2007年10月20日

一杯のおいしい生姜紅茶

性別 : 女性
年齢 : 50歳〜59歳
簡単な御住所 : 関東地方
具体的な御職業 : 英国紅茶倶楽部という紅茶教室を開いております。
ご意見やご質問をどうぞ : 生姜紅茶の効用に関しての質問です。

 8月に「英国紅茶倶楽部」のホームページを立ち上げたところ、私の住んでいる地域のラジオ放送教区から連絡があり、冬に向かって紅茶の話をしてほしいとの旨。
 明日18日18時に生姜紅茶の話をすることになり、私は個人的に(教室のレッスンにはいれていません。)生姜紅茶が好きで、時々飲んでおり、今年の夏は、生姜紅茶のおかげか夏バテもなく快適に過ごせたので、生姜に関して一般的に言われていることの裏付けをとっておこうと、インターネットを開いたところ、貴殿のホームページの懇切丁寧さに心ひかれ、図々しくもメールを送らせていただきました。

 貴殿の文章を読みながら、明日、生姜紅茶の話をすることを引き受けてしまった自分が恥ずかしくなりました。さらっと簡単に話せばよいということですが、生姜は漢方の部類に入るうえ、生、乾燥、蒸して乾燥ではずいぶんと異なるもののようですね。ほかのホームページには、体の芯から温めるには、乾燥して粉末にした生姜が良いと書いてあったり、1日の生姜の使用量が規定されていたりといろいろですが、
@一般の人が生姜紅茶を飲む上で注意しなければならないこと はあるのでしょうか。
A生姜紅茶の作り方は? (私は、普通に紅茶をいれ、すりおろしたショウガをそのまま加 えて、蜂蜜を入れたり、ミルクを入れたりして楽しんでいます。)
B生姜紅茶に入れてはいけないものはあるのでしょうか。

 調べていくうちに、自己流で飲んでいたのが、だんだんと怖くなってきました。
 何年か前にみのもんたさんのテレビで生姜紅茶を放送したことがあると聞いたことがありますが、何事も素人判断でするのはあまり良くないことですよね。きっと、、、もし今回お返事をいただけた場合、その内容をラジオで話してはいけないようでしたら、その旨書いてください。
 もしくは先生のお名前を出しても差支えなければ、先生に教えていただいたと正直に言うように致します。これは正直、私にとってもある種の賭けです。先生のお名前も住所も所属もなにもわからないまま、ただ、インターネットで検索して、読ませていただいた文章が、他の方に比べて良心的に思えたという直感だけですので。(生意気を言って申し訳ありません。)

 ただ、レッスンで話したこともなく、自分で飲んでよかったので、ラジオで話させていただくというのも無責任な気がするものですから。(先生の文に出会わなければ、気軽にお話していたと思います。)
 お忙しいこととは存じますが、お返事よろしくお願い申し上げます。
 ★放送で生姜紅茶の話をするのをやめておいたほうが良いという一言をいただきましたら、別の話をするようにいたします。私に関しましては「英国紅茶倶楽部」をヤフーかグーグルで検索していただけましたら、ホームページが出ます。立ち上げたばかりで、まだ内容が浅いですが、これからしっかりと作り込んでまいります。

 お許しが出れば先生の生姜紅茶に関するコメントも載せさせていただきたいと存じますので、何卒よろしくお願い申し上げます。


お返事メール:M・S様

 紅茶と言えば、すぐに思い浮かぶのがイギリスの知識人、オーウェルの「一杯のおいしい紅茶」という短い随筆です。(初出1946年:イヴニング・スタンダード)
 紅茶にまつわる薀蓄を縷々書き綴ったものですが、砂糖は絶対に入れるなっ、というのがオーウェル氏の主張のようですが、本当でしょうか?
 また、さきほど貴サイトも訪問させて頂きました。まだ、ザッと眺めただけですが、イギリスと紅茶、なるほどなるほど・・・。

「一杯のおいしい紅茶」ジョージ・オーウェル著 朔北社(1995年)発行 

 ところで、当方の「生姜」についての記載は、よくぞ埋もれて睡眠中の当方のサイトを発見して下さいました。
 気が付かれる人の多くは、http://cyosyu.exblog.jp/i25/ このページを辿って来られるようです。他のブログやサイトにも何度か書きましたが、その場所は忘れました。

 紅茶にミルクを入れるのはともかく、生姜を入れるとなるとジョージ・オーウェルさんが生きていたら、どのようなコメントが・・・と考えると、思わずニンマリしてしまいます。
 ご質問の件、

>@一般の人が生姜紅茶を飲む上で注意しなければならないこと はあるのでしょうか。
>A生姜紅茶の作り方は? (私は、普通に紅茶をいれ、すりおろしたショウガをそのま>ま加 えて、蜂蜜を入れたり、ミルクを入れたりして楽しんでいます。)
B生姜紅茶に>入れてはいけないものはあるのでしょうか。調べていくうちに、自己流で飲んでいたの>が、だんだんと怖くなってきました。

 上記の三点について、@につきましては、当然のことですが過剰摂取はよくないです。たとえ、やや冷え性でも、現実に毎日ひね生姜をすりおろしてとっていたアトピー性皮膚炎の女性には暖め過ぎによってアトピーがやや悪化していました。
 でも、多くの人は、過剰摂取にならなければ、Aで書かれているような、すりおりした生姜を過剰にならない程度に、ちょうど紅茶を飲むのにおいしさを損なわない程度の量であれば、過剰になることはありませんので、1日3〜4回の(1回に一杯の紅茶)と言うレベルなら、風邪予防と消化促進(健胃作用により)など、得るところは大きいと思います。この点は、強調して良いところだと思います。

 但し、体質的に暑がりの人や、冷え性がなく、むしろ足が冬でも火照るような体質の人は、あえて紅茶に生姜をすり込んで飲用する習慣は、むしろ避けるべきでしょう。
 暑がりを助長して、暑がりタイプのアトピー性皮膚炎の人などではむしろ病状を悪化させることがあります。

 Bについては、しつこい冗談ですが、ジョージ・オーウェルさんなら、蜂蜜や砂糖類など、甘いのもを入れるのは、紅茶道?においては邪道だとおっしゃることでしょう(笑)。

 以上、本日はサッカー観戦でお返事の時間がとれにくく、とりあえず上記のお返事となりましたが、当方もこの往復メールをブログに掲載させて頂くお約束となっています。頂いたメールの固有名詞をどこまで隠すべきか、今回ばかりは迷ってしまいます。
隠すべき箇所をご指摘下されば幸いです!!!

 なお、放送で、当方の実名を公表するのはかまいません。当方とて、ご質問のメールを公開させていただくお約束なのですから、ギブ・アンド・テイクです(苦笑)。

   村田漢方堂薬局 村田恭介拝

ホームページは、
http://murata-kanpo.ftw.jp/
http://murata-kanpo.seesaa.net/
など非常に多数


折り返し頂いたメール:村田先生

 本日は大変お忙しい中、早々のご返信ありがとうございます。
 お返事が無いことを、覚悟して(少しおおげさ?)おりましたので、お返事をいただき、感激しております。

 早速ホームページを拝見させていただきました。
 本当に専門的に漢方の研究をなさっておられる先生だったのですね。
 それなのに、主婦のお遊びのような他愛もない質問をしてしまい、お恥ずかしい限りです。

 しかし、生姜紅茶の項目に出てきた何十番目かの先生の文章を読んで、この文章を書いた方に聞いたら間違いないと判断した自分のすごさに、今更ながら感動しています。
【私の人を見る目ってなんてすごいんでしょう!!!】自画自賛!!!(笑)

 メールをお送りして数時間、対応の早さにも驚いています。
 本当にありがとうございました。
 明日の放送録音のときに「漢方専門の薬剤師である、村田恭介先生にご指導いただきました。」とつけくわえさせていただきたいと存じます。

 またすでにオーウェルの本もお読みになっていらっしゃるとのこと、さすがです。
 私のつたない知識の中で、1800年代に入り、砂糖が(白い金)ではなくなってくると、貴族階級、知識階級の皆様は、お砂糖を入れずに
中国、日本風に飲むことが優雅とされていたようです。
 アッパークラスの皆様は、紅茶を甘くしなくても、甘くておいしいお菓子がたくさんありましたもの。
 労働者階級の人々は、甘−い甘いミルクティーを飲んでいました。

 お忙しい中お手数をおかけすることもあるかと存じますが、これからも先生のご指導をお願いしたいと存じます。
 何卒よろしくお願い申し上げます。

英国紅茶倶楽部
M・S

追伸:紅茶の部分ですが、1600年代中ごろ英国にお茶が入ってきたころは、お茶にお砂糖をたっぷり入れて飲むことは、貴族の特権でしたが、、、細かいことを書き出すときりがないので・・・
posted by ヒゲジジイ at 00:33| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする