2007年07月16日

膵臓癌末期、善意が逆恨みとして帰って来るなど、過去に経験した多くのトラウマ

 このブログではここ数日、安易な電話相談をいかに警戒しているかを書き続けている。
 過去の苦い数々の経験知によれば、安易な電話相談こそ最も警戒すべきであるから、ここに記すのも自衛策である。
 先週はあまりにも理不尽な電話相談の要求が多かったので、無理難題を吹っかける人々に警告の意味から記している。
 既に休み明けの混雑必至の17日にも再度電話をかけると威嚇めいたFaxさえ入っている。

 昨日のブログにも書いたが、各医療機関では医師に対する患者の暴言や暴力の頻発が大問題となっている。とりわけ女医さんに対する暴言や暴力は目に余るものがある。
 勤務医の過重労働に何の理解も示さず、そのツケはすべて国民に跳ね返って来ることだろう。

 そのような困難な時代だからこそ、巷の漢方薬局風情でも様々な防衛策を必要とするのである。


 過去には末期癌を含めた各種難治性の疾患に、遠方なるがゆえのご家族からの電話相談で、たっての依頼に応じてしまい、運よく驚くべき効果を発揮して喜んでいたのもつかの間、高価な配合(牛黄製剤や麝香製剤など)であったからか次第に注文が遠ざかっているのを心配していたところ、最近急に効果が無くなったが薬がオカシイのではないかと疑惑の電話。
 ハテはそのご家族間の意見の対立も強く、その板挟みにあって電話でそれぞれから怒鳴り込まれる始末。

 これに類似した例は枚挙に暇がなく、末期の膵臓癌で少しでもクオリティ・オブ・ライフ向上の目的でご家族からの依頼でお送りしたところ、これまた運よく速効を得たものの、心配性の別のご家族から神経質にもホドがある本末転倒した漢方薬の副作用問題をウルサイほどに質問攻め。

 あれだけの驚くべき効果が出ているのに、出てもない将来の副作用の可能性を述べよと気味が悪いほど異様で執拗な要求である。
 神経過敏で警戒心過剰の付き添い家族のお陰でドンドン服薬量が落ち込んでくる。

 大して飲んでもないのだから、それほどご心配なら服用を止めてくれと思わず言ってしまったために、水戸黄門の印籠とばかりに、癌患者の家族を抱える皆の苦衷が分らぬ残忍な薬局であると、それぞれのご家族から凄まじい暴言を交えた抗議の波状攻撃を受ける破目に陥ったのだった。

 日本国中に八つ当たりと責任転嫁の風潮が蔓延しているのである。

 だからこそ、安易な電話相談なんぞで見ず知らずの御家族の要求に負けて漢方薬を販売することは断じて出来ない。
 
 特に重大な疾患であればあるほど、御本人みずからの意志で通える範囲の近隣で、早目からお互いの気心が知れるよりよい人間関係が築ける条件下でなければ、迂闊に請合う訳には行かない困難な時代である。

 もちろん気心の知れた常連さんやお馴染みさんの御家族の場合は例外で、互いに長期間の信頼関係を築いているから可能であるので、むしろ当然の義務であると考えている。