりな量を使用するほど、効果が激減する。

例外はウオノメやタコ(特に紫雲膏を用いる場合)。これらは患部に分厚く塗布し、ガーゼと絆創膏で固定する。

 どの保湿剤が良いかは人によってマチマチであるが、村田漢方堂薬局で最も人気が高いのが、ウチダ和漢薬製造の「紫雲膏(しうんこう)」である。製造元によって軟膏そのものの色合いが驚くほど異なるのは不思議である。
 ウチダ製の紫色はどす黒さを帯びた深い紫黒色に近い色合いである。
 ヒビ、アカギレ、ザラザラ乾燥した皮膚のみならずウオノメやタコなどにも優れた効果がある。
 紫色が付着するので一部の人には敬遠されるが、保湿力のある医薬品として紫雲膏の効果は抜群である。

 考えてみると、いまさらウチダ和漢薬の医薬品を宣伝してあげたところで何の得にもならず、むしろ貶すべき点も無いわけではないが、優れた製品が多いことも間違いないので、褒めてしかるべき製品は誉め殺しにならない程度に褒めてあげたい(苦笑)。
posted by ヒゲジジイ at 00:03| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする