2007年09月06日

漢方薬や中医学の学習方法の質問にまとめてお答え

 よくある質問だが、先日も将来、漢方専門店を経営したいが、どのような本を読んだらよいだろうか、という質問を受けた。
 同様な質問があまりに多いので、ここで乱雑ながらヒゲジジイ流の学習方法を簡単に述べて、皆さんの参考にはならないだろうことを知ってもらうことで、質問する相手が違うことに納得してもらうページとして残しておきたい。

 上記のような質問をされる人の多くは既にヒゲジジイの複数のサイトやブログを御覧になっているので、「中医病機治法学」や「中医理論弁」にもっとも影響されたことは既にご存知である。

 しかしながら、これらだけで充分と言う訳ではないので、上記の書籍に巡り合う以前にも、それ以後にも中医基礎学・中医方剤学・中薬学・傷寒論・金匱要略・温病学など学ぶべき書籍は多いので、たとえすべて読めなくとも手に入る限りは無数に入手するに限るという考えで若い頃から、常に家計を圧迫するほど専門書を購入し続けた。

 それは若い頃は小さい子供を二人かかえて、毎月相当な額を書籍代で飛んでいくので家計は悲惨な状況が十五年は続いただろう。食うや食わずでも書籍を購入し続けた。当時は現在ほど日本語でかかれた専門書は多くなかったので、中国語の専門書を東方書店や燎原書店などから毎月段ボール箱に・・・と購入し続けた。

 気に入った本で愛用する書籍は必ず複数購入した。「中医病機治法学」などは少なくとも5冊以上購入しているし、それに近い書籍は多い。紙質が脆いから直ぐに破損するので座右に置く書籍は必ず複数用意しなければならない。

 もちろん、購入した膨大な書籍をすべて読めるはずがないが、背表紙を読むだけでも知識になる(笑)。というか、何かのときに調べるのにとても重宝するのが、これら過剰に常備した書籍の存在価値である。
 この機微が分らぬ人とは、永久に会話は成り立たない。
 だから質問する相手を間違えているのである。

 これだけ膨大な書籍(6万冊以上、そのうち一般書籍も当然たくさん混入している!)を常備しているからといって、全部読めるわけがない。アタリマエだ。全部読まれたのですか? と馬鹿な質問をする人が多いが、それだけでその人とは会話は成り立たない。

 信じないかもしれないが、ヒゲジジイ自身は読書家だとは思わない。あらゆる分野において、他人様や図書館からでさえ本を借りるのは好きではないので、基礎資料として膨大な書籍が傍になければ安心できない。何かを疑問に思ったら、一定レベルの知識を得たいと思うので専門書籍のみならずあらゆる分野のかなり専門的な書籍も常備しておかなければ不安である。
 ただ、それだけのことだ。

 大概において重要書籍や気に入った書籍は複数所持していることが多いが、人に請われても絶対に貸さない。書籍に関してはひどく吝嗇である。過去、うっかり貸したために永久に戻って来なかった本は膨大である。催促しても紛失したとノタモウならず者が多い。だから最近では本を贈呈することはあっても貸すことは二度とない。

 専門分野の本代をケチる人は、決してその道のプロにはなれないだろう、なれるはずがないと確信している。
 自己の価値観を基準にして世間を判断するのは当然の行いであり、だから「和して同ぜず」というコトワザも生まれるのである。


 昨今は、ネットで調べることが出来るので便利のようだが、あきらかに不十分である。
 実際のところ、漢方を多少とも修得するためには、膨大な種類の書籍が必要であることは間違いない。濫読しつつも自分なりの中医学大系を頭の中に築かないことには、漢方でメシを食っていくことが出来ない。実践してみると良く分る。付け焼刃の借り物の知識では、ありきたりな病気しか治ってくれない。
 一定レベル以上の病気になると、教科書通りの人は滅多にお目にかかれないので、漢方薬がなかなか効いてくれない。

 たとえば、アトピー性皮膚炎などは本格的な漢方薬による治療が開始されたのはここ30〜40年くらいのものである。しかも当時はほとんどが子供であった。成人したら治ると日本国中の専門家たちが高を括っていた。
 ところがどっこい、成人しても治らない人が続出して現在に到っている。

 だから、アトピーの教科書的な漢方治療方法が正しいとばかりは言えない。基礎理論をマスターしたら、みずから理詰めで新たな方法を生み出すくらいの気構えでなければ、仕事にならない。
 ありきたりな教科書ではアテにならない。また、当然のことながら漢方の世界では病名だけでは適切な処方は選べない。

 なんか最初に書く予定だったものとはかなりずれてきたのでもう止める。きっと眠くなったのだろう、老人だから・・・
posted by ヒゲジジイ at 00:04| 山口 ☁| 漢方薬や中医学の学習方法および懐かしい拙論 | 更新情報をチェックする