折り返し頂いたメール:早速のお返事ありがとうございます。助かります。
お忙しいところ申し訳ありませんが、もう少し教えてください。
甘麦大棗湯は、医師の煎じ薬の処方に入っていて2ヶ月ほど飲みました。
「涙もろく、しばしば生あくびが出る体質」ですが、この処方で不随意運動は解消しませんでした。甘麦大棗湯加芍薬ですが、やはりそのときの煎じ薬の中に芍薬も含まれていました。(煎じ薬は中国で医師をしていた中医師の方がこちらの心療内科で処方してくれていますが、いろいろな薬味がはいっていて、その時々に応じて加減してくださっています。でも、なかなか、効きません。)
実は、別のサイトでちょっと相談をしたときに、「薬味が多いと効き方がマイルドになり効き目が出にくい」と言われ、「婦宝当帰膠 か 参茸補血丸、芍薬甘草湯、桂枝加竜骨牡蠣湯」をすすめられましたが、そこに入っている薬味が、医師の処方の中にも入っているので、婦宝当帰膠 か 参茸補血丸のみ医師の処方に足して併用するのはどうかと聞きましたら、医師か薬局かどちらか選ばないとうまくいかないと言われました。
そうゆうものなのでしょうか。(医師には併用しても良いか聞きましたら、婦宝当帰膠は血虚によいが、美容でよく飲まれているもの、私の症状には、参茸補血丸の方がよいと言われました。)
患者としては治れば何でも試したいのですが、どう考えていいものかわからなくなっています。
現在飲んでいるものは 桂皮、芍薬、川芎、麦芽、白芷、金銀花、釣藤鈎、竜骨、牡蠣、甘草、香附子、ぼうすう、山梔子、牛膝、菊花、当帰、山楂子、蝉退、杜仲、夜交藤、神曲、合歓皮、鶏血藤 です。
これで1ヶ月続けて飲みました。
漢方は、すぐに効かないと聞きました。だいたい、私のような症状の者は、どのくらいの期間を目安に考えて、きくきかないを判断すればよいのでしょうか。
まとまりませんが申し訳ありませんが。近くに、相談できる漢方薬局がありません。お忙しいと思いますがよろしくお願いします。
(管理者注:実際のメールに記載された薬名のひらがなの一部を漢字になおしています。)
ヒゲジジイのお返事メール:やはり、いかにも甘麦大棗湯証が基礎にあるように思える体質のようですね。
「涙もろく、しばしば生あくびが出る体質」という特徴的な体質がおありなのですから。
でも、甘麦大棗湯加芍薬まではされても厚朴までは配合されてない
のでしょうか? 厚朴の筋肉痙攣に対する効果も、可能性として捨て切れません。
例えばシンプルには甘麦大棗湯と半夏厚朴湯と開気丸などの併用です。
甘麦大棗湯を主軸にした配合が様々に考えられると思います。
それでも思わしくない場合は、自律神経発作症的な解釈から、柴胡桂枝湯という日本漢方で好まれる方剤が適応する場合もあり得ることだと思います。
柴胡桂枝湯
なお、病院漢方のみならず、ネット上で見つけた漢方薬局でのメール相談?によるお奨め漢方薬の併用を考えることは、効を焦るあまりの支離滅裂な結果に終わることが多いので、統一の取れない漢方薬のチャンポンは行うべきではありません。
まだ、漢方治療を始めて六ヶ月ということですが、やや難治性の疾患ではしっかりピントが合うまでに、それくらいの苦労は止むを得ないこともあります。
綿密な御相談の上で、あれかこれかを工夫して頂いているのなら、治るまで頑張るという不屈の精神で根気良く、ピントが合うまで頑張るべきだと思います。
時に担当の先生がギブアップされる弱気な先生もおられるようですが、通常はプロ意識のある先生でしたら、治せない自分が悔しくてなんとしても治ってもらいたと日夜悩みぬいて試行錯誤して下さるはずです。
貴女の治りたいと言う情熱を担当の先生に向け続けることで、長く通えばそれだけ見えないところも見えて来て、最終的には適切な配合が見つかろうというものです。(このことは、小生のシバシバ経験したことだから言えることです。)
ただ、これはあくまで個人的な見解ですが、現在服用されている配合を拝見しますと、基本方剤をベースにされてないことがやや気になるところです。
追伸:基本方剤がベースにないようだと書きましたが、どうやら基本方剤は桂枝加竜骨牡蠣湯をベースに加減しているようです。前言を訂正します。
お忙しいところ申し訳ありませんが、もう少し教えてください。
甘麦大棗湯は、医師の煎じ薬の処方に入っていて2ヶ月ほど飲みました。
「涙もろく、しばしば生あくびが出る体質」ですが、この処方で不随意運動は解消しませんでした。甘麦大棗湯加芍薬ですが、やはりそのときの煎じ薬の中に芍薬も含まれていました。(煎じ薬は中国で医師をしていた中医師の方がこちらの心療内科で処方してくれていますが、いろいろな薬味がはいっていて、その時々に応じて加減してくださっています。でも、なかなか、効きません。)
実は、別のサイトでちょっと相談をしたときに、「薬味が多いと効き方がマイルドになり効き目が出にくい」と言われ、「婦宝当帰膠 か 参茸補血丸、芍薬甘草湯、桂枝加竜骨牡蠣湯」をすすめられましたが、そこに入っている薬味が、医師の処方の中にも入っているので、婦宝当帰膠 か 参茸補血丸のみ医師の処方に足して併用するのはどうかと聞きましたら、医師か薬局かどちらか選ばないとうまくいかないと言われました。
そうゆうものなのでしょうか。(医師には併用しても良いか聞きましたら、婦宝当帰膠は血虚によいが、美容でよく飲まれているもの、私の症状には、参茸補血丸の方がよいと言われました。)
患者としては治れば何でも試したいのですが、どう考えていいものかわからなくなっています。
現在飲んでいるものは 桂皮、芍薬、川芎、麦芽、白芷、金銀花、釣藤鈎、竜骨、牡蠣、甘草、香附子、ぼうすう、山梔子、牛膝、菊花、当帰、山楂子、蝉退、杜仲、夜交藤、神曲、合歓皮、鶏血藤 です。
これで1ヶ月続けて飲みました。
漢方は、すぐに効かないと聞きました。だいたい、私のような症状の者は、どのくらいの期間を目安に考えて、きくきかないを判断すればよいのでしょうか。
まとまりませんが申し訳ありませんが。近くに、相談できる漢方薬局がありません。お忙しいと思いますがよろしくお願いします。
(管理者注:実際のメールに記載された薬名のひらがなの一部を漢字になおしています。)
ヒゲジジイのお返事メール:やはり、いかにも甘麦大棗湯証が基礎にあるように思える体質のようですね。
「涙もろく、しばしば生あくびが出る体質」という特徴的な体質がおありなのですから。
でも、甘麦大棗湯加芍薬まではされても厚朴までは配合されてない
のでしょうか? 厚朴の筋肉痙攣に対する効果も、可能性として捨て切れません。
例えばシンプルには甘麦大棗湯と半夏厚朴湯と開気丸などの併用です。
甘麦大棗湯を主軸にした配合が様々に考えられると思います。
それでも思わしくない場合は、自律神経発作症的な解釈から、柴胡桂枝湯という日本漢方で好まれる方剤が適応する場合もあり得ることだと思います。
柴胡桂枝湯
なお、病院漢方のみならず、ネット上で見つけた漢方薬局でのメール相談?によるお奨め漢方薬の併用を考えることは、効を焦るあまりの支離滅裂な結果に終わることが多いので、統一の取れない漢方薬のチャンポンは行うべきではありません。
まだ、漢方治療を始めて六ヶ月ということですが、やや難治性の疾患ではしっかりピントが合うまでに、それくらいの苦労は止むを得ないこともあります。
綿密な御相談の上で、あれかこれかを工夫して頂いているのなら、治るまで頑張るという不屈の精神で根気良く、ピントが合うまで頑張るべきだと思います。
時に担当の先生がギブアップされる弱気な先生もおられるようですが、通常はプロ意識のある先生でしたら、治せない自分が悔しくてなんとしても治ってもらいたと日夜悩みぬいて試行錯誤して下さるはずです。
貴女の治りたいと言う情熱を担当の先生に向け続けることで、長く通えばそれだけ見えないところも見えて来て、最終的には適切な配合が見つかろうというものです。(このことは、小生のシバシバ経験したことだから言えることです。)
ただ、これはあくまで個人的な見解ですが、現在服用されている配合を拝見しますと、基本方剤をベースにされてないことがやや気になるところです。
追伸:基本方剤がベースにないようだと書きましたが、どうやら基本方剤は桂枝加竜骨牡蠣湯をベースに加減しているようです。前言を訂正します。
【編集後記】 上記の説は、先入観からストレス性の疾患に違いないと言う前提で考えるから上述のようなお返事になっているが、もう一つ大事な考察が欠けていたので以下に述べる。
《素問・至真要大論》には「諸痙項強は、みな湿に属す」と指摘しているように、湿濁が筋脉を阻滞すると硬直を呈するという古来からの定説がある。
筋愓肉瞤(きんてきにくじゅん)〔筋肉のピクツキ〕は、少陰陽虚で気化機能が失調し、水気が内停するために生じることが多い。陽虚によって筋脉は温煦されなくなり、水停によって筋脉は困阻されて肉瞤筋愓が生じるのである。
《傷寒論》における真武湯証の「心下悸、頭眩、身瞤動(じゅんどう)し、振振として地に擗(たお)れんと欲す」や、苓桂朮甘湯証の「身(が)振振として揺を為す」などがこの例である。
(筋肉のビクツキは、湿熱阻絡によって生じる場合もあるが、多くは陽虚が多いので湿熱阻絡の病機は省略する。)
いずれも少陽三焦の病変であり、臓腑の機能が失調したために、水液が停滞して痰飲水湿に変性し、少陽三焦を阻碍した病変である。
水液が正常に運行されるには、@肺気の開宣粛降、A脾気の運化輸布、B腎陽の気化蒸騰、C肝気の疏泄調節の四者が必要である。
それゆえ水液は、どの一臓の機能が失調した場合でも三焦で壅滞〔壅阻停滞〕し、痰飲水湿に変性して疾患をもたらす。痰飲水湿は、気に随行して全身各所に到達して各種様々な病変が出現する。
それゆえ、筋肉のピクツキは、痰飲水湿が筋脉を阻滞して生じた病変であるケースが非常に多いものである。
すなわち上記の女性は、真武湯や苓桂朮甘湯など、日本古方派が好んで用いる基本処方でも充分に治せる可能性があるのだが、何せメールだけでの詮索ではこの辺までの類推が限界であろう。
すなわち、この女性は傷寒論医学を地で行っている可能性も高いのである!?